Predictions -Best Picture-

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作品賞

受賞予想（2/22）

Final Predictions

愛、アムール

アルゴ

ハッシュパピー
バスタブ島の少女

ジャンゴ
繋がれざる者

レ・ミゼラブル

◎

ライフ・オブ・パイ
トラと漂流した227日

リンカーン

世界にひとつの
プレイブック

ゼロ・ダーク・サーティ

○

△

OSCAR PLANET Prediction		アルゴ
General Prediction		リンカーン
My Hope		ジャンゴ繋がれざる者

　事件は2013年１月10日に起こった。オスカーノミネーション発表で、監督賞でベン・アフレックの名前が呼ばれなかったのだ。

　極めてショッキングなこの事件は瞬く間に世界中を駆け巡った。対象作は賞レースの目玉の一本。賞レースも順調に飛ばしていた。それなのに、あぁ、アフレックは残酷にもオスカーノミネーションを逃がしてしまった。アフレックが手掛けた作品こそ、『アルゴ』だ。

　作品賞を獲得する上で重要なのは、ノミネーション部門だ。受賞を狙うならば、監督賞、脚本賞（脚色賞）、そして編集賞の３部門は決して落としてはいけない。『アルゴ』はしかし、監督賞候補から漏れてしまった。『アルゴ』の作品賞受賞の目は消え去った。そう、早合点した者が出たのも無理はない。

　ところが、『アルゴ』のさらなる快進撃は、このアフレックの監督賞候補落選から始まったのだ。ノミネーション発表同日に開かれたブロードキャスト映画批評家協会賞を受賞。続いてゴールデン・グローブ賞ドラマ部門も制覇した。この時点ではまだ「『アルゴ』がオスカーショックから多少は救われた。オスカー作品賞受賞はなくても、重要な賞を獲れて良かったではないか」という見方が支配的だったと思う。ところが、この後『アルゴ』は、アメリカ製作者組合賞まで獲得する。アメリカ映画俳優組合賞の最高賞であるキャスト賞まで掻っ攫う。アメリカ監督組合賞ではアフレック自身が頂点に輝く。見方が変わる。『アルゴ』の勢いは本物だ。監督賞候補からは落選したが、作品賞受賞の目は消えていない。それどころか、ますます勢いを増している！

　アフレックの落選はオスカー史に残る衝撃として、今なお、伝えられている。少しでも賞レースに興味のある者なら、好き嫌いは別にして、アフレックの落選は考えられないことだったのだ。監督賞ノミネーションの投票に参加したのは、監督として活躍する会員たちで、だから投票権のなかったその他の会員たちからは激しいブーイングが巻き起こった。いや、映画ファンからも異議ありの声が続出した。ある女優とのゴシップにより俳優人生のどん底に落ちた男が、役者として少しずつ復活、監督の才能を開花させ、今遂にハリウッドの頂点に立とうというときに味わう悲劇。それを多くの人は許し難いと感じたのだろう。それが今、『アルゴ』快進撃の原動力となっている。

　監督賞でアフレックに投票したくてもできない会員たちは、こぞって『アルゴ』の作品賞受賞を支持するだろう。それだけの価値のある作品だと認められていることは、公開時の熱狂的レヴューを読めば、明らかだ。

　なお、監督賞からは『ゼロ・ダーク・サーティ』のキャスリン・ビグローも確実視されながら落選している。それなのに『アルゴ』のBUZZは拡大し、『ゼロ・ダーク・サーティ』のBUZZは縮小してしまった。その違いはおそらく、ビグローが数年前にオスカーを獲得済みという点が関係している。ビグロー作品は既にオスカーの主役になったことがある。だから今回はスルーもいいだろうということだ。

　『アルゴ』でなければ『リンカーン』が頂点に輝くだろう。アメリカが愛する第16代大統領エイブラハム・リンカーンの戦いを描く伝記ドラマ。スティーヴン・スピルバーグが手掛けた本作は、いかにもオスカーが好みそうな正攻法映画だ。もちろん高評価だし、興行的にも素晴らしい結果を残している。受賞しても文句は言い難い。ただ、今現在風はあまり吹いていない。『アルゴ』快進撃の前に溜めてあった貯金により、それをどこまでかわせるだろうか。余裕と思われた受賞が、危うくなっていることは間違いない。

　番狂わせがあるなら『世界にひとつのプレイブック』か。主要６部門と脚色賞でコンプリート候補を達成したコメディ・ドラマ。俳優人気が高いのが特徴だ。オスカーは俳優会員が圧倒的に多く、彼らからの支持を集めるかもしれない。

　『ライフ・オブ・パイトラと漂流した227日』は『リンカーン』に次ぐノミネーションを勝ち取ったが、技術賞中心なのがマイナス。『愛、アムール』は受賞するなら外国語映画賞になるだろう。『ハッシュパピーバスタブ島の少女』は作品規模が小さ過ぎるし、『ジャンゴ繋がれざる者』は残忍性が敬遠されるはず。『レ・ミゼラブル』はそもそも作品評価が低く、ゴールデン・グローブ賞受賞をピークにBUZZは下降、今は息切れ状態だ。

