Column コラム


 アカデミー賞に関する管理人Yoshiの雑文です。
last update: February 07, 2005


■ジェイミー・フォックスは受賞当確か (2005.02.07)
 今年の主演男優賞は『Ray レイ』でレイ・チャールズを演じたジェイミー・フォックスが受賞確実と言われています。果たして、本当にフォックスは受賞当確なのでしょうか。
 まず断らなければならないのは、間違いなくフォックスの演技が素晴らしいものであったという事実です。先頃亡くなったばかりのチャールズは、黒人差別、障害者差別と戦いながら、音楽界に確固たる地位を築き上げた、伝説の人物。フォックスはそのチャールズと見紛う程の圧倒的パワーを持った演技を披露し、評論家、映画ファンの熱い支持を獲得、作品を興行的成功にも導きました。作品を観たならば、障害者を演じると通常よりも巧く見えるということを差し引いても、フォックスの受賞に意義を唱えられる人など、ほとんどいないでしょう。しかし、そんなフォックスにも受賞するための壁になりそうな不安要素がなくはないように思えるのです。

◆不安要素その1……『コラテラル』との票割れ
 2004年はフォックスの年でした。1月にサンダンス映画祭で上映された『クリップス』が、3月にフォックス系でテレビ放送され高評価を獲得。5月に封切られた『恋のトリセツ 別れ編』は評価、集客ともに伸び悩んだものの、8月に公開された『コラテラル』でトム・クルーズ以上の評価を受け、作品は興行収入1億ドルを突破。10月には遂に『Ray レイ』が公開され、その演技は大絶賛に包まれました。フォックスは一年を通して話題の人であり続けたのです。そうして彼は遂にオスカー候補に挙がったのですが、それはWノミネーションというオマケつきでした。彼は『コラテラル』でも助演男優賞候補に入りしたのです。Wノミネーションは俳優にとって名誉なことですが、どちらかで受賞するには足の引っ張り合いになることは確実です。フォックスは『Ray レイ』で本命視されていますが、『コラテラル』ではなくそちらに票を入れてくれとは、宣伝できません。尤も大半の会員は、言われなくても『Ray レイ』に票を絞ることを考えそうですが、僅かでも票が割れてしまうのは、フォックスにとって好ましいことではありません。フォックスにしてみれば主演でも助演でも票を入れて欲しいと思うところでしょうが、さすがにそれは難しいでしょう。
◆不安要素その2……黒人俳優の躍進
 今回のオスカーでは実に4人もの黒人俳優がノミネートされています(フォックスのW候補を入れると5人)。これはオスカー史上最多記録になります。ホストがクリス・ロックというのも、高い注目を集めています。フォックスがその中でも主役であることは疑いようがないのですが、注目は分散してしまうことでしょう。主演男優賞ではドン・チードル(ホテル・ルワンダ)、助演男優賞ではモーガン・フリーマン(ミリオンダラー・ベイビー)がライヴァルにいますし、助演女優賞ではソフィー・オコネドー(ホテル・ルワンダ)が候補入りしています。ハリウッドでもいまだ差別は根強く残っていると言われています。もし会員が投票する際、黒人俳優ばかりに投票するのを躊躇ったら、どうなるでしょう?フォックスの実力を認めつつも、票が流れてしまうかもしれません。
◆不安要素その3……『ホテル・ルワンダ』の人気
 ルワンダ大虐殺をテーマにした『ホテル・ルワンダ』の人気は、フォックスのアキレス腱になるかもしれません。『ホテル・ルワンダ』は各映画祭で軒並み高い評価を獲得しているドラマで、年末に封切られてから口コミで徐々に人気が高まっている話題作です。作品賞候補も夢ではないと言われていました。ところが、蓋を開けてみれば作品賞候補は落選となりました。封切りが遅過ぎたというのが、大方の見方のようです。しかし、この作品の人気はオスカー会員の間でも相当なものと伝えられています。オスカーではチードル、オコネドーの演技賞のほか、『Ray レイ』が落選した脚本賞候補にも挙がっています。しかし、会員はそれだけでは納得できないようです。