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98年 Yoshi のBEST10 & WORST10


　さて、99年がいよいよスタートしました。というわけで今回は恒例（にしたい）年間BESTとWORSTを紹介します。前回はWORSTの方は５位までだったのですが、今回は10位まで意地悪く発表！では、偏見たっぷりにLet's go !


BEST10 WORST10


BEST10
１ L.A.コンフィデンシャル
監督 カーティス・ハンソン
出演 ラッセル・クロウ、ガイ・ピアース、キム・ベイシンガー、ケヴィン・スペイシー、ダニー・デビート、ジェームズ・クロムウェル
コメント 　観終わった瞬間98年のベスト１を確信した作品。ゴージャスな50年代ハリウッドを舞台に、闇にうごめく陰謀。ガイ・ピアースとラッセル・クロウが心を通わせたとき、作品は一級のサスペンスから一級の人間ドラマへと昇華した。　

２ ライブ・フレッシュ
監督 ペドロ・アルモドヴァル
出演 リベルト・ラバル、フランチェスカ・ネリ
コメント 　１位を猛追した作品。ペドロ・アルモドバル監督が撮りたかったシーンは明白。主演のふたりが身も心も合体するシーンである。そこには芸術性と官能性が同居して、決して忘れられないシーンになった。

３ ビッグ・リボウスキ
監督 ジョエル・コーエン
出演 ジェフ・ブリッジス、ジョン・グッドマン、スティーヴ・ブシェーミ、ジュリアン・ムーア、ピーター・ストーメア、ジョン・タトゥーロ　
コメント 　コーエン兄弟の遊び心が爆発した作品。くせ者アクターたちがヘンテコなキャラクターを楽しんで演じているのが伝わってくる。視覚的にも素晴らしく（カメラワーク一級のセンス）、もはや余裕すら感じさせるコーエン兄弟に拍手。

４ ブギーナイツ
監督 ポール・トーマス・アンダーソン
出演 マーク・ウォルバーグ、バート・レイノルズ、ジュリアン・ムーア、ヘザー・グラハム、フィリップ・シーモア・ホフマン
コメント 　ストーリーらしいストーリーはないのに、この充実感はなんなのだろう。70年代ポルノ業界を背景に伝わってくるのは、疑似家族のあたたかさ。それはきっとポール・トーマス・アンダーソン監督の優しい視点に通じるものがあるのだと思う。

５ ドライ・クリーニング
監督 アンヌ・フォンテーヌ
出演 スタニスラス・メラール、ミュウ＝ミュウ、シャルル・ベルリング
コメント 　爽やかな妖気をふりまくスタニスラス・メラールを軸に回転する欲望の渦。絡まり合ったものが切れたとき、物語は意外な方向に転がっていく。クリーニング屋という舞台も意外な効果をあげていて、そこにははっきりと官能があった。　

６ アウト・オブ・サイト
監督 スティーヴン・ソダーバーグ
出演 ジョージ・クルーニー、ジェニファー・ロペス
コメント 　ジョージ・クルーニーとジェニファー・ロペスの情熱カップルが最高。オフビートなストーリー展開の中に、挟み込まれた遊び心満載のエピソードとスタイリッシュな映像。スティーヴン・ソダーバーグ監督のセンスは相変わらずいい。

７ この森で、天使バスを降りた
監督 リー・デヴィッド・ズロートフ
出演 アリソン・エリオット、エレン・バースティン、マルシア・ゲイ・ハーデン
コメント 　傷ついた心を持つ主人公が癒されていく過程が、しみじみといい。厳しい現実に決して目を背けることなく、前を向いて生きていく主人公に共感を持った。演出も静かでありながら力強く、ラストに見える希望が心地よかった。

８ ベルベット・ゴールドマイン
監督 トッド・ヘインズ
出演 ジョナサン・リース・マイヤーズ、ユアン・マクレガー、トニ・コレット
コメント 　物語そのものはまとまっているとは言い難いが、音楽（グラムロック）の使い方が見事なので、飽きさせない。華麗な衣装も見どころで、それをまとったジョナサン・リース・マイヤーズの艶めかしく動く肢体の美しさは必見。

９ ガタカ
監督 アンドリュー・ニコル
出演 イーサン・ホーク、ユマ・サーマン、ジュード・ロウ
コメント 　自ら未来を切り開いていくイーサン・ホークの力強い姿に感動した。ホークと対照的に描かれるジュード・ロウの生き方も、真に迫ったものがあった。ただし、ユマ・サーマンのキャラクターは軽すぎていただけない。

