Predictions -Best Supporting Actress-

Predictions -Best Supporting Actress-

助演女優賞

受賞予想（2/17）

Final Predictions

ジェニファー・
ジェイソン・リー

ルーニー・マーラ

レイチェル・
マクアダムス

アリシア・
ヴィキャンデル

ケイト・ウィンスレット

△

◎

○

OSCAR PLANET Prediction		アリシア・ヴィキャンデル（リリーのすべて）
General Prediction		アリシア・ヴィキャンデル（リリーのすべて）
My Hope		ジェニファー・ジェイソン・リー（ヘイトフル・エイト））

　助演男優賞と同じく、助演女優賞もノミネーションの行方が読み難い部門だった。理由は『キャロル』のルーニー・マーラと『リリーのすべて』のアリシア・ヴィキャンデルの票が主演女優賞に流れる可能性があったからだ。そうなった場合、助演女優賞は二席も余裕が出る。全く予想外のところから候補が出ることも考えられたのだ。ところが、結局両者共にこの部門で候補入りを果たした。意外性はないが、充実のメンバーだと言われている。

　マーラとヴィキャンデルはどちらも受賞の可能性を秘めたノミニーだ。だが、ブロードキャスト映画批評家協会賞とアメリカ映画俳優組合賞で実現した直接対決の内、共に勝利を手にしたのはヴィキャンデルだ。そう、勢いは彼女にある。性転換手術を試みる夫を支える妻の役柄はこの部門で最も愛されるキャラクターだ。彼女こそ真の主役だとの声が上がるくらいに評価が高い。

　けれど、彼女のいちばんの武器は2015年がターニングポイントと言って良い飛躍の年になったことだろう。各批評家賞では『リリーのすべて』以上に『エクス・マキナ』の人工演技で圧倒的強さを発揮。他にも『コードネーム U.N.C.L.E.』では60年代の衣装を次々着こなしファッションアイコンとして輝き、『戦場からのラブレター』では戦争により恋人と引き裂かれるヒロインをドラマティックに演じて好評を博した。ヒットはしなかったが、ブラッドリー・クーパー主演作『二ツ星の料理人』でも顔を見せた。そう、つまりヴィキャンデルは総合的に評価される可能性が、極めて高いのだ。

　マーラはヴィキャンデルに対抗できるだろうか。大女優ケイト・ブランシェット相手に引かない堂々たる演技はカンヌ映画祭女優賞受賞という形になって評価されている。『キャロル』は作品賞候補から洩れてしまったが、それゆえ票が彼女に集中する可能性が高いことが逆転のキーかもしれない。現時点ではヴィキャンデル優勢だが、マーラの線も消えてはいない。

　さて、そのマーラとヴィキャンデルが主演に入ったゴールデン・グローブで頂点に立ったのは『スティーブ・ジョブズ』のケイト・ウィンスレットだ。何の説明もいらない英国の大女優へと成長したウィンスレットは、もちろんオスカーの常連。普通に考えれば、フレッシュな若手に票が流れると考えるべきだろうが、けれど運だけでゴールデン・グローブを手にはできないわけで、一応のマークは必要だろう。もしかしてレオナルド・ディカプリオ（レヴェナント：蘇えりし者）との同時受賞が見たいという会員の心理が働くことも考えられる…というのは深読みのし過ぎか。

　ウィンスレットよりも匂うのは『ヘイトフル・エイト』のジェニファー・ジェイソン・リーだ。曲者街道まっしぐらのヴィック・モローの娘が遂に初ノミネーションを獲得。これは遅過ぎるくらいで、その実力は誰もが認めるところだ。クエンティン・タランティーノは俳優を復活させるのが得意だが、今年はリーが恩恵を受けたわけだ。その怪演はむさ苦しい男たちが揃ったアンサンブル西部劇の中でも圧倒的に目立つと評判。功労票を取り込むのは彼女だろう。
　
　『スポットライト世紀のスクープ』のレイチェル・マクアダムスは作品の勢いに乗ってイン。アメリカ映画俳優組合賞でも指名を受けているあたり、俳優人気が高い証拠だ。作品に勢いがつけば、彼女にもチャンスが出てくる。ただし、対象作から唯一の受賞者が彼女になった場合、違和感を感じる会員は多いだろう。彼女の受賞は、助演男優賞候補のマーク・ラファロが漕ぎ着けた場合に限られる。

