Predictions -Best Picture-

作品賞

受賞予想（2/23）

Final Predictions
メッセージ	フェンス	ハクソー・リッジ	最後の追跡	ドリーム
				△
ラ・ラ・ランド	LION／ライオン 25年目のただいま	マンチェスター・ バイ・ザ・シー	ムーンライト
◎		△	○
OSCAR PLANET Prediction ラ・ラ・ランド General Prediction ラ・ラ・ランド My Hope ラ・ラ・ランド
近年作品賞予想が難しくなっている。昨年もタイトルが読み上げられるまで、「スポットライト 世紀のスクープ」（15年）の勝利を確信していた人はほとんどいないはずだ。今シーズンの前哨戦は3作品によりデッドヒートが繰り広げられた。『ラ・ラ・ランド』『マンチェスター・バイ・ザ・シー』『ムーンライト』だ。今年も授賞式当日まで受賞作が読めないのだろうか。 　そんな気配が漂ったことも確かにあったのだが、いやいや、今や本命は誰の目から見ても『ラ・ラ・ランド』だろう。「シカゴ」（02年）以来と言って良いミュージカルのビッグホームラン。気鋭のデイミアン・チャゼル監督がライアン・ゴズリングとエマ・ストーンという今が旬のスターを主演に迎え、往年の名作に敬意を払いながらも、今の映画へと熱く昇華させた話題作。出来映えが抜群であることはもちろんのこと、映画界が舞台であることも大いにオスカー好みと言えよう。 　実は本作がヴェネチア国際映画祭でプレミア上映されたときから、オスカーは決まりだろうという見方は確かに強かったのだ。前哨戦の三つ巴は『ムーンライト』『マンチェスター・バイ・ザ・シー』が予想以上に健闘したがゆえであり、『ラ・ラ・ランド』のBUZZは一向に下がることはなかった。ただ、『ムーンライト』と『マンチェスター・バイ・ザ・シー』はパーソナルな匂いが強く、どれだけ作品の出来が良くても、作品賞を授けるには作品規模が小さく感じられる。オスカーでは不利になるはずだ。それがゆえに業界に近い人々が票を投じる映画賞の発表が多くなるレース後半に従い、『ラ・ラ・ランド』が飛び抜けてきたと見るのが正解だ。 　そもそも『ラ・ラ・ランド』は嫌いな人を作り難いタイプの映画ではないかと思われる。誰もを幸せにするハッピーな歌とダンス。どん底からの飛翔。視覚を刺激する色彩。好感度の高いスターたち。唯一ミュージカル嫌いは投票を躊躇うかもしれないものの、普通に考えて、業界人でミュージカルアレルギーは少ないと思われる。『ムーンライト』はアフリカ系ゲイ青年が主人公に置かれているのが保守派には厳しく感じられるかもしれないし、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』はいかにもなインディーズの匂いが敬遠されることが考えられる。 　今年はその他6本がノミネートされた。監督賞でも候補に挙がったのは『メッセージ』と『ハクソー・リッジ』。前者はSFドラマというハンディを跳ね除けての候補入り。後者は元（？）トラブルメーカーのメル・ギブソンが手掛けているという不安要素を吹き飛ばして指名された。ただ、どちらも上位を打ち崩すほどの勢いは感じない。 　『フェンス』『最後の追跡』『LION／ライオン 25年目のただいま』は候補枠の拡大の恩恵を受けた作品と見て良いだろう。『最後の追跡』は編集賞でも候補入りしているあたりに底力を感じるものの、やはり番狂わせを演じられるほどのBUZZは見当たらない。 　敢えて言うなら、サプライズの可能性を秘めているのは『ドリーム』だろう。『ラ・ラ・ランド』がまさかの候補漏れを喫したアメリカ映画俳優組合賞のキャスト賞で頂点に輝いてから、そんな声が囁かれている。興行的にもメガヒットに発展しているのも心強い要素だ。歴史的偉業を陰で支えたアフリカ系女たちの物語は、ホワイトオスカーの反動により予想以上の伸びを見せてもおかしくない。ただ、今年は同じくアフリカ系を主人公にした『ムーンライト』『フェンス』が候補入り。票の奪い合いは避けられないか。監督賞や編集賞から外れているのも大きなマイナスになる。 　『ラ・ラ・ランド』は13部門14ノミネーションを獲得している。予想屋の興味は、その内何部門を獲るか、という点に移っている。『ラ・ラ・ランド』の夜になるのは間違いなさそうだ。

Prediction Chart

			％	Final	2/16	2/11	2/6	2/1	1/27
1		ラ・ラ・ランド	50	1	1	1	1	1	1	本命
2		ムーンライト	10	2	2	2	2	2	2	対抗
3		ドリーム	10	3	3	4	5	7	8	大穴
4		マンチェスター・バイ・ザ・シー	5	4	4	3	3	3	3	大穴
5		LION／ライオン 25年目のただいま	5	5	5	6	8	9	9	Happy to be Nominated
6		メッセージ	5	6	6	5	4	4	5
7		ハクソー・リッジ	5	7	7	7	7	6	6
8		最後の追跡	5	8	8	8	6	5	4
9		フェンス	5	9	9	9	9	8	7

