Predictions -Best Picture-

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作品賞

受賞予想（2/22）

Final Predictions

127時間

ブラック・スワン

ザ・ファイター

インセプション

キッズ・オールライト

△

英国王のスピーチ

ソーシャル・
ネットワーク

トイ・ストーリー３

トゥルー・グリット

ウィンターズ・ボーン

◎

○

OSCAR PLANET Prediction		英国王のスピーチ
General Prediction		英国王のスピーチ or ソーシャル・ネットワーク
My Hope		ブラック・スワン

　ノミネートを受ける作品が10枠に広がって２年目を迎える作品賞部門。候補に挙がっても受賞の可能性がゼロに近い作品がどうしても出てきてしまう。もちろんいずれも高評価作品なのだが、どうもしっくり来ない。10枠が続く限り、この違和感は続いていくことになるだろう。

　…というわけで昨年同様、監督賞候補にも挙がっている作品こそが、従来の５枠だった場合の作品賞候補作品だと見なされる。つまり『ブラック・スワン』『ザ・ファイター』『英国王のスピーチ』『ソーシャル・ネットワーク』『トゥルー・グリット』である。この中に『インセプション』が入っていないことを残念に思う向きもある。確かに本作はサマーシーズンを牽引するメガヒットになったし、一般的な支持も受けた。前哨戦も快調に飛ばしていた。５枠（監督賞）に滑り込んでも全くおかしくないのだが、実を言うと、上位５本ほどの熱狂は得られていない。批評家の中でも年間ベスト10に選ぶ者は極めて多いのだが、ベスト１に選ぶ者はあまりいないのだ。これはオスカーの投票方式を考えると、実は苦しい傾向である。前哨戦の快走は、むしろ話題性が大きく物を言っていたフシがあり、題材が全く賞好みでないことを考えても、オスカーを責めることはできない。加えて『インセプション』は監督賞と並んで、作品賞受賞の大きな鍵を握る編集賞でも、候補漏れを喫している。受賞の目はほぼ消えたと言って良い。

　『インセプション』同様に編集賞候補で落選してしまった『トゥルー・グリット』も苦しい立場に置かれる。コーエン兄弟映画史上最高のヒットになった西部劇は、実にアメリカらしい作品で、保守派が最も愛するタイプの映画だという。ただ、本作はジョン・ウェイン主演作のリメイクである点が、極めて大きなマイナスポイントになる。近年だと「ディパーテッド」（06年）がリメイクにも関わらず作品賞を征しているが、あちらはオリジナルが香港映画で、アメリカでは全く知名度がない作品だった。それとは状況が異なると考えるのが妥当だろう。

　では監督賞でも編集賞でも候補に挙がっている『ブラック・スワン』の逆転はあり得るのかということになるが、『トゥルー・グリット』よりも低いと考えるのが正しい。ダーレン・アロノフスキーのリスキーな作風は、物語性が愛される作品賞には不釣合いと見なされるはずだ。脚本賞で候補落ちしているのが、本作の置かれているポジションを象徴している。

　…となると、残るのは『ザ・ファイター』『英国王のスピーチ』『ソーシャル・ネットワーク』となる。

　この内前哨戦で圧倒的な強さを見せたのは『ソーシャル・ネットワーク』だった。主人公マーク・ザッカーバーグはTime誌が選ぶ2010年の顔。Facebook創設者として時の人となった。デヴィッド・フィンチャーの鮮やかな演出の下、批評家からの圧倒的賛辞を獲得、興行的にも成功を収めて、批評家賞を総ナメした。このままオスカーまで突っ走るかと思われたのだが、どうやらBUZZのピークは12月だったようで、１月に入ってからは急に息切れしてしまう。会員の多くがオスカーとかぶるアメリカ製作者組合賞（PGA）、アメリカ監督組合賞（DGA）、アメリカ映画俳優組合賞（SAG）で全て受賞を逃がすという、まさかの失速を演じることになってしまったのだ。批評家賞で強過ぎた反動もあるだろうが、むしろ物語の中のザッカーバーグが分析的に描かれたことが仇になった可能性が大きいだろう（逆に、こういう作風は極めて批評家受けし易い）。

　『ソーシャル・ネットワーク』の代わりにPGA、DGA、SAGを次々征した『英国王のスピーチ』はその点で大きなプラスだ。吃音で演説下手のジョージ６世がそれを克服し、英国王の風格を身につけていく様がヴィヴィッドに描かれる。英国王を応援したい気持ちがどんどん強くなっていく、全くもってオスカー好みの内容と作り。元々オスカーは『ソーシャル・ネットワーク』と『英国王のスピーチ』の一騎打ちになると、前哨戦前から囁かれていた。つまり批評家賞で『ソーシャル・ネットワーク』に完敗したことこそが意外と捉えられるべきなのかもしれない。オスカー会員は批評家と一般の映画ファンの中間の物の見方をする人たちだ。それを考えても、バランスの良い本作がオスカーに最も相応しいと考えられても全く不思議ではない。英国映画という点に若干引っ掛かりを覚えるが…。

　ダークホースは『ザ・ファイター』になるだろう。上位２本で票が割れたときに浮上するのが本作になると言われている。俳優人気が高いからだ。演技賞に３名を送り込んでいる上、ボクシング映画というオスカー受けしやすい題材。監督賞、脚本賞、編集賞でも手堅く候補に挙がり、トップに入る隙を窺っている。可能性は低いだろうが、注意しておくべきだろう。

