Column　コラム


　アカデミー賞に関する管理人Yoshiの雑文です。
last update: March 19, 2008




■楽しい受賞予想のつくりかた　（2008.03.19）
　第80回アカデミー賞はいつになく自己満足度の高い予想ができました。技術部門の予想は悲惨な的中率に終わっているのですが（そしてそれは覚悟していた以上の惨劇でしたが）、８部門中７部門を正解した主要８部門に関しては、大いに納得しています。

　何を基準に受賞予想をするのか。インターネットにより世界中と繋がっている今の時代、はっきり言って、本命がどの作品なのか、どの映画人なのか、ということは誰にでも分かります。前哨戦結果はもちろん参考になりますし、賞レースシーズンに大量に出回る賞関連の記事の数々を眺めていると、本命はどうしたって絞られてくるのです。それは大混戦で誰が来てもおかしくないと言われていた、今年の助演女優賞でも変わりありません。

　本命は誰にでも分かる。でも、それをそのまま自分の予想としてしまっては面白いはずがありません。受賞予想の醍醐味は「どうしてもそれ以外考えられない大本命を見つけ出し、それ以外の部門でいかに冒険をするのか」にあると思っています。

　今年で言うなら、作品賞、主演女優賞、助演女優賞です。それ以外の部門は本命映画人以外が受賞することは考えられませんでしたから、この３部門をどう読むかに予想の面白さがありました。考えに考えた末やっぱりこの部門も本命が来る…と思ったのであれば、その場合はその過程に満足感が出てくるでしょうから、それはそれで良いと思いますが、それでも個人的な満足感を大いに満たしてくれるのは、結局本命以外を当てたときでしょう。その意味で今年、主演女優賞、助演女優賞を正解できたことは、非常に嬉しいものがありました。

　今回女優賞は、本命ではなかったマリオン・コティヤール（エディット・ピアフ 愛の賛歌）、ティルダ・スウィントン（フィクサー）が来ました。これを当てられた喜びというのは、極めて大きいものでした。ばらしてしまうと、最終予想直前まで主演女優賞は本命のジュリー・クリスティ（アウェイ・フロム・ハー 君を想う）を予想していたのですが、ギリギリになってコティヤールに差し替えました。助演女優賞は授賞式が近づくにしたがってスウィントン逆転受賞を実感として得られるようになってきて、やはりルビー・ディー（アメリカン・ギャングスター）からチェンジしました。じゃあ作品賞はどうなのかということになりますが、良いのです、作品賞をハズした悔しさよりも、女優賞二つを当てられた喜びの方が断然大きいのですから。

　反省点はもちろんあります。技術部門で本命で揺るぎないと思っていたところをことごとくハズして悲惨な結果になってしまったのは哀しいものがありました。作品賞ももう少しコーエン兄弟ブランドを信頼すれば、主要８部門パーフェクト予想が実現したのにと思うと、勿体無いことをしました。来年への課題です（大袈裟な…）。

　…とグダグダ書いてきましたが、予想なんてものは授賞式を思い切り楽しむための「遊び」に過ぎません。そんなに真剣にならなくても良いものです。ただ、「遊び」だったとしても本命以外を当てられたときに得られる充実感は大変気持ちの良いものです。これからも楽しく、でもちょっとだけ真剣に受賞予想をしていこうと思っています。




■ゴールデン・グローブ賞 ノミネーション予想　（2007.12.11）

　毎年ゴールデン・グローブ賞ノミネーションを予想しています。オスカー予想前の肩慣らしとしては最適なのです。実力派･演技派よりもスター俳優が優遇される傾向にあるのは、選出メンバーである外国人記者たちが取材でスターに会う機会が多いからでしょう。年々オスカーへの影響力が薄れていることは否めませんが、それでも重要な映画賞に違いありません。それに豪華絢爛、スターが大集結して盛り上がる授賞式は、結局大きな注目を集めるでしょう。今年も全く深く考えず、主要８部門を選んでみました。