　今年はおそらく会員たちがアフレックへの愛を示す年になる。「君を愛しているよ」「だから腐ることなく精進するんだ」。アフレック支持が『アルゴ』受賞に結実すると見る。

**Prediction Chart**
		％	Final	2/16	2/11	2/6	2/1	1/26
1	アルゴ	30	1	2	3	4	5	7	対抗
2	リンカーン	25	2	1	1	1	1	1	本命
3	世界にひとつのプレイブック	20	3	3	2	2	3	3	大穴
4	ライフ・オブ・パイトラと漂流した227日	5	4	4	4	3	2	2	Happy to be Nominated
5	ゼロ・ダーク・サーティ	5	5	5	5	5	6	8
6	レ・ミゼラブル	5	6	6	6	7	7	6
7	ハッシュパピーバスタブ島の少女	5	7	7	7	6	4	4
8	愛、アムール	3	8	8	8	8	8	5
9	ジャンゴ繋がれざる者	2	9	9	9	9	9	9

**List of Marks**
愛、アムール	５部門ノミネート（＊）	1.0
	全米とロサンゼルスの批評家賞を受賞（＋）
	老いをテーマにしたドラマ。多数を占める老会員が共感（＋＋＋）
	でもそんなにシビアに描かなくてもいいじゃないの（－）
	外国語映画賞候補。外国語映画をトップに選ばない（－）
	興行的にはインパクトを残していない（－）
	ミヒャエル・ハネケアレルギーの会員も多そう（＊）
アルゴ	７部門ノミネート（＋）	5.0
	PGA、SAG、GGA、BFCAを受賞して勢いに乗る（＋＋＋）
	あぁ、でもベン・アフレックがまさかの監督賞落選（－－－）
	それに怒った俳優会員たちが投票する可能性大（＋＋）
	映画ネタてんこ盛りで、会員はそれだけで嬉しくなっちゃう（＋＋）
	１億ドル突破で興行的にも結果を残した（＋）
	史実とは大きく異なるとの批判が出ている（－）
ハッシュパピーバスタブ島の少女	４部門ノミネート（＊）	1.5
	サンダンス絶賛。2012年を代表するインディーズ映画（＋＋）
	ならば目指すべきはインディペンデント・スピリット賞では？（－）
	監督賞でも候補入りする大善戦（＋）
	話題は最年少候補のクヮヴェンジャネ・ウォレスに集中（－）
	実際、批評家賞は全てノミネート止まりに終わっている（＊）
	環境問題に熱心な会員の心をゲット！？（＊）
ジャンゴ繋がれざる者	５部門ノミネート（＋）	2.0
	西部劇ながら冬を代表するメガヒットに発展（＋＋＋）
	クエンティン・タランティーノ映画ファンの熱心な支持あり（＋＋）
	あぁ、でも監督賞から候補漏れしてしまった（－－）
	前哨戦でもノミネート止まりに終わっている（－）
	ヴァイオレンス色濃厚な演出に拒否反応が出る（－）
	スパイク・リーが見てもいないのに奴隷制度の扱いを批判（＋－）
レ・ミゼラブル	８部門ノミネート（＋）	3.0
	ミュージカル映画ファンが自動的に投票（＋＋）
	動員に繋がり難いジャンルながら、メガヒットを記録（＋＋＋）
	サウンドトラック盤も大ヒット。楽曲が愛されている（＋）
	監督賞・脚色賞・編集賞の重要３部門から次々落選（－－）
	そう、実は作品賞候補作品中、最も評価が低い（－－－）
	でもゴールデン・グローブ賞受賞。好きな人はとことん好き（＋）
ライフ・オブ・パイトラと漂流した227日	11部門ノミネート（＋）	4.0
	ラスヴェガス映画批評家協会賞受賞（＋）
	技術面での評価が高く、作品賞までは苦しいか（－）
	少年とトラのアドヴェンチャー映画。オスカー向きではない（－）
	3D映像に拒否反応を示す老会員は多いはず（－）
	それでも映画ならではの映像美は圧巻（＋＋＋＋）
	アン・リーが手掛けているなら安心だね（＋）
リンカーン	最多12部門ノミネート（＋＋）	5.0
	地方の批評家賞を地味に受賞している（＊）
	アメリカ人はエイブラハム・リンカーンが大好き（＋＋＋）
	いかにもアカデミー好みの題材。狙っています（＋＋＋）
	本命の呼び声高いが、本当に2012年のベスト？との声も…（－－）
	本命が無視されるのがオスカー。ちゅーか、本当に本命？（－）
	オスカーは変わろうとしている。賞を与える作品も変わらなくては（＊）
世界にひとつのプレイブック	８部門ノミネート（＋）	5.0
	主要６部門コンプリートノミネート。俳優たちの支持（＋＋）
	サテライト賞やトロント映画祭観客賞を受賞（＋）
	2012年を代表するコメディ。笑って泣いて…（＋＋）
	ロマンティック・コメディがオスカーの頂点に？（－－）
	おそらく誰からも好かれるタイプの映画（＊）
	興行的にも成功して勢いは依然増している（＊）
ゼロ・ダーク・サーティ	５部門ノミネート（＋）	3.0
	批評家賞で圧倒的な強さを発揮（＋＋＋）
	が、ピークが早過ぎたか、勢いに翳りが…！？（＊）
	キャスリン・ビグローが監督賞候補を逃がす大波乱（－－）
	ひょっとすると全部門シャットアウトの危険あり（＊）
	社会派意識の強い会員は迷わず投票すると思われ…（＋＋＋）
	拷問を正当化している等バッシングが最も多い作品（－）

