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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

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作品賞

受賞予想（02/22）

Final Predictions

つぐない

JUNO ジュノ

フィクサー

ノーカントリー

ゼア・ウィル・
ビー・ブラッド

△

○

◎

OSCAR PLANET Prediction		ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
General Prediction		ノーカントリー
My Hope		ノーカントリー

　賞レースが始まる前、今年の作品賞は文芸大作『つぐない』（ジョー・ライト監督）で決まりという声が極めて大きかった。ところが、蓋を開けてみると、『つぐない』は賞レースで大苦戦。批評家賞でことごとく無視されたばかりか、各組合賞でノミネートすら逃すという大失速を演じてしまった。ゴールデン・グローブ賞を受賞し、なんとかノミネートまでは漕ぎ着けたが、もはやこの作品が作品賞の本命であると考える人はほんの一握りである。昨年の「ドリームガールズ」の例もあるように、前評判が高過ぎるというのも考えものかもしれない。

　『つぐない』は監督賞で候補を逃がしている唯一の作品賞候補作という点も痛いのだが、もうひとつ編集賞漏れを喫しているのも辛いところだ。あまり言われないことだが、編集賞を征する映画が作品賞を征すると言っても過言ではないほどで、第53回アカデミー賞で編集賞候補から外れた「普通の人々」（80年）が作品賞に輝いた後は、26年連続で編集賞候補に挙がった映画が作品賞を受賞している（編集賞受賞を逃がした映画の作品賞受賞は少なくない）。…ということは、今回も編集候補に挙がらなかった映画が作品賞を受賞する可能性は低くなったと考えるべきで、即ちこれに該当するのが先の『つぐない』の他、『JUNO ジュノ』（ジェイソン・ライトマン監督）と『フィクサー』（トニー・ギルロイ監督）である。

　予期せぬ妊娠に戸惑う少女を描いた『JUNO ジュノ』は作品賞候補に挙がったのが不思議なほどこじんまりとした映画で、もちろん高い評価には違いないのだが、「2007年を代表する映画」としてアカデミーが推したい作品とはどうしても思えない。１億ドルを突破するメガヒットになっているのは大いにプラスだが、最も評価されているのが脚本であることを考えると、脚本賞に票が集中すると考える方が妥当だろう。

　『フィクサー』は今年唯一メジャースタジオからのノミネートとなった作品だが、インディーズ映画の健闘が当たり前になってきたオスカーでは、もはやそれは武器にならない。そもそもインディーズ会社の多くはメジャースタジオの傘下にあるのだし、そういう区別は意味をなさないはずだ。この映画のいちばんのセールスポイントは「大スターが主演する正統派のハリウッド映画」という点に尽きる。長らくオスカーではこの手の映画が愛されてきたのだ。ただ、前哨戦では全てノミネート止まりというこの映画が作品賞を受賞した場合、批判が噴出することは確実。会員も積極的に票を投じないのではないか。

　オスカーでは最多ノミネート作が作品賞を受賞するケースが多いが（ただし、最近は当てハマっていない）、それを実現した上、監督賞、編集賞の重要２部門でノミネートを受けたのは、『ノーカントリー』（ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン監督）と『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』（ポール・トーマス・アンダーソン監督）だ。

　この内オスカー本命と言われているのは『ノーカントリー』で、前哨戦を圧倒的強さで快走したのだから当然と言える。ブロードキャスト映画批評家協会賞やアメリカ製作者組合賞を獲っているのも心強いところだ。ハリウッドを代表するフィルムメイカーであるコーエン兄弟の最高傑作との呼び声も高く、結末で賛否が割れるとの指摘ももはや問題ではないはず。常に高品質の作品を発表し続けながらオスカーの主役になったことはなかったコーエン兄弟が、いよいよ作品賞を手にするときが近づいてきているのかもしれない。ただ、気がかりなのはコーエン兄弟は今回、作品賞、監督賞、脚色賞、編集賞（別名義）の４部門でノミネートを受けていて、もし仮に全て受賞した場合は、４度も壇上に上がることになる。それに引っ掛かりを覚える会員がいるかもしれない。いくらなんでもあげ過ぎなのではないか。それにアメリカの原風景を捉えていると言っても、犯罪劇という点はマイナスか。