　『127時間』『キッズ・オールライト』『トイ・ストーリー３』『ウィンターズ・ボーン』が頂点に輝く可能性はゼロに近い。ノミネーションこそが勝利である。

　『英国王のスピーチ』 vs. 『ソーシャル・ネットワーク』。接戦ではあるが、老会員が多い会員構成を考えると、やはり前者が有利。賞レース後半の勢いのまま授賞式まで突っ走ると予想する。

**Prediction Chart**
		％	Final	2/16	2/11	2/6	2/1	1/27
1	英国王のスピーチ	40	1	1	1	2	2	2	本命
2	ソーシャル・ネットワーク	30	2	2	2	1	1	1	対抗
3	ザ・ファイター	10	3	3	3	3	4	5	大穴
4	トゥルー・グリット	5	4	4	4	5	6	6	大穴
5	ブラック・スワン	3	5	5	5	4	3	3	Happy to be Nominated
6	インセプション	3	6	6	6	6	5	4
7	トイ・ストーリー３	3	7	8	8	9	9	9
8	127時間	2	8	7	7	7	8	8
9	キッズ・オールライト	2	9	9	9	8	7	7
10	ウィンターズ・ボーン	2	10	10	10	10	10	10

**List of Marks**
127時間	６部門ノミネート（＋）	2.0
	登山家アーロン・ラルストンを描くドラマ。オスカーは実話物が好き（＋）
	ダニー・ボイルはオスカーを受賞したばかり。会員からの信頼（＋）
	ユタ映画批評家協会賞を地味に受賞（＊）
	主演男優は授賞式のホスト。式中に弄られる可能性大（＊）
	公開時は抜群だったBUZZは徐々に下降。候補はギリギリだった（－）
	興行収入はパッとせず、受賞したら世間はシラーっとなるかも（－）
ブラック・スワン	５部門ノミネート（＊）	3.0
	オースティン映画批評家協会賞をこっそり受賞（＊）
	ナタリー・ポートマンの一世一代のパフォーマンスに喝采（＋＋）
	意外に少ないバレリーナ物語。結構新鮮に映りそう（＊）
	でもダーレン・アロノフスキーの作風はオスカー向きではない（－）
	しかし興行的にはまさかの大健闘。一般受けは大きな武器（＋）
	おそらく票はポートマンに集中するはず（＊）
ザ・ファイター	６部門７ノミネート（＋）	4.5
	アイルランド人ボクサー、ミッキー・ウォードと兄を描く実話物（＋）
	オスカーはなぜだかボクシング映画が大好き（＋＋）
	演技が高評価。オスカー会員は俳優が多いので有利（＋＋）
	あら？でも主演のマーク・ウォルバーグが落選している！（－）
	えっ？でも彼はプロデューサーとしてノミネートされてるよ（＊）
	保守派は『英国王のスピーチ』に票を入れるのでは？（－）
インセプション	８部門ノミネート（＋）	3.0
	2010年を代表するオリジナルムービー。メガヒット（＋＋＋＋）
	セントラルオハイオとノーステキサスの批評家賞を静かに受賞（＊）
	おそらく一般ファンは本作か『トイ・ストーリー３』を応援（＊）
	でも会員の嗜好は一般ファンと違う。で、何の話だったの？（－）
	監督賞と編集賞でまさかの落選。多分会員は熱狂的でない（－）
	主役は人物ではなく技術。それでは冷たくされても仕方ない（－）
キッズ・オールライト	４部門ノミネート（＊）	2.0
	ゴールデン・グローブ賞ミュージカル／コメディ部門受賞（＋＋）
	2010年夏のアメリカを爽やかな笑いで包み込む（＋）
	おそらく嫌いな人がほとんどいない映画（＋）
	でも主人公はレズビアンカップル。保守派はそれだけで敬遠？（－）
	女性が主人公の映画が作品賞に輝いたのは何年前でしょう？（－）
	この部門を制覇するにはライトな作り。風格が足りない（＊）
英国王のスピーチ	最多12部門ノミネート（＋＋）	5.5
	PGA、SAGを受賞して勢いが出てきた。BUZZは大切です（＋＋＋）
	でも批評家賞は『ソーシャル・ネットワーク』に完敗（－）
	誰もが愛するフィールグッドムービー。保守派は迷わずここへ（＋＋）
	興行的にも大成功。一般ファンの間でも認知度は高い（＋）
	英国映画で、しかも小品という点が投票を躊躇わせるかも（－）
	バックにハーヴェイ・ワインスタイン。前に出てこないで（＊）
ソーシャル・ネットワーク	８部門ノミネート（＋）	5.0
	GGAやBFCAを受賞するなど、前哨戦圧勝。強い！（＋＋＋）
	なのにPGA、SAGを落としてしまった。ピークは過ぎた！？（－）
	Facebook創設者が主人公。実話物で、かつタイムリー（＋＋＋）
	でもマーク・ザッカーバーグ氏は事実を歪曲しているとコメント（－）
	デヴィッド・フィンチャーの演出はいよいよ快調。映画の芸がある（＋）
	ところでバアサンや、Facebookって何なのかえ？（－）
トイ・ストーリー３	５部門ノミネート（＊）	2.5
	ピクサー作品にハズレなし。毎度泣かせないでくれー！（＋＋）
	興行的にも大成功。受賞したらキッズもパパもママも大喜び（＋）
	このシリーズがなければ今のアニメ映画はない。三部作で評価（＋＋）
	ディズニーは本気で作品賞を獲りにきている。超ビッグキャンペーン！（＋）
	でもアニメーション映画をその年のトップに選びますか？（－－）
	アニメーション映画賞で投票するから勘弁してくれ（－－）
トゥルー・グリット	10部門ノミネート（＋）	3.0
	まかせて安心コーエン兄弟作品。今回も高評価（＋＋）
	西部劇としては異例のメガヒット。一般ファンにも愛される（＋＋＋）
	BUZZはジワジワ上昇中。逆転受賞を信じる人は少なくない（＋）
	1969年品「勇気ある追跡」のリメイク。オリジナルでないのは…（－）
	その証拠に前哨戦は勝利がひとつもない（－）
	超重要な編集賞候補を落としたのが致命傷になる？（－－）
ウィンターズ・ボーン	４部門ノミネート（＊）	1.0
	サンダンス映画祭熱狂。以来BUZZキープ（＋＋）
	2010年を代表するインディーズ映画。よくぞ残った！（＋＋）
	…そう、規模の小さなお地味な一品。派手さに欠けて…（－）
	出演俳優も監督も無名ばかり。お母さん、寒いよう（－）
	目指すべきはインディペンデント・スピリット賞でしょう（－）
	『ザ・タウン』が候補入りするべきだった？（＊）