作品賞候補から漏れたことを嘆く声が、次々に聞こえてきているのです。そうした会員の票はどこに流れるでしょうか。おそらく候補に挙がった3部門に集中するでしょう。特に業界内人気が極めて高く、しかし、これが初候補であるチードルへと…。チードルの人気はいよいよホンモノで、ゴールデン・グローブ賞ではレオナルド・ディカプリオ(アビエイター)と僅差の次点だったと言われています。我々が思う以上にチードルのパワーは大きいのです。そしてチードルが伸びれば伸びるほど、苦しいのがフォックスなのです。チードルがフォックスの票をどれだけ奪うのか。フォックスは同じ黒人俳優の脅威に晒されています。
◆不安要素その4……コメディアン出身
 オスカーがコメディアンに冷たいというのはよく言われることですが、フォックスもまたコメディアン出身の俳優です。1991年にコメディ・シリーズ『In Living Color』でデビュー、96年から2001年までは自分の名前をタイトルに入れた『The Jamie Foxx Show』で活躍しました。つまりフォックスは最近までコメディアンとしての知名度の方が圧倒的に高かったのです。元々演技は評判でしたが、ここにきて一気に実力派の仲間入り。保守的な会員は面白くないことでしょう。同じ『In Living Color』に出演していたジム・キャリーなどは、いまだにオスカー候補経験すらありません。トム・ハンクスのように緩やかに勝ち取った実力派の称号ではないところが、フォックスの弱みになっているように見えます。
◆不安要素その5……ホスト、クリス・ロックの応援
 今年のオスカーのホストを務めるのは、マシンガン毒舌トークで知られるクリス・ロックです。ロックは『In Living Color』の共演者でもあるフォックスを強烈にプッシュしていて、コメントを求めらるたびに「オスカーはフォックス以外ににいない」「フォックスが受賞できなかったらステージ上で抗議する」と強調しているのです。一見ホストの援護を得ているフォックスにとっては有利に思えますが、あまりにも露骨過ぎる応援が会員の反感を買っているのは間違いないでしょう。ここ数年オスカーではあからさまなキャンペーンが批判され続けています。数年前の「ギャング・オブ・ニューヨーク」のマーティン・スコセッシのビッグキャンペーンが記憶に新しいところです。しかし、度が過ぎると会員も嫌気がさしてしまうようで、スコセッシと作品は有力視されながら、結局無冠に終わりました。これと同じことがフォックスにも起こるのではないかと危惧されています。そもそもロックのホストへの抜擢に眉をひそめている会員も少ないないと聞きます。ロックの発言はフォックスの足を引っ張ることになるかもしれません。
◆不安要素その6……役者クリント・イーストウッドの存在
 フォックスを追いかけるのはレオナルド・ディカプリオ(アビエイター)とクリント・イーストウッド(ミリオンダラー・ベイビー)です。ここではイーストウッドに注目しましょう。主演男優賞の中で断然目を引くのがイーストウッドであることは誰も異論がないでしょう。長い映画人生の中で賞賛を浴び続けてきたイーストウッドですが、主演男優賞候補に挙がったのはこれが2度目、受賞経験はありません。70歳を超える老齢でありながら、非常にフレッシュに見えるのです。しかも今回は対象作の勢いが凄まじく、オスカーでも数部門で受賞することが予想されているくらいに強力です。長いキャリアですから、イーストウッドと一緒に仕事をしたことのある会員は相当数に上ることでしょうし、仕事経験がなくても映画界で顔を合わせている人も少なくないでしょう。彼らがイーストウッドに惜しみない賛辞を贈ることは確実。若手候補が並ぶ中、大ヴェテランの彼は、老会員票もたっぷり確保できるでしょう。キャリアの長いイーストウッドは、それだけで有利なのです。フォックスにとって有難いのは、イーストウッドが監督賞候補にも挙がっていることで、票が割れることが確実視されています。できるだけ監督賞に票が流れて欲しい、フォックスの願いでしょう。しかし監督賞にはあのマーティン・スコセッシもいて、そう簡単にはいきそうにありません。

