Predictions -Best Picture-

Predictions -Best Picture-

作品賞

受賞予想（2/21）

Final Predictions

アーティスト

ファミリー・ツリー

ものすごくうるさくて、
ありえないほど近い

ヘルプ
心がつなぐストーリー

ヒューゴの
不思議な発明

◎

△

○

ミッドナイト・
イン・パリ

マネーボール

ツリー・オブ・ライフ

戦火の馬

OSCAR PLANET Prediction		アーティスト
General Prediction		アーティスト
My Hope		ファミリー・ツリー

　ノミネート作品が10本という規定は結局、たった２年しか続かなかった。候補は「５本～10本」に変更され、第１位票を5.0％獲得した作品がそのまま候補入り確定する。ただし、それ以外にも候補入りになる場合があり、その規定については詳しく公開されていない。そしてどうやら、その例外的規定がクセモノだったようだ。低評価に終わった『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』が5.0％以上の第１位票を獲得したとはどうしても思えない。今後しばらくは、作品賞規定に関して試行錯誤が続いていくと予想する。

　さて、今年の本命は間違いなく、フランス映画『アーティスト』だ。アメリカの映画賞であるアカデミー賞でフランス映画が頂点に輝くことに違和感を感じる会員が多いのではないかとの声もあるようだが、本作はモノクロ＆サイレント（風）映画。フランス映画と言っても、フランス語が飛び交うわけではない。そもそも舞台は黄金期のハリウッド。フランス云々が頭を過ぎることなく、作品に集中できるようだ。映画界に生きるオスカー会員たち、それも昔のハリウッドを知る老会員たちは郷愁を誘われ、泣き笑いすることだろう。アメリカ製作者組合賞、ゴールデン・グローブ賞、ブロードキャスト映画批評家協会賞の全てを制覇。その王座はそう簡単には揺るがない。

　今年の傾向は懐古趣味ということになるのだろうか。『ヒューゴの不思議な発明』や『ミッドナイト・イン・パリ』も懐かしい時代を舞台にしている。特に前者は『アーティスト』同様映画愛炸裂の作品で、マーティン・スコセッシの記憶がたっぷりと詰め込まれた重要な作品として歓迎されている。ただ、主人公は子どもだ。この点が『アーティスト』とのいちばんの違いで、大人である会員たちは結局、『アーティスト』の方により惹かれることだろう。3D映像という点も引っ掛かる。もし『ヒューゴ』が逆転するならば、それはスコセッシのネームヴァリューが大きく物を言ったときだが、それはおそらく監督賞部門となるのではないか。

　作品賞を受賞するために重要な条件として、監督賞でも候補に挙がっていることが挙げられる。映画は監督のヴィジョンを映し出したものだから当然だ。ただ、あまり語られないことだが、同じくらい重要なのが、編集賞でも候補に挙がっていることだ。いくら物語が面白くても、演技が素晴らしくても、演出が巧みでも、編集がグダグダでは作品は台無しになる。編集が持つ意味は大きい。となると、監督賞、編集賞の両方で候補に挙がっていなければ、受賞の目はグッと低くなる（できれば脚本賞、脚色賞でも候補に挙がりたい）。そして今年、監督賞、編集賞でノミネートされた上で、作品賞候補に名を連ねたのは、『アーティスト』『ヒューゴの不思議な発明』、そして『ファミリー・ツリー』となる。

　アレクサンダー・ペインがまたしても放った傑作は、ジョージ・クルーニーが主演していることもあり、ペインの前作「サイドウェイ」級の賛辞を獲得した。作品賞受賞の資格も十分具えていると言えるだろう。ただ、本作は小品だ。ペイン自身が大作に興味がなく、所謂風格というものを求める会員には敬遠される可能性がある。内容もパーソナルな要素が強い。主演男優賞、脚色賞に票が流れると考えるのが妥当ではないか。

　不気味なのは『ヘルプ心がつなぐストーリー』だ。アメリカ映画俳優組合賞でふたつの女優賞、そして最高賞であるキャスト賞を受賞している。これは俳優人気が高いということで、そしてアカデミー会員の多くはその俳優なのだ。サマーシーズンに大ヒットし、大衆性も抜群と言える。ただ、本作は監督賞で無視されている。編集賞でも切られた。さらには脚色賞でも締め出しを食らっている。さすがに作品賞のトップに辿り着くのは難しいはずだ。

　その他『ミッドナイト・イン・パリ』はスケールに乏しく、『マネーボール』は編集賞候補に挙がっているのは強みでも野球界を舞台にしているのが気にかかる（野球と賞の相性はそれほど良くない）。『ツリー・オブ・ライフ』はあまりに観念的過ぎるし、『戦火の馬』はいつの間にかBUZZが吹き飛んでしまった。『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』はあれだけ評価が伸び悩んだのだから、候補入りだけを喜ぶべきだろう。

　やはり『アーティスト』が頂点に立つ。番狂わせは起きそうにない。

**Prediction Chart**
		％	Final	2/16	2/11	2/6	2/1	1/26
1	アーティスト	40	1	1	1	1	1	1	本命
2	ヒューゴの不思議な発明	15	2	2	2	3	3	3	対抗
3	ヘルプ心がつなぐストーリー	15	3	3	4	4	4	5	大穴
4	ファミリー・ツリー	15	4	4	3	2	2	2	大穴
5	マネーボール	5	5	5	5	5	6	7	Happy to be Nominated
6	ミッドナイト・イン・パリ	5	6	6	6	6	5	4
7	戦火の馬	3	7	7	8	8	8	8
8	ツリー・オブ・ライフ	1	8	8	7	7	7	6
9	ものすごくうるさくて、ありえないほど近い	1	9	9	9	9	9	9