List of Marks

メッセージ	8部門ノミネート（＋）	2.0
	前哨戦は全てノミネート止まりだった（＊）
	重要な監督賞、脚色賞、編集賞の三点セットを押さえる（＋＋＋）
	あらら、でも最大の功労者エイミー・アダムスがまさかの落選（−）
	これがSFドラマの賞レースの限界なのか！？（＊）
	何となく受賞ゼロに終わりそうな気配あり（＊）
	娯楽作を愛する偏見なき会員の票はここかも（＋）
フェンス	4部門ノミネート（＊）	0.5
	前哨戦は目立たず。ゴールデン・グローブ賞候補も逃す（−）
	多分候補枠が5だったらノミネートは逃していた（−）
	珍しや、舞台ファンがこぞって喝采を贈る（＋＋＋）
	アフリカ系労働者階級の家族の話。会員には縁がないね（−）
	票はおそらくデンゼル・ワシントンとヴィオラ・デイヴィスに集中（−）
	会員はワシントンが大好き。彼が監督も手掛けてるんだから（＋）
ハクソー・リッジ	大健闘6部門ノミネート（＋）	1.0
	候補はギリギリラインだったと思われる。脚本賞も逃す（−）
	前哨戦は候補入りも厳しい位置だった（−）
	戦争ドラマはオスカー好みのど真ん中（＋＋＋）
	最も可能性が高いのは録音賞と音響効果賞（＊）
	メル・ギブソンが監督。私はあの人の差別発言忘れないわよ！（−）
	いやー、俺はもう許してあげてもいいと思うよ。人は変わるんだ（＊）
最後の追跡	4部門ノミネート（＊）	2.5
	脚本賞と編集賞でも候補入り。あぁ、でも監督賞アウト（＋−）
	サンディエゴとネヴァダの批評家賞を地味に受賞（＊）
	現代西部劇と呼べる内容。老会員たちがウキウキ（＋＋）
	でも、結局は小品。トップに立つ器は…（−）
	夏公開。そのときに観た会員は忘れている頃かも（＊）
	アメリカの田舎町の現実が焼きつけられる。意外に社会派？（＋）
ドリーム	3部門ノミネート（＊）	3.0
	監督賞と編集賞からは漏れている。まあ、予測通り（−）
	SAGでキャスト賞を受賞し、突如存在感アップ（＋＋）
	１億ドル突破のメガヒット。興行成績も大切です（＋＋）
	偉業を裏で支えた３人のアフリカ系女たちの話。誰もが共感（＋＋）
	アフリカ系が主人公の映画が他にも。票割れするかも（−−）
	女が主役の映画の戴冠は「ミリオンダラー・ベイビー」（04年）が最後（＊）
ラ・ラ・ランド	最多13部門14ノミネート（＋＋）	6.5
	PGA、GGA、BFCAの重要三賞を全て受賞（＋＋＋）
	あらら、でもSAGでキャスト賞候補から漏れてしまった（−−）
	ミュージカル映画の受賞は「シカゴ」（02年）が最後（−）
	でも、そもそもミュージカル自体が少ないしね（＊）
	エンターテイメント界が舞台。会員は自動的に感情移入（＋＋）
	それにメガヒット。そう、業界人じゃなくてももちろんノックアウト（＋＋）
LION／ライオン 25年目のただいま	6部門ノミネート（＋）	1.5
	前哨戦は全てノミネート止まりで終わっている（−）
	監督賞と編集賞からも漏れている（−）
	実は批評はそれほど伸びていない（−）
	にも拘わらずイン。強力キャンペーンのおかげでしょう（＋＋）
	トロント映画祭観客賞次点。分かりやすい感動系の話です（＋＋）
	Google Earthが活躍。バアサン、それって食べられるの？（＊）
マンチェスター・バイ・ザ・シー	7部門ノミネート（＋）	3.0
	ナショナル・ボード・オブ・レヴュー受賞で、賞レース先陣を切る（＋）
	監督賞、脚本賞も押さえている（＋）
	が、意外に重要な編集賞で無視されてしまった（−）
	サンダンス主役の一本。『バース・オブ・ネイション』に代わって…（＋＋＋）
	つまりそれはインディーズ映画ということ。小品です（−）
	おそらく票はケイシー・アフレックに集中する（−）
ムーンライト	8部門ノミネート（＋）	5.0
	監督賞、脚色賞、編集賞をコンプリート（＋＋＋）
	ゴールデン・グローブや重要批評家賞を次々受賞（＋＋）
	が、『ラ・ラ・ランド』がいないSAGキャスト賞を落とす（−）
	黒人社会で生きるゲイの少年（青年）の物語。重要なメッセージ（＋＋）
	16年を代表するインディーズとして『マンチェスター』と票割れ（−）
	16年を代表する黒人物として『フェンス』『HiddenFigures』と票割れ（−）