 色々書きましたが、それでもフォックスが主演男優賞最有力候補であることは間違いありません。果たして授賞式当日には何が起こるでしょうか。あれこれ考えながら当日を待つのも、なかなか楽しいものです。


(追記)
 この文章を書いた後フォックスはSAGを受賞。オスカーをほぼ手中にした感。イーストウッド、ディカプリオの大逆転はあるでしょうか。



■あるオスカー会員の朝〜こんなシナリオ〜 (2005.01.31)

 あぁ、今日もよく眠れた。むむ、だけどまだ5時半か。歳をとると朝が早くなるというのは本当じゃな。OSCAR PLANETの管理人も言うとったわい。でもあっちは4時起きか。ただのバカかもな。最近仕事がなくて映画を観るか寝るしかしていない気がするな。でも、まあいいか。どれどれ、どんなニュースがあるかな、テレビをつけてみよう。
 おや、オスカー候補が発表されたのか。ふーん、やっぱり『アビエイター』が最多ノミネートか。こりゃ作品賞は『アビエイター』に決まりじゃな。実際、スケール感たっぷりで面白かったし、映画界が取り上げられていたから、余計に投票したくなるんだよなぁ。ワシぐらいの歳になると、あの頃が懐かしくて仕方がないのじゃ。きっと皆もそうだろうよ。本当は長過ぎて途中で眠ってしもうたんだが、いいんじゃ。長い映画じゃないと作品賞って感じがしないしな。
 監督賞は、じゃあマーティン・スコセッシかな。彼にはまだオスカーあげてないんだよなぁ。本当に申し訳ない。いい加減彼にあげなくちゃ。マーティーを名誉賞送りになんてさせちゃいかんし、何よりストレスでマーティーの眉毛が抜け落ちてしまったら大変じゃ。本当は「ギャング・オブ・ニューヨーク」であげたかったんじゃが、あのときはキャンペーンが露骨過ぎて、ワシも入れる気が失せてしもうたんじゃ。まったく、ハーヴェイ・ワインスタインはろくなことをせんわ。
 あ、でも今年は『ミリオンダラー・ベイビー』クリント・イーストウッドも素晴らしかったんだった。危うく忘れるところじゃったわ。歳をとるというのは怖いもんじゃ。冷静に考えたら、クリントじじいの方が良かった気もするしな。評論家受けはクリントじじいの方が良かったらしいし。思い出したぞ、クリントじじいは去年の「ミスティック・リバー」でも冴えてたんじゃった。でも去年はホビットみたいなオッサン以外入れてはいけない雰囲気があってあげられなかったんだよなぁ。困った。マーティー翁にもクリントじじいにもあげたい。
 ん?なんとクリントじじい、主演男優賞候補にも挙がっとるじゃないか。他の賞じゃ候補入りしていなかったから、彼が良かったと思ったのはワシだけなのかと思ってたわい。演技も評価されて良かったなぁ。後でクリントじじいに電話を入れておこう。いやー、良かった良かった。そ、そ、そうじゃ!監督賞はマーティーに、主演男優賞はクリントじじいに、投票すればいいんじゃ!我ながらナイスアイデアじゃ。まだまだボケてはおらんぞ。
 あ、でも主演男優賞はジェイミー・フォックスに入れると決めておったんじゃった。『Ray レイ』の彼を観ると、仲良かったレイのヤツを思い出して、それだけでなんだか泣けてくるんじゃ。ジェイミーとやらはホントにホントにレイのヤツの生き写しじゃった。レイが生き返ったかと思って心臓が止まったわい。外見だけじゃなく演技力も素晴らしかった。去年あれ以上の演技は見当たらなかったぞ。女にだらしないところも描かれていて、笑ってしもうたわい。レイはホントにスケベなヤツじゃった。日本の和田アキ子とかというゴジラの仲間をなんとかしてくれとも言うとったな。どうでもいいけどな。うーん、ジェイミーとやらにもあげたいし、クリントじじいにもあげたい。ワシはどうしたらいいんじゃ。年寄りを苛めんでくれ。
 ややっ、なんとジェイミーとやら、助演男優賞にもノミネートされておる!あぁ、ワシはなんてラッキーなんじゃ。これですべて解決じゃ。『コラテラル』なんて映画は観ていないが、ジェイミーとやらはこちらで受賞できればいいじゃろう。トム・クルーズと共演する俳優は、いい役者ばかりじゃからな。去年の日本の渡辺なんとかさんも、良かったのを覚えておるぞ。ジェイミーとやらはまだまだ若そうだし、主演賞をあげるのは早過ぎる気もするしな。
 監督賞はマーティー、主演男優賞はクリントじじい、助演男優賞はジェイミーとやら。か、か、完璧じゃ。ワシは天才じゃ。バランスよく投票するワシに乾杯じゃ!フハハハハハ…。ん?バアサンや、ワシって朝飯食ったっけ?