**List of Marks**
アーティスト	10部門ノミネート（＋）	6.5
	サイレント＆モノクロの画面に映画愛炸裂。老会員涙（＋＋）
	PGA、GGA、BFCA…重要賞コンプリート受賞（＋＋＋）
	でも「ソーシャル・ネットワーク」は前哨戦快走でも最後にコケる（－）
	犬のアギーにノックアウト。絶対壇上で見たいよ（＋）
	キム・ノヴァクは「クラシック映画をレイプしたような映画」と批判（＊）
	フランス映画でも舞台はハリウッド。郷愁を誘われる（＋）
ファミリー・ツリー	５部門ノミネート（＊）	4.5
	ゴールデン・グローブ賞受賞でホッと一安心（＋＋）
	アレクサンダー・ペイン作品が頂点に立っても良い頃（＋＋）
	普遍的な家族問題をさすがの演出力で料理。オスカー向き（＋＋＋）
	インパクトという点で『アーティスト』『ヒューゴ』より弱い（－）
	興行的にはそこそこのヒットに留まる。派手さが欲しいよ（－）
	完全シャットアウトの匂いが漂い始めている（－）
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い	２部門ノミネート（＊）	0.5
	9.11テロを描いたドラマ。オスカー向きと言われている（＋＋＋）
	トム・ハンクスやサンドラ・ブロックが出てるのか。安心安心（＋）
	批評家の評価は芳しくない。それなのに候補入り（－）
	スティーヴン・ダルドリーってそんなに好かれているの？（－）
	『ドライヴ』『ドラゴン・タトゥーの女』の方が相応しいでしょ！（－）
	もし受賞したら会場は白けたムードになること確実（－）
ヘルプ心がつなぐストーリー	３部門４ノミネート（＊）	3.5
	夏のアメリカを爽やかな感動に包み込むサプライズ（＋＋＋）
	役者のアンサンブルが高評価。会員は俳優中心（＋＋＋）
	監督賞、脚色賞で候補から漏れたのが痛い（－）
	編集賞でノミネートされなかったのがもっと痛い（－－）
	だって実は作品評価はそこまで高いものではなかった（－）
	女性票、アフリカ系票の大量獲得で、逆転だ！（＋）
ヒューゴの不思議な発明	最多11部門ノミネート（＋＋）	4.5
	あぁ、でも演技賞には誰も絡んでいない（＊）
	マーティン・スコセッシ映画史上、極めて重要な作品（＋＋＋）
	映画愛炸裂、同業者も当然胸を打たれる（＋＋）
	でも子どもが主人公？舞台はパリ？それはちょっと…（－）
	3Dは目が疲れるわい。最近目がかすんでかすんで…（－）
	作品賞は大作が似合う。今年はこれでしょう（＋＋）
ミッドナイト・イン・パリ	４部門ノミネート（＊）	1.5
	おかえりウッディ・アレン！やっぱりあなたはアメリカの宝（＋）
	高評価だが前哨戦では票は脚本賞に流れている（－）
	20年代のパリの描写にうっとり。会話もカッコイイ（＋＋）
	でも今年は『アーティスト』『ヒューゴ』も同じ時代が舞台（＊）
	喜劇なら『アーティスト』に票は流れる（－）
	犬が出てきたなら、こちらに入れたかもよ！（＊）
マネーボール	６部門ノミネート（＋）	1.5
	アメリカが愛する価値観をヴィヴィッドに描写（＋＋）
	重要な編集賞候補に挙がったのは大きい（＋）
	前哨戦は全てノミネート止まり（－）
	主演男優賞、脚色賞に票は流れるはず（－）
	野球映画が頂点に立つとは考え難くて…（－）
	いや、よく見れば「野球映画」ではないんだけどね（＊）
ツリー・オブ・ライフ	３部門ノミネート（＊）	0.5
	テレンス・マリック作品は素晴らしいと観なくても分かっちゃう（＋）
	映画祭や批評家賞で熱烈に愛される（＋＋）
	この映画が好きって言ったら、賢く思われそう（＋＋）
	カンヌや映画館ではブーイングも…嫌いな人はとことん嫌い（－－）
	ばあさんや、それで結局何が言いたかったんじゃ？（－－）
	おそらくマリック自身も作品を正確には説明できない（－）
戦火の馬	６部門ノミネート（－）	1.5
	スティーヴン・スピルバーグは何でも巧くやりおるのう（＋＋）
	スケール感たっぷりの感動ドラマ。オスカー向き（＋）
	好評だが、一年のベストかというと…？？？（－）
	実際批評家賞ではほとんど注目されなかった（－）
	組合賞でもノミネート漏れが次々と…（－）
	ワシはお馬さんが好きなんじゃ。スクリーン映えする動物じゃ（＊）