The Ten Nominees　ノミネート作品　［I guessed 9/10］
127時間　127 Hours
	配給：フォックス・サーチライト　　監督：ダニー・ボイル
	Nominees 作品、主演男優、脚色、編集、作曲、主題歌（６部門）
	Precursors UFCA
	前哨戦中盤より徐々にBUZZを下げていたが、なんとか上位10本に踏み止まった。実話ドラマという強みがプラスになった感。主演男優が授賞式のホスト。式中に弄られる可能性大！？
ブラック・スワン　Black Swan
	配給：フォックス・サーチライト　　監督：ダーレン・アロノフスキー
	Nominees 作品、監督、主演女優、撮影、編集（５部門）
	Precursors ISA、AFCA
	決してオスカー好みの作風ではない。保守派が眉を潜めるタイプの映画だ。それでも大量ノミネートを勝ち取ったのは、クオリティの高さゆえ。ナタリー・ポートマンの主演女優賞BUZZと共に舞い上がる！
ザ・ファイター　The Fighter
	配給：パラマウント　　監督：デヴィッド・Ｏ・ラッセル
	Nominees 作品、監督、助演男優、助演女優（×２）、脚本、編集（６部門７ノミネート）
	Precursors None
	オスカー会員はなぜだかボクサーを主人公にしたドラマを愛する。「シンデレラマン」に続くボクサー映画が見事候補入りを果たした。特に役者の演技に対する評価が高く、俳優会員が多いオスカーでは有利。
インセプション　Inception
	配給：ワーナー・ブラザース　　監督：クリストファー・ノーラン
	Nominees 作品、脚本、撮影、美術、視覚効果、録音、音響効果、作曲（８部門）
	Precursors COFCA、NTFCA
	脚本不足が嘆かれ続けるハリウッドに蹴りを入れる一作。複雑な構成でありながら、それを念入りに織り上げ、エンターテイメントに昇華させる見事な手腕。監督賞、編集賞候補落ちが痛い。
キッズ・オールライト　The Kids Are All Righ
	配給：フォーカス・フィーチャーズ　　監督：リサ・チョロデンコ
	Nominees 作品、主演女優、助演男優、脚本（４部門）
	Precursors GGA
	2010年のサマーシーズン、軽やかなコメディが愛された。レズビアンカップルを中心にしたファミリー映画。練られた会話と優れた演技。基本をきっちり抑え、興行的成果も上げた。喜劇仕立ても嬉しい。
英国王のスピーチ　The King's Speech
	配給：ワインスタイン・カンパニー　　監督：トム・フーパー
	Nominees 作品、監督、主演男優、助演男優、助演女優、脚本、撮影、編集、美術他（最多12部門）
	Precursors PGA、BAFTA、PFCS、TIFF
	実在の人物を取り上げていると言っても、フィールグッドムービー仕立てでは賞レースに絡むのは難しい。それを跳ね除けての堂々たるトップコンテンダー。『ソーシャル・ネットワーク』ノックアウトの可能性は低くない。
ソーシャル・ネットワーク　The Social Network
	配給：コロンビア　　監督：デヴィッド・フィンチャー
	Nominees 作品、監督、主演男優、脚色、撮影、編集、録音、作曲（８部門）
	Precursors GGA、GSA、NBR、BFCA、NSFC、NYFCC、LAFCA、BSFC、CFCA、LVFCS、WFCA、SFFCC...
	Critical Darling。前哨戦の圧倒的強さは、青春ドラマの裏側に潜む人間観察眼が評価されたがゆえ。フィンチャーはいよいよ今が旬。Facebookに縁のない層の票をどれだけ取り込めるが受賞の鍵を握る。
トイ・ストーリー３　Toy Story 3
	配給：ディズニー　　監督：リー・アンクリッチ
	Nominees 作品、脚色、音響効果賞、主題歌賞、アニメーション映画賞（５部門）
	Precursors None
	今では当たり前となったCGアニメーションだが、そこへ初めて足を踏み入れたのが本シリーズだった。傑作を発表し続けるピクサーの集大成。おそらく三部作全体で評価されることだろう。アニメ映画賞はLOCK?!
トゥルー・グリット　True Grit
	配給：パラマウント　監督：ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
	Nominees 作品、監督、主演男優、助演女優、脚色、撮影、美術、衣装デザイン、録音、音響効果（10部門）
	Precursors None
	ジョン・ウェインが主演男優賞を受賞した1969年品「勇気ある追跡」のリメイク。オリジナルではないがゆえ、受賞は難しいだろう。しかしコーエン兄弟ブランドを考えると目がないわけではない。大ヒットも後押し。
ウィンターズ・ボーン　Winter's Bone
	配給：ロードサイド・アトラクションズ　監督：デブラ・グラニク
	Nominees 作品、主演女優、助演男優、脚色（４部門）
	Precursors None
	スターも出ていなければ、監督も無名。当然作品規模は小さい。それでもその絶対的評価はサンダンスでの初公開以来、決して揺るがなかった。2010年を代表するインディーズ映画。