◆作品賞＜ドラマ部門＞
アメリカン・ギャングスター
つぐない Lock
フィクサー
ノーカントリー Lock
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

if six...
イースタン・プロミス
イントゥ・ザ・ワイルド
◆作品賞＜ミュージカル／コメディ部門＞
魔法にかけられて
ヘアスプレー
JUNO ジュノ Lock
無ケーカクの命中男 ノックトアップ
スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 Lock

if six...
チャーリー・ウィルソンズ・ウォー
ONCE ダブリンの街角で
マイ・ライフ、マイ・ファミリー
◆監督賞
ティム・バートン（スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師）
ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン（ノーカントリー）
ショーン・ペン（イントゥ・ザ・ワイルド）
ジュリアン・シュナーベル（潜水服は蝶の夢を見る）
リドリー・スコット（アメリカン・ギャングスター）

if six...
ポール・トーマス・アンダーソン（ゼア・ウィル・ビー・ブラッド）
デヴィッド・クローネンバーグ（イースタン・プロミス）
ジョー・ライト（つぐない）
◆主演男優賞＜ドラマ部門＞
ジョージ・クルーニー（フィクサー） Lock
ダニエル・デイ＝ルイス（ゼア・ウィル・ビー・ブラッド） Lock
ジェームズ・マカヴォイ（つぐない）
ヴィゴ・モーテンセン（イースタン・プロミス）
デンゼル・ワシントン（アメリカン・ギャングスター） Lock

if six...
マチュー・アマルリック（潜水服は蝶の夢を見る）
ジョシュ・ブローリン（ノーカントリー）
エミール・ハーシュ（イントゥ・ザ・ワイルド）
トミー・リー・ジョーンズ（告発のとき）
ブラッド・ピット（ジェシー・ジェームズの暗殺）
◆主演男優賞＜ミュージカル／コメディ部門＞
スティーヴ・カレル（Dan in Real Life）
ジョニー・デップ（スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師） Lock
トム・ハンクス（チャーリー・ウィルソンズ・ウォー）
ジャック・ニコルソン（最高の人生の見つけ方）
セス・ローゲン（無ケーカクの命中男 ノックトアップ）

if six...
ドン・チードル（Talk to Me）
ライアン・ゴズリング（ラースと、その彼女）
フィリップ・シーモア・ホフマン（マイ・ライフ、マイ・ファミリー）
◆主演女優賞＜ドラマ部門＞
ケイト・ブランシェット（エリザベス：ゴールデン・エイジ）
ジュリー・クリスティ（アウェイ・フロム・ハー 君を想う） Lock
ジョディ・フォスター（ブレイブ ワン）
アンジェリーナ・ジョリー（マイティ・ハート 愛と絆） Lock
キーラ・ナイトレイ（つぐない） Lock

if six...
ハル・ベリー（悲しみが乾くまで）
◆主演女優賞＜ミュージカル／コメディ部門＞
エイミー・アダムス（魔法にかけられて） Lock
ヘレナ・ボナム＝カーター（スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師）
マリオン・コティヤール（エディット・ピアフ 愛の賛歌） Lock
キャサリン・ハイグル（無ケーカクの命中男 ノックトアップ）
エレン・ペイジ（JUNO ジュノ） Lock

if six...
ニッキー・ブロンスキー（ヘアスプレー）
ニコール・キッドマン（マーゴット・ウェディング）
ローラ・リニー（マイ・ライフ、マイ・ファミリー）
ケリー・ラッセル（ウェイトレス おいしい人生のつくりかた）
◆助演男優賞
ケイシー・アフレック（ジェシー・ジェームズの暗殺）
ハヴィエル・バルデム（ノーカントリー） Lock
フィリップ・シーモア・ホフマン（チャーリー・ウィルソンズ・ウォー）
ジョン・トラヴォルタ（ヘアスプレー）
トム・ウィルキンソン（フィクサー）

if six...
ポール・ダノ（ゼア・ウィル・ビー・ブラッド）
ベン・フォスター（３時10分、決断のとき）
ハル・ホルブルック（イントゥ・ザ・ワイルド）
マックス・フォン・シドー（潜水服は蝶の夢を見る）
◆助演女優賞
ケイト・ブランシェット（アイム・ノット・ゼア） Lock
ミシェル・ファイファー（ヘアスプレー）
ジュリア・ロバーツ（チャーリー・ウィルソンズ・ウォー）
エイミー・ライアン（ゴーン・ベイビー・ゴーン）
マリサ・トメイ（その土曜日、７時58分）

if six...
ルビー・ディー（アメリカン・ギャングスター）
ジェニファー・ガーナー（JUNO ジュノ）
シアーシャ・ローナン（つぐない）
ティルダ・スウィントン（フィクサー）


　今年最も混戦なのは主演女優賞、それもミュージカル／コメディ部門でしょう。そのままオスカー候補になってもおかしくない面々がひしめき合っています。外国語記者協会に愛されているニコール･キッドマンと言えど、今回ばかりはこの部門でのノミネートは難しいのではないでしょうか。いや、でもキッドマンのスターパワーは侮れない…。