　不気味なのはもちろん『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』だ。高評価だったものの、クセの強い作りがオスカー向きではないとの声が非常に大きかった。ところが、オスカーでは『ノーカントリー』と並ぶ最多ノミネート。会員は意外なほど寛容に本作を受け入れている。石油採掘により富を得る男の栄光と没落を描いたドラマは、そのままアメリカの歴史とも読めるとのことで、会員がそのスケールの大きなドラマがオスカーに最も相応しいと考える可能性は決して低くないように思える。『ノーカントリー』の優位は間違いない。間違いないがしかし、何かをやらかしそうな雰囲気を最も湛えているのは『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』ではないか。内に計り知れないパワーを秘めているように思えるのだが…。

　『ノーカントリー』がトップをひた走る。『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の姿は後ろに見えない。見えないが、だがそれは遅れをとっているからではなくて、姿が消えているだけ。本当はどこにいるのだろう。『ブラッド』の逆転受賞を観たい気分にもなっているのだが…。

**Prediction Chart**
		％	Final	2/16	2/11	2/6	2/1	1/26
1	ゼア・ウィル・ビー・ブラッド	30	1	2	2	2	2	2	対抗
2	ノーカントリー	30	2	1	1	1	1	1	本命
3	フィクサー	20	3	3	5	5	5	4	逆転
4	JUNO ジュノ	10	4	4	3	3	3	3	大穴
5	つぐない	5	5	5	4	4	4	5	逆転

**List of Marks**
つぐない	７部門ノミネート（＊）	2.0
	でも重要な監督賞、編集賞で落選してしまった（－）
	文芸作の香り漂う大河ロマン。候補作の中では最もオスカー好み（＋＋）
	撮影、衣装、美術、音楽…細部に見どころがぎっしり（＋）
	唯一の英国映画。英国アカデミー賞は確実？（＊）
	ゴールデン・グローブ賞ドラマ部門を受賞（＋）
	でも組合賞ではことごとく候補漏れ（－－）
JUNO ジュノ	４部門ノミネート（＊）	3.5
	監督賞でも候補入りしたのが嬉しいねぇ（＋）
	興収１億ドル突破のメガヒット。Wow!!! （＋＋＋＋）
	エレン・ペイジ、可愛いねぇ（＊）
	脚本賞は受賞確実。そちらに票は流れるはず（－）
	ティーンの少女を主人公にした妊娠コメディ。作品賞には軽過ぎる（－）
	"2007年の「リトル・ミス・サンシャイン」"。…ということは…（＊）
フィクサー	７部門ノミネート（＊）	2.0
	技術部門では苦戦。そちらを専門にした会員票が望めない（－）
	唯一メジャースタジオからのノミネート（＋＋＋＋）
	興行的には失敗作の烙印を押されている（－）
	前哨戦は全てノミネート止まり（－）
	娯楽要素が強く、決してオスカー向きではない（＊）
	でも、保守的な会員の票はここに集中しそうな気配（＋）
ノーカントリー	最多８部門ノミネート（＋＋）	4.0
	前哨戦で圧倒的な強さを発揮。PGAも受賞（＋＋）
	興行的にもまずまずの結果を残している（＊）
	ハリウッドが誇るブランド兄弟コーエンズの作品（＋＋）
	暴力的な内容が保守派に受けない可能性（－）
	前哨戦で強過ぎた反動は？（－）
	このところ作品賞でサプライズが起っている（＊）
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド	最多８部門ノミネート（＋＋）	4.0
	全米とロサンゼルスの批評家賞を獲得（＋）
	アメリカを描いた作品。オスカーはアメリカ人が作った賞です（＋＋）
	21世紀版「市民ケーン」「スタンリー・キューブリック作品」（＊）
	クセのあるポール・トーマス・アンダーソン作品。保守派には…（－）
	ダニエル・デイ＝ルイスに票が集中してしまう危険（－）
	何かやってくれそうな雰囲気が漂っているんですけど！（＊）