The Nine Nominees　ノミネート作品　［I guessed 8/9］
愛、アムール　Amour
	配給：ソニー・ピクチャーズ・クラシックス　　監督：ミヒャエル・ハネケ
	Nominees 作品、監督、主演女優、脚本、外国語映画（５部門）
	Precursors NSFC、LAFCA、LFCC、CIFF
	カンヌ映画祭パルムドール受賞時からBUZZは盛り上がっていた。しかし、まさか作品賞候補に挙がるまでパワーを持続させようとは…。外国語映画賞は既に受賞に王手をかけている。
アルゴ　Argo
	配給：ワーナー・ブラザース　　監督：ベン・アフレック
	Nominees 作品、助演男優、脚色、編集、録音、音響効果、作曲（７部門）
	Precursors PGA、BAFTA、GGA、BFCA、SDFCS、SFCA、SLFCA、PFCS、FFCC、OFCC、NFCS、HFCS...
	監督三本目にしてベン・アフレックが放った特大ホームラン。1979年11月イラン、アメリカ大使館占拠・人質事件を映画ネタ満載で送り出す。アフレックのまさかの監督賞落選が痛い…。逆転の目は？
ハッシュパピーバスタブ島の少女　Beasts of the Southern Wild
	配給：フォックス・サーチライト　　監督：ベン・ザイトリン
	Nominees 作品、監督、主演女優、脚色（４部門）
	Precursors None
	2012年を代表するインディーズ映画の快進撃はサンダンス映画祭よりスタート。少女の冒険を、温暖化問題を絡めながら、美しい映像と共に描き出す。受賞はない。でも候補こそ勝利。
ジャンゴ繋がれざる者　Django Unchained
	配給：ワインスタイン・カンパニー　　監督：クエンティン・タランティーノ
	Nominees 作品、助演男優、脚本、撮影、音響効果（５部門）
	Precursors None
	タランティーノ流マカロニウエスタンに映画ファンは熱狂。ホリデイシーズンのBox Officeで爆発的な人気を誇った。血みどろでも、残虐でも、保守的なオスカー会員でも、タラ映画は無視できない。
レ・ミゼラブル　Les Misérables
	配給：ユニヴァーサル　　監督：トム・フーパー
	Nominees 作品、主演男優、助演女優、美術、衣装デザイン、メイキャップ＆ヘアスタイリング他（８部門）
	Precursors GGA、BFCC
	ヴィクトル・ユーゴーの古典のミュージカル映画化。ブロードウェイのあるニューヨークでプレミアを迎えた際は大喝采で迎えられた。批評家からの評価は決して高くないが、熱烈に愛される可能性を秘めている。
ライフ・オブ・パイトラと漂流した227日　Life of Pi
	配給：20世紀フォックス　　監督：アン・リー
	Nominees 作品、監督、脚色、撮影、編集、美術、視覚効果、録音、音響効果、作曲、主題歌（11部門）
	Precursors LVFCS
	2012年を代表する圧倒的映像美が溢れるファンタジー・アドヴェンチャー。少年とトラの過酷な冒険をダイナミックに描き出す。唯一3D映像によるエントリー。撮影賞、視覚効果賞に受賞ポテンシャル。
リンカーン　Lincoln
	配給：ドリームワークス　　監督：スティーヴン・スピルバーグ
	Nominees 作品、監督、主演男優、助演男優、助演女優、脚色、撮影、編集、美術他（最多12部門）
	Precursors DFFCA、NTFCA、IFCA
	最も偉大なアメリカ合衆国大統領と言われるエイブラハム・リンカーンの伝記。10年も温められた企画が遂に映画化。大ヒットが、アメリカがいかにリンカーンを愛しているか、証明している。
世界にひとつのプレイブック　Silver Linings Playbook
	配給：ワインスタイン・カンパニー　　監督：デヴィッド・Ｏ・ラッセル
	Nominees 作品、監督、主演男優、主演女優、助演男優、助演女優、脚色、編集（８部門）
	Precursors GSA、ISA、DFCS、NCFCA、GFCA、TIFF
	トロントを皮切りにBUZZが急激に拡大、現在もキープし続けているロマコメ。心を病んだ男と女の再生の物語は、笑いだけじゃなく、ドラマティックな要素もたっぷり。主要６部門コンプリート候補で波に乗る。
ゼロ・ダーク・サーティ　Zero Dark Thirty
	配給：コロンビア　監督：キャスリン・ビグロー
	Nominees 作品、主演女優、脚本、編集、音響効果（５部門）
	Precursors NBR、NYFCC、BSFC、CFCA、WFCA、AFCA、UFCA、VFCC、NYFCO、BOFCA、AAFCA、BFCC
	まだ記憶に新しいオサマ・ビン・ラディン殺害計画を映画化。10年に渡るアメリカの執念を徹底的リサーチにより描き出す。ビグローの衝撃的な監督賞候補落選は、方々からバッシングの影響？

ranking

製作費			前哨戦ポイント　-2/24-
1	ライフ・オブ・パイトラと漂流した227日	$120m	1	アルゴ	238.0 p
2	ジャンゴ繋がれざる者	$100m	2	ゼロ・ダーク・サーティ	180.5 p
3	リンカーン	$65m	3	リンカーン	146.0 p
4	レ・ミゼラブル	$61m	4	世界にひとつのプレイブック	143.5 p
5	アルゴ	$44.5m	5	ライフ・オブ・パイトラと漂流した227日	139.5 p
6	ゼロ・ダーク・サーティ	$40m	6	レ・ミゼラブル	132.0 p
7	世界にひとつのプレイブック	$21m	7	ジャンゴ繋がれざる者	91.0 p
8	愛、アムール	$10m	8	ハッシュパピーバスタブ島の少女	90.5 p
9	ハッシュパピーバスタブ島の少女	$1.8m	9	愛、アムール	71.0 p

