Column コラム
| アカデミー賞に関する管理人Yoshiの雑文です。 |
| last update: March 04, 2006 |
| ■なぜオスカーなのか〜管理人の場合〜 （2006.03.04） |
| なぜアカデミー賞専門サイトを作ったのか聞かれたことがあります。それに答えるためには、なぜアカデミー賞なのか、について先に回答しなければなりません。 なぜアカデミー賞なのか。理由は簡単、授賞式に集う俳優たちを眺めるのが好きなのです。ハリウッドではパーティやプレミアは毎晩開かれていますが、アカデミー賞授賞式ほどにゴージャスなものを僕は知りません。集まるスターの数、映画人の数、女優たちのドレスに対する気合い、プロモーション規模、注目度、アフターパーティ、乱れ飛ぶゴシップ…全てにおいてオスカーナイトは他のイヴェントを凌駕しています。実は賞の行方はそれほど重要だと思っていません。オスカーの選出に首を傾げることも少なくないと言っていいでしょう。でも、それを差し引いても、オスカーナイトには旨味が十分すぎる程にあるのです。映画の都ハリウッドが底力を見せる一晩だけの、それも３時間前後の一大ショウ。腐ってもハリウッド。これを楽しまない手はありません。 そこでこのサイトです。どうせ楽しむのならば、楽しみ倒してやろうじゃないか、と思ったのです。メディアによっては授賞式の翌日から来年の予想を始める程にオスカーは話題が豊富です。アメリカでは毎週末大量の映画が公開され、レヴューには「オスカー候補確実」だとか「オスカー級演技」だとか、オスカーを絡めた文字が躍ります。それをイチイチチェックする。そうやって長い時間をかけてオスカーレースを追っていくことでアカデミー賞授賞式当日は、何倍も楽しめるはずだと思ったのです。公開時はさほど盛り上がっていなかった作品が蓋を開けてみたらレースの本命になっていたり、映画祭で注目された作品がまるっきり無視されてしまったり…。授賞式を迎える頃には、オスカーに対する気分が最高潮に盛り上がっている、いや盛り上げたいと思ったのです。 もちろん応援している俳優が受賞すれば嬉しいです。しかし、それよりも授賞式そのものを楽しみたいと思って作ったのがこのサイトです。ですからOSCAR PLANETは「予想サイト」だとは全く思っていません。面白おかしく色んな角度からオスカーを見ることにより、オスカーナイトを存分に楽しむために予想しているに過ぎません。 オスカーナイト３時間のためだけに作った。それがOSCAR PLANETを始めた理由です。 余談になりますが、サイトを作っていて残念なのは、公開時期のズレから「Will Win（受賞するだろう）」「Should Win」（受賞するべき）を載せられないことです。やっぱり実際に作品を観てから授賞式に臨みたいと思ってしまいます。「作品を観ていないから余計に言いたい放題言える」という部分も多分にありますが、うーん、ちょっと残念です。 |
| ■リース・ウィザースプーンのススメ （2006.03.03） |
| リース・ウィザースプーンを初めて意識したのは『カラー・オブ・ハート』（98）のときでした。トビー・マグワイアと兄妹に扮した本作は、現代っ子のマグワイアとウィザースプーンがテレビの世界に迷い込んでしまうファンタジー・コメディ。作品自体もまずまずの出来映えなのですが、その中でもウィザースプーンのくるくる変わる表情には何とも言えない味わいがありました。「危険な関係」のティーン版『クルーエル・インテンションズ』（99）ではお嬢様を演じて、やはり好印象。ダンナのライアン・フィリップと出会った作品としても知られる本作では、知的さをアピール。ある意味爆笑必至のこの珍品でもちゃんと輝いていました。 しかし、彼女の実力が遺憾なく発揮されたのはやはり『ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ！』