Academy Awards アカデミー賞とは？
| アカデミー賞について紹介するコーナーです。 |
| last update: November 01, 2002 |
| ■アカデミー賞とは？ |
| アメリカ映画業界団体である映画芸術科学アカデミーが、その年ベストの仕事をした映画人たちを称える賞。世界で最も権威と伝統がある映画賞と言われている。基本的に１月下旬にノミネーションが、その中から２月下旬に受賞者が発表される。受賞者はオスカー像（注１）と言われる黄金像を贈られる。 |
| （注１） なぜオスカーと言われるのか。いちばん有力な説は、1931年にアカデミー事務局に就職したマーガレット・ヘリックさんが「私のオスカーおじさんに似ている」と言ったことを新聞記者が耳にして、以来オスカー像と呼ばれるようになった、というもの。ただし、ヘリックさんの家系には「オスカーおじさん」という人はいなかったらしい。 （コメント） 世界で最も権威と伝統がある映画賞…ということになっているが、アカデミー賞を獲ったからといって、その年いちばん優れた作品、映画人じゃないということは誰でも知っている。大衆の支持、興行的成功も選考基準となるアカデミー賞には「好み」があり、それから外れた作品、映画人はどうしても受賞しにくくなっている。たとえば黒人俳優やコメディ系俳優はノミネートされるのさえ難しい。そういう理由からというわけでもないが、受賞したからといって「あの人は演技派なんだねー」と無条件で思い込んでしまうのは危険である。たとえば、数年前に主演女優賞を獲得した口の大きなあの人を演技派だと思っている映画ファンは少ないだろう。 |
| ■オスカー会員とは？ |
| 映画芸術科学アカデミーは、アメリカで映画製作に関わっている俳優、監督、プロデューサー、撮影監督、美術監督、音楽監督など、各部門で実績を積んだプロ、約5800人からなると言われている。彼らがアカデミー賞の投票権を持つ。すなわち、アカデミー賞は映画界で活躍する同業者たちから認められる賞ということ。「映画人の、映画人による、映画人のための賞」と言ってもいい。 |
| （コメント） 「実績を積んだプロ」…ということは、お年を召した会員が多いと思われる。それが選考に偏りを生む原因のひとつになっていると言えるだろう。たとえば、いくらジム・キャリーが笑わせてくれても頭の堅い会員は受けつけないだろうし、ポッと出の有望な若手俳優が登場してもそう簡単には認めない。アカデミー賞会員の多くを納得させるためには、まず彼らに気に入られなければダメなのである。 |
| ■投票の方法は？ |
| ［対象作品］ 前年の１月から12月の間にロサンゼルス地区で１週間以上一般公開（有料。そして初めての上映であること）された40分以上の長編作品（35ミリ、70ミリ・フィルムを使っていること）が対象となる。 ［ノミネーション］ 映画芸術アカデミーには、専門分野別に分科会が存在する。会員は自分の分野だけノミネーション投票の権利を持っている。たとえば監督は監督分科会に属し、監督賞候補者５人を選ぶ。そして集まった票の合計で、多い監督５人が監督賞のノミネーションに入る。俳優は俳優分科会に属し、主演男女優賞、助演男女優賞の４部門について各５名を選ぶ。そして同じように、各部門ごとに票の合計で多い俳優５人がノミネーションに入る。作品賞はすべての会員がノミネート投票権を持ち、同じように票の合計の多い５作品が候補にあがることになる。 ［受賞者の選考］ こちらは分科会は関係ない。オスカー会員全員がすべての分野に渡って投票をする。監督分科会の会員だったとしても、作品賞、主演男女優賞、脚本賞などすべての部門に投票する権利を持ち、その投票の合計で受賞者が決定する。なお、投票はプライス＆ウォーターハウス会計会社の公認会計士に委託している。投票用紙は開票まで同社の金庫の保管される。 ※例外 メイキャップ賞、視覚効果賞のノミネーションは、専門の委員会が選考することになる。全投票数の20パーセント以上を獲得した作品をノミネーションとするため、候補数は２〜４本になる。短編映画賞とドキュメンタリー映画賞は、専門の委員会が５本以内をノミネーションに選ぶ。外国語映画賞は、国際映画製作者連盟に加盟する国の映画製作者団体が各国１本を推薦し、その応募作品の中から専門委員会が５本を選出しノミネーションとする。 |