評価 rating			興行収入　-2/18-
1	愛、アムール	93.8 p	1	リンカーン	$176m
2	ゼロ・ダーク・サーティ	92.6 p	2	ジャンゴ繋がれざる者	$157m
3	アルゴ	92.0 p	3	レ・ミゼラブル	$145m
4	リンカーン	89.5 p	4	アルゴ	$127m
5	世界にひとつのプレイブック	87.9 p	5	ライフ・オブ・パイトラと漂流した227日	$111m
6	ライフ・オブ・パイトラと漂流した227日	85.1 p	6	世界にひとつのプレイブック	$99m
7	ハッシュパピーバスタブ島の少女	84.4 p	7	ゼロ・ダーク・サーティ	$88m
8	ジャンゴ繋がれざる者	81.6 p	8	ハッシュパピーバスタブ島の少女	$12m
9	レ・ミゼラブル	67.5 p	9	愛、アムール	$4m

上映時間
1	ジャンゴ繋がれざる者	165min
2	レ・ミゼラブル	157min
2	ゼロ・ダーク・サーティ	157min
4	リンカーン	145min
5	ライフ・オブ・パイトラと漂流した227日	126min
6	愛、アムール	125min
7	世界にひとつのプレイブック	122min
8	アルゴ	120min
9	ハッシュパピーバスタブ島の少女	91min

ノミネート予想（1/5）

Final Prediction

　昨年から作品賞候補枠は５～10本と流動的になった。候補に挙がる条件は第１位票を全体の5.0％獲得すること。会員は順位をつけて投票し、第１位とした票が5.0％以上であれば、そのままノミネートとなる。ただ、5.0％獲得できなくてもノミネートを受けられる例外もある。昨年の「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」（11年）のノミネートは、それがものをいった可能性大だが、例外規定の詳細は明らかにされていないので、予想の段階では読み難い。

　最大で10枠に広がったことで、受賞ポテンシャルを秘めた作品の候補落ちはなくなったと見て間違いないだろう。今年は『アルゴ』『レ・ミゼラブル』『リンカーン』『世界にひとつのプレイブック』『ゼロ・ダーク・サーティ』が早々と当確を決めている。『レ・ミゼラブル』は実は批評はさほど伸びていないのだが、ミュージカル仕様が完全にプラスに働いた格好で、熱烈な支持者を獲得（第１位票を獲得しやすい）。依然受賞の目も消えてないのだ。

　BIG５を追いかけるのは、『ライフ・オブ・パイトラと漂流した227日』だろうか。ファンタジー要素の強いアドヴェンチャー映画という点はオスカー好みではないものの、アン・リーの名前が強力な後押しになるはずだ。ヴィジュアルの美しさが、技術系会員の支持を集めるだろう。

　インディーズ映画からは『ハッシュパピーバスタブ島の少女』と『ムーンライズ・キングダム』がノミネートを狙う。どちらも批評家受け抜群。10枠の恩恵を受けるに相応しい高評価を獲得している。後者はウェス・アンダーソンの名前がプラスになるかもしれない。

　監督の名前が強力と言ったらクエンティン・タランティーノによる『ジャンゴ繋がれざる者』、ポール・トーマス・アンダーソンによる『ザ・マスター』、ロバート・ゼメキスによる『フライト』が要注目だ。特に『ジャンゴ』は賞レース開始直前に完成、じわじわと支持者を増やしていることが伝えられている。『ザ・マスター』は難解さが敬遠されるだろうが、昨年の「ツリー・オブ・ライフ」のポジションを獲得するかもしれない。『フライト』はいかにもハリウッドの良心的な作りが歓迎される気がする。

　読み辛いのは『愛、アムール』だ。フランス語によるオーストリア映画だが、ロサンゼルス映画批評家協会賞を獲得するなど、アメリカでも絶大なる支持を得ている。外国語映画賞候補が確実視されているので、ここではスルーされる可能性もあるが、ポテンシャルは十分だ。

　サプライズがあるとするなら『007／スカイフォール』『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』あたりか。前者は娯楽映画支持会員、後者は英国会員の第１位票を掻き集めるかもしれない。狙うはもちろん、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」と同じ席だ。

OSCAR PLANET Prediction
アルゴ（ベン・アフレック監督）	Lock
ハッシュパピーバスタブ島の少女（ベン・ザイトリン監督）	Shaky
ジャンゴ繋がれざる者（クエンティン・タランティーノ監督）	Shaky
レ・ミゼラブル（トム・フーパー監督）	Lock
ライフ・オブ・パイトラと漂流した227日（アン・リー監督）	Likely
リンカーン（スティーヴン・スピルバーグ監督）	Lock
ムーンライズ・キングダム（ウェス・アンダーソン監督）	Shaky
世界にひとつのプレイブック（デヴィッド・Ｏ・ラッセル監督）	Lock
ゼロ・ダーク・サーティ（キャスリン・ビグロー監督）	Lock
The Runner-up
愛、アムール（ミヒャエル・ハネケ監督）	Shaky