The Five Nominees　ノミネート作品　［I guessed 4/5］
つぐない　Atonement
	配給：フォーカス・フィーチャーズ　　監督：ジョー・ライト
	Nominees 作品、助演女優、脚色、撮影、美術、衣装デザイン、作曲（７部門）
	Precursors BAFTA、GGA、UKRAFA
	組合賞で次から次へ候補漏れを喫しながら、堂々ノミネートを達成。英国映画は組合賞のサポートを受けなくても逆転の可能性があるということか。監督賞、編集賞で落選したのが痛い。
JUNO ジュノ　Juno
	配給：フォックス・サーチライト　　監督：ジェイソン・ライトマン
	Nominees 作品、監督、主演女優、脚本（４部門）
	Precursors GSA、ISA、NTFCA、WFCC
	インディーズ映画ながら興行的にも大成功を収めて、見事ノミネート獲得。脚本賞受賞には既に王手をかけているが、まさかの作品賞逆転受賞はあるのか？“2007年の「リトル・ミス・サンシャイン」”
フィクサー　Michael Clayton
	配給：ワーナー・ブラザース　　監督：トニー・ギルロイ
	Nominees 作品、監督、主演男優、助演男優、助演女優、脚本、作曲（７部門）
	Precursors None
	作品賞候補に挙がった５本の内、唯一のメジャースタジオ配給映画。法の世界を舞台にしたスリラーで、前哨戦から予想外の強さを発揮した。ジョージ・クルーニーのスターパワーサマサマと言える。
ノーカントリー　No Country for Old Men
	配給：パラマウント・ヴァンテージ　　監督：ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
	Nominees 作品、監督、助演男優、脚色、撮影、編集、録音、音響効果（最多８部門）
	Precursors PGA、GSA、NBR、BFCA、NYFCC、BSFC、CFCA、LVFCS、WFCA、SFCA、DFFCA、PFCS...
	前哨戦で圧倒的強さを発揮した西部劇テイストのフィルムノワール。コーエン兄弟作品としては傑作「ファーゴ」に匹敵する、いやそれを超えるとの声も挙がっている。暴力的な内容がどう影響するか。
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド　There Will Be Blood
	配給：パラマウント・ヴァンテージ　　監督：ポール・トーマス・アンダーソン
	Nominees 作品、監督、主演男優、脚色、撮影、編集、美術、音響効果（最多８部門）
	Precursors NSFC、LAFCA、AFCA、KCFCC、NYFCO、IWFCP
	21世紀版「市民ケーン」、或いはスタンリー・キューブリック作品のようとの賛辞が大量に溢れ出た問題作。クセのある作りが敬遠されるとの声も出ていたが、見事ノミネート。とんでもないパワーを秘めていそう。

ranking

製作費			前哨戦ポイント　-02/24-
1	つぐない	$30m	1	ノーカントリー	251.0 p
2	フィクサー	$25m	2	ゼア・ウィル・ビー・ブラッド	149.5 p
2	ノーカントリー	$25m	3	JUNO ジュノ	135.0 p
2	ゼア・ウィル・ビー・ブラッド	$25m	4	つぐない	104.5 p
5	JUNO ジュノ	$2.5m	5	フィクサー	100.0 p

評価 rating			興行収入　-02/18-
1	ノーカントリー	90.6 p	1	JUNO ジュノ	$125m
2	ゼア・ウィル・ビー・ブラッド	90.2 p	2	ノーカントリー	$61m
3	JUINO ジュノ	89.3 p	3	つぐない	$47m
4	フィクサー	85.9 p	4	フィクサー	$47m
5	つぐない	82.0 p	5	ゼア・ウィル・ビー・ブラッド	$31m

ノミネート予想（01/18）

Final Prediction

　前哨戦の主役は間違いなく『ノーカントリー』である。ジョエルとイーサンのコーエン兄弟が放つ風変わりなクライムスリラーで、カンヌ映画祭でプレミア上映されたときからBUZZは大いに盛り上がっていた。暗く暴力的な内容が賞受けしないのではないかと危惧する声もあったので、ここまでの圧倒的な強さは意外かもしれない。ナショナル・ボード・オブ・レヴュー賞、ニューヨーク、ボストン、シカゴ、ラスヴェガスといった有力批評家賞を総ナメし、もはや候補落ちはあり得ない状況だ。

　今年はノミネート確実と言い切れるのは『ノーカントリー』ぐらいで、後は所謂団子レースになっている。残りは４席だが、そこに入り込む可能性がある作品は８本もある。以下、その８本の賞レース状況を駆け足で紹介する。

　賞レース前、『ノーカントリー』より前評判が高かったのは『つぐない』だ。有名小説を映画化した大河ロマンで、そのスケールの大きな作風は間違いなくオスカー好みである。前哨戦では意外なほど苦戦を強いられているが、期待通り批評家からも高評価を獲得しており、ゴールデン・グローブ賞も受賞、オスカー本番で大逆転もあり得るだろう。ただ、各組合賞で大苦戦。“2007年の「ドリームガールズ」”の匂いを発散しているのが非常に気になる。

