Predictions -Best Picture-

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作品賞

受賞予想（2/26）

Final Predictions

マネー・ショート
華麗なる大逆転

ブリッジ・オブ・スパイ

ブルックリン

マッドマックス
怒りのデス・ロード

○

オデッセイ

レヴェナント：蘇えりし者

ルーム

スポットライト
世紀のスクープ

◎

△

OSCAR PLANET Prediction		レヴェナント：蘇えりし者
General Prediction		マネー・ショート華麗なる大逆転 or レヴェナント：蘇えりし者 or スポットライト世紀のスクープ
My Hope		マッドマックス怒りのデス・ロード

　昨年に続き８作品が指名を受けた作品賞。８本に絞り込まれただけあり、どの映画も批評的に成功したものばかり、粒揃いと言える。ここに『ストレイト・アウタ・コンプトン』が入っていれば、まだホワイトオスカー問題などというつまらない話題で盛り上がらずに済んだかもしれないが、後の祭り（余談だが、今シーズン候補入りに現実味があった黒人が主人公の映画は『ストレイト・アウタ・コンプトン』のみ。演技賞候補の可能性が高かったのは『ビースト・オブ・ノー・ネイション』のイドリス・エルバだけだ）。

　近年は作品賞の行方が読めない。少し前までは作品賞こそ最も予想しやすい部門だった。大抵は最多ノミネート作品が受賞していたのだ。それがこの頃は、その法則が崩れている。直前までBUZZの変動が激しく、タイトルが読み上げられるまで、受賞作を確信できない。これは眺める方とはしては非常に面白い。関係者は気が気がないだろうと考えると、ますます面白い。

　今シーズンもそれを象徴するように各作品のBUZZは乱高下。９月から12月にかけては『スポットライト世紀のスクープ』が圧倒的に強かった。トロント映画祭で話題沸騰、その各映画祭でも大好評。11月のアメリカ公開時はもちろん絶賛され、続々発表された批評家賞の主役はまさしくこの映画だった。カトリック教会のスキャンダルと、それを追うジャーナリストたちの物語。社会派の内容は必ずやオスカーでも受けるだろう。作品賞は決まりではないか。

　そう思われた『スポットライト』を不気味に追い上げたのが『マッドマックス怒りのデス・ロード』だ。遂に再起動されたSFアクションシリーズはサマーシーズンから絶賛されていたものの、予想を遥かに上回る前哨戦快進撃。ジョージ・ミラーが監督賞で連勝し、それに釣られるかのように作品賞BUZZも急上昇。まさかのまさか、『スポットライト』を追い抜くことも考えるのではないか。そんな声が聞こえてきた。

　ところが、ゴールデン・グローブ賞では両者共にアウト。こちらを征したのは『レヴェナント：蘇えりし者』と『オデッセイ』だ。ミーハー傾向にあるゴールデン・グローブ賞とは言え、依然影響力は小さくない。流れが変わったのだろうか。前者は瀕死の状態で山に置き去りにされた主人公の復讐劇。後者はたったひとり火星に取り残された男のサヴァイヴァル。いずれも興行的成功をを手にしてBUZZの拡大を狙った。

　…とその直後に発表されたアメリカ製作者組合賞（PGA）を征したのはなんと『マネー・ショート華麗なる大逆転』だった。記憶に新しいあの金融危機を察知した男たちの物語。タイムリーな内容と脚本の出来映えが話題を呼び、少しずつ積み上げてきたBUZZを一気に爆発させた形になった。『マネー・ショート』、このまま一気にオスカーもさらうだろうか。

　だがしかし、その後、アメリカ映画俳優組合賞（SAG）の作品賞と言うべきキャスト賞は『スポットライト世紀のスクープ』の手に渡った。アメリカ監督組合賞（DGA）は『レヴェナント：蘇えりし者』のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥがまさかの連覇を成し遂げた。

　つくづく思うのは賞レースにおけるBUZZ作りの重要性だ。あまり早くに突っ走ると息切れしてしまうし、もたもたしていては授賞式が過ぎてしまう。作品賞候補に挙がる作品なんてものは、出来にどれだけの差があるか分からない。それこそ人によって違う。だから民主的に投票する。だから会員の投票させたい気持ちを２月に持ってくるのがベスト。その点、今年それが最も上手くいっているのは『レヴェナント：蘇えりし者』のような気がする。『マネー・ショート華麗なる大逆転』のBUZZ作りも悪くない。もし出来映えに差がないとするなら、BUZZ作りに成功している『レヴェナント：蘇えりし者』が来るのではないか。

　その他、『ブリッジ・オブ・スパイ』『ブルックリン』『ルーム』は候補入りこそが勝利だろう。特に『ルーム』は監督賞まで候補入りする大健闘。こういう小さな映画が見逃されないのが頼もしい。

　受賞に現実味を残しているのは『マネー・ショート華麗なる大逆転』『レヴェナント：蘇えりし者』『スポットライト世紀のスクープ』。『マッドマックス』はさすがに会員がトップに選ぶ勇気があるとは思えないし、『オデッセイ』はリドリー・スコットが監督賞候補から落ちて後退した。確実に絞られてきているが、最後の最後まで予断を許さない。

**Prediction Chart**
		％	Final	2/11	2/6	2/1	1/27	1/22
1	レヴェナント：蘇えりし者	27	1	2	2	2	3	4	本命
2	マネー・ショート華麗なる大逆転	27	2	3	3	4	5	5	対抗
3	スポットライト世紀のスクープ	26	3	1	1	1	1	1	大穴
4	マッドマックス怒りのデス・ロード	10	4	4	4	3	2	2	Happy to be Nominated
5	オデッセイ	5	5	5	5	5	5	3
6	ルーム	3	6	6	6	7	7	8
7	ブリッジ・オブ・スパイ	1	7	7	7	6	6	6
8	ブルックリン	1	8	8	8	8	8	7