The Five - Ten Frontrunners　フロントランナー（5～10作品）　（1/5）
Lock
アルゴ Argo （ワーナー・ブラザース） Win: PGA、BAFTA、GGA、BFCA、SDFCS、SFCA、SLFCA、PFCS、FFCC、OFCC、NFCS、HFCS、DFCS2、OFCS	1979年11月イラン、アメリカ大使館占拠・人質事件をベースに強いたポリティカル・サスペンス。映画ネタが盛り込まれているのがプラスに働く。 ~~Weak Point~~ 手掛けるのは監督作が軒並み高評価を獲得しているベン・アフレック。娯楽的にも芸術的にも優れているとの評価が、そのまま賞に繋がる。強力な口コミにより興行的にも成功して、死角なし。
レ・ミゼラブル Les Misérables （ユニヴァーサル） Win: GGA、BFCC	ヴィクトル・ユーゴーの有名小説がまたもや映画化。注目はミュージカルになっている点で、しかも手掛けるのは今が旬のトム・フーパー。 ~~Weak Point~~ ヒュー・ジャックマンら超豪華キャストが集まり、文芸作嫌いのオスカー会員に挑戦。会員は意外に古典文学の映画化に甘くないが、それでもミュージカルという点で目を引きやすい。候補までは大丈夫。
リンカーン Lincoln （ドリームワークス） Win: DFFCA、NTFCA、IFCA	第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンを描く実話物。スティーヴン・スピルバーグが監督し、ダニエル・デイ＝ルイスが主演。 ~~Weak Point~~ どう考えても賞狙いの本命作はことごとく不発に終わっているが、興行的成功も味方につけて、勢いは増している。主演男優賞に票が集中し過ぎるかもしれないが、候補までは全く問題なし。
世界にひとつのプレイブック Silver Linings Playbook （ワインスタイン・カンパニー） Win: GSA、ISA、DFCS、NCFCA、GFCA、TIFF	４年もの間、精神病院入院していた元高校教師が人生に希望を見出していく様を描く。マシュー・クイックの原作の映画化。トロント絶賛。 ~~Weak Point~~ ロマンティック・コメディの色が強いのは不安要素だが、それを吹き飛ばす愛され方。「ザ・ファイター」により再び好調の波に乗ったデヴィッド・Ｏ・ラッセルが監督しているのもプラス。受賞ダークホース。
ゼロ・ダーク・サーティ Zero Dark Thirty （コロンビア） Win: NBR、NYFCC、BSFC、CFCA、WFCA、AFCA、UFCA、VFCC、NYFCO、BOFCA、AAFCA、BFCC	オサマ・ビン・ラディン殺害計画を映画化。10年に渡る緊迫感溢れる頭脳戦ドラマが展開する。キャスリン・ビグロー絶好調キープ！ ~~Weak Point~~ 実話ベースで生々しく、しかも内容に方々からクレームがついているが、それを簡単に吹き飛ばす批評家賞での完勝ぶり。受賞パワーも秘めている。今こそ映画の力を知らしめるとき！…かも？
Likely
ライフ・オブ・パイトラと漂流した227日 Life of Pi （20世紀フォックス） Win: LVFCS	ヤン・マーテルのベストセラー小説の映画化。嵐で難破した船に乗っていた16歳の少年パイと動物たちの漂流生活がドラマティックに綴られる。 Weak Point ファンタジー要素が強く、しかも3Dでの上映となる。文芸作好みの会員の心に訴えるのは難しいかもしれない。監督はアン・リー。「ブロークバック・マウンテン」で作品賞を逃がして不満たらたら。
Shaky
ハッシュパピーバスタブ島の少女 Beasts of the Southern Wild （フォックス・サーチライト）	サンダンスの頂点に輝く話題作。すぐさまBUZZが沸騰し、今年のインディーズ枠は決まりとの声が日に日に高まっている。批評家賞で愛されそう。 Weak Point 父と暮らす少女が父の病いや温暖化による環境変化を目の当たりにしたことをきっかけに、母を探す旅に出る様を描く。子どもが主人公の映画に冷たい部門。良質キャンペーンが必要。
ジャンゴ繋がれざる者 Django Unchained （ワインスタイン・カンパニー）	米南部、解放奴隷から賞金稼ぎになった男が妻を探し出す物語。狂喜乱舞のプロジェクトに、批評家も一映画ファンに戻ったように支持。 Weak Point 一般受けするかどうかは怪しかったが、その心配を笑い飛ばすかのような大ヒット。ホッと一安心したところで奴隷制度の扱い方に大御所スパイク・リーが不満を表明。アフリカ系会員の票はどう動くのか。
ムーンライズ・キングダム Moonrise Kingdom （フォーカス・フィーチャーズ） Win: COFCA	冴え渡る画面設計とユニークな物語で人気のウェス・アンダーソン監督作にカンヌ熱狂。恋に落ちた少年少女の逃避行を描く冒険ドラマ。 Weak Point 主人公は男の子と女の子。老会員が多いオスカーでは、キッズムービーは受けないと考えるのが妥当。インディーズ枠をめぐって『ハッシュパピーバスタブ島の少女』と熾烈な争い。脚本賞候補は確実。

