| Final Predictions | |||||||||||||||||||
| アレック ボールドウィン |
ベニチオ デル・トロ |
ジャイモン ハンスゥ |
ティム ロビンス |
渡辺 謙 | |||||||||||||||
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| ○ | △ | ◎ | |||||||||||||||||
日本のマスコミは、もはや『ラスト サムライ』で候補入りした渡辺謙が受賞したかのような騒ぎぶりである。某スポーツ紙などは、オスカー特集で渡辺の受賞は絶対と言い切っているほどだ。某紙はその根拠として「急激な日本びいきの追い風が吹いている」ことを挙げている。なるほど確かに日本で撮影された「ロスト・イン・トランスレーション」は作品賞を含む４部門で候補に挙がっているし、外国語映画賞には「たそがれ清兵衛」がノミネートされている。しかし、だからと言って、オスカー会員がそれほどまで日本を意識しているかというと、疑わしいものだ。「ロスト・イン・トランスレーション」の候補入りはビル・マーレイの演技に引っ張られてという見方が支配的だし、「たそがれ清兵衛」を選んだのはわずか十数名の外国語映画賞専門委員会のメンバーにすぎない。おまけに大量ノミネートが期待された『ラスト サムライ』は作品賞から漏れ、４部門の指名に留まっている。決してオスカーが日本を注目しているわけではない。映画界全体が「日本」を注目しているとは言えるかもしれないが…。 つまり渡辺は決してフロントランナーではない。この部門、最も勢いがあるのは『ミスティック・リバー』のティム・ロビンスだ。クリント・イーストウッドの渾身の一作で、ロビンスは幼少時に受けた傷に苦しむ中年男を淋しく演じた。大柄な彼の背中のなんと小さなこと！これまで「ザ・プレイヤー」「ショーシャンクの空に」「ショート・カッツ」等で高く評価されながら、オスカーとは無縁だった彼が、いよいよ最高の役柄を得て参戦である。政治的発言が多いことを嫌がる会員がいるかもしれないという危惧もあるが、監督作におけるキャスティングの豪華さからして、決して業界内人気は低くない。むしろ尊敬を集めるタイプの俳優だ。しかもパートナーはあのスーザン・サランドン。彼が本命であることは間違いないだろう。 残りの４人は、渡辺も含めてほとんど横一線と言っていい。敢えて言うなら、『The Cooler』のアレック・ボールドウィンが抜け出すかもしれない。近年脇役で演技力を磨いていたボールドウィンが、傲慢なカジノオーナーを演じて見事な復活を果たしたと評判だ。ただし、彼の場合、私生活のゴタゴタの影響か、あまり良いイメージを持たれていないかもしれない。オスカー向きの俳優とも思えない。サプライズがあるとするなら、渡辺か『イン・アメリカ 三つの小さな願いごと』のジャイモン・ハンスゥか。先に会員の日本びいきを疑わしいと書いたが、それでも渡辺の演技が高く評価されているのは、紛れもない事実だ。彼が受賞した場合、様々な国からエントリーした候補者たちの代表のような存在になることを考えると、あり得ない話ではないだろう。また、ハンスゥも唯一の黒人候補者という点が有利に働くかもしれない。役柄もエイズに侵され死に行く芸術家で、もろオスカー好みと言えるものである。大逆転の可能性は、僅かながら残していると言えよう。最後の一人、ベニチオ・デル・トロは『21グラム』での候補入り。作品に勢いないことと、既に同賞を受賞済みなのが痛いところ。もちろん実力は折り紙付きではあるのだが、今回ばかりは分が悪過ぎる。 | |||||||||||||||||||
| （注） この予想はアメリカ映画俳優組合賞発表前に執筆しました | |||||||||||||||||||