**List of Marks**
マネー・ショート華麗なる大逆転	５部門ノミネート（＊）	8.5
	前哨戦は全てノミネート止まりだったが、PGA受賞！（＋＋＋）
	批評家賞が落ち着いたあたりからBUZZ急騰（＋＋）
	重要な監督賞、脚色賞、編集賞の三点セットを押さえる（＋＋）
	金融危機と記憶に新しいタイムリーな題材（＋）
	俳優たちのアンサンブルが強力な映画は強い（＋）
	アダム・マッケイ映画が頂点に？何か違和感が…（－）
ブリッジ・オブ・スパイ	６部門ノミネート（＋）	1.0
	前哨戦は目立たず。ゴールデン・グローブ賞候補も逃す（－）
	スティーヴン・スピルバーグなのに監督賞を逃す。編集賞も…（－）
	とは言え、大人の映画として見応えたっぷり（＋＋）
	マーク・ライランスの姿だけで泣けてきますよ（＋）
	この頃スパイ映画が多い。ちょっと食傷気味かも（＊）
	期待されたほどにBUZZは盛り上がっていない感（＊）
ブルックリン	３部門ノミネート（＊）	1.0
	候補はギリギリラインだったと思われる。候補入りこそ勝利（－）
	前哨戦は候補入りも厳しい位置だった（－）
	メロドラマ要素は最近のオスカーではマイナスになる（－）
	バカだねー、そこが良いんでしょう？（＋＋＋）
	シアーシャ・ローナンの主演女優賞獲得をサポートせよ（＋）
	アイルランド移民の少女の物語。あぁ、アメリカ人じゃないのか（＊）
マッドマックス怒りのデス・ロード	10部門ノミネート（＋）	8.0
	監督賞と編集賞でも候補入り。脚色賞アウトは…忘れましょ（＋＋）
	前哨戦絶好調。映画ファンが見たいのはこの映画の受賞（＋＋＋）
	うぉー、理屈なく面白い！頭の堅いオスカー会員もKO（＋＋＋）
	この映画が受賞すれば、オスカーは一気に見直される（＋）
	ホワイトオスカー問題から注目を逸らそうぜ！（＋）
	とは言っても、オスカー会員にその度胸があるか！（－－－）
オデッセイ	７部門ノミネート（＋）	2.0
	あぁ、でもまさかリドリー・スコットが監督賞から洩れるとは…（－）
	ゴールデン・グローブ賞ミュージカル・コメディ部門制覇（＋＋＋）
	どうやら最近のオスカーはSFに抵抗はあまりないようで（＋）
	BUZZのピークは12月上旬だったかもしれない（－）
	受賞するなら技術部門でしょう（＊）
	何となく受賞ゼロに終わりそうな気配が…（＊）
レヴェナント：蘇えりし者	最多12部門ノミネート（＋＋）	6.5
	ワーオ、まさかここまで愛されるとは批評家も映画ファンもびっくり（＋＋）
	まさかのゴールデン・グローブ賞受賞により流れを変えた！（＋＋＋）
	実は流れというものは、賞レースでは本当に重要。DGAも獲る（＋＋＋）
	実は批評家の反応は候補作品中、最も鈍い（－－）
	レオナルド・ディカプリオを受賞させることを最優先して！（＊）
	２年連続アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ映画？（－）
ルーム	４部門ノミネート（＊）	2.5
	前哨戦は全てノミネート止まりで終わっている（－）
	でも監督賞を押さえているのは大いに心強い（＋＋）
	トロント映画祭では『スポットライト』を押さえて観客賞（＋＋）
	候補作品中、最もエッジが効いた内容（＋）
	おそらく票はブリー・ラーソンの主演女優賞に集中（＊）
	女性が主人公の映画ということで『ブルックリン』と票割れ（－）
スポットライト世紀のスクープ	６部門ノミネート（＋）	8.0
	2015年を代表するインディーズ映画の座か（＋＋）
	ではインディペンデント・スピリット賞を目指しては？（－）
	前哨戦絶好調。BFCA、NSFC、LAFCA等重要衝撃破（＋＋＋）
	やや失速気味だったところで、SAGキャスト賞受賞！（＋＋）
	社会問題を取り上げ、ジャーナリズムも考察（＋＋）
	配給会社が賞レース慣れしていない。キャンペーンは…（－）