　ヴィキャンデル優勢。マーラが追う。リーがその間を狙う。ウィンスレットやマクアダムスも隙を窺っている。

※追記。
　この文章を書いた直後に英国アカデミー賞が発表され、ウィンスレットが受賞。不気味にBUZZを上昇させている。実はヴィキャンデルを撃ち落とす可能性が最も高いのは彼女ではないかとの見方が大きくなってきている感。

**Prediction Chart**
		％	Final	2/11	2/6	2/1	1/27	1/22
1	アリシア・ヴィキャンデル『リリーのすべて』	30	1	1	1	1	1	1	本命
2	ケイト・ウィンスレット『スティーブ・ジョブズ』	25	2	4	4	4	4	4	対抗
3	ルーニー・マーラ『キャロル』	25	3	2	2	2	2	2	大穴
4	ジェニファー・ジェイソン・リー『ヘイトフル・エイト』	15	4	3	3	3	3	3	Happy to be Nominated
5	レイチェル・マクアダムス『スポットライト世紀のスクープ』	5	5	5	5	5	5	5	Happy to be Nominated

**List of Marks**
ジェニファー・ジェイソン・リー『ヘイトフル・エイト』	えっ、ファーストノミネーションですか！？（＋）	4.5
	ナショナル・ボード・オブ・レヴューを受賞して先陣を切る（＋）
	あぁ、でももっと重要なSAGでは候補漏れしてしまった（－）
	むさ苦しい男たちが集まるアンサンブル西部劇で紅一点の怪演（＋＋）
	クエンティン・タランティーノは俳優を復活させるのが得意（＊）
	ヴィック・モローを知る老会員たちがこぞって投票。おぉ、あの子が…（＋）
	少し前までノア・バームバックと結婚してたって知ってた？（＋－）
ルーニー・マーラ『キャロル』	２度目のノミネーション。静かに喜んでそう（＋）	4.0
	カンヌ映画祭ではケイト・ブランシェットを負かして女優賞受賞（＋＋）
	米映画賞では地方の批評家賞をひっそりと…（＋）
	実はブランシェットより出番は多く、見せ場もあり（＋＋）
	作品賞候補漏れ。トッド・ヘインズ映画はオスカーで受けない（－）
	『PAN ネバーランド、夢のはじまり』ではラジー賞ノミネート！（－）
	姉のケイトも頑張ってますよ。同じくラジー賞候補ですが…（＋－）
レイチェル・マクアダムス『スポットライト世紀のスクープ』	混戦を抜け出して初ノミネート。ワーオ！（＋）	1.0
	Boston Gｌobe編集部内の紅一点。当然目立つ（＋）
	前哨戦は全てノミネート止まり。受賞したらサプライズ（－）
	対象作の勢いに陰り。演技賞ならマーク・ラファロの方が…（－）
	キャリアを変える作品になった。彼女にとって極めて重要な一本（＋＋）
	キャメロン・クロウ映画『Aloha』の失敗は忘れて下さい（－）
	ライアン・ゴズリングとは何故別れちゃったの…とファンは思ふ（＋－）
アリシア・ヴィキャンデル『リリーのすべて』	2015年最大のブレイクスターが見事初ノミネート（＋）	10.0
	性転換手術する夫を支える妻役はオスカー好みど真ん中（＋＋）
	彼女こそが真の主役だとの声が途切れない名演（＋＋）
	米映画俳優組合賞、ブロードキャスト批評家協会賞受賞（＋＋）
	『エクス・マキナ』では批評家賞独走。合わせ技が効く（＋＋）
	スウェーデン出身。ヨーロッパ会員票はここに集まる（＋）
	マイケル・ファスベンダーとは隣同士で座るのですか？（＋－）
ケイト・ウィンスレット『スティーブ・ジョブズ』	あら、私７回目のノミネートなんですって（＋）	2.0
	もう受賞しているから気楽に出席するわ（－）
	GGA獲っちゃったのよね。一応スピーチ用意しておこうかしら（＋＋）
	でもGGAはアリシアとルーニーが主演に入ってたしね（－）
	でもレオと私が一緒にオスカーを獲るところを見たいんじゃない？（＋＋）
	作品がヒットしなかったのは私のせいじゃないわよ（－）
	私が今いちばん欲しいのはトニー賞なのよ（＋－）