The Nine Nominees　ノミネート作品　［I guessed 7/9］
アーティスト　The Artist
	配給：ワインスタイン・カンパニー　　監督：ミシェル・アザナヴィシウス
	Nominees 作品、監督、主演男優、助演女優、脚本、撮影、編集、美術、衣装デザイン、作曲（10部門）
	Precursors PGA、BAFTA、GGA、ISA、BFCA、NYFCC、BSFC、LVFCS、WFCA、IFJA、SDFCS、DFCS...
	全てはカンヌ映画祭から始まった。サイレントからトーキーへと移り変わろうとしているハリウッド黄金期を舞台にしたモノクロ、サイレント（風）映画が世界を魅了。仏映画でありながら、瞬く間に作品賞本命へ。
ファミリー・ツリー　The Descendants
	配給：フォックス・サーチライト　　監督：アレクサンダー・ペイン
	Nominees 作品、監督、主演男優、脚色、編集（５部門）
	Precursors GGA、GSA、LAFCA、HFCS、DFFCA、SFCA、FFCC、KCFCC、IFCA
	アレクサンダー・ペイン作品は映画ファンや批評家に愛されている。そしてオスカー会員にも愛されている。ジョージ・クルーニー扮する妻に不倫された男がハワイで七転八倒。『アーティスト』の対抗馬。
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い　Extremely Loud and Incredibly Close
	配給：パラマウント　　監督：スティーヴン・ダルドリー
	Nominees 作品、助演男優（２部門）
	Precursors None
	9・11テロで父親を失った少年の物語。オスカー好みの題材と言われながら、賞レースで大苦戦。しかし、オスカーではまさかの逆転候補に挙がり、会員の保守性を証明した形に。でもホントにそれで良いの？
ヘルプ心がつなぐストーリー　The Help
	配給：ディズニー　　監督：テイト・テイラー
	Nominees 作品、主演女優、助演女優（×2）（３部門４ノミネート）
	Precursors BFCC
	決して抜群に評価が高かったわけではない。それでも2011年の夏、人々は女だらけのこの映画を愛した。「クラッシュ」（04年）「リトル・ミス・サンシャイン」（06年）と同じポジション。大逆転、あるぞ。
ヒューゴの不思議な発明　Hugo
	配給：コロンビア　　監督：マーティン・スコセッシ
	Nominees 作品、監督、脚色、撮影、編集、美術、衣装デザイン、視覚効果、録音、音響効果他（最多11部門）
	Precursors NBR、AFCA、NFCS
	オスカーは子どもを主人公にした映画に冷たい。しかし、それでもこの大量ノミネート。名匠にとっても極めて重要な作品と評価された。映画を愛する人による映画を愛する人に贈るラヴレター。
ミッドナイト・イン・パリ　Midnight in Paris
	配給：ソニー・ピクチャーズ・クラシックス　　監督：ウッディ・アレン
	Nominees 作品、監督、脚本、美術（４部門）
	Precursors None
	おかえりウッディ・アレン！パリで現代と過去を行き来するコメディで久しぶりの高評価。アレン映画はヒットしないとの法則も打ち破る。受賞はないだろう。でもこういう軽妙劇のノミネートは嬉しい。
マネーボール　Moneyball
	配給：コロンビア　　監督：ベネット・ミラー
	Nominees 作品、主演男優、助演男優、脚色、編集、録音（６部門）
	Precursors None
	タイトルにある理論は一見頭でっかちだ。しかし、それをハートと身体に結びつけることに成功した。中ヒットに留まったが、これぞハリウッドが最も得意とする一品。主演男優賞、脚色賞受賞を狙う。
ツリー・オブ・ライフ　The Tree of Life
	配給：フォックス・サーチライト　　監督：テレンス・マリック
	Nominees 作品、監督、撮影（３部門）
	Precursors CFCA、SFFCC、DFCS2、GFCA、TFCA、OFCS、AAFCA、IWFCP、CIFF
	カンヌ映画祭でプレミア上映されたときから賛否両論。しかし、批評家は本作を愛した。アカデミーも愛した。哲学性の強い観念的な作りながら、確かに人の心を捉えた。マリックマジックは健在だ。
戦火の馬　War Horse
	配給：ドリームワークス　監督：スティーヴン・スピルバーグ
	Nominees 作品、撮影、美術、録音、音響効果、作曲（６部門）
	Precursors NTFCA
	ハリウッドオールドスタイルを踏襲した感動ドラマ。そこにスティーヴン・スピルバーグの演出が加わり、候補ギリギリセーフ。期待されたより盛り上がりは欠けるが、こういう作品がなくてはオスカーではない。

ranking

製作費			前哨戦ポイント　-2/26-
1	ヒューゴの不思議な発明	$170m	1	アーティスト	218.5 p
2	戦火の馬	$66m	2	ファミリー・ツリー	174.0 p
3	マネーボール	$50m	3	ヒューゴの不思議な発明	150.0 p
4	ツリー・オブ・ライフ	$32m	4	ヘルプ心がつなぐストーリー	129.0 p
5	ヘルプ心がつなぐストーリー	$25m	5	ツリー・オブ・ライフ	124.5 p
6	ファミリー・ツリー	$20m↓	6	ミッドナイト・イン・パリ	110.0 p
7	ミッドナイト・イン・パリ	$17m	7	戦火の馬	98.5 p
8	アーティスト	$15m	8	マネーボール	93.5 p
9	ものすごくうるさくて、ありえないほど近い	$？m	9	ものすごくうるさくて、ありえないほど近い	61.0 p

評価 rating			興行収入　-2/20-
1	アーティスト	95.1 p	1	ヘルプ心がつなぐストーリー	$169m
2	マネーボール	90.2 p	2	戦火の馬	$78m
3	ヒューゴの不思議な発明	89.1 p	3	マネーボール	$75m
4	ファミリー・ツリー	88.7 p	4	ファミリー・ツリー	$75m
5	ミッドナイト・イン・パリ	87.5 p	5	ヒューゴの不思議な発明	$67m
6	ツリー・オブ・ライフ	86.1 p	6	ミッドナイト・イン・パリ	$56m
7	戦火の馬	76.7 p	7	ものすごくうるさくて、ありえないほど近い	$30m
8	ヘルプ心がつなぐストーリー	71.0 p	8	アーティスト	$28m
9	ものすごくうるさくて、ありえないほど近い	53.4 p	9	ツリー・オブ・ライフ	$13m