　影響力が強い批評家賞と言ったらブロードキャスト映画批評家協会賞だ。ここで最多ノミネーションを勝ち取ったのは『イントゥ・ザ・ワイルド』である。ショーン・ペンが久しぶりにメガホンを執った、実話ベースの人間ドラマ。小品ゆえ賞レースでの苦戦も予想されたが、大健闘と言って良い。アメリカ映画俳優組合賞でもまさかの最多ノミネートになっていて、勢いは十分にある。

　21世紀版「市民ケーン」、スタンリー・キューブリック作品を彷彿とさせる…等の賛辞が乱れ飛んだのは『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』。ポール・トーマス・アンダーソンが次のステージに駒を進めた傑作とのことで、ロサンゼルス映画批評家協会賞を見事征している。ただ、この映画は「人を選ぶ」との声がやけに多いのが気にかかる。万人受けは難しいということだ。普通に評価されたならば受賞してもおかしくないが、オスカー会員の目にはどう映っているのか。

　『JUNO ジュノ』はトロント映画祭で突如BUZZが沸騰したコメディ・ドラマ。昨年の「リトル・ミス・サンシャイン」の席を確保するのではないかとの見方が強くなっている。Box Officeで大成功を収めているのも非常にポイントが高い。ただ、前哨戦では主演女優賞と脚本賞を中心にした戦いになっていて、そちらに票が流れてしまう可能性もある。また、ティーンが主人公という点も心配な要素である。

　『スウィーニー・トッドフリート街の悪魔の理髪師』が入り込む可能性もある。復讐心に燃える哀しき理髪師を主人公にした異色ミュージカルで、評論家から熱い支持を集めた。主演が今いちばん勢いのあるスター、ジョニー・デップであることも高ポイント。尤も、ティム・バートン作品がオスカー候補に挙がったことはなく、興行成績も芳しくないのはどうなのか。技術賞止まりということも大いに考えられる。

　前哨戦で主演男優のジョージ･クルーニーを中心に強さを見せたのは犯罪ドラマ『フィクサー』だ。法の世界を舞台にした作品。ヴェネチア映画祭ではさほど評価されなかったが、アメリカでは大半の評論家が支持を表明した。ただ、この作品はBox Officeで撃沈。娯楽色が強いのもオスカー好みとは言えず、マイナス要素は多数ある。クルーニーのスターパワーでどこまで票を伸ばせるだろうか。

　スター映画と言ったら『アメリカン・ギャングスター』を忘れてはいけない。デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウの二大オスカーウィナーが主演、しかも監督はリドリー・スコットだ。大スケールのギャングドラマで、興行的も大成功を収めている。ただし、評論家は「良い映画だが、素晴らしくはない」という意見が大半。受賞はあり得ない状況で、当然ノミネートも安泰とは言えない。

　ダークホースは『潜水服は蝶の夢を見る』だろう。風変わりな邦題がついたこの作品は、実はフランス語映画である。身体能力を失った実在の男の物語で、公開時大絶賛に包まれた。外国語映画が作品賞候補挙がることは近年珍しくなくなっており、ノミネートを受けても全くおかしくない。本作は外国語映画賞のフランス出品作に選ばれていないのだが、それも案外プラスに働くかもしれない。オスカー会員は主要部門で救済しようという心理になるかも？！

　その他『その土曜日、７時58分『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』『ヘアスプレー』もノミネートの可能性を指摘されているが、BUZZ不足は否めないところ。上位の壁を打ち砕くのは極めて難しいと言えよう。

　考えれば考えるほど難しいので、直感で選ぶ。『つぐない』がまさかの落選、ファイナル５は『ノーカントリー』『イントゥ・ザ・ワイルド』『JUNO ジュノ』『フィクサー』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』…と見た。あぁ、でも『潜水服』が入るような気もする…。

OSCAR PLANET Prediction
イントゥ・ザ・ワイルド（ショーン・ペン監督）	Shaky
JUNO ジュノ（ジェイソン・ライトマン監督）	Shaky
フィクサー（トニー・ギルロイ監督）	Shaky
ノーカントリー（ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン監督）	Lock
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド（ポール・トーマス・アンダーソン監督）	Shaky
The Runner-up
潜水服は蝶の夢を見る（ジュリアン・シュナーベル監督）	Shaky