（99）でしょう。日本ではビデオスルーになったばかりか、こんなになさけないタイトルをつけられてしまいましたが、間違いなく快作、或いは怪作です。監督が「アバウト・シュミット」「サイドウェイ」のアレクサンダー・ペインと聞けば、興味の沸く方もいらっしゃるのではないでしょうか。高校という小さな社会を舞台に、明るく健全なアメリカの上昇志向の闇が鋭く抉られていきます。ウィザースプーンが演じるのは、生徒会長になるためならばどんなこともやってのける少女。お馴染みの猪木のアゴを目一杯活かして、小憎らしいヒロインに命を吹き込んでいました。オスカーがこの演技を完全に無視してしまったのは、大きな過ちと言えるでしょう（全米映画批評家協会賞受賞）。 そのいくつかの小品を経てウィザースプーンが出会ったのが『キューティ・ブロンド』（01）です。政治家志望の恋人の心を取り戻すため、ロウスクールに入学する女の子エルを描いた痛快コメディ。作りは『ハイスクール白書』ほど毒がなくその点で物足りなさもありますが、ウィザースプーンのファニーでキュートな魅力が全開になった楽しい作品です。バービードールと化したエルのファッションも見もの。ブロンドに対する偏見を明るく笑い飛ばしたという点でも意義があると言えるでしょう。見掛けほど単純な映画ではありません。余談ですが、続編は駄作です。 僕は本来、色気を感じない俳優は、男優も女優も興味がないはずなのです。それなのになぜウィザースプーンにはこんなに惹かれてしまうのでしょう。結局、表情の豊かさが大きなポイントになっているような気がします。決して美人とは言えない顔立ち、しかしそのファニーフェイスには、作品ごとに役柄ごとに場面ごとに様々なニュアンスが宿ります。哀しいときには哀しげな顔、嬉しいときには嬉しい顔。そんな単純さが彼女の表情には一切ありません。哀しいときに見せる笑顔や、嬉しいときに見せる翳り。複雑な人間の心をウィザースプーンは的確に表現できる、しかも真面目臭いそれとして提示することのない、稀有な女優だと思うのです。簡単に言うと、情感があるということです。『ハイスクール白書』も『キューティ・ブロンド』も喜劇仕立てになっていたため、情感という点は見過ごされがちです。しかし、注意深く観れば、彼女が喜劇演技をしながらも、こういう人間らしさを決して無視していないことが分かるでしょう。 その彼女が今年、遂にオスカー候補に挙がっています。ジューン・カーターを演じた『ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』（05）です。主演はジョニー・キャッシュ役のホアキン・フェニックスですが、助演で推されてもおかしくないウィザースプーンも主演部門でのノミネート。しかし、それも納得してしまうのは、出ていない場面でも常に彼女の顔がフェニックスの背後に浮かんでいるから。ウィザースプーンの情感たっぷりの演技がそう見せるのです。この映画は伝記としてはもうひとつ踏み込み不足のところがありますが、フェニックスとウィザースプーンの力もあってラヴストーリーとしては真心のこもった作りになっています。シリアスな部分も多い映画で見せるウィザースプーンの芸のある表情変化に改めて驚いた方も多いかもしれません。そして抜群の歌唱力にも。 ウィザースプーンは一般的な人気も抜群ですが、同時に確かな演技力も持っています。同世代の女優の中では抜きん出ていると言っていいでしょう。ドラマでもコメディも難なくこなしてしまうほどに。オスカーを受賞してもしなくても、これから10年はウィザースプーンがハリウッドの女優たちを引っ張っていくような気がしてなりません。 なお、ウィザースプーンを知るには『ハイスクール白書』『キューティ・ブロンド』、そして『ウォーク・ザ・ライン』は絶対にハズせない３本です。未見の方は、ぜひ。 |