ノミネーション予想これまでの流れ 2012　（Changes in Red）
Final
アルゴ	ハッシュパピー	ジャンゴ繋がれざる者	ライフ・オブ・パイ	レ・ミゼラブル
世界にひとつのプレイブック	リンカーン*	ムーンライズ・キングダム	ゼロ・ダーク・サーティ	-
The Leader：リンカーン
12/1
アルゴ	ハッシュパピー	フライト	ライフ・オブ・パイ	レ・ミゼラブル
世界にひとつのプレイブック	リンカーン*	ザ・マスター	-	-
11/1
アルゴ*	Beasts of the Southern...	アンナ・カレーニナ	ライフ・オブ・パイ	レ・ミゼラブル
ヒッチコック	リンカーン	ザ・マスター	世界にひとつのプレイブック	-
10/1
アルゴ*	ハッシュパピー	アンナ・カレーニナ	ライフ・オブ・パイ	レ・ミゼラブル
私が愛した大統領	リンカーン	ザ・マスター	ムーンライズ・キングダム	世界にひとつのプレイブック
9/1
アルゴ	ハッシュパピー	アンナ・カレーニナ	ライフ・オブ・パイ	レ・ミゼラブル
私が愛した大統領	リンカーン	ザ・マスター*	ムーンライズ・キングダム	ゼロ・ダーク・サーティ
8/1
アルゴ	ハッシュパピー	ダークナイトライジング	ジャンゴ繋がれざる者	レ・ミゼラブル
私が愛した大統領	リンカーン	ザ・マスター*	ムーンライズ・キングダム	ゼロ・ダーク・サーティ
7/1
アルゴ	ハッシュパピー	ダークナイトライジング	ジャンゴ繋がれざる者	ホビット思いがけない冒険
私が愛した大統領	リンカーン	ザ・マスター*	ムーンライズ・キングダム	ゼロ・ダーク・サーティ
6/1
アルゴ	トゥ・ザ・ワンダー	ダークナイトライジング	ジャンゴ繋がれざる者	ホビット思いがけない冒険
私が愛した大統領	リンカーン	ザ・マスター*	ローマでアモーレ	ゼロ・ダーク・サーティ
5/1
アルゴ	トゥ・ザ・ワンダー	ダークナイトライジング	ジャンゴ繋がれざる者	ホビット思いがけない冒険
ハンガー・ゲーム	リンカーン*	ザ・マスター	ローマでアモーレ	ゼロ・ダーク・サーティ