The Five Nominees　ノミネート女優　［I guessed 3/5］
ジェニファー・ジェイソン・リー　Jennifer Jason Leigh
	ヘイトフル・エイト（ワインスタイン・カンパニー）
	Oscar Experience first nomination!
	Precursors NBR、SDFCS、NTFCA
	「ショートカッツ」（93年）「ミセス・パーカージャズエイジの華」（94年）「黙秘」（95年）等を連発していた頃を思い出せば、これが初候補というのはおかしな話だ。そういう意味では「2015年最大のカムバックスター」になるのかもしれない。クエンティン・タランティーノ映画でむさ苦しい男たちの中で怪演。チャンスはある。
ルーニー・マーラ　Rooney Mara
	キャロル（ワインスタイン・カンパニー）
	Oscar Experience 2 noms / 0 win
	Precursors DFFCA、HFCS、OFCS、NYFCO
	「ドラゴン・タトゥーの女」（11年）の体当たり演技により実力派の仲間入り。ケイト・ブランシェットと奏でる胸張り裂ける恋模様に身を捧げ、カンヌ映画祭女優賞を手にした。実はブランシェットよりも出演時間は多く、見せ場もたっぷり。受賞が狙える位置だ。「PAN ネバーランド、夢のはじまり」は忘れてプリーズ。
レイチェル・マクアダムス　Rachel McAdams
	スポットライト世紀のスクープ（オープンロード・フィルムズ）
	Oscar Experience first nomination!
	Precursors None
	「きみに読む物語」（04年）から数年間は出演映画が次々ヒット、絶好調だった。人気が落ち着き始めてからはドラマ映画で演技をじっくり見せる機会が増えていく。対象作はその集大成の一本だ。そろそろ若手とは呼べない年齢に差し掛かり、キャリアの重要な時期にこの作品に出合った意義は大きい。
アリシア・ヴィキャンデル　Alicia Vikander
	リリーのすべて（フォーカス・フィーチャーズ）
	Oscar Experience first nomination!
	Precursors SAG、GSA、BFCA、DFCS、PFCS
	2015年最大のブレイクスターと言って良いだろう。候補入りはならなかったが『エクス・マキナ』は批評家賞総ナメ。『戦場からのラブレター』『コードネーム U.N.C.L.E.』もあった。対象作では彼女こそが真の主人公だと讃えられるほどに大きな存在感を見せる。W候補はならなかったが、かえって票はここに集中する。
ケイト・ウィンスレット　Kate Winslet
	スティーブ・ジョブズ（ユニヴァーサル）
	Oscar Experience 7 noms / 1 win
	Precursors BAFTA、GGA、IFCA、LFCC
	「愛を読むひと」（08年）で遂にオスカー女優になって以来のレース復帰。…と言っても別に不調だったわけではない。「ミルドレッド・ピアース幸せの代償」（11年）ではエミー賞を獲得をするなど、高評価作品への出演が途切れない。タイミングの問題なのだろう。久々のオスカー。ゴールデン・グローブを獲り、勢いづく。

ranking

キャンペーンパワー　15/12/1～16/1/15			前哨戦ポイント　-2/27-
1	アリシア・ヴィキャンデル	581 p	1	アリシア・ヴィキャンデル	138.0 p
2	ルーニー・マーラ	482 p	2	ケイト・ウィンスレット	117.0 p
3	ケイト・ウィンスレット	394 p	3	ルーニー・マーラ	110.5 p
4	ジェニファー・ジェイソン・リー	236 p	4	ジェニファー・ジェイソン・リー	99.0 p
5	レイチェル・マクアダムス	214 p	5	レイチェル・マクアダムス	98.5 p

対象作の興行収入　-2/21-			対象作の評価 rating
1	ジェニファー・ジェイソン・リー	$53m	1	レイチェル・マクアダムス	94.6 p
2	レイチェル・マクアダムス	$38m	2	ルーニー・マーラ	93.2 p
3	ケイト・ウィンスレット	$17m	3	ケイト・ウィンスレット	83.4 p
4	ルーニー・マーラ	$12m	4	ジェニファー・ジェイソン・リー	73.2 p
5	アリシア・ヴィキャンデル	$10m	5	アリシア・ヴィキャンデル	72.2 p

ノミネート予想（1/10）

Final Prediction

　助演女優賞は若手二大女優の対決になるというのが大方の見方だ。『キャロル』のルーニー・マーラと『リリーのすべて』のアリシア・ヴィキャンデルだ。「ドラゴン・タトゥーの女」（11年）でブレイクしたマーラはケイト・ブランシェットとの激しい恋に落ち、スウェーデンの新星ヴィキャンデルは夫エディ・レッドメインが「女」に目覚めたことで苦悩する。どちらも主演と言っても差し支えない大きな役柄で、会員に大きなインパクトを与えることだろう。