| ■あるオスカー会員の朝2006〜こんなシナリオ〜 （2006.02.12） |
| ふぅぅ、今日もちゃんと起きられて何よりじゃ。この歳になると、眠ったまま目が覚めんじゃないかと心配になってしまうわい。「今日も元気にご飯が美味い」。これを祈る毎日じゃ。おぉ、オスカー候補が発表になったのか。もうそんな時期になったんじゃなぁ。ついこの前前回の式が終わったばかりだというのに。去年は「ミリオンダラー・ベイビー」が勝つとは思わなんだわい。オスカーも変わってきているのう。 それにしても今年はいつになくオスカーが楽しみじゃ。何と言っても『ブロークバック・マウンテン』が本命と言われているのが嬉しくてかなわんわ。ワシとバアサンはハリウッドのおしどり夫婦なんて言われとるが、実際はゲイカップルなんじゃ。都合良くカムフラージュできると結婚したのが50年前。よくぞここまで隠し通してきたわ。さすがオスカー俳優同士じゃな。今年は『ブロークバック』を堂々とプッシュできるのが嬉しいわい。50年前ならオマエはゲイかと罵られたかもしれんわ。ナイショじゃが、『ブロークバック』には泣いてしまったわい。作品賞は『ブロークバック』に決まりじゃ。隠れゲイ俳優たちの割合を考えたら受賞は揺るぎないじゃろ。ゲイ万歳じゃ。 となると、監督賞もアン・リーにあげたいわい。こんな映画を堂々と作ってくれたことに感謝の嵐じゃ。アジア人らしい平面顔じゃが、これは無視するわけにゃいかんぞ。あぁ、でもちょっと心苦しいのは、ゲイ心を刺激するジョージ・クルーニーにもあげたいということじゃな。あやつは単なる元TVスターなんかじゃないぞ。一本芯の通った立派な男の中の男じゃ。『グッドナイト＆グッドラック』は演出も立派なもんじゃった。何よりハンサムなのが良いわい。あのフェロモンにはクラクラ来るわ。ヤツがゲイなら今頃ワシの腕の中におったかもしれん。想像力が刺激されて仕方ないわ。ホントはベネット・ミラーとやらも好みなんじゃが、まあ新人さんじゃしな。 おやっ、でもジョージは助演男優賞候補にも挙がったのか。『シリアナ』は話が複雑過ぎてジジイのワシにはちんぷんかんぷんでついてイケなかったが、まあ皆が褒めとるし悪い映画じゃないんじゃろ。じゃあ、ジョージはこっちで投票してやろ。ジョージが笑ってる顔をステージ上で拝みたいんじゃ。クハハハハ…。 主演男優賞は当然ヒース・レジャーじゃ。若いのになかなかやりよるわい。ガタイが良いのもゲイ心をそそるわ。ワシは昔の作品でビキニ履いてた頃から知っとるんじゃ。まさかアヤツがオスカー候補に挙がるとは感慨深いのう。でも『ブロークバック』ばかりに投票したら、さすがにゲイ疑惑を立てられるかもしれんな。どこから情報が漏れるか分からんしな。個人情報は厄介じゃ…。ここはフィリップ・シーモア・ホフマンに入れておく方が賢いかもしれん。忘れとったがフィリップの役もゲイなんじゃよな。ぶよぶよ過ぎて好みじゃないんじゃが、ワシの身を守るためにはこちらに入れておいた方が得策じゃわい。気がついた自分よ、天晴れじゃ。 主演女優賞はリース・ウィザースプーンにあげたいところじゃが、投票しないことに決めたんじゃ。リースが受賞してライアン・フィリップとのキャリアの差がますますくっきりしてしまったら、ワシのライアンが可哀想じゃもんな。ライアンは童顔じゃが、なかなか脱いだらスゴイんじゃ。ワシは知っとるぞ。「クルーエル・インテンションズ」の頃から目をつけておったなんて、人には言えんわい。ダヴィデのボディとボッティチェルリの顔とはよく言うたもんじゃ。ここはトランスジェンダー役ということで、フェリシティ・ハフマンに決まりじゃ。実は密かに「デスパレートな妻たち」のファンなんじゃ。ゲイ仲間で話題沸騰のドラマじゃから、フェリシティの受賞もありえん話ではないかもしれんな。 助演女優賞はどうでもいいが、ミシェル・ウィリアムスにでも投票しておくか。ヒースが喜ぶ顔が見たいしな。そのためだけに投票する自分に乾杯じゃ。ワシよ、今回もナイスバランス感覚じゃ。 ふうぅぅぅ、朝から色々考えたらまた眠くなってきてしもうたわい。今日はダーリンと海に行くのに体調が心配じゃな。何色のパンツがイイじゃろか。とりあえずマット・デイモンカラーの黄緑のヤツだけは避けるとしよう。フハハハハハ…。 |