上映時間
1	戦火の馬	146min
2	ツリー・オブ・ライフ	138min
3	ヘルプ心がつなぐストーリー	137min
4	ものすごくうるさくて、ありえないほど近い	129min
5	ヒューゴの不思議な発明	127min
6	マネーボール	126min
7	マネーボール	103min
8	ファミリー・ツリー	115min
9	アーティスト	100min
10	ミッドナイト・イン・パリ	88min

ノミネート予想（1/21）

Final Prediction

　過去２年間作品賞は10枠だったが、やはり10本は多過ぎるという批判が多かったのだろう、今シーズンから５～10本へと流動的になった。候補に挙がる条件は第１位票を全体の5.0％獲得すること。会員は順位をつけて投票し、第１位とした票が5.0％以上であれば、そのままノミネートとなる。5.0％獲得できなくてもノミネートを受けられる例外もあるようだが、そのプロセスについては公開されていないため、予想する側としてはそこまで深く考える必要はないだろう。

　候補ではなく受賞を狙う作品に関しては、候補落ちは心配しなくても良いだろう。この部門はサプライズが起き難い。したがって『アーティスト』『ファミリー・ツリー』のフロントランナー２本はノミネートまでは問題なし。配給元もいかに受賞に導くか、知恵を絞っているはずだ。

　この２本に挑戦権を持っているのは『ヒューゴの不思議な発明』『戦火の馬』だろう。前者はマーティン・スコセッシの映画愛炸裂の内容が受けるだろうし、後者はスティーヴン・スピルバーグの良心が結実したような内容が支持を集めると思われる。どちらもノミネートまでは問題ないと考えるべきだろうが、前者は子どもが主人公であること、後者は批評家賞で無視されたことが若干気にかかる。特に『戦火の馬』はウェルメイドではあっても、積極的な支持に回りたいほどに巧緻な出来ではないようだ。おそらくスピルバーグの名前が武器になると思われるが…。

　『ヘルプ心をつなぐストーリー』『ミッドナイト・イン・パリ』『マネーボール』も作品賞候補資格を備えていると言える。『ヘルプ』は作品評価はそれほど伸びていないものの興行的成功が大きな強み。『ミッドナイト・イン・パリ』は小品だがウッディ・アレンのネームバリュー効果が発揮されるはず。『マネーボール』は大ヒットには至らなかったもののハリウッドが得意とするサクセスストーリーの側面がプラスに働くと思われる。いずれも10枠ならばノミネート確実だった。女性票、アフリカ系票が雪崩れ込みそうな『ヘルプ』やアレン支持者の熱心なサポートがありそうな『ミッドナイト・イン・パリ』は第１位票を獲得しやすいが、『マネーボール』は第１位票を掻き集める要素は少なめかもしれない。

　票の動きが読めないのが『ドライヴ』だ。批評家に愛されたアクション・ドラマで、早々とカルトムービーになること確実と言われている。前哨戦でも愛されたが、その作風はオスカーの王道からはハズレていて、候補入りは難しいかもしれない。プロフェッショナルなブロードキャスト映画批評家協会賞（BFCA）で候補に挙がり、ミーハーなゴールデン・グローブ賞で候補から外れているのが、作品の立ち位置を表している。オスカーはBFCAとゴールデン・グローブ賞のちょうど中間くらいの嗜好だ。本作が滑り込んでもおかしくない。それに第１位票を獲得しやすい作品だろう。

　第１位票を獲得しやすいと言えば『ツリー・オブ・ライフ』もそうだ。ハリウッドで生きる伝説と化しているテレンス・マリック久々の新作は、ブラッド・ピットがプロデュース・主演したことでも話題。批評家からの絶賛を受け、前哨戦も快走している。マリック信仰とでも言うべき力が動けば、受賞はなくても候補まではイケるはずだ。ただ、本作はカンヌ映画祭上映時にブーイングが巻き起こったように、拒否反応が出やすい観念的作りでもある。批評家とは見方の異なるオスカーで熱烈に愛されるとは思えない。果たして…。

　さらに気になるのは『ドラゴン・タトゥーの女』だ。スウェーデン映画のリメイクだし、過激でダークだし、娯楽性追求の作りだし…と丸っきりオスカー好みではないものの、アメリカ映画協会賞でトップ10に入り、アメリカ製作者組合賞、アメリカ監督組合賞を始め、組合賞で次々候補に挙がる好調ぶりで、まさかのノミネートが見えてきた。デヴィッド・フィンチャーの名前も大きな後押しになるだろう。同じくオスカー好みではないものの、組合賞を快走している『ブライズメイズ史上最悪のウェディングプラン』と共に、不気味な位置につけていると言える。

　その他『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』『裏切りのサーカス』が逆転ノミネートを狙っている。ただ、前者は批評家にそっぽを向かれてしまい大きく後退。オスカー好みの題材を持ってしても苦しくなった。後者は批評家受けは抜群に良かったが、地味過ぎる作風が災いしてか、前哨戦で苦戦を強いられている。英国会員票をどれだけ獲得できるだろうか。