　ただし、大きな役柄ゆえのカテゴリー・コンフュージョンが気にかかる。マーラもヴィキャンデルも主演に票が流れることが考えられるのだ。実際、ゴールデン・グローブ賞では両者主演で候補に挙がっている（予め強制的に主演にカテゴライズされた）。主演に票が流れても、どちらかで候補できれば良い。けれど、票が真っ二つに割れて、どちらでも候補入りできないというパターンも考えられるのが怖いところ。安心と言い切れないのは、そういう理由だ。

　それにヴィキャンデルは、『エクス・マキナ』の自分の演技との票割れも避けられない。初夏に公開されたSFスリラーで人工知能を演じたヴィキャンデルは、その美貌に恐怖を受けつけ、映画史に残るアイコンを創り出したと評判なのだ。ヴィキャンデルの理想的な票の流れ方は、“『リリーのすべて』で主演、『エクス・マキナ』で助演で票が集まり「Wノミネート」”、になるだろう。果たしてそう上手く行くかどうか。前哨戦では『リリーのすべて』よりも『エクス・マキナ』がより支持を集めていた。あながちあり得ない話ではないようにも見えるのだが…。

　マーラとヴィキャンデルが主演に行った場合、助演女優賞は大きく開かれた部門になる。残りのコンテンダーはそれを祈った方が良い。ゴールデン・グローブ賞（GGA）、アメリカ映画俳優組合賞（SAG）、ブロードキャスト映画批評家協会（BFCA）の重要三賞の全てで名を連ねた『スティーブ・ジョブズ』のケイト・ウィンスレット、『トランボハリウッドに最も嫌われた男』のヘレン・ミレンは一気に安全圏に近づくだろう。SAG、BFCAで候補入りした『スポットライト世紀のスクープ』のレイチェル・マクアダムス、GGA、BFCAを押さえた『ヘイトフル・エイト』のジェニファー・ジェイソン・リーも有力と言える。

　その他『ルーム』のジョアン・アレン、『ラブ＆マーシー終わらないメロディー』のエリザベス・バンクス、『グランドフィナーレ』のジェーン・フォンダらも逆転の目を残しているが、彼女たちよりも遥かに批評家賞受けが良いのが『アクトレス女たちの舞台』のクリステン・スチュワートだ。ニューヨークとボストンという批評家協会の中でも重要なふたつを押さえ、その他の批評家賞でも次々候補に挙がっている。フランス最大の映画賞セザール賞では受賞も果たしている。果たしてスチュワートはオスカーでも強いのかどうか。現時点では批評家好みでもオスカー好みではないように見えるのだが…。

　マーラとヴィキャンデル次第で、候補者ががらりと変わりそう。助演男優賞と同じく、予想する側としては面白い部門だ。

　追記。批評家は『リリーのすべて』のヴィキャンデルも『エクス・マキナ』のヴィキャンデルも愛している。とりわけ『エクス・マキナ』は受けが良い。それはもう、今年を代表する演技だと太鼓判を押す愛し方だ。2015年はヴィキャンデル完全ブレイクの年として記憶される。彼女ならばWノミネートの資格がある。そう考えるオスカー会員も多いのではないか。“『リリーのすべて』で主演、『エクス・マキナ』で助演で票が集まり「Wノミネート」”…現実味を帯びてきた。

OSCAR PLANET Prediction
ジェニファー・ジェイソン・リー（ヘイトフル・エイト）	Shaky
ルーニー・マーラ（リリーのすべて）	Shaky
ヘレン・ミレン（トランボハリウッドに最も嫌われた男）	Shaky
アリシア・ヴィキャンデル（エクス・マキナ）	Shaky
ケイト・ウィンスレット（スティーブ・ジョブズ）	Shaky
The Runner-up
レイチェル・マクアダムス（スポットライト世紀のスクープ）	Shaky