■大混戦の主演男優賞部門 (2005.01.01)
 今年最も混戦模様なのが、主演男優賞部門です。史上最高とも言えるハイレヴェルなレース展開になっているのです。通常ならノミネート確実と言える俳優たちがたくさんいて、会員は誰に投票するか、頭を悩ますことになりそうです。それでも賞レースがスタートしてから、徐々に候補入りするだろう俳優は絞られてきた印象を受けます。現時点でノミネートの可能性大の男優は8人です。BIG 8として、今後の賞レースをますます盛り上げてくれる面々は、次の通りです。

ハヴィエル・バルデム(海を飛ぶ夢)
ドン・チードル(ホテル・ルワンダ)
ジョニー・デップ(ネバーランド)
レオナルド・ディカプリオ(アビエイター)
クリント・イーストウッド(ミリオンダラー・ベイビー)
ポール・ジャマッティ(サイドウェイ)
ジェイミー・フォックス(Ray レイ)
リーアム・ニーソン(愛についてのキンゼイ・レポート)

 このうち、フォックスは主演男優賞受賞を有力視されていて、前哨戦でも強さを見せているところからして、ノミネート当確と言っていいでしょう。残り4つの席を7人で争うことになります。
 今年は多数の伝記ドラマがオスカーを狙っていますが、BIG 8のうち、6人が実在の人物を演じています。バルデムがラモン・サンペドロ、チードルがポール・ルセサバギナ、デップがジェームズ・M・バリ、ディカプリオがハワード・ヒューズ、フォックスがレイ・チャールズ、ニーソンがアルフレッド・キンゼイです。このうち役柄の知名度だけで判断するなら、デップ、ディカプリオ、フォックスが有利かもしれません。しかし、その他の俳優もオスカー会員にアピールしやすい要素を抱えていて侮れないのです。
 バルデムの下半身麻痺の寝たきり演技はオスカー会員が最も愛するタイプのそれです。ルワンダ大虐殺で多くの人々の命を救ったホテルマネージャーを演じるチードルは、オスカー・シンドラーを連想させる旨味のある役柄。キンゼイ・レポートで知られる博士に扮したニーソンは、性的要素を含んだ役に果敢に挑み数年前のマルキ・ド・サドのように会員の心を掴むかもしれません。
 だからと言って、デップやディカプリオがアピール要素がないかというとそれも違います。デップが扮するバリは、なんと言ってもあの「ピーター・パン」の生みの親として知られているのが強み。老若男女に愛されるピーター・パンの父親とでも言うべき男、会員もまたバリの虜になっても不思議じゃありません。ディカプリオが演じるヒューズは、ハリウッドの伝説と言ってもいい男で、そのジェットコースターのような人生は、話に聞くだけでも興味をそそられます。それにディカプリオがハリウッドで最も力のある若手俳優として名を轟かせているのは、周知の事実です。
 前哨戦でフォックスと並ぶ強さを見せているジャマッティがノミネート確実と言えないのは、ライヴァルたちが強力なアピールポイントを持っているからに他ありません。加えてジャマッティは決してオスカー会員受けする俳優ではないのです。昨年も「アメリカン・スプレンダー」の好演を無視されてしまいましたし、今回もコメディでの参戦。不安要素はいっぱいです。もちろんジャマッティの演技が高く高く評価されていることに変わりはありません。
 BIG 8のうち、前哨戦で目立っていないのはイーストウッドです。だからと言って彼の候補入りの可能性は決して低くありません。今回も監督を務めたイーストウッドは、演出だけじゃなく役者としても最高の賛辞を勝ち取っています。それに何より彼はイーストウッド、オスカー会員のお気に入りなのです。対象作は『アビエイター』『サイドウェイ』とともに作品賞受賞を争うパワーを十分に持っていますし、ノミネートされても全く不思議ではないのです。
 つまり、今年は受賞クラスの演技が氾濫しているということで、BIG 8以外に好演を見せた男優たちがちょっと気の毒に思えてくるくらいです。