The Eight Nominees　ノミネート作品　［I guessed 7/8］
マネー・ショート華麗なる大逆転　The Big Short
	配給：パラマウント　　監督：アダム・マッケイ
	Nominees 作品、監督、助演男優賞、脚色、編集（５部門）
	Precursors PGA
	マイル・ルイスのノンフィクション小説を基に、2007年から始まった世界経済破綻を見抜いた男たちの行方を追う。だたし、コメディとして軽妙に。タイムリーな題材を脚本と編集の技で見せ切る。ダークホース。
ブリッジ・オブ・スパイ　Bridge of Spies
	配給：ディズニー、ドリームワークス　　監督：スティーヴン・スピルバーグ
	Nominees 作品、助演男優、脚本、美術、録音、作曲（６部門）
	Precursors None
	冷戦下を舞台にしたスパイスリラー。と言っても、アクションではなく心理戦で魅せるのがミソ。スピルバーグの名人芸と言って良い演出術が心に沁み入るドラマを紡ぎ出す。マーク・ライランスをアシストせよ。
ブルックリン
	配給：フォックス・サーチライト　　監督：ジョン・クローリー
	Nominees 作品、主演女優、脚色（３部門）
	Precursors None
	サンダンス映画祭で上映されるや否や、瞬く間に打ち上がった少女の青春の輝き。単純なメロドラマに終わらないものを感じさせる語り口が映画ファンの心を掴んだ。シアーシャ・ローナン最重要の一作。
マッドマックス怒りのデス・ロード　Mad Max: Fury Road
	配給：ワーナー・ブラザース　　監督：ジョージ・ミラー
	Nominees 作品、監督、撮影、編集、美術、衣装デザイン、メイキャップ＆ヘアスタイリング他（10部門）
	Precursors NBR、CFCA、SDFCS、KCFCC、UFCA、FFCC、AFCA、GFCA、LFCC、OFCS、BOFCA、IWFCP
	21世紀に蘇ったマッドマックスが映画界に風穴を開ける。人間の肉体とそれを捉えるカメラ、そして大胆な編集が大胆不敵な世界を創造！アクションは受けない？そんな定説、くそくらえ！
オデッセイ　The Martian
	配給：20世紀フォックス　　監督：リドリー・スコット
	Nominees 作品、主演男優、脚色、美術、視覚効果、録音、音響効果（７部門）
	Precursors GGA、NTFCA
	ただ一人、火星に取り残された宇宙飛行士の物語。そう、これはSFスリラー。「ゼロ・グラビティ」よりも物語性は強く、よりオスカー好みの気配あり。候補作品中、最大の興収。あぁ、しかしスコットが…。
レヴェナント：蘇えりし者　The Revenant
	配給：20世紀フォックス　　監督：アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
	Nominees 作品、監督、主演男優賞、助演男優、撮影、編集、美術、衣装デザイン他（最多12部門）
	Precursors BAFTA、GGA
	アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ×レオナルド・ディカプリオ。圧倒的な映像美の下、ひとりの男の激情を詩情豊かに紡ぐ。前哨戦苦戦を跳ね除けゴールデン・グローブ賞受賞。天下取りの可能性が出てきた！
ルーム　Room
	配給：A24　　監督：レニー・エイブラハムソン
	Nominees 作品、監督、主演女優、脚色（４部門）
	Precursors None
	『スポットライト世紀のスクープ』のトロント制覇を阻んだのは小さな小さなインディーズ映画。ずっと小さな部屋で暮らしてきた母と息子のドラマ。レニー・エイブラハムソンの監督賞候補は愛されている証拠だ。
スポットライト世紀のスクープ　Spotlight
	配給：オープンロード・フィルムズ　　監督：トーマス・マッカーシー
	Nominees 作品、監督、助演男優、助演女優、脚本、編集（６部門）
	Precursors GSA、ISA、BFCA、NSFC、LAFCA、BSFC、LVFCS、WFCA、SFFCC、DFFCA、DFCS、IFJA...
	ヴェネチア、テルライド、そしてトロント…各映画祭を荒らした後は、いよいよ劇場へ。社会派の問題を取り上げ、そこにジャーナリズムへの考察を滑り込ませる技。栄光のオスカーへ向かう道は明るい。今のところ。

ranking

製作費			前哨戦ポイント　-2/27-
1	マッドマックス怒りのデス・ロード	$150m	1	マッドマックス怒りのデス・ロード	230.5 p
2	レヴェナント：蘇えりし者	$135m	2	スポットライト世紀のスクープ	227.5 p
3	オデッセイ	$108m	3	レヴェナント：蘇えりし者	165.5 p
4	ブリッジ・オブ・スパイ	$40m	4	マネー・ショート華麗なる大逆転	135.0 p
5	マネー・ショート華麗なる大逆転	$28m	5	オデッセイ	132.5 p
6	スポットライト世紀のスクープ	$20m	6	ブリッジ・オブ・スパイ	100.0 p
7	ブルックリン	$4m	7	ブルックリン	93.0 p
8	ルーム	$??m	8	ルーム	92.5 p

評価 rating			興行収入　-2/21-
1	スポットライト世紀のスクープ	94.6 p	1	オデッセイ	$228m
2	ブルックリン	94.0 p	2	レヴェナント：蘇えりし者	$165m
3	マッドマックス怒りのデス・ロード	93.0 p	3	マッドマックス怒りのデス・ロード	$153m
4	ブリッジ・オブ・スパイ	88.1 p	4	ブリッジ・オブ・スパイ	$72m
5	ルーム	87.9 p	5	マネー・ショート華麗なる大逆転	$67m
6	オデッセイ	87.3 p	6	スポットライト世紀のスクープ	$38m
7	マネー・ショート華麗なる大逆転	82.0 p	7	ブルックリン	$35m
8	レヴェナント：蘇えりし者	79.5 p	8	ルーム	$12m

上映時間
1	レヴェナント：蘇えりし者	151min
2	オデッセイ	141min
2	ブリッジ・オブ・スパイ	140min
4	マネー・ショート華麗なる大逆転	130min
5	スポットライト世紀のスクープ	128min
6	マッドマックス怒りのデス・ロード	120min
7	ルーム	118min
8	ブルックリン	111min

ノミネート予想（1/10）

Final Prediction

　春先、作品賞候補枠が５本に戻るのではないかとの噂が流れていたが、今シーズンも無事５～10本が候補に挙がるルールが適用された。第１位票を全体の5.0％獲得することが候補条件。5.0％以下でもノミネートを受けられる例外の詳細は伏せられている。何本ノミネートされるかを予想するのは不可能だ。これまでずっと９作品が候補入りしていたが、前年は８作品に留まった。今回は各作品の勢いに大きな差が見られないので、10本を予想してみる。