ranking

製作費			前哨戦ポイント　-2/27-
1	トイ・ストーリー３	$200m	1	ソーシャル・ネットワーク	265.0 p
2	インセプション	$160m	2	英国王のスピーチ	187.0 p
3	ソーシャル・ネットワーク	$40m	3	インセプション	174.0 p
4	トゥルー・グリット	$38m	4	ブラック・スワン	164.5 p
5	ザ・ファイター	$25m	5	ザ・ファイター	127.5 p
6	127時間	$18m	6	トゥルー・グリット	113.5 p
7	英国王のスピーチ	$15m	7	キッズ・オールライト	104.0 p
8	ブラック・スワン	$13m	8	トイ・ストーリー３	99.5 p
9	キッズ・オールライト	$4m	9	127時間	99.0 p
10	ウィンターズ・ボーン	$2m	10	ウィンターズ・ボーン	89.5 p

評価 rating			興行収入　-2/27-
1	ソーシャル・ネットワーク	97.3 p	1	トイ・ストーリー３	$415m
2	トイ・ストーリー３	94.6 p	2	インセプション	$292m
3	英国王のスピーチ	93.8 p	3	トゥルー・グリット	$164m
4	ウィンターズ・ボーン	90.2 p	4	英国王のスピーチ	$104m
5	127時間	88.9 p	5	ブラック・スワン	$101m
5	トゥルー・グリット	88.9 p	6	ソーシャル・ネットワーク	$96m
7	キッズ・オールライト	88.7 p	7	ザ・ファイター	$88m
8	ブラック・スワン	85.7 p	8	キッズ・オールライト	$20m
9	ザ・ファイター	84.2 p	9	127時間	$17m
10	インセプション	80.2 p	10	ウィンターズ・ボーン	$6m

上映時間
1	インセプション	148min
2	ソーシャル・ネットワーク	120min
3	英国王のスピーチ	118min
4	ザ・ファイター	114min
5	トゥルー・グリット	110min
6	キッズ・オールライト	106min
7	ブラック・スワン	103min
7	トイ・ストーリー３	103min
9	ウィンターズ・ボーン	100min
10	127時間	93min

ノミネート予想（1/22）

Final Prediction

　昨年から作品賞候補数が10作品となった。予想が極めて難しくなることも考えられたが、実際は意外なほどそうではなく、10作品中８作品ぐらいまでなら簡単に想像できる。それはつまり作品賞候補に挙がるほどのクオリティを持った（賞レース向きの）良質作が、それほどあるわけではないことを意味していて、…となると候補数の拡大は良いことだったのかどうかという疑問にぶち当たる。まあ、予想する分には楽しい作業だが…。

　前哨戦結果を考慮すると、現時点で受賞の可能性が最も高い『ソーシャル・ネットワーク』が候補落ちすることはあり得ない。また、『ネットワーク』に挑戦権を持っている（つまり逆転の可能性を具えている）『英国王のスピーチ』『インセプション』『トゥルー・グリット』が指名されないということも考え難い。10枠に広がったことで、誰もがノミネートを思いつく高評価作品が漏れることはなくなった。

　昨年は「カールじいさんの空飛ぶ家」（09年）が「美女と野獣」（91年）以来となるアニメーション映画としてのノミネートを勝ち取った。今年同じポジションに入るのは、間違いなく『トイ・ストーリー３』だろう。今やCGアニメーション全盛だが、その先陣を切ったのが「トイ・ストーリー」シリーズであり、今年は三部作全体の評価が得票となって表れることになるはずだ。

　前哨戦で快走している『ザ・ファイター』はオスカー好みのボクシング映画で、５枠ならばギリギリラインというところだろうが、10枠ならば問題ないだろう。役者の演技が高い評価を受けていて、俳優会員が多いオスカーではかなり有利になると思われる。

　その『ザ・ファイター』と共に、アメリカ映画俳優組合賞（SAG）における作品賞と言われるアンサンブル演技（キャスト）賞にノミネートされたのは、『ブラック・スワン』と『キッズ・オールライト』。このままオスカーでも作品賞候補に挙がる可能性は高いだろう。特に前者は、ダークで捻りの効いた作りが会員に受けないのではないかとの声も出ていたが、それを吹き飛ばす勢いが感じられる。絶対安泰とは言えないが、強力なコンテンダーと言える。