The Five Frontrunners　フロントランナー（５名）　（1/10）
Shaky
ジェニファー・ジェイソン・リー Jennifer Jason Leigh （ヘイトフル・エイト） Win: NBR、SDFCS、NTFCA	ヴィック・モローの娘は仄暗い眼差しが貴重な個性派。大物女優たちが欲しがったジューシーロール！久々に注目度上昇中。 Weak Point このところ低迷気味だったが、あのクエンティン・タランティーノが彼女の大復活をお膳立て。これ以上ない高い期待値は、かえって危険かもしれない。実力はあるのに、候補経験はなし。
ルーニー・マーラ Rooney Mara （キャロル） Win: DFFCA、HFCS、OFCS、NYFCO	「ドラゴン・タトゥーの女」により急騰したスターパワーを有効活用。ケイト・ブランシェット扮する人妻と恋に落ちるデパート店員役。 Weak Point 「セインツ約束の果て」「サイド・エフェクト」等を見ても分かるように、基本的に演技の温度が低く、この手の演技は賞に絡み難い。実は出演時間はブランシェットよりも多い。主演部門に票が流れる？
ヘレン・ミレン Helen Mirren （トランボハリウッドに最も嫌われた男）	同年代女優に大差をつける大活躍。赤狩り時代、脚本家ダルトン・トランボを追い詰めるゴシップライター、ヘッダ・ホッパー役。 Weak Point 60代に入ってから大ブレイクするという極めて珍しいキャリアを歩む英国の宝が、久しぶりの悪役的ポジション。この部門が好む役柄だが、実はさほど演技的見せ場は多くないとの声も…。
アリシア・ヴィキャンデル Alicia Vikander （エクス・マキナ） Win: LAFCA、CFCA、WFCA、SFCA、NFCS、KCFCC、SLFCA、AFCA、NCFCA、OFCC、COFCA、GFCA、DFCS2、TFCA、VFCC、PFCC	スウェーデンの新星が、既にカルト映画化が囁かれるSFスリラーに登場。人工知能役という強烈アイコンに扮し、その美しさと恐ろしさを刻み込む。 Weak Point 賞レースの前評判は高くなく、むしろ『リリーのすべて』に票が集中すると考えられていた。それを覆す前哨戦快進撃。会員はどこに投票すべきか、かえって混乱してしまうかもしれない。
ケイト・ウィンスレット Kate Winslet （スティーブ・ジョブズ） Win: BAFTA、GGA、IFCA、LFCC	スティーヴ・ジョブズの伝記映画で、マッキントッシュの開発に関わり、マーケティングを担当したジョアンナ・ホフマンを演じる。アクセントを操って妙演。 Weak Point ６度目のノミネートで遂に主演女優賞を獲得。その後エミー賞も受賞して、後はトニー賞を残すのみ？そんなに欲張らないでー。三番目のダンナのファミリーネームは「ロックンロール」！

ノミネーション予想これまでの流れ 2015　（Changes in Red）
Final
ジェニファー・ジェイソン・リー	ルーニー・マーラ	ケイト・ウィンスレット	アリシア・ヴィキャンデル*	ヘレン・ミレン
The Leader：アリシア・ヴィキャンデル
12/1
ジェニファー・ジェイソン・リー	ルーニー・マーラ	ケイト・ウィンスレット	アリシア・ヴィキャンデル*	エリザベス・バンクス
11/1
ジェニファー・ジェイソン・リー	ルーニー・マーラ	ケイト・ウィンスレット	アリシア・ヴィキャンデル*	ジュリー・ウォルターズ
10/1
ジェニファー・ジェイソン・リー*	ルーニー・マーラ	ケイト・ウィンスレット	シャーリズ・セロン	ジュリー・ウォルターズ
9/1
ジェニファー・ジェイソン・リー*	ルーニー・マーラ	エリザベス・オルセン	シャーリズ・セロン	ジュリー・ウォルターズ
8/1
ジェニファー・ジェイソン・リー*	ルーニー・マーラ	エリザベス・オルセン	シャーリズ・セロン	ダイアン・ラッド
7/1
ジェニファー・ジェイソン・リー*	ルーニー・マーラ	エレン・ペイジ	シャーリズ・セロン	ダイアン・ラッド
6/1
ジェニファー・ジェイソン・リー*	ルーニー・マーラ	エレン・ペイジ	シャーリズ・セロン	クリステン・スチュワート
5/1
ジェニファー・ジェイソン・リー*	ルーニー・マーラ	エレン・ペイジ	レア・セドゥー	クリステン・スチュワート