　候補入りが間違いないのは『スポットライト世紀のスクープ』。批評家賞で最も愛された作品で、社会派の内容は必ずやオスカーでも受けるだろう。現時点では受賞に最も近い位置にいる。

　今回大きく分けてふたつの傾向がある。ひとつは娯楽映画に有力作が多いこと。批評家賞で予想以上の健闘を見せる『マッドマックス怒りのデス・ロード』、秋を代表するメガヒット作『オデッセイ』、そして現在地球規模の大ブームを巻き起こしている『スター・ウォーズ／フォースの覚醒』が、そのラインナップ。いずれも作品に熱狂的なファンがついていて、もしこれらが全て候補に挙がれば、それはそれは近年稀に見る高い注目を集めることだろう。ただ、三本全てが候補入りするだろうか。『フォースの覚醒』は少々厳しいように思えるのだが…。

　もうひとつは女性が主人公の映画が目立つこと。ハリウッドが男性社会ゆえの影響か、この部門の候補作は男が主人公の映画が圧倒的に多かった。それが今シーズンは女性主導の映画が勢いをつけている。具体的には同性愛映画『キャロル』、メロドラマ『ブルックリン』、心理ドラマ『ルーム』だ。いずれも主演女優賞の有力候補を抱えていて、その勢いと共に候補入りを実現してもおかしくない。やや『ブルックリン』は息切れの傾向が見られるが、どうなるか。

　名匠の作品ではスティーヴン・スピルバーグの『ブリッジ・オブ・スパイ』、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの『レヴェナント：蘇えりし者』が強そうだ。スピルバーグは言わずと知れたハリウッドの重鎮、イニャリトゥは前年の主役ということで票が集まりやすい。受賞するほどのパワーは感じられないが、候補入りは射程圏内だ。

　個性豊かな有力作はまだある。『インサイド・ヘッド』は2015年を代表するアニメーション映画だし、『ストレイト・アウタ・コンプトン』は音楽ファンだけに留まらない支持を集めたヒップホップ映画だ。『マネー・ショート華麗なる大逆転』は金融危機を喜劇仕立てで描き出したタイムリーな一品。『クリードチャンプを継ぐ男』はあのロッキーの世界を蘇らせることに成功。『ビースト・オブ・ノー・ネイション』はNetflix手動の社会派劇ということで話題を呼んでいる。この中だと特に『マネー・ショート』の勢いが急激に増している。作品賞受賞に漕ぎ着けるのではないかとの声が挙がるくらいに…。

　波乱を起こす可能性がある作品を挙げるなら映画業界を舞台にした『トランボハリウッドに最も嫌われた男』、クエンティン・タランティーノが密室劇に挑んだ『ヘイトフル・エイト』、2015年を代表するジャンル映画『ボーダーライン』あたりか。とりわけ『トランボハリウッドに最も嫌われた男』は同業者たちが多大なるシンパシーを寄せそうな気配がある。侮るべきではないのではないか。興行的失敗によりBUZZが急激に下降してしまった『スティーブ・ジョブズ』も何とか、再浮上を窺っている。

OSCAR PLANET Prediction
マネー・ショート華麗なる大逆転（アダム・マッケイ監督）	Likely
ブリッジ・オブ・スパイ（スティーヴン・スピルバーグ監督）	Shaky
キャロル（トッド・ヘインズ監督）	Shaky
インサイド・ヘッド（ピート・ドクター監督）	Shaky
マッドマックス怒りのデス・ロード（ジョージ・ミラー監督）	Shaky
オデッセイ（リドリー・スコット監督）	Lock
レヴェナント：蘇えりし者（アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督）	Shaky
ルーム（レニー・エイブラハムソン監督）	Shaky
スポットライト世紀のスクープ（トーマス・マッカーシー監督）	Lock
トランボハリウッドに最も嫌われた男（ジェイ・ローチ監督）	Shaky
The Runner-up
ストレイト・アウタ・コンプトン（Ｆ・ゲイリー・グレイ監督）	Shaky