OSCAR PLANET Prediction
アーティスト（ミシェル・アザナヴィシウス監督）	Lock
ファミリー・ツリー（アレクサンダー・ペイン監督）	Lock
ドラゴン・タトゥーの女（デヴィッド・フィンチャー監督）	Shaky
ヘルプ心がつなぐストーリー（テイト・テイラー監督）	Likely
ヒューゴの不思議な発明（マーティン・スコセッシ監督）	Likely
ミッドナイト・イン・パリ（ウッディ・アレン監督）	Shaky
マネーボール（ベネット・ミラー監督）	Shaky
戦火の馬（スティーヴン・スピルバーグ監督）	Shaky
The Runner-up
ツリー・オブ・ライフ（テレンス・マリック監督）	Shaky

The Five - Ten Frontrunners　フロントランナー（5～10作品）　（1/21）
Lock
アーティスト The Artist （ワインスタイン・カンパニー） Win: PGA、BAFTA、ＧＧＡ、ISA、BFCA、NYFCC、BSFC、LVFCS、WFCA、IFJA、SDFCS、DFCS、SLFCA、OFCC、PFCS、LFCC、VFCC、NYFCO	サイレント映画のスターがトーキー映画の出現で困難に直面する様を描く。過去の名作からの引用、オマージュが会員の心をくすぐる。 ~~Weak Point~~ フランス映画。しかも、カンヌ映画祭が認める映画はオスカー受けし難い。…が、それを補って余りある映画愛が会員をノックアウトするのは確実。モノクロ＆サイレント映像も強み。候補落ちはあり得ない。
ファミリー・ツリー The Descendants （フォックス・サーチライト） Win: ＧＧＡ、GSA、LAFCA、HFCS、DFFCA、SFCA、FFCC、KCFCC、IFCA	カウイ・ハート・ヘミングスによる小説の映画化。昏睡状態の妻の不倫相手に会う旅に出る男の物語。ハリウッドの兄貴の主演。 ~~Weak Point~~ 監督は「サイドウェイ」以来６年ぶりに長編を手掛けるアレクサンダー・ペイン。ブランクが長かったのが心配されたが、感傷的になってもおかしくない題材を絶妙に調理。この部門のフロントランナーへ。
Likely
ヘルプ心がつなぐストーリー The Help （ドリームワークス） Win: BFCC	キャサリン・ストケットのベストセラーの映画化。公民権運動が盛り上がる19262年のミシシッピーを舞台に、若い白人女性と黒人メイドの絆を描く。 Weak Point 決して抜群に高い作品評価だったわけではない。ただ、観る者を勇気づける感動的な内容が大受け、ウィークポイントを吹き飛ばすヒットを記録。興行成績も重要な意味を持つことをお忘れなく。
ヒューゴの不思議な発明 Hugo （コロンビア） Win: NBR、AFCA、NFCS	近年のマーティン・スコセッシのベストとの賛辞が乱れ飛ぶ3Dファンタジー。スコセッシは「ディパーテッド」ではなく、この映画で勝利するべきだった。 Weak Point …と言われているが、会員はそう簡単にそれを認めないはず。そもそも会員はスコセッシに3D映画を撮って欲しいと思ってるのか？ファンタジーはこの部門では冷遇傾向。キッズムービーと思われると…。
Shaky
ドラゴン・タトゥーの女 The Girl with the Dragon Tattoo （コロンビア）	原作同様世界的な成功を収めたスウェーデン映画「ミレニアム」三部作をハリウッドがリメイク。手掛けるのは絶好調デヴィッド・フィンチャー。 Weak Point スタジオとの確執が伝えられていたが、なんとか好評で迎えられてホッと一安心。オリジナルは前年封切られたばかりで、観ている会員の票は望めないかも。そもそもオスカー向きの内容ではない。
ミッドナイト・イン・パリ Midnight in Paris （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	ウッディ・アレンがパリを舞台にロマンティック・コメディを撮り上げる。近年最高のアレン映画との評価を獲得。久しぶりにジイサンが賞レースへ。 Weak Point オーウェン・ウィルソンとレイチェル・マクアダムスが主演で一気に若返る。老会員は共感し難かったりして…。このところアレンはオスカーから無視されているしね。彼にはやっぱりニューヨークで撮って欲しい。
マネーボール Moneyball （コロンビア）	マイケル・ルイスのノンフィクション小説の映画化。オークランド・アスレチックスの敏腕GMビリー・ビーンを描く。大スター、ブラッド・ピット主演。 Weak Point スタジオが脚本に満足できず、一度は製作中止に追い込まれた。トラブルがあった作品は出来が良くないことの方が多いが、逆転ホームランなるか。スポーツ映画とオスカーの相性は…。
戦火の馬 War Horse （ドリームワークス） Win: NTFCA	マイケル・モーパーゴの小説を基にした冒険ドラマ。戦争により引き裂かれた少年と馬の絆を描く。スティーヴン・スピルバーグ監督の真面目路線。 Weak Point キャストは地味だが、スピルバーグの名前により広く浸透するだろうか。大ヒットになることが必要になると思われ…。お馬さん映画は前年「セクレタリアト奇跡のサラブレッド」が好評を博しながら無視。