10 地球は女で回ってる
監督 ウッディ・アレン
出演 ウッディ・アレン、ジュディ・デイヴィス、エリザベス・シュー、デミ・ムーア、カースティ・アレイ、ロビン・ウィリアムス、ビリー・クリスタル、トビー・マグワイア
コメント 　相変わらず言い訳しまくるウッディ・アレンが最高におかしい。「アンツ」ではアリになったアレンだが、まさしくアレンを生物に例えるならアリ。小狡い小心者といった雰囲気がある。豪華女優陣ではジュディ・デイビスが爆笑にして最高の演技。

98年BEST10をふりかえって
　ハリウッドのメジャー作品が２作品になってしまい、バランスの悪いものになってしまったような気がする。それも、“ハリウッドの王道”という感じじゃないし…。ま、いいか。
　98年は前半、あまり突き抜けて良い作品というのがなかったのだが、７月『L.A.コンフィデンシャル』を皮切りに、僕好みの作品が次々と公開されて嬉しい悲鳴をあげっぱなしだった。BEST10は、その中でも僕のパッション（笑）を突き動かしたものばかりだ。１位は男たちの熱いドラマに、２位は芸術的かつ官能的なラブ・シーンに、３位は一級のストーリーテリングとカメラワークにしびれた。どれもオススメ作品なので、未見の作品がある方はぜひご覧になっていただきたい。
　次点は『チェイシング・エイミー』。ジョーイ・ローレン・アダムスが若さ弾ける魅力をみせてくれたので。本当は『トゥルーマン・ショー』を入れる予定だったのだが、脚本が『ガタカ』の監督・脚本を担当したアンドリュー・ニコルなので、『ガタカ』に代表させた。『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』は観て２，３日ぐらいたって冷静になってみると、ロビン・ウィリアムズを引っぱり出して精神科医に仕立て上げるといういやらしさを感じてしまったので選外へ。マット・デイモンとベン・アフレックの友情に絞ってくれれば、ベスト10入りしていたかもしれない。せっかく才能があるのだから、精神科医という安易なキーパーソンは出さないで欲しかった。
　他に選考に加えられたのは、『恋愛小説家』、『エイリアン４』、『ジャッキー・ブラウン』、『仮面の男』、『ムーラン』、『マスク・オブ・ゾロ』、『アンツ』、『イン＆アウト』、『マイ・フレンド・メモリー』、『CUBE』。『ジャッキー・ブラウン』や『マスク・オブ・ゾロ』はBEST10当確だと思っていたのに、11、12月で押し出されてしまった。それでも楽しい作品であることに変わりはない。


WORST10
１ ディープ・インパクト
監督 ミミ・レダー
出演 ロバート・デュヴァル、ティア・レオーニ、イライジャ・ウッド、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、モーガン・フリーマン
コメント 　描けないくせにわざわざ人間ドラマを匂わせるいさぎ悪さが気に入らない。アンサンブル出演陣の中では、ティア“大根”レオーニのパートが最悪。善人ぶるなとつっこみたくなる。イライジャ・ウッドはバイクが似合わないのが致命的。　

２ アベンジャーズ
監督 ジェレマイア・チェチック
出演 レイフ・ファインズ、ユマ・サーマン、ショーン・コネリー
コメント 　こんなにも豪華なキャスティングをしてこの出来映え。ショーン・コネリー（歳とってますますセクシー。「ザ・ロック」を観よ）にクマの着ぐるみ着せるなんて、なんと言うことを！救いはユマ・サーマンの七変化が楽しかったことだけ。

３ モンタナの風に抱かれて
監督 ロバート・レッドフォード
出演 ロバート・レッドフォード、クリスティン・スコット＝トーマス、スカーレット・ヨハンソン
コメント 　あぁ、ロバート・レッドフォード。なんで監督だけにしておかなかったんだろう。だいたい60すぎた男のロマンスなんて誰が観たいと思う？これじゃあレッドフォード版「マディソン郡の橋」（傑作ホラー）といわれても仕方ないだろう。

４ Ｘ−ファイル ザ・ムービー
監督 ロブ・ボーマン
出演 デヴィッド・ドゥカブニー、ジリアン・アンダーソン
コメント 　話の中でジリアン・アンダーソンが言う。“常識を越えているわ”。僕は声を大にして言いたい。“常識を越えているんじゃない。大きく下回っているんだ”って。リアルさ追求しているに、これでは子どもだまし。つまらん。