　残りは２枠。これを『127時間』『ザ・タウン』『ウィンターズ・ボーン』で争うことになるというのが素直な見方だろう。『127時間』は公開時には抜群の勢いが感じられたが、徐々に失速していて、BUZZは主演男優のジェームズ・フランコに集中してきているのが気掛かり。そうなると『ザ・タウン』と『ウィンターズ・ボーン』が有利となる。『ザ・タウン』は興行的な成果を挙げているのが強みで、娯楽性も重要になるオスカーで健闘してもおかしくない。『ウィンターズ・ボーン』は『キッズ・オールライト』を超えて2010年を代表するインディーズ映画となった感があり、依然BUZZを高い位置でキープしている。

　その他、まだチャンスが残されていると思われるのは『家族の庭』『ブルーバレンタイン』『ウェイバック脱出6500km』あたりか。どれも公開日が遅く、オスカー会員にさほど浸透していないと思われるが、候補に挙がるだけの評価は獲得している。ただ、上位陣を打ち崩すのは簡単ではないだろう。

OSCAR PLANET Prediction
ブラック・スワン（ダーレン・アロノフスキー監督）	Likely
ザ・ファイター（デヴィッド・Ｏ・ラッセル監督）	Likely
インセプション（クリストファー・ノーラン監督）	Lock
キッズ・オールライト（リサ・チョロデンコ監督）	Likely
英国王のスピーチ（トム・フーパー監督）	Lock
ソーシャル・ネットワーク（デヴィッド・フィンチャー監督）	Lock
ザ・タウン（ベン・アフレック監督）	Shaky
トイ・ストーリー３（リー・アンクリッチ監督）	Likely
トゥルー・グリット（ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン監督）	Lock
ウィンターズ・ボーン（デブラ・グラニク監督）	Shaky
The Runner-up
127時間（ダニー・ボイル監督）	Shaky

The Ten Frontrunners　フロントランナー（10作品）　（1/22）
Lock
英国王のスピーチ The King's Speech （ワインスタイン・カンパニー） Win: PGA、BAFTA、PFCS、TIFF	言語障害を持つ英国王ジョージ６世がスピーチセラピストの助けを借りて威厳を具えていく様を描く歴史ドラマ。配給会社の一押し作品。 ~~Weak Point~~ コスチューム劇は案外オスカー受けが悪いものの、見事「2010年を代表する英国映画」となり、候補から外れることはあり得ない状況。『ソーシャル・ネットワーク』との一騎打ちに備えるばかり。
インセプション Inception （ワーナー・ブラザース） Win: COFCA、NTFCA	クリストファー・ノーランとレオナルド・ディカプリオの初タッグが話題のSFスリラー。「心の構造」に深く切り込んだ作品。高評価＆メガヒット！ ~~Weak Point~~ 意外や冷静な見方（敵）も多いが、支持派が熱狂的ゆえ固定票をガッチリ確保すると思われる。それにこの作品がノミネートから漏れたら、再び「ダークナイト」のように批判される。会員もそれは承知。
ソーシャル・ネットワーク The Social Network （コロンビア） Win: GGA、GSA、NBR、BFCA、NSFC、NYFCC、LAFCA、BSFC、CFCA、LVFCS、WFCA、SFFCC、IFJA、SFCA、SDFCS、DFCS、DFFCA、HFCS、SLFCA、FFCC、OFCC、UFCA、KCFCC、IFCA、DFCS2、LFCC...	ソーシャル・ネットワーキング・サーヴィス（SNS）、Facebookの誕生秘話を描くデヴィッド・フィンチャー監督作。「現代」を映し出した作品に米熱狂。 ~~Weak Point~~ ジェシー・アイゼンバーグ、ジャスティン・ティンバーレイクらキャストが若いのがネックになったとしても、この激賞なら候補漏れはあり得ない。Facebook側が事実と異なるとしているが、それも宣伝になる。
トゥルー・グリット True Grit （パラマウント）	1969年品「勇気ある追跡」のリメイクにコーエン兄弟が挑戦。オリジナルはオスカーでも旋風を巻き起こした一品。今回も高評価＆大ヒット！ ~~Weak Point~~ リメイクが賞レースに絡むことは稀。オリジナルが有名なのもマイナスに働く。出来が良くても無視されてしまうかもしれない。…という不安を吹き飛ばす勢いあり。まさかの逆転受賞に向けて上昇中。
Likely
ブラック・スワン Black Swan （フォックス・サーチライト） Win: ISA、AFCA	NYのバレリーナを主人公にしたドラマティック・スリラー。ナタリー・ポートマンの渾身の演技が絶賛され、作品もその勢いに乗る！批評家に愛される。 Weak Point トレーラーから漂ってくる奇怪な匂い。空前絶後の傑作か。ただのとんでも映画か。憶測が乱れ飛んだが、批評家賞レースは快走した。でもオスカー会員は保守的。敬遠の可能性は捨て切れず。
ザ・ファイター The Fighter （パラマウント）	アイルランド人ボクサー、ミッキー・ウォードとそのトレーナーを務めた兄を描くドラマ。オスカーはなぜだかボクシング映画が大好き。賞向きの内容。 Weak Point 監督のデヴィッド・Ｏ・ラッセルは映画界の問題児。前作「Nailed」は撮影途中で製作がストップ、結局未だ棚上げ状態になっている。「シンデレラマン」は作品賞候補を逃がしたが、同じ運命も…？
キッズ・オールライト The Kids Are All Right （フォーカス・フィーチャーズ） Win: GGA	精子提供により息子と娘を持つレズビアンカップルを描くコメディ・ドラマが、サンダンスで絶賛される。最近のオスカーはゲイ絡みの映画に寛容。 Weak Point 軽いタッチながら深みのある作り…という仕上がりは会員好みだが、そのセンを狙った作品が急増、その中に埋もれてしまう危険あり。アネット・ベニング、ジュリアン・ムーアらの演技賞中心と考えるのが妥当。
トイ・ストーリー３ Toy Story 3 （ディズニー）	ピクサー快進撃の先陣を切ったメガヒット作の第３弾が遂に登場。「カールじいさんの空飛ぶ家」が史上初の作品賞候補に挙がり、ピクサー絶好調。 Weak Point ハリウッドに蔓延する「続編の病」にピクサーも勝てず？たとえ出来映えが素晴らしくても、シリーズ第３弾をノミネートするだろうか。おまけに3D映像。わしゃ、目が疲れる映画は好かんのじゃ。
Shaky
ザ・タウン The Town （ワーナー・ブラザース）	「ゴーン・ベイビー・ゴーン」で見事なデビューを飾ったベン・アフレックの監督第２弾。チャック・ホーガンのベストセラー小説の映画化に米熱狂。 Weak Point 賞好みとは言えず、批評家賞でも全て候補止まりに終わっている。大ヒットを味方につけたいが…。こういう作品が候補入りしてこそ、10枠に広がった価値があると、会員がどれだけ気づいているか。
ウィンターズ・ボーン Winter's Bone （ロードサイド・アトラクションズ）	家族を支えている16歳の少女が、家を失うまいと、消息不明のドラッグディーラーである父親を探す話。パワフルな語り口にサンダンス映画祭が絶賛。 Weak Point 『キッズ・オールライト』を超えて、2010年最も愛されたインディーズ映画に躍り出たのはプラス。が、それでもやっぱりスター俳優の出演していない、小さな作品はスルーされる危険あり。ヒットとも言えず…。