　ゴールデン･グローブならではの人選はというと、スティーヴ・カレル、ジャック・ニコルソン、セス･ローゲン、キャサリン･ハイグル、ジョン・トラヴォルタ、ミシェル・ファイファー、ジュリア・ロバーツあたり。こういうスター俳優たちを予想できるのはゴールデン・グローブならではの面白さでしょう。。

　ゴールデン・グローブを予想する頃になると、その年自分が誰を応援したいか、固まってきます。今年だとティム・バートン、ヴィゴ・モーテンセン、フランク・ランジェラ、マックス・フォン・シドー、エイミー・アダムスあたりは応援したいところです。

　皆さんも気楽に、遊び気分で予想してみてはいかがでしょう？




■８月までに公開された作品の中でオスカーの可能性があるのは…？　（2007.09.01）
　９月に入りました。いよいよ賞獲得を目指した作品が毎週のように封切られるシーズンに突入です。キャンペーン活動が賞獲得の鍵を握るようになった（と言われる）頃から、秋口から年末にかけて、賞を狙った新作リリースラッシュの凄まじさが年々増しているのは気のせいではないでしょう。

　ただし、この時期からの公開が賞の投票タイミングに最も適しているとは言え、今年の１月から８月までにも高評価を得た作品は存在します。そして毎年賞シーズン以前に封切られた中からも、少しとは言え候補者が出ているのです。昨年で言うなら、『ユナイテッド93』『プラダを着た悪魔』『リトル・ミス・サンシャイン』『ハーフネルソン』といった作品が候補者を輩出しました。投票関係者も賞シーズンに封切られた作品だけを重要視しているわけではないのです。

　では、今年はここまでどんな作品が支持されたのでしょうか。今回は第80回アカデミー賞（主要６部門）が９月上旬に開かれたとしたらどうなるか考えてみました。対象は今年の１月から８月までに公開された作品となります。もちろん違う意見の方も多いでしょうが、それほど大差ないはずです。



◆作品賞
アウェイ・フロム・ハー 君を想う（サラ・ポーリー監督）
ヘアスプレー（アダム・シャンクマン監督）
無ケーカクの命中男 ノックトアップ（ジャド・アパトウ監督）
ONCE ダブリンの街角で（ジョン・カーニー監督）
ウェイトレス おいしい人生のつくりかた（エイドリアン・シェリー監督）
◆監督賞
ブラッド・バード（レミーのおいしいレストラン）
デヴィッド・フィンチャー（ゾディアック）
サラ・ポーリー（アウェイ・フロム・ハー 君を想う）
エイドリアン・シェリー（ウェイトレス おいしい人生のつくりかた）
マイケル・ウィンターボトム（マイティ・ハート 愛と絆）
◆主演男優賞
クリスチャン・ベール（戦場からの脱出）
ドン・チードル（Talk to Me）
リチャード・ギア（ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男）
ジョセフ・ゴードン＝レヴィット（ルックアウト 見張り）
セス・ローゲン（無ケーカクの命中男 ノックトアップ）
◆主演女優賞
ジュリー・クリスティ（アウェイ・フロム・ハー 君を想う）*
マリオン・コティヤール（エディット・ピアフ 愛の賛歌）*
キャサリン・ハイグル（無ケーカクの命中男 ノックトアップ）
アンジェリーナ・ジョリー（マイティ・ハート 愛と絆）
ケリー・ラッセル（ウェイトレス おいしい人生のつくりかた）*
◆助演男優賞
ジェフ・ダニエルス（ルックアウト 見張り）
ロバート・ダウニー・ジュニア（ゾディアック）
ポール・ラッド（無ケーカクの命中男 ノックトアップ）
マーク・ラファロ（ゾディアック）
ジョン・トラヴォルタ（ヘアスプレー）*
◆助演女優賞
ブレンダ・ブレッシン（Introducing the Dwights）
レスリー・マン（無ケーカクの命中男 ノックトアップ）
ミシェル・ファイファー（スターダスト）
イメルダ・スタウントン（ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団）
シガーニー・ウィーヴァー（The TV Set）



　意外や意外、既に主演女優賞部門が混戦になっています。大作では作品賞に絡みそうな作品はまだ出てきていません。

　さて、この中から誰が勝ち抜けるでしょうか（* はその可能性が低くないコンテンダーです）。





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