| ■ゴールデン・グローブ賞 ノミネーション予想 （2005.12.08） | |||||||||
毎年肩慣らしのつもりで、ゴールデン・グローブ賞のノミネーション予想をしています。普段から大スターに接する機会の多い外国人記者クラブのメンバーにより選ばれるがゆえ、実力派俳優よりもスター俳優の方が強い傾向にあるこの賞は、アカデミー賞に次ぐ規模で開催されます。年々オスカーへの影響力は薄まっているように見えますが、それでも注目せざるを得ない大きな賞には間違いありません。今年もあまり深く考えず、次のように選んでみました。
今年はドラマ部門とミュージカル／コメディ部門の分け方が曖昧で、予想もその分難しいような…。『Shopgirl 恋の商品価値』『ママが泣いた日』『トランスアメリカ』はドラマ部門として考えましたが、M/C部門で考えると、全然違ってきてしまいますね。マシュー・ブロデリックは主演で入る可能性もかなり高いようにも思えます。 それからゴールデン・グローブ賞予想で楽しいのは、オスカーでは候補入りがまず考えられない俳優を予想できるところにあると思います。今回で言うと、スティーヴ・カレル、ヴィンス・ヴォーン、アンジェリーナ・ジョリーがそれに当たります。候補に入って当たり前のスターを当てるよりも、こちらが一人でも当たったときの方が喜びが大きいように思えるのですが、どうでしょう？ 皆さんも気楽に、遊び気分で予想してみてはいかが？ |
| ■８月までに公開された作品の中でオスカーの可能性があるのは…？ （2005.09.08） | ||||||||||||
| ９月に入り、いよいよ賞レースシーズンの到来です。これから12月末まで、各配給会社は賞レースで勝ち残る可能性を持った自信作を次々に封切っていきます。賞の投票直前に見て貰った方が印象に残りやすいからです。最終目標はもちろんオスカー、そしてそれによる興行的な成功です。 しかし、だからと言って８月までに封切られた作品にチャンスがないかというと、決してそうではありません。最近だとケイト・ウィンスレット（エターナル・サンシャイン）、ケイシャ・キャッスル＝ヒューズ（クジラの島の少女）、ダイアン・レイン（運命の女）らが公開時期の悪さを跳ね返して候補入りを果たしました。作品賞を受賞した『グラディエーター』も夏映画でした。もちろん多くはありませんが、高い評価を得た作品や演技は確かにあるのです。では今年はここまでどんな作品が支持されたのでしょうか。今回は第78回アカデミー賞（主要６部門）が９月上旬に開かれたとしたらどうなるか考えてみました。対象は今年の１月から８月までに公開された作品となります。もちろん違う意見の方も多いでしょうが、そんなには大差はないはずです。
さて、この中から誰が勝ち抜けるでしょうか（* はその可能性が低くないコンテンダーです）。 また、余計なお世話になりますが、ゴールデン・ラズベリー賞の有力候補も８月までの公開作の中で選んでみました。ラジー賞は作品の質の悪さはもちろんのこと、アカデミー賞以上に興行成績が考慮されます。その点を踏まえて選んでみたのが、以下の通りです。
意外なことに、ラジー賞を予想する方が難しいです（* はその可能性が低くないコンテンダーです）。それだけ駄作、興行的失敗作が多いということでしょうか。ファンの皆様はひいきの映画や俳優がラジー賞候補入りしないよう、祈りましょう…。 |
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