The Five Frontrunners　フロントランナー（５作品）　（01/18）
Lock
ノーカントリー No Country for Old Men （パラマウント・ヴァンテージ） Win: PGA、GSA、NBR、BFCA、NYFCC、BSFC、CFCA、LVFCS、WFCA、SFCA、DFFCA、PFCS、SDFCS、DFCS、FFCC、UFCS、SLFCA、OFCC、HFCS、COFCA、IFCA、TFCA、VFCC、LFCC、OFCS	カンヌで「コーエン兄弟久々の快作」との賛辞が飛び出したクライムスリラー。評論家が次々と2007年ベストに認定。西部劇版「ファーゴ」？ ~~Weak Point~~ いくら評価が高くても作品賞候補に挙がりにくいのがコーエン兄弟の作風。技術部門止まりということも十分考えられたが、前哨戦の圧倒的強さを見る限り、ノミネートまではまずは安泰。
Shaky
JUNO ジュノ Juno （フォックス・サーチライト） Win: GSA、ISA、NTFCA、WFCC	予想外に妊娠してしまったティーンの少女を描くコメディ。トロント映画祭を皮切りにBUZZ沸騰。“2007年の「リトル・ミス・サンシャイン」”？ Weaｋ Point 脚本賞で圧倒的な強さを発揮している。そちらに票が流れてしまうかもしれない。結局はティーン映画だと見なされてしまうと辛いところ。興行的成功でハンディを跳ね飛ばしたいところだが…。
フィクサー Michael Clayton （ワーナー・ブラザース）	キャリア最悪の４日間を送ることになる揉み消し屋を描くスリラー。ジョージ・クルーニーのスターパワーで勝負。評論家肯定派大多数。 WeakPoint が、絶賛評を寄せている媒体は思いの他少ない。前哨戦も全てノミネート止まり。興行的な失敗の印象が強いのもどうなのか。さほどオスカー好みとも言えない題材でもある。最後の席を狙う！
イントゥ・ザ・ワイルド Into the Wild （パラマウント・ヴァンテージ）	全てを棄て自然に帰るためアラスカに向かう理想主義の青年クリストファー・マッキャンドレスを描くドラマ。名優ショーン・ペンの長編第４作。 Weak Point 話題性を考えると、演技賞、技術賞止まりの可能性も…。パラマウント・ヴァンテージは『ノーカントリー』と『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』も抱えている。より力を入れてキャンペーンされるのは…。
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド There Will Be Blood （パラマウント・ヴァンテージ） Win: NSFC、LAFCA、AFCA、KCFCC、NYFCO、IWFCP	名監督と名俳優が最強タッグ。好景気に沸く石油試掘者を描く濃厚ドラマ。“21世紀の「市民ケーン」”だと大熱狂。受賞の可能性も…。 Weak Point だが、クセが強過ぎて、観る人を選ぶ映画との見方が出ている。好きな人はとことん好きだが、嫌いな人は全く受け付けないのかも。オスカーは一般受けする作品の方が断然強いことを考えると…。

ノミネーション予想これまでの流れ 2007　（Changes in Red）
Final
JUNO ジュノ	フィクサー	イントゥ・ザ・ワイルド	ノーカントリー*	ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
The Leader：ノーカントリー
01/01
つぐない	潜水服は蝶の夢を見る	イントゥ・ザ・ワイルド	ノーカントリー*	スウィーニー・トッド
12/01
つぐない*	チャーリー・ウィルソンズ...	ゼア・ウィル・ビー・ブラッド	ノーカントリー	スウィーニー・トッド
11/01
つぐない*	フィクサー	ゼア・ウィル・ビー・ブラッド	ノーカントリー	アメリカン・ギャングスター
10/01
つぐない*	Rendition	ヘアスプレー	ノーカントリー	アメリカン・ギャングスター
09/01
チャーリー・ウィルソンズ...*	Rendition	ヘアスプレー	ノーカントリー	アメリカン・ギャングスター
08/01
チャーリー・ウィルソンズ...*	Rendition	ヘアスプレー	ノーカントリー	君のためなら千回でも
07/01
チャーリー・ウィルソンズ...*	Rendition	帰らない日々	ノーカントリー	君のためなら千回でも
06/01
チャーリー・ウィルソンズ...*	Rendition	帰らない日々	ノーカントリー	スウィーニー・トッド
05/01
チャーリー・ウィルソンズ...*	Rendition	帰らない日々	スパイダーマン３	スウィーニー・トッド
04/01
チャーリー・ウィルソンズ...*	大いなる陰謀	帰らない日々	スパイダーマン３	スウィーニー・トッド