ノミネーション予想これまでの流れ 2011　（Changes in Red）
Final
マネーボール	ヒューゴの不思議な発明	アーティスト*	ファミリー・ツリー	戦火の馬
ミッドナイト・イン・パリ	ヘルプ心がつなぐストーリー	ドラゴン・タトゥーの女	×	×
The Leader：アーティスト
1/1
マネーボール	ヒューゴの不思議な発明	アーティスト*	ファミリー・ツリー	戦火の馬
ミッドナイト・イン・パリ	ヘルプ心がつなぐストーリー	×	×	×
12/1
マネーボール	ヒューゴの不思議な発明	アーティスト	ファミリー・ツリー*	戦火の馬
ミッドナイト・イン・パリ	ものすごくうるさくて...	ヘルプ心がつなぐストーリー	×	×
11/1
マネーボール	裏切りのサーカス	アーティスト	ファミリー・ツリー*	ドライヴ
ミッドナイト・イン・パリ	ものすごくうるさくて...	ヘルプ心がつなぐストーリー	戦火の馬	×
10/1
マネーボール	裏切りのサーカス	アーティスト	ファミリー・ツリー*	ドライヴ
スーパー・チューズデー	Ｊ・エドガー	ヘルプ心がつなぐストーリー	戦火の馬	ミッドナイト・イン・パリ
9/1
マネーボール	裏切りのサーカス	アーティスト	ファミリー・ツリー	幸せへのキセキ
スーパー・チューズデー	Ｊ・エドガー*	ヘルプ心がつなぐストーリー	戦火の馬	ミッドナイト・イン・パリ
8/1
マネーボール	裏切りのサーカス	危険なメソッド	ファミリー・ツリー	幸せへのキセキ
スーパー・チューズデー	Ｊ・エドガー*	ツリー・オブ・ライフ	戦火の馬	ミッドナイト・イン・パリ
7/1
マネーボール	コンテイジョン	危険なメソッド	ファミリー・ツリー	幸せへのキセキ
スーパー・チューズデー	Ｊ・エドガー*	ツリー・オブ・ライフ	戦火の馬	ミッドナイト・イン・パリ
6/1
カーズ２	コンテイジョン	危険なメソッド	ファミリー・ツリー	ヒューゴの不思議な発明
スーパー・チューズデー	Ｊ・エドガー*	ツリー・オブ・ライフ	戦火の馬	ミッドナイト・イン・パリ
5/1
カーズ２	コンテイジョン	危険なメソッド	ファミリー・ツリー	ヒューゴの不思議な発明
スーパー・チューズデー	Ｊ・エドガー*	ツリー・オブ・ライフ	戦火の馬	恋人たちのパレード