The Five - Ten Frontrunners　フロントランナー（5～10作品）　（1/10）
Lock
オデッセイ The Martian （20世紀フォックス） Win: GGA、NTFCA	火星に取り残された宇宙飛行士と彼を帰還させようとミッションに挑むNASAを描くSFスリラー。“2015年の「ゼロ・グラビティ」”？ ~~Weak Point~~ 絶賛一色ではなかったが、興行成績は絶好調。リドリー・スコット起死回生の一打、秋を代表するメガヒット作であることをアピールできて、BUZZは高まるばかり。もはや受賞も射程圏内。
スポットライト世紀のスクープ Spotlight （オープンロード・フィルムズ） Win: GSA、ISA、BFCA、NSFC、LAFCA、BSFC、LVFCS、WFCA、SFFCC、DFFCA、DFCS、IFJA、SFCA、NFCS、SLFCA、PFCS、NCFCA、OFCC、COFCA、HFCS、DFCS2、IFCA、VFCC、NYFCO、PFCC	ボストンのカトリック教会のセックススキャンダルを追うBoston Globeの記者たちを描く実話ドラマ。ヴェネチア映画祭で最もBUZZが盛り上がった作品。 ~~Weak Point~~ 「靴職人と魔法のミシン」が大コケしたトーマス・マッカーシーが監督…なんてことは皆すっかり忘れている。事件の興味深さもさることながら、ジャーナリズムの考察が優れている。候補落ちはあり得ない。
Likely
マネー・ショート華麗なる大逆転 The Big Short （パラマウント） Win: PGA	マイル・ルイスのノンフィクション小説を基に、2007年から始まった世界経済破綻を見抜いた男たちの行方を追うコメディ・スリラー。豪華スター結集。 Weak Point 堅苦しい話にはしないで…という願いに応えて、小難しさを感じさせない作りへ。タイムリーな内容も時代に敏感な会員の心を捉えるはず。…なのだが、そもそも最初から題材に拒否反応があるかも。
Shaky
ブリッジ・オブ・スパイ Bridge of Spies （ディズニー、ドリームワークス）	弁護士がCIAに指名され、ソ連に身柄拘束中の偵察機U2の操縦士の解放交渉に奔走する姿を描く実話物。社会派要素が武器。 Weak Point スティーヴン・スピルバーグ×トム・ハンクス×コーエン兄弟。賞受けする面子が集まったが、狙い過ぎると避けられるかもしれない。そもそもディズニーが手掛ける実写映画はオスカーで受けない。
キャロル Carol （ワインスタイン・カンパニー） Win: NYFCC、TFCA	パトリシア・ハイスミスの原作を基に、1950年ニューヨーク、結婚生活が破綻した人妻キャロルの恋を描く。カンヌ大絶賛のニュースが駆け巡る。 Weak Point 時代物が得意なトッド・ヘインズの監督は心強いが、キャロルの相手は20代のデパート店員テレーズ。つまり同性愛。保守派は敬遠。そもそも女性が主人公の映画はオスカーで受けない。
インサイド・ヘッド Inside Out （ディズニー） Win: DFCC	少女の脳内の５つの感情がせめぎ合う様を描く。ピクサーがピクサーであることを証明する作品だと、カンヌ熱狂。アニメーション映画賞候補はLOCK。 Weak Point 「ピクサーなら絶対」という安心感が崩れて久しい同社が完全復活を狙っているが、一度崩れた神話を再生させるのは難しい。ん？全く同じ設定の邦画が完成したばかりなんですけど…。
マッドマックス怒りのデス・ロード Mad Max: Fury Road （ワーナー・ブラザース） Win: NBR、CFCA、SDFCS、KCFCC、UFCA、FFCC、AFCA、GFCA、SFCC、LFCC、OFCS、BOFCA、IWFCP	伝説のシリーズが復活。予想図を過激に突破するイメージの連打！視覚効果に極力頼らない、「本物」のアクションと魂を堪能せよ。 Weak Point そう、これはアクション映画。このジャンルを簡単には認めないのがオスカー。どれだけ批評家賞で愛されても、安全圏に入ったとは言えない。今年は娯楽映画の有力作が少なくない。
レヴェナント：蘇えりし者 The Revenant （20世紀フォックス） Win: BAFTA、GGA	クマに襲われ大怪我を負った自分を置き去りにし、それどころか金を盗んだ仲間に復讐を誓う男の物語。重量感ある演出と演技が期待できそう。 Weak Point アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ×レオナルド・ディカプリオ×トム・ハーディ。濃い！胃にもたれないか、今から心配？オスカー好みのど真ん中を突く作品ではないのが、プラスになりそうだが…。
ルーム Room （A24）	ずっと小さな部屋の中だけで育てられた５歳の少年。母は少年に外には別の世界が広がっていることを告げるが…。トロント映画祭でBUZZ急騰。 Weak Point 実験色の強いインディーズ映画。オスカー好みの作りからは外れているため、批評家賞止まりになる可能性あり。ブリー・ラーソンの主演女優賞に票が集中してしまう可能性がある。
トランボハリウッドに最も嫌われた男 Trumbo （ブリーカー・ストリート）	赤狩りと闘った「恋愛手帖」「ローマの休日」の脚本家ダルトン・トランボを描く実話ドラマ。オスカーは業界内幕映画がお好き。 Weak Point 新しく立ち上げられた配給会社の本命だが、どれだけ上手くキャンペーンができるか。老会員たちの郷愁を刺激したいが…。喜劇要素が強いのが吉と出るか否か。「a good movie, not great」？

ノミネーション予想これまでの流れ 2015　（Changes in Red）
Final
マネー・ショート	ブリッジ・オブ・スパイ	スポットライト*	オデッセイ	インサイド・ヘッド
レヴェナント：蘇えりし者	キャロル	怒りのデス・ロード	トランボ	ルーム
The Leader：スポットライト世紀のスクープ
12/1
ジョイ	ブリッジ・オブ・スパイ	スポットライト*	オデッセイ	インサイド・ヘッド
レヴェナント：蘇えりし者	キャロル	ブルックリン	スティーブ・ジョブズ	ルーム
11/1
ジョイ	ボーダーライン	スポットライト*	オデッセイ	インサイド・ヘッド
レヴェナント：蘇えりし者	キャロル	怒りのデス・ロード	スティーブ・ジョブズ	ルーム
10/1
ジョイ	ボーダーライン	スポットライト*	白鯨との闘い	インサイド・ヘッド
レヴェナント：蘇えりし者	キャロル	怒りのデス・ロード	-	-
9/1
ジョイ	ボーダーライン	未来を花束にして	白鯨との闘い	インサイド・ヘッド
レヴェナント：蘇えりし者*	キャロル	怒りのデス・ロード	-	-
8/1
ジョイ	ヘイトフル・エイト	未来を花束にして	白鯨との闘い	インサイド・ヘッド
レヴェナント：蘇えりし者*	キャロル	怒りのデス・ロード	-	-
7/1
ブリッジ・オブ・スパイ*	ヘイトフル・エイト	未来を花束にして	白鯨との闘い	インサイド・ヘッド
レヴェナント：蘇えりし者	キャロル	怒りのデス・ロード	-	-
6/1
ブリッジ・オブ・スパイ*	ヘイトフル・エイト	アイ・ソー・ザ・ライト	白鯨との闘い	インサイド・ヘッド
レヴェナント：蘇えりし者	キャロル	怒りのデス・ロード	-	-
5/1
ブリッジ・オブ・スパイ*	ヘイトフル・エイト	アイ・ソー・ザ・ライト	白鯨との闘い	インサイド・ヘッド
レヴェナント：蘇えりし者	追憶の森	トゥモローランド	-	-