ノミネーション予想これまでの流れ 2010　（Changes in Red）
final
ザ・ファイター	ソーシャル・ネットワーク*	インセプション	ブラック・スワン	キッズ・オールライト
英国王のスピーチ	ザ・タウン	トイ・ストーリー３	ウィンターズ・ボーン	トゥルー・グリット
The Leader：ソーシャル・ネットワーク
1/1
ザ・ファイター	ソーシャル・ネットワーク*	インセプション	ブラック・スワン	キッズ・オールライト
英国王のスピーチ	127時間	トイ・ストーリー３	ウィンターズ・ボーン	トゥルー・グリット
12/1
ザ・ファイター	ソーシャル・ネットワーク	インセプション	ラビット・ホール	キッズ・オールライト
英国王のスピーチ*	127時間	トイ・ストーリー３	ウェイバック脱出6500km	トゥルー・グリット
11/1
ザ・ファイター	ソーシャル・ネットワーク*	インセプション	ラビット・ホール	キッズ・オールライト
英国王のスピーチ	127時間	トイ・ストーリー３	ザ・タウン	トゥルー・グリット
10/1
ザ・ファイター	ソーシャル・ネットワーク*	インセプション	家族の庭	キッズ・オールライト
英国王のスピーチ	127時間	トイ・ストーリー３	ザ・タウン	ブラック・スワン
9/1
ザ・ファイター*	ソーシャル・ネットワーク	インセプション	家族の庭	キッズ・オールライト
英国王のスピーチ	127時間	トイ・ストーリー３	ディア・ブラザー	ブラック・スワン
8/1
ザ・ファイター*	ソーシャル・ネットワーク	インセプション	家族の庭	キッズ・オールライト
英国王のスピーチ	セクレタリアト	トイ・ストーリー３	ディア・ブラザー	ウィンターズ・ボーン
7/1
ザ・ファイター*	ソーシャル・ネットワーク	インセプション	家族の庭	キッズ・オールライト
英国王のスピーチ	セクレタリアト	トイ・ストーリー３	ツリー・オブ・ライフ	ウィンターズ・ボーン
6/1
ザ・ファイター*	Get Low	インセプション	家族の庭	キッズ・オールライト
英国王のスピーチ	セクレタリアト	トイ・ストーリー３	ツリー・オブ・ライフ	トゥルー・グリット
5/1
ザ・ファイター*	Get Low	インセプション	アイアンマン２	キッズ・オールライト
英国王のスピーチ	セクレタリアト	トイ・ストーリー３	ツリー・オブ・ライフ	トゥルー・グリット