The Other Contenders　その他の有力候補　（1/21）
Very Possible
ブライズメイズ史上最悪のウェディングプラン Bridesmaids （ユニヴァーサル）	結婚式でブライドメイドを務めることになった女たちが巻き起こす大騒動。女版「ハングオーバー！」との評判を受けてスリーパーヒットを記録。女が主人公の映画に厳しい傾向。内容も賞好みではない。
ドライヴ Drive （フィルム・ディストリクト）	昼間はスタントマン、夜は銀行強盗のドライヴァーとして生きる男を描くアクション・ドラマ。カンヌに続き、アメリカでも絶賛。しかし結局オスカー向きの題材ではない。Win: UFCA、DFCC、COFCA
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い Extremely Loud and Incredibly Close （パラマウント）	911テロで父を亡くした少年が遺品の鍵に合う鍵穴を求めてニューヨーク中を捜し回る物語。ジョナサン・サフラン・フォアの原作は911絡みの内容で高い注目を集めたが、映画版は批評家受けせず。
裏切りのサーカス Tinker, Tailor, Soldier, Spy （フォーカス・フィーチャーズ）	ジョン・ル・カレのスパイ小説の映画化した英国・フランス合作。英国の実力派が結集。“2011年の「英国王のスピーチ」”？娯楽色が強くなると、完全無視？主演男優賞中心の戦いになることも…。
ツリー・オブ・ライフ The Tree of Life （フォックス・サーチライト）	３人の少年のいる家族を描くテレンス・マリック作。批評家絶賛だが、観念的な作りにブーイングも…。Win: CFCA、SFFCC、DFCS2、GFCA、TFCA、OFCS、AAFCA、IWFCP、CIFF
Possible
50/50 フィフティ・フィフティ 50/50 （サミット・エンターテイメント）	27歳にしてガンに侵された青年の闘いを描くコメディ・ドラマ。水浸しになる危険を秘めた物語だが、どう乗り切るか。主演がジェームズ・マカヴォイからジョセフ・ゴードン＝レヴィットに代わった影響は？
人生はビギナーズ Beginners （フォーカス・フィーチャーズ）	父親から余命僅かであること、年下の男の恋人がいることを告げられて困惑する男を描くコメディ・ドラマ。６月の公開ながらBUZZを優雅に持続。クリストファー・プラマーの助演賞の勢いに乗っかりたい。
英雄の証明 Coriolanus （ワインスタイン・カンパニー）	名優レイフ・ファインズが初監督作に選んだのは、ウィリアム・シェイクスピアによる悲劇。運命に翻弄される戦士戦士コリオレイナスを叙情的に描き出す。豪華英国俳優陣が競演。
危険なメソッド A Dangerous Method （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	ジークムント・フロイト、カール・ユング、そして一人の女性患者をめぐる物語。好調デヴィッド・クローネンバーグがオスカーを征する！あぁ、でも哲学的な小難しい内容になったらどうしましょう。
スーパー・チューズデー正義を売った日 The Ides of March （コロンビア）	大統領民主党候補予備選挙をめぐるスリラー。ベースになっているのはオフブロードウェイ劇。映画向きの題材ではない可能性が高い。まずまずの評価だが、絶対的高評価ではない。興行成績も…。
マーガレット・サッチャー鉄の女の涙 The Iron Lady （ワインスタイン・カンパニー）	マーガレット・サッチャー元英国首相を描く人間ドラマ。メリル・ストリープがそっくりさんメイクで奮闘、主演女優賞本命の呼び声が挙がっている。監督のフィリダ・ロイドは「マンマ・ミーア！」で酷評されて…。
Ｊ・エドガー J. Edgar （ワーナー・ブラザース）	FBI初代長官ジョン・エドガー・フーヴァーをクリント・イーストウッドが描き出す。権力主義、同性愛、差別…映画的な旨味たっぷりで、オスカー臭もプンプン。…が、まさかの酷評優勢。巻き返しは…。
今日、キミに会えたら Like Crazy （パラマウント）	サンダンス映画祭の頂点に輝き、俄然注目のインディーズドラマ。英国の女子学生が不法滞在で国外退去となり、米国の男子学生と長距離恋愛を繰り広げる。フェリシティ・ジョーンズの演技賞に期待。
マージン・コール Margin Call （ロードサイド・アトラクションズ）	2008年に世界を襲った金融危機に立ち向かう銀行員たちの24時間を描くスリラー。出演もしているザッカリー・クイントがプロデューサーとして参加。力のある俳優の競演が目玉か。時代に合った題材。
マーサ、あるいはマーシー・メイ Martha Marcy May Marlene （フォックス・サーチライト）	カルト集団からの虐待に打ちのめされて脱走した女性を描くサンダンス映画祭絶賛作。主演女優のエリザベス・オルセンの熱演に大きな注目が集まりそう。インディペンデント・スピリット賞を狙う。
メランコリア Melancholia （マグノリア）	小惑星が地球に衝突しようというとき、ある姉妹の関係を見つめた心理ドラマ。作品を発表する度に議論を呼ぶラース・フォン・トリアーが監督。豪華スター共演。まさかの技術賞狙い？Win: NSFC
マリリン７日間の恋 My Week with Marilyn （ワインスタイン・カンパニー）	「王子と踊子」でローレンス・オリヴィエと共演するためロンドンにやってきたマリリン・モンローを描くもの。オリヴィエの使用人の回想録をベースにしている。モンローに扮するのはミシェル・ウィリアムス。
別離 A Separation （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	離婚の危機にある夫婦とその娘、彼らの問題に巻き込まれていく人々を描くイラン映画。ベルリン映画祭で大旋風を巻き起こし、2011年を代表する映画へ。外国語映画賞に票は流れる。
SHAME シェイム Shame （フォックス・サーチライト）	セックス依存症の克服に立ち向かう30代のビジネスマンの物語。「HUNGER」で高評価を獲得したスティーヴ・マックイーン監督とマイケル・ファスベンダーが再タッグ。キャリー・マリガンの出演がプラスに。
テイク・シェルター Take Shelter （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	オハイオの小さな町に住む男が裏庭に嵐のためのシェルターを憑かれたように作り始めたことから起きる物語。サンダンス映画祭で絶賛を浴びる。マイケル・シャノンの主演男優賞狙い。
少年は残酷な弓を射る We Need to Talk About Kevin （オシロスコープ）	ラオネル・シュリヴァーの小説の映画化。高校で虐殺事件を起こした息子とその家族の物語。暗過ぎる内容は敬遠される傾向。監督はさほど実績なし。英国映画枠は多くない。
ウォーリアー Warrior （ライオンズゲイト）	バラバラになった家族が主人公。義理の兄と弟が格闘家となりリング上で激突する。トム・ハーディとジョエル・エドガートンの一騎打ちに興奮必至？オスカー会員はなぜだかボクシングが大好き。
幸せへのキセキ We Bought a Zoo （20世紀フォックス）	不治の病に侵された妻を持つ男が老朽化した動物園を買い取って再建に乗り出す話。ベンジャミン・ミーの回想録がベース。動物さんたちはたくさん出てきますか？キャメロン・クロウはこのところ停滞気味。
ヤング≒アダルト Young Adult （パラマウント）	「JUNO ジュノ」を大成功に導いたジェイソン・ライトマンとディアブロ・コーディが再びタッグを組む。故郷に戻ったヤングアダルト小説の作家が昔のBFを追いかける話。オスカー向きではない？
Longshot
タンタンの冒険ユニコーン号の秘密 The Adventures of Tintin （パラマウント）	ベルギーの人気漫画を映画化するファンタジー・アドヴェンチャー。手掛けるのはスティーヴン・スピルバーグ。きっと夢一杯の冒険が繰り広げられる。3Dモーション・ピクチャーは賞受けしないはず。
アルバート氏の人生 Albert Nobbs （ロードサイド・アトラクションズ）	アイルランド人作家ジョージ・ムーアの短編小説の映画化。生きるため男に成り済ましている女が三角関係に陥る話。グレン・クローズはプロデュースと脚本を兼ねる力の入れよう。小品。
おとなのけんか Carnage （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	未だアメリカに入国できないロマン・ポランスキー監督の下にオスカー受賞＆候補俳優が結集。子どものケンカを発端に対立していく親たちが描かれる。演技合戦の火花が見られるのは確実か。
コンテイジョン Contagion （ワーナー・ブラザース）	致死性ウィルスの発生と蔓延の恐怖をスティーヴン・ソダーバーグがアンサンブル形式で描く。オスカー常連の超豪華出演陣が話題。でも、名優を集めるだけでは名作にならないのが映画。
ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 Harry Potter and the Deathly Hallows - Part 2 （ワーナー・ブラザース）	10年に渡って大ヒットを飛ばし続けてきた人気シリーズが遂に完結。しかもシリーズ最高の評価を獲得、興行的にも見事な結果。８作全体で評価されればもしかして…？まさかねぇ。
Higher Ground （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	キャロリン・Ｓ・ブリッグスの自伝的小説の映画化。若くして妊娠・結婚した女が、キリスト教原理主義に傾いていく様を描く。監督はこれがデビュー作となるヴェラ・ファーミガ。小難しそう？
最愛の大地 In the Land of Blood and Honey （フィルム・ディストリクト）	90年代、ボスニア紛争を背景台に、若いセルビア人男性とイスラム教徒のボスニア人女性の恋を描く。あのアンジェリーナ・ジョリーの監督デビュー作ということで大きな話題。そこそこの評価。
ジェーン・エア Jane Eyre （フォーカス・フィーチャーズ）	何度も映画化されているシャーロット・ブロンテの古典小説が再びスクリーンへ。意志の強いヒロインを演じるのは新星ミア・ワシコウスカ。手掛けるのは「闇の列車、光の旅」でブレイクした期待の監督。
ミークス・カットオフ Meek's Cutoff （オシロスコープ）	1845年、幌馬車で大陸横断を試みる人々の過酷な旅を綴る。前年のヴェネチア映画祭で披露されて絶賛された。小品。ポール・ダノ、ミシェル・ウィリアムスの演技賞中心の戦いか。
Pariah （フォーカス・フィーチャーズ）	ブルックリンに住むレズビアンの少女の青春を描くインディーズ・ドラマ。少女の心の揺れを繊細なタッチで浮かび上がらせ、批評家絶賛。“2011年の「プレシャス」”を期待されている。
ランパート汚れた刑事 Rampart （ミレニアム・エンターテイメント）	90年代の警察の汚職スキャンダルを描いたアクション。「メッセンジャー」を絶賛評に導いたオーレン・ムーヴァーマンが、同じウッディ・ハレルソン、ベン・フォスターを起用。骨のあるドラマを期待。
猿の惑星：創世記（ジェネシス） Rise of the Planet of the Apes （20世紀フォックス）	当初はリブート映画と言われていたが、出来上がったのは猿の惑星がどのようにして誕生したのかを描く全く新しい話。最新技術を駆使した映像と新鮮な物語が受けて高評価＆メガヒット！
私が、生きる肌 The Skin I Live In （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	スペインを代表する名匠となったペドロ・アルモドヴァルが、娘をレイプした男に復讐する美容整形外科医を主人公にしたホラーに挑戦。かなり濃厚な世界になりそう。アントニオ・バンデラスが復帰。
思秋期 Tyrannosaur （ストライド・リリーシング）	パディ・コンシダインが監督に挑むサンダンス映画祭絶賛作品。自分を痛めつける癖を持つ男の物語。ピーター・ミュランの衝撃演技が話題になっている。英国映画は小品だと辛いところ。
ウォリスとエドワード英国王冠をかけた恋 W.E. （ワインスタイン・カンパニー）	マドンナ姐さんが「ワンダーラスト」に続く監督第２弾を発表。「英国王のスピーチ」でも描かれたエドワード８世と米国人女性との不倫関係、そして現代の米国人女性の人生を平行して描く。
WIN WIN／ダメ男とダメ少年の最高の日々 Win Win （フォックス・サーチライト）	高校のレスリング部のコーチを務めている弁護士をめぐる出来事を描くドラマ。「扉をたたく人」により一躍注目を集めたトーマス・マッカーシーが監督。ポール・ジャマッティの主演が心強い。脚本賞狙い。