The Other Contenders　その他の有力候補　（1/10）
Very Possible
ビースト・オブ・ノー・ネーション Beasts of No Nation （ブリーカー・ストリート）	好調キャリー・ジョージ・フクナガがウゾディンマ・イウェアラの小説をベースに、名もなきアフリカの国で兵士として育てられる少年を描く。目を背けてはいけない厳しい現実。オスカー会員好み。
ブルックリン Brooklyn （フォックス・サーチライト）	1950年代、ふたつの国とふたりの男の間で揺れる少女の青春を描くドラマ。サンダンスでの熱い賛辞がアメリカへ伝染。メロドラマ要素の強い要素の強い作品はこの部門で避けられる傾向。
クリードチャンプを継ぐ男 Creed （ワーナー・ブラザース）	なんとあの「ロッキー」シリーズのスピンオフが登場。ロッキー・バルボアのかつてのライヴァルの孫が彼にトレーナーを頼むが…。「フルートベール駅で」を手掛けた監督と俳優がボクシングの世界へ。Win: BFCC
ヘイトフル・エイト The Hateful Eight （ワインスタイン・カンパニー）	南北戦争後のワイオミング、猛吹雪に立ち往生する賞金稼ぎ、女囚人、保安官らを描く。「脚本流出にクエンティン・タランティーノ激怒！」のニュースが流れた作品が何とか完成へ。また西部劇？
ボーダーライン Sicario （ライオンズゲイト）	メキシコの麻薬組織の捜査のためCIAの任務に参加する女FBIエージェントを描く犯罪劇。エミリー・ブラントとベニチオ・デル・トロの演技を中心にカンヌで高評価。…が、ジャンル映画は賞受けしない。
スター・ウォーズ／フォースの覚醒 Star Wars Episode VII: The Force Awakens （ディズニー）	完結したと思われたSFサーガが再始動。「ジェダイの帰還」から30年後を舞台に、新たなキャラクターが宇宙で大暴れ。前三部作はファンを落胆させるばかりだったが、今回は歴史的大成功へ。
スティーブ・ジョブズ Steve Jobs （ユニヴァーサル）	スティーヴ・ジョブズの伝記映画がまたまた登場。マックコンピュータの立ち上げやiPodの開発等が描かれる。オスカーは伝記映画が大好き。興行成績が伸びず、ビジネス的には失敗作のイメージ。
ストレイト・アウタ・コンプトン Straight Outta Compton （ユニヴァーサル）	80年半ばに結成、西海岸のヒップホップ界に革命を起こしたN.W.A.を描く。音楽映画に終わらないドラマがあると批評家から厚い支持。それが夏の終わりのビッグヒットに直結。ダークホース。Win: AAFCA
サウルの息子 Son of Saul （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	1944年、アウシュヴィッツ収容所。火葬場で働くハンガリー人捕虜の男が、可愛がっていた少年の埋葬のため、少年の遺体を奪おうと計画して…。カンヌ映画祭グランプリ受賞。外国語の壁。
Possible
さざなみ 45 Years （サンダンス・セレクツ）	デヴィッド・コンスタンティンの短編小説の映画化。結婚45周年を目前にした夫婦の元に夫の初恋の人の遺体が発見されたという知らせが届き…。ベルリン映画祭で主演ふたりが演技賞受賞。
ブラック・スキャンダル Black Mass （ワーナー・ブラザース）	ボストン南部を拠点に活動した実在のギャング、ホワイト・バルジャーを描く犯罪劇。スコット・クーパーが豪華キャストを集めて織り上げる。低迷が続くジョニー・デップ奇跡の大復活の一打となるか。
コンカッション Concussion （コロンビア）	ジャンヌ・マリー・ラスカスが寄稿した記事を基に、NFLを揺るがせる脳震盪問題を訴えるベネット・オマル医師の戦いを描く。ウィル・スミスがドラマティックな演技に復帰。年末公開は自信の表れか。
リリーのすべて The Danish Girl （フォーカス・フィーチャーズ）	デヴィッド・エバーショフの小説を基に、性別適合手術により女として生きたデンマークの画家アイナー・ヴェイナーと妻ゲルダを描く。トム・フーパーの演出力とエディ・レッドメインの女装演技に注目が集まる。
人生はローリングストーン The End of the Tour （A24）	作家デヴィッド・フォスター・ウォリスのサイン会ツアーに同行する雑誌記者を描くドラマ。Rolling Stone誌の記者デヴィッド・リプスキーの回顧録がベース。この部門で目立つには地味な内容。
エクス・マキナ Ex Machina （A24）	プライヴェートマウンテンで過ごすことになった青年が、そこにいた美しい女の姿をした人工知能に出会う物語。捻りの利いたSF心理スリラーとの賛辞が飛び出し、早くもカルト映画化しそうな気配。
愛しのグランマ Grandma （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	自称人間嫌いの老女とその18歳の孫娘による旅の一日を描くコメディ。リリー・トムリンが近年最高の演技を見せているとサンダンスで評判を呼ぶ。小品。インディペンデント・スピリット賞を目指そう。
ジョイ Joy （20世紀フォックス）	マジカルモップやハガブルハンガー等の発明で知られるジョイ・マンガーノを描く。伝記ドラマの枠にとらわれない自由な作りになっているとの噂。批評家の反応はこの監督、この女優にしては低調。
ミス・シェパードをお手本に The Lady in the Van （トライスター）	脚本家アラン・ベネットの実体験を基に、他人のドライヴウェイでヴァン暮らしをする老女と家族の交流を描く。マギー・スミスのユーモアセンスが炸裂しそうな気配。英国映画枠は少なく、かつ小品。
ラブ＆マーシー終わらないメロディー Love & Mercy （ロードサイド・アトラクションズ）	ザ・ビーチ・ボーイズの中心メンバー、ブライアン・ウィルソンの栄光と苦悩の半生を描く。ポール・ダノとジョン・キューザックが二人一役で演じるのがミソ。音楽ファンの心を鷲掴みにするかもしれない。
マクベス Macbeth （ワインスタイン・カンパニー）	ウィリアム・シェイクスピアの四大悲劇のひとつに数えられる「マクベス」の再々々…映画化。主君を暗殺し王位についたマクベスの錯乱と破綻を描く。キャストは実力派揃いだが、監督は実績不足か。
ぼくとアールと彼女のさよなら Me and Earl and the Dying Girl （フォックス・サーチライト）	サンダンス映画祭で審査員賞と観客賞を受賞して大注目。目指すのはもちろん“2015年の「セッション」”。オタク男子二人組がガンの少女のために映画を作ることに…。何と笑えるタッチだとか。
未来を花束にして Suffragette （フォーカス・フィーチャーズ）	フェミニスト運動の黎明期に活動した女性たちを描く社会派ドラマ。このところ映画界は女性の権利についての話題がてんこ盛り。その流れに乗れるかどうか。映画祭での反応は熱狂的ではない。
ニュースの真相 Truth （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	「60 Minutes」のプロデューサー、メアリー・メイプスの自叙伝を基にジョージ・W・ブッシュの軍歴詐称文書偽造事件の顛末を描く。ジャーナリズムの意味を問い掛ける骨太作品になりそう。