| （コメント） アカデミー賞は、なかなか厳しい手続きを踏まえている。「信頼性」があると言われる所以である。が、それにも関わらず、数年前のオスカーではウォールストリート・ジャーナルが事前に受賞者を発表するという事件が起こった…。 また、オスカー会員は強制的にノミネート作品を観るわけではない。一応会員専用の試写会もあるようだが、全部をチェックできるわけではないだろう。よって、多くの人が観ていない作品は不利になる。また、会員に信頼されている映画人は、作品を観ていなくても票が入る可能性があるわけで、そういうシステムに「信頼性」があるというのは、どうかと思われる。 |
| ■授賞式に出席できるのは？ |
| 会場に入ることができるのは、候補者、プレゼンター、アカデミー会員の一部、そしてマスコミ関係者の一部である。すなわち、入ることができる人は極めてラッキー。プレゼンターに選ばれることも大変な栄誉と言える。服装はタキシード、イブニング、それに準じる正装と決められている。 |
| （コメント） 授賞式には数多くの映画人が出席する。しかも、ゴージャスなドレスやアクセサリーに身をまとって。賞の行方よりも、彼らを眺める方が楽しいというのは良く聞く話で、なるほど事実である。式の翌日には各紙がベスト・ドレッサー、ワースト・ドレッサーを発表するので、映画人たちは気が抜けない。にも関わらず、毎年必ずそれはないだろーという服装の者がいる。それもまた楽しいのがオスカーである。 |
| ■授賞式の中身は？ |
| まず司会者がオープニングの挨拶をしてから、賞の授与に入る。助演俳優部門、技術部門から順で発表され、最後に作品賞が明らかになる。もちろん事務的に賞を渡すのではなく、式は華やかにショーアップされる。主題歌賞にノミネートされた楽曲の生演奏や、意外な映画人の登場、プレゼンター、受賞者のコメントも注目される。ハリウッド的な大掛かりなパフォーマンスを見られることも多い。 |
| （コメント） 華やか。これに尽きる。賞の行方が気にならないというのは嘘になるが、それよりも映画人たちがどんな風に登場するのかの方が気になる。たとえば、TV放送では会場に座っている映画人たちが映されることもあるが、こういうところでその人の本性が見えるもので目が離せない。意外なふたりが一緒に座っていたり、受賞できなくてむっつりしていたり、と舞台上よりもある意味面白いのである。逆に、受賞者のスピーチは案外退屈である。「○○に感謝します」というリストを延々読み上げていくパターンが多いのである。受賞した喜びに舞い上がってそれ以上のことを話せないのかもしれないが、こういうときにこそその器がわかるというものである。 |
| ■キャンペーンとは？ |
| アカデミー賞を獲得した作品は受賞後収益が大幅にアップすると言われている。また、受賞した作品を送り出したという事実は、大変な名誉である。したがって、配給会社は何が何でも賞を獲得しようと大規模なキャンペーンを行う。ノミネート発表前から夜な夜な行われるパーティー、ダイレクト・メール、業界紙への大きな広告等が一般的。場合によっては小さなプレゼントが贈られることもあるという。キャンペーンに関しては、ミラマックス、ドリームワークスがうまいと言われている。 |
| （コメント） 毎年のように繰り広げられる宣伝合戦がアカデミー賞の質を落としている、というのはよく言われることである。実にもっともだと思う。プレゼントだなんて、賄賂じゃないだろうか。キャンペーンに対する批判は高まるばかりゆえ、どこまでやっても良いのか、そのさじ加減が難しい。最近ではキャンペーンを公然と批判する会員も少なくなく、やり過ぎには要注意である。まあ、野次馬気分で観ている分には楽しいが…。 |