The Other Contenders　その他の有力候補　（1/22）
Very Possible
127時間 127 Hours （フォックス・サーチライト）	岩に腕が絡まり５日間宙吊り状態、最終的には腕を切り落とした登山家アーロン・ラルストンを描く壮絶ドラマ。高評価だが、ジェームズ・フランコの演技賞に注目が集まり過ぎている。Win: UFCA
Possible
家族の庭 Another Year （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	オスカー会員にも熱狂的な支持者がいると言われるマイク・リー監督作。一組の夫婦が過ごす季節が丁寧に綴られる。英国映画枠は少なく、受賞もまずないと思われるが…。映画祭向きの作品か。
ブルーバレンタイン Blue Valentine （ワインスタイン・カンパニー）	結婚生活の危機に直面している夫婦を描くサンダンス絶賛作品。監督は無名ながら、オスカー候補経験を持つライアン・ゴズリングとミシェル・ウィリアムスガ共演。インディペンデント・スピリット賞を狙え。
フェア・ゲーム Fair Game （サミット・エンターテイメント）	長らく製作が噂されていたヴァレリー・プレイム事件が遂に映画化。社会派メッセージが込められた物語はオスカー好み。ダグ・リーマンが監督で、予想以上に娯楽的な仕上がりとの噂があるが…。
Get Low （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	40年間森で過ごしてきた男が自らの葬式を計画することから起きる出来事を描く。トロント映画祭でBUZZ沸騰。予想以上に軽いタッチで描かれている？ロバート・デュヴァルの演技賞中心のレース。
ゴーストライター The Ghost Writer （サミット・エンターテイメント）	何かと話題のロマン・ポランスキーがロバート・ハリスの原作を映画化。元英国首相の自叙伝のゴーストライターとなる男の物語。２月公開ゆえキャンペーンが非常に重要になる。娯楽性が強過ぎる？
Made in Dagenham （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	1968年、フォード社で起こったストライキを先導した女性を描く実話物。英国枠を獲得したいが、コメディ仕立てなのが敬遠されるかもしれない。トロント映画祭で沸騰したBUZZが急降下。
ラビット・ホール Rabbit Hole （ライオンズゲイト）	愛息子を亡くしたカップルの試練を描く人気舞台の映画版。良くできた舞台劇が良くできた映画になるとは限らない。暗い内容はヒットも難しそう。役者に賞賛が集まって終わり？
セクレタリアト奇跡のサラブレッド Secretariat （ディズニー）	1973年に三冠を獲得した競走馬セクレタリアトとそのオーナーであるペニー・チェネリーを描くドラマ。セクレタリアトは決して負けない！「シービスケット」との比較。ディズニーの実写が認められるのは稀。
シャッターアイランド Shutter Island （パラマウント）	デニス・ルヘインの原作を名匠マーティン・スコセッシが映画化。精神異常者を隔離する孤島で一人の収監者が行方不明になり…。スコセッシが選んだ主演者はレオナルド・ディカプリオ。またかよ！
ウェイバック脱出6500km The Way Back （ニューマーケット・フィルムズ）	1940年、シベリアの強制収容所から脱出した兵士たちを描くサヴァイヴァル劇。原作はスラヴォミール・ラウィッツ。作品規模はさほど大きくない。批評家賞で注目されないと苦しいはず。
Longshot
ラスト・ターゲット The American （フォーカス・フューチャーズ）	最後の任務のためにイタリアの田舎町に隠れる殺し屋を描くドラマティック・スリラー。主演が絶好調ジョージ・クルーニーというのは強みだが、娯楽色強い仕上がりになる可能性大。まずまずの評価。
アニマル・キングダム Animal Kingdom （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	手を差し伸べてくれる犯罪ファミリーと刑事の間で揺れ動く17歳の少年の成長を描く犯罪スリラー。サンダンス映画祭で審査員賞を受賞して注目される。オーストラリア映画で、かつ夏公開。
バーニーズ・バージョンローマと共に Barney's Version （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	３回結婚しふたりの子どもを儲けた男が友人の失踪事件に巻き込まれる様を描くドラマ。味のある存在感を持つポール・ジャマッティが主演。泣かせの要素も盛り込まれていると言われているが…。
BIUTIFUL ビューティフル Biutiful （ロードサイド・アトラクションズ）	闇取引に巻き込まれた男が警官になった幼馴染と対峙する様を描く人間ドラマ。手掛けるのは、作品を発表する度に話題になるアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ。スペイン語映画という点が難。
バーレスク Burlesque （スクリーン・ゲムス）	田舎から出てきた女の子が夢を叶えていく様を描くミュージカル。12の楽曲、ダンスで構成されているとか。主演は満を持しての女優デビューとなるクリスティーナ・アギレラ。否定派優勢。
カンパニー・メン The Company Men （ワインスタイン・カンパニー）	大手企業に勤める３人がリストラから逃れようと四苦八苦する１年を描くドラマ。今の時代を反映させた内容に会員も無関心ではいられない？手掛けるのはTVで実績を積んだジョン・ウェルズ。
ディア・ブラザー Conviction （フォックス・サーチライト）	殺人強盗罪で終身刑となった兄の無実を晴らすために弁護士になる女性を描く実話ドラマ。娯楽性と芸術性のバランスは？批評はさほど伸びず、興行的にもインパクトはなし。
僕の大切な人と、そのクソガキ Cyrus （フォックス・サーチライト）	最近離婚したばかりの男が夢の女性に出会うが、彼女には息子がいて…。大凡オスカー向きではない話だが、配給元の力で浮上あり？大ヒットとゴールデン・グローブ賞を目指しましょう。
小悪魔はなぜモテる?! Easy A （スクリーン・ゲムス）	仲間ハズレにされた女子高生が「緋文字」のヒロインのごとく状況を打破していく様を描く痛快コメディ。エマ・ストーンの魅力にアメリカがノックアウト。ゴールデン・グローブ賞なら…。
Greenberg （フォーカス・フィーチャーズ）	「イカとクジラ」で大注目されたノア・バームバック監督によるドラマティック・コメディ。ベン・スティラーが主演という意外な配役。兄弟のアシスタントと関係を持つ男を描く。好評だが、話題性に乏しい。
ヒアアフター Hereafter （ワーナー・ブラザース）	ブルーカラーの米国人、フランスのジャーナリスト、英国の少年を主人公にしたスーパーナチュラルスリラー。この手のジャンルはオスカー好みではないが…。まずまずの評価に留まり、BUZZ下降。
ヒックとドラゴン How to Train Your Dragon （ドリームワークス）	ヴァイキングの少年とドラゴンの交流を描くアニメーション。このスタジオにしては正統派の作りで、批評的にも興行的にも大成功。続編製作も決定した。『トイ・ストーリー３』がなければ…。
モールス Let Me In （オーヴァーチュア・フィルムズ）	世界的に高評価＆大ヒットしたスウェーデン発の青春ヴァンパイアロマンス「ぼくのエリ 200歳の少女」がハリウッドリメイク。ヴァンパイアブームに乗っかった安易な企画とは一線を画すも、興行的に撃沈。
ラブ＆ドラッグ Love and Other Drugs （20世紀フォックス）	バイアグラのセールスマンとパーキンソン病の女性を描くドラマ。原作はジェイミー・レイディ。若くして候補経験を持つジェイク・ギレンホールとアン・ハサウェイがカップルを演じる。興行的成功は…。
愛する人 Mother and Child （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	35年前に養子制度により別れた母娘、養子を迎え入れたいと願うアフリカ系女性の３人を主人公にしたドラマ。豪華実力派女優陣の共演が話題。女性映画はオスカーで受け難い傾向がある。
わたしを離さないで Never Let Me Go （フォックス・サーチライト）	ある施設で育った３人の仲間たちの関係を描き出すSF風スリラー。ブッカー賞受賞の原作はカズオ・イシグロ。英国を代表する若手俳優の競演が話題。期待ほど批評家受けはしなかったが…。
ノーウェアボーイひとりぼっちのあいつ Nowhere Boy （ワインスタイン・カンパニー）	少年時代のジョン・レノンを描き出す音楽ドラマ。英国では2009年に公開され高評価、各映画賞に顔を出している。英国映画枠を獲得するほどに勢いがあるとは思われないが…。
SOMEWHRE Somewhere （フォーカス・フィーチャーズ）	「マリー・アントワネット」でコケたソフィア・コッポラが復活を目指すコメディ・ドラマ。大人になれない悪ガキ俳優が11歳の娘の訪問を受けて人生を再考する話。ヴェネチア映画祭制覇。Win: VIFF
ツーリスト The Tourist （コロンビア）	イタリアで傷心旅行中の男が女に出会い、事件に巻き込まれていく様を描くドラマティック・スリラー。酷評に染まったのにゴールデン・グローブ賞候補に挙がり、批判が集中している。