No Chance　チャンスなし　（1/1）
アジャストメント The Adjustment Bureau （ユニヴァーサル）	もうひとりのシェイクスピア Anonymous （コロンビア）
ミスター・アーサー Arthur （ワーナー・ブラザース）	それでも、愛してる The Beaver （サミット・エンターテイメント）
ブライトン・ロック Brighton Rock （IFCフィルムズ）	カーズ２ Cars 2 （ディズニー）
声をかくす人 The Conspirator （ライオンズゲイト、ロードサイド・アトラクションズ）	ラブ・アゲイン Crazy, Stupid, Love. （ワーナー・ブラザース）
ドリームハウス Dream House （ユニヴァーサル）	Everything Must Go （ロードサイド・アトラクションズ）
ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える The Hangover Part II （ワーナー・ブラザース）	ハンナ Hanna （フォーカス・フィーチャーズ）
ハッピーフィート２／踊るペンギンレスキュー隊 Happy Feet 2 （ワーナー・ブラザース）	インモータルズ神々の戦い Immortals （ユニヴァーサル）
TIME タイム In Time （20世紀フォックス）	アイアンクラッド Ironclad （ARCエンターテイメント）
幸せの教室 Larry Crowne （ユニヴァーサル）	ロンドン・ブルバード LAST BODYGUARD London Boulevard （IFCフィルムズ）
ミラル Miral （ワインスタイン・カンパニー）	空飛ぶペンギン Mr. Popper's Penguins （20世紀フォックス）
ワン・デイ 23年のラブストーリー One Day （フォーカス・フィーチャーズ）	永遠の僕たち Restless （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）
ラム・ダイアリー The Rum Diary （フィルム・ディストリクト）	サルベーション Salvation Boulevard （IFCフィルムズ）
ミッション：8ミニッツ Source Code （サミット・エンターテイメント）	SUPER 8／スーパーエイト Super 8 （パラマウント）
シンパシー・フォー・デリシャス Sympathy for Delicious （マヤ・エンターテイメント）	恋人たちのパレード Water for Elephants （20世紀フォックス）
トゥルース闇の告発 The Whistleblower （サミュエル・ゴールドウィン・フィルムズ）

Predictions

Past Report　-84th Annual Academy Awards-

Top