The Other Contenders　その他の有力候補　（1/5）
Very Possible
愛、アムール Amour （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	妻が脳卒中で半身不随となり厳しい試練に立ち向かうことを余儀なくされる80代夫婦を描く衝撃ドラマ。ミヒャエル・ハネケが見せる愛の形は…ヘヴィー？Win: NSFC、LAFCA、LFCC、CIFF
マリーゴールド・ホテルで会いましょう The Best Exotic Marigold Hotel （フォックス・サーチライト）	老後をインドで過ごすことにしたイギリスのじいちゃんばあちゃんたちを描くアンサンブル劇。マギー・スミス、ジュディ・デンチ、トム・ウィルキンソン、ビル・ナイ…うぉーっ、ある意味鼻血ものメンバー。
フライト Flight （パラマウント）	エンジントラブルの窮地から乗客を救ったパイロットのアルコール中毒が発覚。転落した英雄の再生を描く人間ドラマ。デンゼル・ワシントンの主演男優賞に票は集中しそうな気配。
ザ・マスター The Master （ワインスタイン・カンパニー）	第二次大戦を体験した米国人が新信仰を生み出す物語。濃厚な世界炸裂との激賞だったが、ホアキン・フェニックスのアンチオスカー発言によりBUZZ下降。Win: KCFCC、SFFCC、TFCA
007／スカイフォール Skyfall （コロンビア）	ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じるようになって３作目の「007」映画。サム・メンデスを始め一流映画人が結集していることで、オスカー会員にアピールするのでは？との憶測が…。
Possible
アンナ・カレーニナ Anna Karenina （フォーカス・フィーチャーズ）	「プライドと偏見」でジェーン・オースティンに挑み、見事勝利したジョー・ライトとキーラ・ナイトレイが、今度は文豪レオ・トルストイに挑む。あまりにも有名なアンナ・カレーニナの物語。何度目の映画化？
ダークナイトライジング The Dark Knight Rises （ワーナー・ブラザース）	社会現象を巻き起こした「ダークナイト」の続編がシリーズ完結編に相応しいフィナーレを迎える。コロラドで起こった銃乱射事件によるマイナスイメージは…？それとも会員は作品を守る側に回るか。
エンド・オブ・ウォッチ End of Watch （オープンロード・フィルムズ）	ふたりの警官の長きに渡る友情を軸に置いたクライムスリラー。任せて安心ジェイク・ギレンホールが主演を務める。監督のデヴィッド・エアーは犯罪ドラマのスペシャリスト。スケール感は望めない小品。
ヒッチコック Hitchcock （フォックス・サーチライト）	アルフレッド・ヒッチコックの「サイコ」の撮影現場風景を描く。アンソニー・ホプキンスがそっくりメイクで登場。そっくりさんショウに終わっていないことを祈りましょう。信者からの厳しいチェックに耐えられるか。
ホビット思いがけない冒険 The Hobbit: An Unexpected Journey （ワーナー・ブラザース）	「指輪物語」の世界が帰ってくる。ビルボの若き日の物語。また「指輪」かよ！…の声はどうしたって出てくる。アカデミーがスピンオフを簡単に認めるとも思えない。ジャクソンのパワーは緩やかに下降中。
インポッシブル The Impossible （サミット・エンターテイメント）	2004年、タイのプーケットを襲った津波に翻弄される人々を描くアクション・ドラマ。ナオミ・ワッツとユアン・マクレガーが夫婦に扮して、人間の心の機微を繊細に伝える作品になるとか。スペイン主導。
ジャッキー・コーガン Killing Them Softly （ワインスタイン・カンパニー）	ジョージ・V・ヒギンズの犯罪小説を基に、ボストンの犯罪者たちの世界を描く犯罪ドラマ。アンドリュー・ドミニクとブラッド・ピットが再タッグ。ボストンのクライム物はやたら多い。新味はないかも。
LOOPER ルーパー Looper （フィルム・ディストリクト）	未来から送られてくるターゲットを殺すことを仕事にしている殺し屋が、自分と対決する様を描くSFスリラー。「ブリック」で高評価を得たライアン・ジョンソンとジョセフ・ゴードン＝レヴィットが再タッグ。
ウォールフラワー The Perks of Being a Wallflower （サミット・エンターテイメント）	発刊以来ティーンエイジャーのバイブルとしてカルト的人気を博している小説を、原作者自らが映画化。愛や喪失、希望、そして友情が描かれる。賞向きではないものの、エッジが効いているとの噂。
プロミスト・ランド Promised Land （フォーカス・フィーチャーズ）	経済危機に打ちのめされたセールスマンが小さな町で人生をやり直そうとする様を描くドラマ。元々マット・デイモンの監督デビュー作だったが、ガス・ヴァン・サントに交代。
セッションズ The Sessions （フォックス・サーチライト）	セラピストと司祭のアドヴァイスを受け、プロのセックスサーヴィスにより童貞を捨てようとする36歳のジャーナリストを描くドラマ。サンダンス映画祭を熱狂させた話題作。演技賞中心の戦いか。
セブン・サイコパス Seven Psychopaths （CBSフィルムズ）	スランプ中の脚本家が友人たちによる犬の誘拐事件に巻き込まれる様を描くブラック・コメディ。「ヒットマンズ・レクイエム」のマーティン・マクドノーとコリン・ファレルが再タッグ。オスカー受けし難い内容。
Longshot
キング・オブ・マンハッタン危険な賭け Arbitrage （ライオンズゲイト）	トラブルに巻き込まれるやり手金融マンを描くスリラーが、サンダンス映画祭でまずまずの評価。リチャード・ギアの主演はプラスになるのかどうか。ワシは堅苦しい映画は嫌いじゃー、という拒否反応。
メリダとおそろしの森 Brave （ディズニー）	スコットランドのとある国を舞台にしたフェアリーテイル。王女メリダが運命に立ち向かっていく様を、ピクサーが描く。ピクサー神話崩壊後、汚名返上の重要な一作。「a good movie, but not great」。
クラウドアトラス Cloud Atlas （ワーナー・ブラザース）	過去、現在、未来に生きる人々の６つの物語が交錯する物語。ウォシャウスキー兄弟とトム・ティクヴァが共同で監督というのも変則的。ヴィジュアルは賞賛されるも、複雑な構成に拒否反応も…。
コンプライアンス服従の心理 Compliance （マグノリア）	ファーストフード店で実際に起こった偽警官による店員裸強要事件を基にした小品がサンダンス映画祭で大きな話題に。アン・ダウドのパフォーマンスが大絶賛される。世間は知らない。
ジンジャーの朝さよなら、わたしが愛した世界 Ginger & Rosa （A24）	1962年ロンドン、ふたりの少女が政治や宗教、家庭問題を通して強い結びつきを作りながら離れていく様を描く。サリー・ポッターが監督ゆえ、普通の青春ドラマにはならない。エル・ファニングに熱視線。
31年目の夫婦げんか Hope Springs （コロンビア）	結婚30年の中年カップルが離婚の危機に。それを回避するために集中カウンセリングを受ける話。トミー・リー・ジョーンズとメリル・ストリープが夫婦を演じる。ひぃぃぃ、怖いよう。小ヒット。
私が愛した大統領 Hyde Park on Hudson （フォーカス・フィーチャーズ）	イギリスのラジオドラマを基に、第32代アメリカ大統領フランクリン・デラノ・ルーズベルトと従妹のデイジーの恋を描く。大統領映画なら『リンカーン』がより強力。ビル・マーレイに票は集中。
キラー・スナイパー Killer Joe （LDディストリビューション）	保険金目当てに青年が殺し屋に母親殺しを依頼することから起きる出来事を描くブラック・コメディ。マシュー・マコノヒーの怪演が各映画祭で大きな話題を呼ぶ。NC-17指定。舞台の映画化。
欲望のバージニア Lawless （ワインスタイン・カンパニー）	禁酒法時代、酒を密造・販売して生計を立てる三兄弟を描くファミリードラマ。トム・ハーディ、ジェイソン・クラーク、シャイア・ラブーフ…画面に重みが出るかどうか。評価は伸び悩み、レース後退。
Middle of Nowhere （AFFRM）	夫が８年の禁固刑となった医学生の妻が厳しい現実に直面する様を描くインディーズ作品。エマヤツィ・コリネアルディのパワフルな演技が話題を呼ぶ。インディペンデント・スピリット賞向き。
カルテット！人生のオペラハウス Quartet （ワインスタイン・カンパニー）	ミュージシャン専用の老人ホームで暮らす元オペラ歌手たちのカムバックコンサートを描くコメディ・ドラマ。あのダスティン・ホフマンの長編監督デビュー作。英国映画枠は限られている。
素敵な相棒フランクじいさんとロボットヘルパー Robot & Frank （サミュエル・ゴールドウィン・フィルムズ）	近未来、気難しい元宝石泥棒の老人と彼の世話をするロボットの友情を描くコメディ・ドラマ。サンダンス映画祭で温かい賛辞に包まれた。フランク・ランジェラの演技賞中心になりそう。
ルビー・スパークス Ruby Sparks （フォックス・サーチライト）	スランプの小説家が自分の生み出したキャラクターと恋に落ちる話。「リトル・ミス・サンシャイン」でアメリカに笑いを振り撒いたジョナサン・デイトンとヴァレリー・ファリスが新たな笑いに挑戦。
君と歩く世界 Rust & Bone （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	ドラマとスリラーを濃厚に絡ませる術に長けたジャック・オディアール作品。姉の住む町にやってきた男とシャチの調教師の女の関係を描く。おフランス・ベルギー合作映画。外国語映画賞を目指そう。
砂漠でサーモン・フィッシング Salmon Fishing in the Yemen （CBSフィルムズ）	ポール・トーディの原作の映画化。水産資源保護機関に勤める男がイエメンの川に鮭を放流するプロジェクトに巻き込まれていく話。風変わりな話をラッセ・ハルストレムが監督。英国映画。
ソウルガールズ The Sapphires （ワインスタイン・カンパニー）	1968年、アボリジニーの三姉妹が音楽グループを結成、ヴェトナム戦争地帯にツアーに向かう様を描く。カンヌ映画祭で好評を博すが、オーストラリア映画なのがどう影響するか。
Smashed （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	音楽や笑い、酒により強く結ばれていたカップルが、妻の禁酒宣言により関係を崩していく様を描くコメディ・ドラマ。サンダンス映画祭で話題を呼び、注目のインディーズ作品へ。脚本賞を狙おう。
テイク・ディス・ワルツ Take This Waltz （マグノリア）	タイプの違うふたつの愛に向き合う女性を描くドラマ。サラ・ポーリーが監督であることを考えると、単純なラヴストーリーにはならないはず。ミシェル・ウィリアムスの主演が大きなプラスに。
アンコール!! Unfinished Song （ワインスタイン・カンパニー）	妻が癌にかかり、地元の聖歌隊に参加する老人を描くドラマティック・コメディ。英国の演技派俳優たちが終結。テレンス・スタンプとヴァネッサ・レッドグレーヴが夫婦を演じる。ワーオ！
ラブ・トライアングル Your Sister's Sister （IFCフィルムズ）	死んだ男の恋人、弟、そして恋人の姉の関係を描くロマンティック・コメディ。「Humpday」で高評価を得たリン・シェルトンが監督。批評家に愛されるも、小品。脚本賞なら…。
Golden Globe Potential
バーニーみんなが愛した殺人者 Bernie （ミレニアム・フィルムズ）	テキサスの葬儀屋で働く男が富豪老婦人の横暴に耐えられなくなり殺害、彼女がまるで生きているかのように生活する様を描くコメディ。ジャック・ブラックのユニークな演技に賛辞集中。
最強のふたり The Intouchables （ワインスタイン・カンパニー）	「アーティスト」を紹介したあの配給会社が、再びフランスから注目作をピックアップ。事故で全身麻痺となった車いす富豪と、介護役に抜擢されたスラム出身の黒人青年の物語。絶賛ではない。
ハンガー・ゲーム The Hunger Games （ライオンズゲイト）	スーザン・コリンズのベストセラーの映画化。意外や、批評家から圧倒的支持。近未来、殺害ゲームに参加させられる少年少女たちを描く。オスカー好みの匂いゼロ。ヒットこそが最大の褒美。
マジック・マイク Magic Mike （ワーナー・ブラザース）	人気若手スター、チャニング・テイタムの実体験をベースに、男性ストリッパーの世界を描く青春ムービー。キワモノ映画になる危険もあるが、スティーヴン・ソダーバーグが監督なのは心強い。
アベンジャーズ Marvel's The Avengers （ディズニー）	ディズニーが長年温めてきたプロジェクト。アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソー、ハルク、ホークアイ、そしてブラックウィドウ…皆でロキを迎え撃て！意外や（？）批評家は賞賛。メガメガヒット！
テッド Ted （ユニヴァーサル）	命を持った毒舌のぬいぐるみと中年男が巻き起こす騒動が、アメリカの心をがっちり掴んで大ヒット。サマーシーズン最大の大化け映画として高い注目を集める。ゴールデン・グローブ賞なら…。