No Chance　チャンスなし　（1/1）
アレクサンドリア Agora （ニューマーケット・フィルムズ）	アリス・イン・ワンダーランド Alice in Wonderland （ディズニー）
幸せの行方... All Good Things （マグノリア）	ロビイストの陰謀 Casino Jack （ATO）
デュー・デート出産まであと５日！史上最悪のアメリカ横断 Due Date （ワーナー・ブラザース）	食べて、祈って、恋をして Eat, Pray, Love （コロンビア）
フランキー＆アリス Frankie & Alice （フリースタイル・リリーシング）	グリーン・ゾーン Green Zone （ユニヴァーサル）
ガリバー旅行記 Gulliver's Travels （20世紀フォックス）	幸せの始まりは How Do You Know （コロンビア）
Howl （オシロスコープ）	アイアンマン２ Iron Man 2 （パラマウント）
Jack Goes Boating （オーヴァーチュア・フィルムズ）	キラー・インサイド・ミー The Killer Inside Me （IFCフィルムズ）
ナイト＆デイ Knight and Day （20世紀フォックス）	マッド・ブラザー Leaves of Grass （テレパシック・スタジオ）
Like Dandelion Dust （ブルー・カラー・リリーシング）	ラブ・ランチ欲望のナイトクラブ Love Ranch （E1エンターテイメント）
ミックマック Micmacs （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	恋とニュースの作り方 Morning Glory （パラマウント）
My Own Love Song （レジェンド・フィルムズ）	スリーデイズ The Next Three Days （ライオンズゲイト）
オンディーヌ海辺の恋人 Ondine （マグノリア）	レポゼッション・メン Repo Men （ユニヴァーサル）
ロビン・フッド Robin Hood （ユニヴァーサル）	The Special Relationship （HBOフィルムズ）
ストーン Stone （オーヴァーチュア・フィルムズ）	テンペスト The Tempest （タッチストーン）
ウォール・ストリート Wall Street 2: Money Never Sleeps （20世紀フォックス）	ロストガール Welcome to the Rileys （アパリション）
恋のロンドン狂騒曲 You Will Meet a Tall Dark Stranger （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）

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