The Other Contenders　その他の有力候補　（01/18）
Very Possible
アメリカン・ギャングスター American Gangster （ユニヴァーサル）	リドリー・スコットの骨太のギャングドラマに実力派スターが結集。70年代ニューヨークのドラッグ抗争を描く。オスカーはスケールの大きな作品が好き。「a good movie, but not great」！？
つぐない Atonement （フォーカス・フィーチャーズ）	無垢な少女が犯してしまった罪の10数年に及ぶ影響を描く文芸作。映画祭を熱狂の渦に巻き込むが、キャストが若く、重みを重んじる会員には敬遠されるかも。Win: BAFTA、GGA、UKRAFA
潜水服は蝶の夢を見る The Diving Bell and the Butterfly （ミラマックス）	脳梗塞で身体能力を失う仏ELL誌のジャン＝ドミニク・ボービーを描く伝記ドラマ。カンヌを皮切りに全世界的に高評価。そうは言ってもフランス語映画。言語の壁が高く立ちはだかっている。Win: NYFCO
スウィーニー・トッドフリート街の悪魔の理髪師 Sweeney Todd: The Demon Barber of... （パラマウント）	「ティム・バートン×ジョニー・デップ」の黄金コンビが殺人ミュージカルで舞い上がる。ブラックユーモアがオスカーで受けることはあまりない。バートン作品が候補入りしたことはないしね。Win: GGA
Possible
その土曜日、７時58分 Before the Devil Knows You're Dead （シンク・フィルムズ）	両親が経営する宝石店から盗みを働くことを計画する兄弟を描いたドラマティック・スリラー。名誉賞受賞監督シドニー・ルメットによるメガホン。イーサン・ホークとフィリップ・シーモア・ホフマンが激突。
チャーリー・ウィルソンズ・ウォー Charlie Wilson's War （ユニヴァーサル）	ジョージ・クライルの原作を基にしたドラマに、アカデミー賞監督・俳優が結集。タイムリーにアフガニスタン絡み。ガンガンにオスカーを狙ってます！悪くないが、素晴らしくもないという評価で一致。
イースタン・プロミス Eastern Promises （フォーカス・フィーチャーズ）	「ヒストリー・オブ・バイオレンス」を大成功させたデヴィッド・クローネンバーグとヴィゴ・モーテンセンが再タッグ。暴力や恐怖の緻密な描写に評論家喝采。オスカーよりも映画祭向きの作品かも…。Win: TIFF
ゴーン・ベイビー・ゴーン Gone Baby Gone （ミラマックス）	誘拐された４歳の少女の捜す二人の私立探偵を描くミステリー。何と言っても話題は、ベン・アフレックの初監督作品ということ。意外や（？）その緻密な演出力に評論家は熱い支持！興行的には惨敗。
ヘアスプレー Hairspray （ニューライン）	80年代のカルト作をリメイクしたミュージカルが批評的にも興行的にも全米を熱狂の渦に巻き込む。踊り出したくなる映画ってイイヨネ！？でも本当に作品賞候補に挙がるなんて思ってないでしょう？
マイ・ライフ、マイ・ファミリー The Savages （フォックス・サーチライト）	疎遠だった父親の世話をすることになる姉弟を描くドラメディ。ローラ・リニーとフィリップ・シーモア・ホフマンというオスカー好みの役者が競演。地味な題材ゆえ、前哨戦での注目が必要。演技部門中心？
３時10分、決断のとき 3:10 to Yuma （ライオンズゲイト）	57年のグレン・フォード主演作「決断の３時10分」を豪華キャストでリメイク。ラッセル・クロウのガンマンぶりは期待だが、リメイクは相当な出来映えが要求される。このところ西部劇は人気が薄い。
Longshot
アウェイ・フロム・ハー君を想う Away from Her （ライオンズゲイト）	アリス・モンローの短編小説を映画化。療養所で暮らすアルツハイマーの老女の恋を描くロマンス作品。昨年のトロント映画祭で高く評価された。主演のジュリー・クリスティに賛辞集中。Win: WFCC
ジェシー・ジェームズの暗殺 The Assassination of Jesse James by the... （ワーナー・ブラザース）	アメリカで最も有名なアウトロー、ジェシー・ジェームズを描くドラマ。もはや死んでしまった西部劇というジャンル。製作中トラブルが判明したが、評論家はまずまずの判定。興行的失敗。Win: SFFCC
コントロール Control （ワインスタイン・カンパニー）	ジョイ・ディヴィジョンのイアン・カーティスの晩年を描くドラマが評論家の熱い支持を獲得。特にサム・ライリーの憑依パフォーマンスには高い注目が集まっている。小さな小さな作品。
ダージリン急行 The Darjeeling Limited （フォックス・サーチライト）	インドを旅行する３兄弟がその絆を再確認する物語。手掛けるのは機能不全の家族を描いた作品の続くウェス・アンダーソン。候補に挙がるとしたら、脚本賞？評論家の支持はさほど伸びず。
さよなら。いつかわかること Grace is Gone （ワインスタイン・カンパニー）	イラク戦争で妻を亡くした夫とそのふたり娘のロードトリップを描くドラマに、サンダンス映画祭の会場は涙に包まれた（観客賞受賞）。ジョン・キューザックに賛辞は集中、作品評価は伸び悩む。
グレート・ディベーター栄光の教室 The Great Debaters （ワインスタイン・カンパニー）	1935年、アフリカ系高校のディベートチームを描く実話ドラマ。演出を手掛けるのはアフリカ系の良心的存在デンゼル・ワシントン。若者が主人公の作品は候補入りしにくい傾向にある。Win: AAFCA