ザ・ウォーク The Walk （コロンビア）	オスカー受賞のドキュメンタリー映画「マン・オン・ワイヤー」で知られる大道芸人フィリップ・プティの伝記映画。世界貿易センターのツインタワー間を綱渡りする試みを描く。ロバート・ゼメキスが3Dを駆使。
グランドフィナーレ Youth （フォックス・サーチライト）	アルプスの麓にある高級ホテルで休暇を過ごす80歳の旧友ふたりが人生に思を馳せ…。オスカーを獲得して波に乗るパオロ・ソレンティーノ監督作。アメリカ資本が入っていない影響はあるか。
Longshot
ドリームホーム／99％を操る男たち 99 Homes （ブロード・グリーン）	経済危機の煽りを受けて仕事も家も失った若き父親が、憎むべき相手である悪徳不動産ブローカーの元で働くことになり…。社会派の内容はオスカー向きだが、暗いストーリーは受け入れられ難いか。
シンデレラ Cinderella （ディズニー）	お伽噺の実写化に熱心なディズニーが贈るラヴファンタジー。一連のプロジェクトの中でも最も好評で迎えられ、かつメガヒットを記録。美術賞、衣装デザイン賞での候補は間違いないか。
アクトレス女たちの舞台 Clouds of Sils Maria （IFCフィルムズ）	ブレイクした舞台の再演で、当たり役を若手に奪われるヴェテラン女優を描く。業界内幕ドラマはオスカー受けしやすい。ただし、アメリカ資本は入らず。ジュリエット・ビノシュ vs. クロエ・グレース・モレッツ。
クリムゾン・ピーク Crimson Peak （ユニヴァーサル）	夫が見かけとは違う人物であることに気づく作家を描くホラー。いかにもB級テイストのプロットながら、監督がギレルモ・デル・トロゆえに一筋縄では行かないはず。キャストが豪華絢爛なのがその証拠？
ミニー・ゲッツの秘密 The Diary of a Teenage Girl （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	1970年代サンフランシスコのティーンを描くドラマ。母のボーイフレンドと関係を持つ少女を描く。各映画祭で話題を呼ぶ。元々はグラフィックノヴェル。「アデル、ブルーは熱い色」路線？
エベレスト3D Everest （ユニヴァーサル）	同名ドキュメンタリー映画（05年）の映画化。ある国の大統領選挙にアメリカの選挙キャンペーンの手法が取り入られたことから起きる騒動を描くコメディ・ドラマ。サンドラ・ブロック出演により注目度上昇。
アイヒマンの後継者ミルグラム博士の恐るべき告発 Experimenter （マグノリア）	「服従の心理」で知られる社会心理学者スタンリー・ミルグラムを描く伝記ドラマ。ピーター・サースガードを主演に迎える。題材はオスカー好みだが、強力キャンペーンが必要。サンダンス映画祭で好評。
Far from the Madding Crowd （フォックス・サーチライト）	トーマス・ハーディの「遙か群衆を離れて」の再映画化。農場を経営する独立心旺盛な女が三人の男たちと繰り広げる恋愛を描く大河ドラマ。このジャンルには珍しい（？）キャリー・マリガンが主演。
アーロと少年 The Good Dinosaur （ディズニー）	人間と恐竜が共存していた時代があったという仮説の下、ティーン恐竜であるアパトサウルスのアーロとスポットという名の少年の冒険を描く。アニメーションというハンディをピクサーが跳ね返す？
アイル・シー・ユー・イン・マイ・ドリームズ I'll See You in My Dreams （ブリーカー・ストリート）	元歌手で未亡人の老女が友人たちの手を借りて新しい自分を見つけ出していく様を描くコメディ・ドラマ。ブライス・ダナーがキャリア最高の賛辞を勝ち取り、興行的にも意外な健闘を見せる。
James White （フィルム・アーケイド）	サンダンス映画祭で好評を博したインディーズ・ドラマ。自滅的な生き方しかできない青年が家族の問題に直面し闘う姿を描く。さすがに規模が小さ過ぎる。インディペンデント・スピリット賞を目指すべき。
レジェンド狂気の美学 Legend （ユニヴァーサル）	1960年代ロンドン、ウエストエンドで活動した実在の双子のギャング、ロニー・クレイとレジー・クレイを描く犯罪ドラマ。演技巧者トム・ハーディの実力を見せつける一作になりそう。英国で大ヒット。
マイ・ベスト・フレンド Miss You Already （ライオンズゲイト、ロードサイド・アトラクションズ）	幼馴染の女ふたりが主人公。片方が妊娠、片方が乳癌にかかったことにより友情に変化が…。ドリュー・バリモアとトニ・コレットが激突。コメディとドラマのバランスがどうなるか。泣かせドラマになるかも。
Mistress America （フォックス・サーチライト）	都会暮らしに馴染めない女子大学生の元に義理の姉が転がり込んできて起こる騒動。ノア・バームバックとグレタ・ガーウィグというインディーズ界で輝くふたりが再び送り出す。配給元が高額買い付け。
Mr.ホームズ名探偵最後の事件 Mr. Holmes （ロードサイド・アトラクションズ）	引退したシャーロック・ホームズが美女が絡んだ未解決事件に取り組む様を描くミステリー。「ゴッド・アンド・モンスター」以来、ビル・コンドンとイアン・マッケランがタッグを組む！賞好みではない。
完全なるチェックメイト Pawn Sacrifice （ブリーカー・ストリート）	冷戦時代、伝説のチェスプレーヤー、ボビー・フィッシャーと宿敵ボリス・スパスキ世界選手権での対戦を描く実話ドラマ。長年企画を温めてきたトビー・マグワイアが主演。単調な画になる危険あり。
スロウ・ウェスト Slow West （A24）	西部開拓時代、愛する人を探す旅に出る16歳の少年と彼に付きまとう謎の無法者を描く。サンダンス映画祭で絶賛。主人公は少年の方。…となると、年齢層の高いオスカー会員には受けないかも。
007／スペクター Spectre （コロンビア）	ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドになって四作目。ボンドと宿敵である組織スペクターの死闘が描かれる。悪役にクリストフ・ヴァルツ、ボンドガールにレア・セドゥー、モニカ・ベルッチ。このジャンルは…。
タンジェリン Tangerine （マグノリア）	クリスマスイヴ、ひとりの若い娼婦（トランスジェンダー）が彼女の心を傷つけたポン引きを探して街を彷徨う様を描くコメディ・ドラマ。サンダンス映画祭で好評を博す。iPhone5sで撮影したことが話題。
エイミー、エイミー、エイミー！こじらせシングルライフの抜け出し方 Trainwreck （ユニヴァーサル）	現在のアメリカコメディ界を牽引するジャド・アパトウが３年ぶりに長編を発表。注目株エイミー・シューマーの脚本・主演により、一夫一婦主義を認めない女がまともな恋愛観の男と出会い…。
ヤング・アダルト・ニューヨーク While We're Young （A24）	神経質なドキュメンタリー監督とその妻が、自由奔放な若いカップルと友人になり、中年の危機を乗り越えていく様を描くドラマティック・コメディ。好調ノア・バームバックがメジャースターを起用して挑む。