The Other Contenders　その他の有力候補　（1/10）
Very Possible
ジョアン・アレン Joan Allen （ルーム）	３度の候補経験を持つ実力派は、還暦を目前にしてお直しによりぱんぱんの顔へ。作品はコンスタントに続いているが、以前ほどの勢いはないか。作品BUZZの上昇に乗って一気に浮上へ。
エリザベス・バンクス Elizabeth Banks （ラブ＆マーシー終わらないメロディー）	「ハンガー・ゲーム」シリーズへの出演以来、好調。主人公の再生を支えるカーディーラー役で太陽のような存在感。「ピッチ・パーフェクト２」の大ヒットで、監督として成功。Win: LVFCS
ジェーン・フォンダ Jane Fonda （グランドフィナーレ）	まもなく80歳になるレジェンド。女優復帰してからは軽いコメディが続くが、そろそろ本気の一本が欲しいところ。未だに抜群のスタイル。顔も身体もメンテナンス抜かりなし。サイボーグではない。
レイチェル・マクアダムス Rachel McAdams （スポットライト世紀のスクープ）	娯楽作中心の作品から演技力が試される作品へ、選ぶ作品が変わってきた美人女優。セックススキャンダルを追うBoston Globeの記者たちを描くドラマで、紅一点。当然目立つ！
クリステン・スチュワート Kristen Stewart （アクトレス女たちの舞台）	ヴェテラン女優のアシスタント役により、米女優としてセザール賞初受賞。浮気騒動のふしだらイメージからの奇跡の復活。同性愛ゴシップは…？Win: NSFC、NYFCC、BSFC、FFCC、BOFCA
Possible
ジェシカ・チャステイン Jessica Chastain （オデッセイ）	今監督たちが最も起用したいスターへと飛躍。今度はリドリー・スコット監督のSFサヴァイヴァル劇に登場。作品毎にオスカーが噂されるケイト・ブランシェット的立ち位置に入りつつある。
マリオン・コティヤール Marion Cotillard （マクベス）	「サンドラの週末」で二度目の候補へ。今度はあのマクベス夫人役で、マイケル・ファスベンダーを操る。覚悟しなさい。実はウィリアム・シェイクスピア劇はオスカーとの相性はそれほど良くない。
ダイアン・レイン Diane Lane （トランボハリウッドに最も嫌われた男）	ハリウッドでは珍しく、美しく自然に歳を重ねるスター女優。近年は舞台で高評価を獲得。赤狩りに苦しむ夫、ダルトン・トランボを支える妻を演じる。オスカーは忍耐強い妻の役が大好き。
ジュリアン・ニコルソン Julianne Nicholson （ブラック・スキャンダル）	TVシリーズから始まったキャリア。地味ながら着実に作品を重ね、何とか映画ファンに顔を覚えてもらえる存在へ。そばかすがチャームポイント？ジョニー・デップの起死回生策で鍵を握る役柄とか。
シンシア・ニクソン Cynthia Nixon （James White）	「セックス・アンド・ザ・シティ」でエミー賞を受賞している性格女優。映画では確かな演技力を持つ脇役として重宝される。サンダンス映画祭で好評を博したドラマで、主人公の母役。同性愛結婚で幸せ。
イザベラ・ロッセリーニ Isabella Rossellini （ジョイ）	母イングリッド・バーグマンとはタイプの異なる存在感で独自のポジション。妖艶かつ淫らな佇まいだったが、近年は立派におばちゃん風。デヴィッド・Ｏ・ラッセル映画でアクセントになる。
エイミー・ライアン Amy Ryan （ブリッジ・オブ・スパイ）	「ゴーン・ベイビー・ゴーン」の怪演により不遇の時代を脱出。どんな役柄にも化ける性格女優として引っ張りだこ。スティーヴン・スピルバーグ映画でトム・ハンクスの妻を演じる。この部門に相応しい人。
マヤ・テイラー Mya Taylor （タンジェリン）	全編をiPhoneで撮ったインディーズ映画で、キタナ・キキ・ロドリゲスと共に、トランスジェンダー初の候補を目指す。助演男優賞で投票したい会員が少なくないかも。Win: ISA、SFFCC、SFCC
ジュリー・ウォルターズ Julie Walters （ブルックリン）	「リタと大学教授」「リトル・ダンサー」により二度のノミネーションを獲得している英国の名女優。横暴な女地主役で場をさらう。メロドラマ嫌いの会員の票は見込めない。この部門はヴェテランより若手が強い。
レイチェル・ワイズ Rachel Weisz （グランドフィナーレ）	最近では「愛情は深い海の如く」の物思いにふける役柄で実力を発揮したオスカー女優。マイケル・ケイン、ハーヴェイ・カイテル、ジェーン・フォンダら大御所が揃う役柄で助演。ダニエル・クレイグと順調。
Longshot
ケイト・ブランシェット Cate Blanchett （シンデレラ）	お伽噺の実写化で悪役に扮するのは実力派スターの役割と相場が決まっている。シンデレラを苛める継母役を余裕の迫力とユーモアで演じる。美しさならシンデレラに負けないわよ。
ヘレナ・ボナム＝カーター Helena Bonham-Carter （未来を花束にして）	清楚なコスチューム女優だったのが、ティム・バートンと恋愛関係になってからキワモノ女優街道まっしぐら。それでも演技力は衰えず、「英国王のスピーチ」では久しぶりに候補入り。毎度ワーストドレス。
ローズ・バーン Rose Byrne （SPY スパイ）	「ダメージ」のシリアスイメージが強かったが、このところコメディ映画で存在感を発揮。メリッサ・マッカーシーを向こうに回しても喰われない絶妙のコメディのタイミング。シーンスティラーとして輝く！Win: UFCA
ジェシカ・チャステイン Jessica Chastain （クリムゾン・ピーク）	「ツリー・オブ・ライフ」以降、遅れてきた実力派の躍進が止まらない。今や出演映画が公開される度にオスカー候補が噂される。昨年も「アメリカン・ドリーマー」「インターステラー」で話題をさらった。