アイム・ノット・ゼア I'm Not There （ワインスタイン・カンパニー）	リチャード・ギア、ヒース・レジャー、ケイト・ブランシェットら６人の男優・女優が伝説的ミュージシャン、ボブ・ディランを演じるという実験作。オスカーは正統派の作品が強い傾向にあるが…。
告発のとき In the Valley of Elah （ワーナー・インディペンデント）	プレイボーイ誌に掲載された記事をベースにした人間ドラマ。イラクの前線より帰還して無許可離隊兵となった息子を探す父親を、今が旬のポール・ハギスが描く。評価は期待ほど伸びてない印象。
ラスト、コーション Lust, Caution （フォーカス・フィーチャーズ）	チャン・アイーンの短編小説を原作を「ブロークバック・マウンテン」で賞レースを賑わせたアン・リーが映画化。スパイ・スリラーというジャンル、外国語映画という点がどう影響するか。NC-17。Win: VIFF
マーゴット・ウェディング Margot at the Wedding （パラマウント・ヴァンテージ）	結婚式で再会する姉妹を描くコメディ・ドラマ。監督のノア・バームバックは前作「イカのクジラ」が高い評価を得た。ニコール・キッドマン vs. ジェニファー・ジェイソン・リー。評価は期待ほど伸びず。
マイティ・ハート愛と絆 A Mighty Heart （パラマウント・ヴァテイジ）	2002年にパキスタンで誘拐された米国人ジャーナリスト、ダニエル・パールの妻が、彼を見つけようと必死の努力を続ける様を描く社会派ドラマ。オスカーが好みそうな題材。興行的に不発。
その名にちなんで The Namesake （フォックス・サーチライト）	インドとアメリカの間で自身のアイデンティティを模索するインド青年を描くドラマ。春を代表するヒットを記録。インディペンデント・スピリット賞でも伸び悩む。オスカーは脚色賞なら…。
ONCE ダブリンの街角で Once （フォックス・サーチライト）	音楽で繋がり合う男女の関係を描いた小品が、世界中の映画ファンを虜にしている。「最高の音楽映画」との絶賛評が次から次へ。最大のネックは小さなアイルランド映画という点。主題歌賞を狙おう。
戦場からの脱出 Rescue Dawn （MGM）	POWを扱った映画としては群を抜いて素晴らしい出来と噂されるヴェルナー・ヘルツォーク監督作品。クリスチャン・ベール、スティーヴ・ザーンら個性派の熱演も話題。小品で話題性に乏しい。
Starting Out in the Evening （ロードサイド・アトラクションズ）	ユダヤ人老作家と彼の作品についての論文を書こうとする女学生を描くドラマ。フランク・ランジェラ版「ヴィーナス」との賛辞が飛び出ているが、二番煎じと思われてしまうかも。極めて地味。
悲しみが乾くまで Things We Lost in the Fire （ドリームワークス）	夫を亡くしたばかりの女と夫のトラブルメイカーだった親友の交流を描く人間ドラマ。ハル・ベリー、ベニチオ・デル・トロのオスカーコンビが激突。悪くはないが、素晴らしくもないとの声。
ウェイトレスおいしい人生のつくりかた Waitress （フォックス・サーチライト）	南部を舞台に不幸な結婚をしている妊娠中の女を描いた作品。サンダンス映画祭で可笑しくて繊細だと拍手喝采に包まれる。“2007年の「リトル・ミス・サンシャイン」”になるのは難しそう。ロマコメだし。
ゾディアック Zodiac （パラマウント）	実際に起こったゾディアック事件を映画化する野心作。デヴィッド・フィンチャー監督の元に、クセモノ俳優ズラリ。本来は昨秋公開予定だったが、１月に延期…。興行的に不発。カンヌで好評。
Goow Review, but not Oscar-Type
ボーン・アルティメイタム The Bourne Ultimatum （ユニヴァーサル）	「ジェイソン・ボーン」シリーズ第３弾。「ユナイテッド93」で絶賛されたポール・グリーングラスが再び監督。前二作は大ヒット＆高評価だったが、オスカー戦線無視。最高の完結編とのことだが…。
無ケーカクの命中男ノックトアップ Knocked Up （ユニヴァーサル）	一夜限りの情事で子どもが生まれることになった男女を描くロマンティック・コメディ。批評的にも興行的も期待以上の大成功。ウィットに富んだ脚本が認められる可能性。ゴールデン・グローブ賞でも無視。
レミーのおいしいレストラン Ratatouille （ディズニー）	依然好調をキープするピクサー最新作。レストランを舞台にネズミの活躍を描く。アニメーション映画賞受賞当確とも言われる大絶賛。でも、「美女と野獣」以来のアニメによる作品賞候補は…。
Bad Review
エリザベス：ゴールデン・エイジ Elizabeth: The Golden Age （ユニヴァーサル）	ケイト・ブランシェットを世界的大スターに押し上げた「エリザベス」のまさかの続編が登場。あの作品の続編を作ること自体、野暮のような。評論家は酷評。主演女優賞部門に望みを託す。
君のためなら千回でも The Kite Runner （パラマウント・ヴァンテージ）	アメリカで数年を過ごした男が故国アフガニスタンに戻り旧友の息子を助ける語。最近のオスカーは国際色豊か。キャストは無名の俳優ばかり。アメリカが舞台ではないのにノミネート？感傷的だと不評。
大いなる陰謀 Lions for Lambs （MGM）	アフガニスタン侵攻時の米国をアンサンブル形式で描くドラマ。スター俳優から性格俳優まで注目の映画人が揃う。群像劇枠を狙いたかったが、評論家は説教臭いとバッサリ。アーメン。
胡蝶の夢 Youth Without Youth （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	あのフランシス・フォード・コッポラが久しぶりにメガホンを執ることで話題の小品ドラマ。ブルーノ・ガンツ、ティム・ロスらクセのあるキャストが集まっている。実験的な作風が空回りしていると不評。