ケヴィン・ベーコン(The Woodsman)
ガエル・ガルシア・ベルナル(バッド・エデュケーション、モーターサイクル・ダイアリーズ)
ジェフ・ブリッジス(ドア・イン・ザ・フロア)
ジェラルド・バトラー(オペラ座の怪人)
ジム・キャリー(エターナル・サンシャイン)
ジム・カヴィーゼル(パッション)
トム・クルーズ(コラテラル)
ケヴィン・クライン(五線譜のラブレター De-Lovely)
ジュード・ロウ(クローサー)
ビル・マーレイ(ライフ・アクアティック)
ショーン・ペン(リチャード・ニクソン暗殺を企てた男)
ケヴィン・スペイシー(ビヨンド the シー/夢見るように歌えば)
ジョン・トラヴォルタ(ママの遺したラヴソング)

 彼らは今も多くのメディアがオスカー候補を予想するとき名前が挙がります。実際、評論家から高い評価を獲得した男優ばかりです。しかし、彼らの前にBIG 8の壁が高く高くそびえ立っています。この壁を超えるのは至難の業と言えましょう。この中にBIG 8を脅かすことになる可能性がある男優がいるとしたならば、それはブリッジス、キャリーあたりになりそうですが、本当にそれだけのパワーがあるのかどうかは疑問です。
 名演を見せた俳優がオスカーで無視されてしまうのはとても残念なことですが、もしかしたらそれは喜ぶべきことなのかもしれません。それだけ演技のレヴェルが高くなっているということですから。2年前の主演女優賞レースはBIG 6が壮絶な戦いを繰り広げましたが、それを超えると言ってもいいレースを眺められるのは、とても幸せなことのように思います。果たして結果はどうなるでしょうか。



■ゴールデン・グローブ賞 ノミネーション予想 (2004.12.11)
 毎年肩慣らしのつもりで、ゴールデン・グローブ賞のノミネーション予想をしています。普段から大スターに接する機会の多い外国人記者クラブのメンバーにより選ばれる賞ゆえ、実力派俳優よりもスター俳優の方が強い傾向にあるこの賞は、アカデミー賞に次ぐ規模で開催され、高い注目を集めています。予想は次の通りです。

