| Final Predictions | |||||||||||||||||||
| アネット・ベニング | ニコール・キッドマン | ジェニファー・ ローレンス |
ナタリー・ポートマン | ミシェル・ウィリアムス | |||||||||||||||
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| ○ | △ | ◎ | |||||||||||||||||
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史上最大の大混戦とも呼ばれた主演女優賞レースは結局、前哨戦で踏ん張った者たちが順当に指名を受ける結果となった。『家族の庭』のレスリー・マンヴィルが落選したことが大いに嘆かれているが、これは彼女を助演プッシュにしなかった配給側の完全なる戦略ミスだろう。オスカーは駆け引きも重要なのだ。 そんなわけで賞レースが始まったときは各コンテンダーが横一線といった印象が強かった。何しろレースの幕開けを告げるナショナル・ボード・オブ・レヴューを制覇したのは、落選したマンヴィルである。批評家賞ではニューヨークが『キッズ・オールライト』のアネット・ベニング、ボストンが『ブラック・スワン』のナタリー・ポートマンと割れた他、ロサンゼルスでは『母なる証明』のキム・ヘジャ、全米では『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』のジョヴァンナ・メッツォジョルノという全くのノーマーク外国女優が浮上したくらいである。『ウィンターズ・ボーン』の新人ジェニファー・ローレンスも地方の批評家賞を獲得して伸びを見せた。ただ、レースが後半になるにしたがってひとりの女優に集中してスポットが当たり始める。もちろんポートマンである。 対象作がヴェネチア国際映画祭で初公開されたときからポートマンの演技は話題の的だった。作品は賛否が割れたが、肉体的も精神的もバレリーナの苦悩を曝け出す鬼気迫る演技は、オスカー受賞確実との賛辞が飛んだ。混戦が予想される主演女優賞レースの中でも一際目立つとの太鼓判を得て。そうした言葉が嘘でなかったことをポートマンは証明する。ブロードキャスト映画批評家協会賞、ゴールデン・グローブ賞、アメリカ映画俳優組合賞の重要３賞のコンプリート受賞を達成したのだった。 それはおそらくたまたまのことなのだろう。しかし今回の賞レースシーズン、ポートマンはたとえトップコンテンダーでなかったとしてもメディアの注目を集めていたと思われる。レースが小休止していた12月下旬に、突如婚約＆妊娠を発表したのだ。相手は対象作の共演者で振付師でもあるバンジャマン・ミルピエ。依然清純のイメージがあり、ゴシップと縁遠いポートマンの、全く予期せぬタイミングでの発表にメディアは大興奮。報道はポートマン一色の様相を呈していく。当然のことながらポートマンは各授賞式にマタニティドレスで登場。このスタイルでも注目を一身に集め、ライヴァル女優たちを圧倒することになる。他にもアシュトン・カッチャー共演のロマンティック・コメディ『抱きたいカンケイ』のスマッシュヒットやインディーズ映画『水曜日のエミリア』の公開も話題を呼び、今後も話題作が目白押し。まさにオスカーを受賞するには、全てが絶好のタイミングなのである。あぁ、オスカーは運も重要なのだ。 ポートマンの受賞はかなり堅いところまできているが、逆転の目を残しているが、これが４度目のノミネートとなるベニングだ。実際、賞レースが始まる直前まではベニングの勝利を信じる声も大きかった。何度も候補に挙がり、いずれも良いところまで行き、しかし最後に躓き続けた女。それがベニング。彼女に受賞させてあげたいと思う人が多いのも当然だろう。ジュリアン・ムーアとカップルを演じた対象作の演技は夏のアメリカに爽やかな風を吹き込み、その確かな演技力によりその実力を再確認させた。ただ、ポートマンの熱演系の演技と対抗するにはインパクトには欠けるかもしれない。ポートマンの勢いには及ばないと見るのが妥当だろう。 ローレンス、『ラビット・ホール』のニコール・キッドマンと『ブルーバレンタイン』のミシェル・ウィリアムスのセンはない。ローレンスはキャリア不足、キッドマンは既に受賞済み、ウィリアムスは対象作のBUZZ消滅…という点がマイナスになる。ポートマンにはマイナスポイントがあっては勝てないのだ。 なお、近年の主演女優賞の受賞者の名前を見ると、スター女優がズラリ並んでいることに気づく。そこにポートマンが入るのは全く違和感がない。壇上からポートマンがお腹の子どもと共に笑顔でスピーチする様が目に浮かぶ。そしてそれを哀しみを秘めた笑顔で見つめるベニングの顔も…。 |
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