No Chance　チャンスなし　（1/5）
360 360 （マグノリア）	アメイジング・スパイダーマン The Amazing Spider-Man （コロンビア）
カワイイ私の作り方全米バター細工選手権！ Butter （ワインスタイン・カンパニー）	マーヴェリックス波に魅せられた男たち Chasing Mavericks （20世紀フォックス）
コズモポリス Cosmopolis （エンターテイメント・ワン）	ダーク・シャドウ Dark Shadows （ワーナー・ブラザース）
The Eye of the Storm （シカモア・エンターテイメント）	THE GREY／凍える太陽 The Grey （オープンロード・フィルムズ）
噂のギャンブラー Lay the Favorite （ラディアス-TWC、ワインスタイン・カンパニー）	最高の人生のはじめ方 The Magic of Belle Isle （マグノリア）
オン・ザ・ロード On the Road （IFCフィルムズ、サンダンス・セレクツ）	ペーパーボーイ真夏の引力 The Paperboy （ミレニアム・フィルムズ）
ピープル・ライク・アス People Like Us （ドリームワークス）	プロメテウス Prometheus （20世紀フォックス）
推理作家ポー最期の５日間 The Raven （リラティヴィティ・メディア）	野蛮なやつら／SAVAGES Savages （ユニヴァーサル）
きっとここが帰る場所 This Must Be the Place （ワインスタイン・カンパニー）	ローマでアモーレ To Rome with Love （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）
人生の特等席 Trouble with the Curve （ワーナー・ブラザース）	ロック・オブ・エイジズ Rock of Ages （ニューライン・シネマ）
ミッドナイト・ガイズ Stand Up Guys （ライオンズゲイト）	40歳からの家族ケーカク This Is 40 （ユニヴァーサル）
Why Stop Now （IFCフィルムズ）	ウォント・バック・ダウンママたちの学校戦争 Won't Back Down （20世紀フォックス）
Winnie （Dフィルムズ）	ザ・ワーズ盗まれた人生 The Words （CBSフィルムズ）

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