●作品賞<ドラマ部門>
アビエイター(マーティン・スコセッシ監督)
ネバーランド(マーク・フォースター監督)
ホテル・ルワンダ(テリー・ジョージ監督)
愛についてのキンゼイ・レポート(ビル・コンドン監督)
ミリオンダラー・ベイビー(クリント・イーストウッド監督)
●作品賞<ミュージカル/コメディ部門>
オペラ座の怪人(ジョエル・シュマッカー監督)
エターナル・サンシャイン(ミシェル・ゴンドリー監督)
Mr.インクレディブル(ブラッド・バード監督)
Ray レイ(テイラー・ハックフォード監督)
サイドウェイ(アレクサンダー・ペイン監督)
●監督賞
クリント・イーストウッド(ミリオンダラー・ベイビー)
マーク・フォースター(ネバーランド)
マイケル・マン(コラテラル)
アレクサンダー・ペイン(サイドウェイ)
マーティン・スコセッシ(アビエイター)
●主演男優賞<ドラマ部門>
トム・クルーズ(コラテラル)
ジョニー・デップ(ネバーランド)
レオナルド・ディカプリオ(アビエイター)
クリント・イーストウッド(ミリオンダラー・ベイビー)
リーアム・ニーソン(愛についてのキンゼイ・レポート)
●主演男優賞<ミュージカル/コメディ部門>
ジム・キャリー(エターナル・サンシャイン)
ジェイミー・フォックス(Ray レイ)
ポール・ジャマッティ(サイドウェイ)
ビル・マーレイ(ライク・アクアティック)
ケヴィン・スペイシー(ビヨンド the シー/夢見るように歌えば)
●主演女優賞<ドラマ部門>
スカーレット・ヨハンソン(ママの遺したラヴソング)
ジュリア・ロバーツ(クローサー)
イメルダ・スタウントン(ヴェラ・ドレイク)
ヒラリー・スワンク(ミリオンダラー・ベイビー)
ユマ・サーマン(キル・ビル Vol.2)
●主演女優賞<ミュージカル/コメディ部門>
アネット・ベニング(華麗なる恋の舞台で)
ケイト・ブランシェット(ライフ・アクアティック)
リンジー・ローハン(ミーン・ガールズ)
エミー・ロッサム(オペラ座の怪人)
ケイト・ウィンスレット(エターナル・サンシャイン)
●助演男優賞
デヴィッド・キャラダイン(キル・ビル Vol.2)
トーマス・ヘイデン・チャーチ(サイドウェイ)
ジェイミー・フォックス(コラテラル)
モーガン・フリーマン(ミリオンダラー・ベイビー)
クライヴ・オーウェン(クローサー)
●助演女優賞
ケイト・ブランシェット(アビエイター)
ミニー・ドライヴァー(オペラ座の怪人)
ローラ・リニー(愛についてのキンゼイ・レポート)
ヴァージニア・マドセン(サイドウェイ)
ナタリー・ポートマン(クローサー)

 今年は例年以上にミュージカル/コメディ部門が混沌としています。アカデミー賞でもドラマ作品と同じくらいミュージカル/コメディ作品が健闘するような気がするのですが、どうでしょう?ゴールデン・グローブ賞候補の発表は、いよいよ賞レースが本格化していく号砲のようなもの。楽しんでチェックしましょう。