５ エンド・オブ・バイオレンス
監督 ヴィム・ヴェンダース
出演 ビル・プルマン、アンディ・マクドウェル、ガブリエル・バーン、トレーシー・リンド
コメント 　ヴィム・ヴェンダース監督の自己陶酔作品。あまりにも薄っぺらな人間模様と複雑に見せかけて実は何も映し出してはいないカメラ。キャスティングもガブリエル・バーンを起用したことでバランスの悪いものに。

６ ゲーム
監督 デヴィッド・フィンチャー
出演 マイケル・ダグラス、ショーン・ペン、デボラ・カーラ・アンガー
コメント 　いちばん許せないのは、名優ショーン・ペンの扱われ方だ。こんななんの意味もない役をふられたペンがかわいそう。ラストは観客をなめているとしか思えない。安易なハッピーエンディングで怒りが爆発。

７ スフィア
監督 バリー・レヴィンソン
出演 ダスティン・ホフマン、シャロン・ストーン、サミュエル・Ｌ・ジャクソン
コメント 　人間の深層心理を映し出すという球体〈スフィア〉の謎を、精神論を展開して語られても何も楽しくない。一向に盛り上がらないサスペンスにも疑問を感じるし、監督が何を伝えたかったのか響いてこない。

８ ラストサマー
監督 ジム・ギレスピー
出演 ジェニファー・ラヴ・ヒューイット、サラ・ミシェル・ゲラー、ライアン・フィリップ、フレディ・プリンツ・ジュニア、アン・ヘッシュ
コメント 　あらら、まるで新進スターの顔見せパーティといった趣。ホラーなのに怖くない、ホラーなのに犯人がありきたり、ホラーなのに衝撃度が皆無。ただただ主演４人の絶叫のみが耳に残る。脚本の弱さが一見してわかる粗雑さよ。

９ スピーシーズ２
監督 ピーター・メダック
出演 ジャスティン・ラザード、ナターシャ・ヘンストリッジ、マイケル・マドセン
コメント 　どうしてナターシャ・ヘンストリッジをもっと前面に押し出さなかったんだろうか。前作もたいした作品ではなかったが、それでも見どころはあった。それがナターシャの脱ぎっぷり。今回は男性エイリアンが活躍するも全然脱ぎません。

10 ルル・オン・ザ・ブリッジ
監督 ポール・オースター
出演 ハーヴェイ・カイテル、ミラ・ソルヴィーノ、ジーナ・ガーション
コメント 　すべては男が死ぬ直前に見ていた夢。それでなんでもありだったのか。なーんて、納得するほど僕は人間ができちゃいない。小道具を散りばめて物語を美しく見せようとするお手軽さ。主演ふたりの実力が泣いている。

98年WORST10をふりかえって
　断っておきたいのは、WORSTに入るのにもある程度の水準が必要であるということ。それを満たしていないローランド・エメリッヒ監督の『ゴジラ』や、レスリー・ニールセン＆ケリー“大根”リンチ主演の『Mr.マグー』、ドリフを観れば充分の『ビーン』などはこのランクキングから外れている。ついでに言うと、次点は、主演のふたりより脇役の方が輝いていた『相続人』。この作品には98年度WORSTタイトル賞もさしあげたい。
　WORSTではないのだが、判定に困った作品を何本か紹介すると、まずはスティーヴン・スピルバーグ監督の『プライベート・ライアン』。確かに戦闘シーンの迫力はすさまじく観ているだけで涙が出てくるが、それが演技陣のドラマとまったくうまく絡み合っていないので（監督はうまくやったつもりなんだろうが）。また、いちいち泣きどころを音楽で指示してくるところにもまいった。
　『アルマゲドン』は、マイケル・ベイ監督のパワーのある演出で一気に見せるものの、ここまで強引に展開されると、いくら娯楽大作とはいえ僕は白けてしまった。またスティーヴ・ブシェーミのキャラクターはやりすぎにしか見えない。あそこまで過剰に演出されると、ただのバカである。コーエン兄弟を見習っていただきたい。
　『ジョー・ブラックをよろしく』は、タイトルを見ただけで観る気がなくなるが、そこはグッとこらえてブラッド・ピットを目当てに観た。どうしてストレートなラブ・ストーリーにしなかったのだろう。死神が乗り移った役だなんて…。そして死神だからって、そこまで表情を動かさなくていいの？セックス・シーンでさえ、表情が動かないなんて…。こんなの、ピットのファンじゃなきゃ退屈以外のなにものでもない。ピットもピーナツバターなめて喜んでる場合じゃないだろう。でも金髪ピットは相変わらず見た目はカッコ良かった。


January 30, 1999



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