トニ・コレット Toni Collette （マイ・ベスト・フレンド）	オーストラリア発のクセモノ女優。元々老け顔のせいか、ブレイクした90年代からあまり印象が変わらない。女の友情を描くドラマで、乳癌にかかる女を演じる。「イン・ハー・シューズ」路線か。
オリヴィア・クック Olivia Cooke （ぼくとアールと彼女のさよなら）	「サイコ前章ベイツ・モーテル」で病弱少女を演じて注目度上昇の最中、サンダンス映画祭で絶賛されたインディーズ映画でガンの少女を演じて更なるブレイク。イメージの固定だけは気をつけよう。
ジュリア・ガーナー Julia Garner （愛しのグランマ）	多数の短編映画出演からキャリアをスタートさせ、徐々に役柄が大きくなってきた期待の若手女優。リリー・トムリン扮する祖母と旅に出る少女役でブレイクスルーを狙う。まずは知名度アップから。
ダコタ・ジョンソン Dakota Johnson （ブラック・スキャンダル）	ドン・ジョンソンとメラニー・グリフィスの娘は、『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』により時の人へ。オファー続々、ジョニー・デップとロマンティックな関係になる女に扮する。ママのキャリアを助けて。
ローラ・カーク Lola Kirke （Mistress America）	「ゴーン・ガール」にもチョイ役出演していた新星。今はインディーズ映画界が最も信頼するノア・バームバックの下、慣れない都会での新生活に義理の姉が転がり込み、ますます混乱する大学生を演じる。
ダイアン・ラッド Diane Ladd （ジョイ）	23年ぶり、３度目の候補を狙うヴェテラン女優。父ブルース・ダーン、娘ローラ・ダーンが２年連続で候補に挙がったダーンファミリーから、今度は母（元妻）が参戦へ。…という話題性を武器にしたい。
ブリー・ラーソン Brie Larson （エイミー、エイミー、エイミー！こじらせシングルライフの抜け出し方）	インディーズ映画を中心に個性を発揮、瞬く間に注目女優の座へ。エイミー・シューマーのブレイク作で、彼女の妹を演じて強い印象を残す。この部門はコメディ映画に寛容だが…。
メリッサ・レオ Melissa Leo （マネー・ショート華麗なる大逆転）	素顔は目立ちたがりのオバチャンっぽいが、作品毎にがらりとイメージを変えてくる演技力は疑いようがない。男優たちが激突するエコノミックドラマ。マリサ・トメイと票割れ。既にこの部門を征している。
ローラ・リニー Laura Linney （Mr.ホームズ名探偵最後の事件）	３度の候補経験を持つ名性格女優。「愛についてのキンゼイ・レポート」以来となるビル・コンドン映画。引退したシャーロック・ホームズのハウスキーパー役。ユーモラスな味が期待できそう。
ググ・バサ＝ロー Gugu Mbatha-Raw （コンカッション）	今最も勢いのあるアフリカ系女性スター。勢いに乗ってウィル・スミス主演映画のヒロインの座へ。相手役以上の見せ場が用意されていれば、一気にオスカーデビューへ。今が勝負のとき。
エレン・ペイジ Ellen Page （ハンズ・オブ・ラヴ手のひらの勇気）	もうすぐ30歳なんて信じられない童顔女優。同性愛カップルには認められない遺族年金の支給を求めて闘う整備工を演じる。カミングアウト後に演じるレズビアン役。保守派の票は見込めない？
サラ・ポールソン Sarah Paulson （キャロル）	TVでは主役級で活躍、映画では脇を引き締める中堅。「それでも夜は明ける」の冷酷な演技はキャリアのハイライト。トッド・ヘインズ映画でも存在感を見せる。ルーニー・マーラと票割れ。
パーカー・ポージー Parker Posey （教授のおかしな妄想殺人）	「パーティーガール」頃から始まった快進撃により「インディーズ映画の女王」として君臨。近年は地味な活動が続いたが、今回はウッディ・アレン映画。久しぶりに大化けを見せるかも。作品評価伸びず。
フィリシア・ラシャド Phylicia Rashad （クリードチャンプを継ぐ男）	TVを中心にキャリアを積んできたアフリカ系のヴェテラン。「ロッキー」シリーズからのスピンオフ映画はどうやら「本気」の作り。主人公の母を印象深く演じているとの噂。作品が賞レースに絡めば…。
ウィノナ・ライダー Winona Ryder （アイヒマンの後継者ミルグラム博士の恐るべき告発）	本当ならとっくにオスカー女優になっていたはずの演技派。スタンリー・ミルグラム博士の生徒で妻になる女性役。キャリアに刺激を与えるため、ホラーに出てみるというのはどうでしょう？
レア・セドゥー Léa Seydoux （007／スペクター）	セザール賞で４度候補に挙がる期待株が「アデル、ブルーは熱い色」の大胆演技により時の人に。勢いに乗って演じるボンドガール。…って、さすがにボンドガールでの候補入りはないだろ！
アマンダ・セイフライド Amanda Seyfried （ヤング・アダルト・ニューヨーク）	ヌードを披露するなど勝負を賭けた「ラヴレース」はさほど注目されなかったが、「レ・ミゼラブル」効果はまだまだ残っている。ノア・バームバック映画で、おそらくキーとなる役柄。それにしても大きな目。
マリサ・トメイ Marisa Tomei （マネー・ショート華麗なる大逆転）	「いとこのビニー」によるサプライズ受賞から既に20年、ドラマでもコメディでも手堅くこなす演技街道驀進中。ビッグスター終結の経済ドラマでスティーヴ・カレルの妻役。見せ場はありますか？
クリステン・ウィグ Kristen Wiig （ミニー・ゲッツの秘密）	「スケルトン・ツインズ」の演技が高評価を得たばかりの人気コメディエンヌ。「サタデー・ナイト・ライブ」出身の女優としては抜きん出た快進撃。娘が自分の恋人と関係を持ってしまう母で新境地。