The Nine Nominees　ノミネート作品　［I guessed 9/9］
メッセージ　Arrival
	配給：パラマウント　　監督：ドゥニ・ヴィルヌーヴ
	Nominees 作品、監督、脚色、撮影、編集、美術、録音、音響効果（８部門）
	Precursors None
	ヴェネチア映画祭の賛辞は間違っていなかった。SF要素は決してオスカー向きではない。それを跳ね飛ばす大量ノミネートがクオリティを証明する。落選したエイミー・アダムスの無念を晴らせ。
フェンス　Fences
	配給：パラマウント　　監督：デンゼル・ワシントン
	Nominees 作品、主演男優、助演女優賞、脚色（４部門）
	Precursors None
	優れた舞台劇が優れた映画になるわけではないことは、これまでの映画史が証明している。デンゼル・ワシントンの功績は、まずはそれを乗り越えたことだ。続く功績は、ヴィオラ・デイヴィスにオスカーをもたらすこと？
ハクソー・リッジ　Hacksaw Ridge
	配給：ライオンズゲイト　　監督：メル・ギブソン
	Nominees 作品、監督、主演男優、編集、録音、音響効果（６部門）
	Precursors None
	オスカーで目に留められやすい戦争ドラマ。それだけが候補の理由ではないだろう。メル・ギブソンの完全復帰を祝う意味合いも大きいのではないか。混沌の時代を問い掛ける物語が展開。心せよ。
最後の追跡　Hell or High Water
	配給：CBSフィルムズ　　監督：デヴィッド・マッケンジー
	Nominees 作品、助演男優、脚本、編集（４部門）
	Precursors SDFCS、NFCS
	当初は誰も気に留めていなかった現代西部劇だ。それが夏公開時に批評家の絶賛を集めてから風向きが変わる。興行的に成功し、賞レースも快走、遂にはオスカー４部門で候補入り。熱烈ファンは多い。
ドリーム　Hidden Figures
	配給：20世紀フォックス　　監督：セオドア・メルフィ
	Nominees 作品、助演女優、脚色（３部門）
	Precursors None
	フィールグッド・ムービーを侮ってはいけない。大衆人気と確かな批評家の支持が集まれば、十分オスカーレース参戦は可能なのだ。歴史的偉業の裏側にいた３人のアフリカ系女性の物語。ダークホース。
ラ・ラ・ランド　La La Land
	配給：ライオンズゲイト　　監督：デイミアン・チャゼル
	Nominees 作品、監督、主演男優、主演女優賞、脚本、撮影、編集、美術、衣装デザイン他（最多13部門）
	Precursors PGA、BAFTA、GGA、GSA、BFCA、NYFCC、BSFC、LVFCS、WFCA、AFCS、SLFCA、UFCA...
	往年のミュージカル映画へのオマージュ…だけでは快進撃を説明できない。人々の心を捉えたのは、ミュージカルの楽しさを思い起こさせ、かつそれがしっかりと今の映画へ昇華されていたからだろう。大本命。
LION／ライオン 25年目のただいま　Lion
	配給：ワインスタイン・カンパニー　　監督：ガース・デイヴィス
	Nominees 作品、助演男優、助演女優、脚色、撮影、作曲（６部門）
	Precursors None
	配給会社が作品に自信を持っているとの噂が流れたのは、もう１年も前のことになる。幼いときに両親と離れ離れになった少年の長い人生の旅。誰もが共感を覚える感動ストーリー。正統派好きなら、これ。
マンチェスター・バイ・ザ・シー　Manchester by the Sea
	配給：アマゾン・スタジオ　　監督：ケネス・ロナーガン
	Nominees 作品、監督、主演男優、助演男優、助演女優、脚本（７部門）
	Precursors GSA、NBR、KCFCC、VFCC
	叔父と甥が過去と向き合い、未来を生きる物語。何とも地味な話でも、それが人々の心を掴んで離さない。サンダンスから飛び出した傑作がオスカーに挑む。編集賞漏れは痛いが、チャンスはまだある。
ムーンライト　Moonlight
	配給：A24　　監督：バリー・ジェンキンス
	Nominees 作品、監督、助演男優、助演女優、脚色、撮影、編集、作曲（８部門）
	Precursors GGA、NSFC、LAFCA、CFCA、SFFCC、DFFCA、IFJA、SFCA、AFCA、SFCS、GFCA、DFCS2...
	アメリカのスラム街、ゲイの黒人が生きる道。骨のある題材に果敢に挑み、見事勝利したインディーズ映画が、批評家のサポートを経て堂々参戦。『ラ・ラ・ランド』『マンチェスター・バイ・ザ・シー』に真っ向勝負。

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