No Chance　チャンスなし　（1/10）
チリ33人希望の軌跡 The 33 （ワーナー・ブラザース）	アデライン、100年目の恋 The Age of Adaline （ライオンズゲイト）
Aloha （コロンビア）	エージェント・ウルトラ American Ultra （ライオンズゲイト）
アベンジャーズエイジ・オブ・ウルトロン Avengers: Age of Ultron （ディズニー）	二ツ星の料理人 Burnt （ワインスタイン・カンパニー）
白い帽子の女 By the Sea （ユニヴァーサル）	Effie Gray （アダプト・フィルムズ）
ハンズ・オブ・ラヴ手のひらの勇気 Freeheld （ライオンズゲイト）	白鯨との闘い In the Heart of the Sea （ワーナー・ブラザース）
マイ・インターン The Intern （ワーナー・ブラザース）	教授のおかしな妄想殺人 Irrational Man （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）
ラスト５イヤーズ The Last 5 Years （ラディアス-TWC）	Lila & Eve （サミュエル・ゴールドウィン・フィルムズ）
ディーン、君がいた瞬間 Life （シネディグム）	ヴェルサイユの宮廷庭師 A Little Chaos （フォーカス・ワールド）
マジック・マイクXXL Magic Mike XXL （ワーナー・ブラザース）	選挙の勝ち方教えます Our Brand Is Crisis （ワーナー・ブラザース）
PAN ネバーランド、夢のはじまり Pan （ワーナー・ブラザース）	幸せをつかむ歌 Ricki and the Flash （トライスター）
シークレット・アイズ Secret in Their Eyes （STXエンタ－テイメント）	サウスポー Southpaw （ワインスタイン・カンパニー）
ストーンウォール Stonewall （ロードサイド・アトラクションズ）	Ten Thousand Saints （スクリーン・メディア・フィルムズ）
ロスト・イン・マンハッタン Time Out of Mind （IFCフィルムズ）	トゥモローランド Tomorrowland （ディズニー）
トラッシュ！この街が輝く日まで Trash （ユニヴァーサル）	トゥルー・ストーリー True Story （20世紀フォックス）
ディバイナー戦禍に光を求めて The Water Diviner （ワーナー・ブラザース）	死の谷間 Z for Zachariah （ロードサイド・アトラクションズ）

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