No Chance　チャンスなし　（1/10）
モニカ・ベルッチ Monica Bellucci （007／スペクター）	ジュリエット・ビノシュ Juliette Binoche （チリ33人希望の軌跡）
ロモーラ・ガライ Romola Garai （未来を花束にして）	メイミー・ガマー Mamie Gummer （幸せをつかむ歌）
アンバー・ハード Amber Heard （リリーのすべて）	リリー・ジェームズ Lily James （二ツ星の料理人）
フェリシティ・ジョーンズ Felicity Jones （トゥルー・ストーリー）	ニコール・キッドマン Nicole Kidman （シークレット・アイズ）
キーラ・ナイトレイ Keira Knightley （エベレスト3D）	メラニー・ロラン Mélanie Laurent （白い帽子の女）
ジェニファー・ロペス Jennifer Lopez （Lila & Eve）	ヴァージニア・マドセン Virginia Madsen （ジョイ）
タリン・マニング Taryn Manning （アイヒマンの後継者ミルグラム博士の恐るべき告発）	レイチェル・マクアダムス Rachel McAdams （Aloha）
シエナ・ミラー Sienna Miller （二ツ星の料理人）	クロエ・グレース・モレッツ Chloë Grace Moretz （アクトレス女たちの舞台）
メリル・ストリープ Meryl Streep （未来を花束にして）	エマ・トンプソン Emma Thompson （二ツ星の料理人）
エマ・トンプソン Emma Thompson （Effie Gray）	ユマ・サーマン Uma Thurman （二ツ星の料理人）
アリシア・ヴィキャンデル Alicia Vikander （二ツ星の料理人）	ロビン・ライト Robin Wright （エベレスト3D）

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