No Chance　チャンスなし　（01/01）
アクロス・ザ・ユニバース Across the Universe （コロンビア）	As You Like It （ピクチャーハウス）
ベオウルフ呪われし勇者 Beowulf （パラマウント）	ブレイブワン The Brave One （ワーナー・ブラザース）
BUG バグ Bug （ライオンズゲイト）	いつか眠りにつく前に Evening （フォーカス・フィーチャーズ）
ラブ・アペタイザー Feast of Love （MGM）	ライラの冒険黄金の羅針盤 The Golden Compass （ニューライン）
宮廷画家ゴヤは見た Goya's Ghosts （サミュエル・ゴールドウィン・フィルムズ）	ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 Harry Potter and the Order of the Phoenix （ワーナー・ブラザース）
ザ・ホークスハワード・ヒューズを売った男 The Hoax （ミラマックス）	痛いほどきみが好きなのに The Hottest State （シンク・フィルム）
アイ・アム・レジェンド I Am Legend （ワーナー・ブラザース）	ジェイン・オースティンの読書会 The Jane Austen Book Club （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）
カリフォルニア・トレジャー King of California （ファースト・ルック）	コレラの時代の愛 Love in the Time of Cholera （ニューライン）
ラッキー・ユー Lucky You （ワーナー・ブラザース）	ロンリーハート Lonely Hearts （ロードサイド・アトラクションズ）
パイレーツ・オブ・カリビアンワールド・エンド Pirates of the Caribbean: At Worlds End （ディズニー）	リダクテッド真実の価値 Redacted （マグノリア）
Rendition （ニューライン）	再会の街で Reign Over Me （コロンビア）
帰らない日々 Reservation Road （フォーカス・フィーチャーズ）	シッコ Sicko （ワインスタイン・カンパニー、ライオンズゲイト）
サウスランド・テイルズ Southland Tales （サミュエル・ゴールドウィン・フィルムズ）	スパイダーマン３ Spider-Man 3 （コロンビア）
Talk to Me （フォーカス・フィーチャーズ） Win: WFCC	300＜スリーハンドレッド＞ 300 （ワーナー・ブラザース）
Trade （ライオンズゲイト）

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