■各部門のポイント (2004.12.01)
 第77回アカデミー賞の各部門の、個人的に見所だと思う部分を少々。

[作品賞]
 今年の傾向を挙げるならば、実在の人物を取り上げた作品が目立つという点を忘れるわけにはいきません。元々オスカーは伝記ものに対し好意的な評価を与えてきましたが、それを意識してのことなのか、秋口から続々と伝記映画が封切られています。『アレキサンダー』(アレキサンダー大王)、『アビエイター』(ハワード・ヒューズ)、『ビヨンド the シー/夢見るように歌えば』(ボビー・ダーリン)、『五線譜のラブレター De-Lovely』(コール・ポーター)、『ネバーランド』(ジェームズ・マシュー・バリ)、『ホテル・ルワンダ』(ポール・ルセサバジナ)、『愛についてのキンゼイ・レポート』(アルフレッド・キンゼイ)、『モーターサイクル・ダイアリーズ』(エルネスト・ゲバラ)、『パッション』(イエス・キリスト)、『Ray レイ』(レイ・チャールズ)、『海を飛ぶ夢』(ロマン・サンペドロ)…。これほどまでに実在の人物を主人公にした映画が大量に封切られたシーズンもないでしょう。オスカー会員が実在の人物を好きと言っても、これでは注目は分散してしまうことは必至。ここから生き残るのは、たとえ高い評価を獲得したとしても、難しいと言えるでしょう。
 さて、現時点で作品賞受賞の可能性を秘めているのは『アビエイター』と『オペラ座の怪人』と言えそうです。作品賞を受賞するには小規模の作品ではダメです。風格というものを大切にするのがオスカー。この2本を打ち落とす作品は見当たらないのが現状です。伏兵が登場すると面白いのですが…。
[監督賞]
 マーティン・スコセッシ。彼に受賞させてあげたいと思っている映画ファンは、星の数ほどいるでしょう。2年前「ギャング・オブ・ニューヨーク」で候補に挙がったとき、確実と言われながら涙を呑んだスコセッシ。演出したほとんどすべての映画が傑作なのですから、受賞していないのがおかしいというのも頷けます。彼の受賞を阻む可能性があるのは誰でしょう?若手ではないはずです。『クローサー』のマイク・ニコルズが不気味ですが、さて…。
[主演男優賞]
 今年最も混戦模様なのが、この部門です。通常ならば候補どころか受賞もおかしくないと言われるツワモノがゾロゾロいます。二年前の主演女優賞部門を連想させますが、あちらはBIG 6に絞られていました。しかし、こちらは6人どころではありません。ハヴィエル・バルデム(海を飛ぶ夢)、ケヴィン・ベーコン(The Woodsman)、ドン・チードル(ホテル・ルワンダ)、ジョニー・デップ(ネバーランド)、レオナルド・ディカプリオ(アビエイター)、ジェイミー・フォックス(Ray レイ)、ポール・ジャマッティ(サイドウェイ)、リーアム・ニーソン(愛についてのキンゼイ・レポート)…これで全員じゃないというから、驚きです。ただ、レイ・チャールズを演じたフォックスだけは、この中から飛び出した印象を受けます。受賞まで最も短い位置にいるのが、フォックスです。彼に続くことができるのは誰でしょう?個人的にはディカプリオとジャマッティを応援しているのですが…。
[主演女優賞]
 逆に今年ウィークカテゴリーと言われるのが、主演女優部門です。ジョアン・アレン、グウィネス・パルトロウ、ダイアン・レインといった有力候補の作品が次々に公開延期。誰をピックアップするればいいのか、会員は頭を悩ませることになりそうです。こういうときにチャンスなのが、若手です。今年はカタリーナ・サンディノ・モレノ(そして、ひと粒のひかり)、スカーレット・ヨハンソン(ママの遺したラヴソング)、エミー・ロッサム(オペラ座の怪人)あたりにチャンスがありそうです。ちなみに現時点で候補確実に見えるのは、『華麗なる恋の舞台で』のアネット・ベニングと『ヴェラ・ドレイク』のイメルダ・スタウントン。波乱がなければベニングが受賞しそうです。
[助演男優賞]
 主演女優部門と同じく強力なコンテンダーが少ない部門です。候補確実と呼べる人は、誰もいません。例年以上に前哨戦が影響を与えそうな気配があります。個人的には『サイドウェイ』のトーマス・ヘイデン・チャーチを応援したいところです。
[助演女優賞]
 珍しく混戦模様なのが、助演女優部門です。助演部門で最も好ましい評価のされ方と言える、「シーンスティラー」と讃えられた女優がたくさんいるのです。この部門も誰も当確ランプは点いていませんが、ローラ・リニー(愛についてのキンゼイ・レポート)とナタリー・ポートマン(クローサー)が強いのではないかという声が大きいです。ダークホースはヴァージニア・マドセン(サイドウェイ)。長らくB級映画出演に甘んじてきましたが、今回の演技で一気に息を吹き返しました。大幅なイメージチェンジでナチュラルな美しさを見せていると評判です。





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