Predictions -Best Supporting Actor-

助演男優賞

受賞予想（2/24）

Final Predictions
マハーシャラ・アリ	ジェフ・ブリッジス	ルーカス・ヘッジズ	デヴ・パテル	マイケル・シャノン
◎	△		○
OSCAR PLANET Prediction マハーシャラ・アリ（ムーンライト） General Prediction マハーシャラ・アリ（ムーンライト） or デヴ・パテル（LION／ライオン 25年目のただいま） My Hope マイケル・シャノン（ノクターナル・アニマルズ）
賞レース前は誰が本命なのか分からないと言われていた助演男優賞部門はしかし、ひとりの男の独走により、既に受賞が決まったかのように見える。『ムーンライト』のマハーシャラ・アリだ。彼が予想を遥かに超えて強い。 　前哨戦はアメリカ映画俳優組合賞はもちろんのこと、ブロードキャスト、全米、ニューヨーク、ロサンゼルス、ボストン、シカゴと重要な批評家賞を次々制覇。重要賞で落としたのはナショナル・ボード・オブ・レヴューとゴールデン・グローブー賞だけだ。NBRは映画人ではない知識人によるものによる投票であり、風変わりな結果になることも多いため、受賞を逃しても気にする必要はない。ゴールデン・グローブはと言うと、彼を押し退けて受賞した『ノクターナル・アニマルズ』のアーロン・ジョンソンはノミネートの段階で弾かれているので、やはり気にする必要はないだろう。 　『ムーンライト』でアリが演じるのは、黒人社会でゲイとして生きる主人公の親代わりとなる麻薬ディーラー。主人公の人生に大きな影響を与える人物だ。旨味たっぷりの役柄もさることながら、その存在感に抜群の説得力を与えたアリの演技あればこその映画との指摘も出ている。オスカー会員が彼に票を入れるのを躊躇わせる要素はない。 　…とは言え、他候補に全くチャンスがないというわけではないだろう。『最後の追跡』のジェフ・ブリッジスの武器は、映画界の彼に対する絶対的信頼感。「無冠の帝王」という称号を返上してからも精力的に活動、ブリッジスがブリッジスであることを証明する演技を連発し、依然一線で活躍している。アリよりもブリッジスはキャリアが長く頑丈なのだ。 　『マンチェスター・バイ・ザ・シー』から候補入りしたのはルーカス・ヘッジズ。まだ20歳になったばかりの若者は、その存在自体が誰よりもフレッシュだ。この部門はヴェテランが優遇される傾向にあるものの、過去には「普通の人々」（80年）のティモシー・ハットンが20歳で受賞した例もある。アリにはない若さがどこまで会員に響くだろうか。 　『LION／ライオン 25年目のただいま』で初候補に挙がったデヴ・パテルは昨今至るところで嘆かれる多様性問題の恩恵を受けるのではないか。アリはアフリカ系であり、彼らが2年連続で演技賞候補に挙がらなかったことでホワイトオスカーだと揶揄されたわけだけれど、ラテン系やアジア系は、アフリカ系よりもよっぽど活躍の場が限られている。パテルこそ多様性を象徴する存在と考えることも可能なのだ。バックにワインスタイン・カンパニーがついているのも、見逃せない。 　『ノクターナル・アニマルズ』のマイケル・シャノンは、実は他の誰よりもこの部門に相応しいコンテンダーではないか。メジャー映画で主演を張ることはなくとも、大小問わず多くの映画で名助演を積み重ねてきたそのキャリア。曲者という言葉は彼のためあるようなもので、どの映画でも一度画面に登場したら、観客は彼の顔を忘れられないだろう。対象作での『ノクターナル・アニマルズ』はシャノンの強面が大いに活かされているという。アリよりも助演男優として完成されていると言って良い。 　…とライヴァルを持ち上げながら、それでもアリの勝利を予想する。ドナルド・トランプ新米大統領による「Muslim Ban」政策、そしてアリがイスラム教徒であることが確信の理由だ。アメリカ映画俳優組合賞授賞式は「Muslim Ban」発令の数日後に開催され、アリはステージ上でイスラム教徒として堂々たるメッセージを掲げた。そしてアリの言葉は多くの会員の心にしかと届いたはずだ。芸術と政治が、切り離すのが無理な関係にあることは周知の事実。完璧な演技を見せ、かつ政治的に重要な位置に立つアリを敬遠する理由はないのだ。それでもトランプを支持する人々を除いて…。 ※追記。 　レース終幕になり、パテルのBUZZが急激に拡大している。これはひょっとすると、ひょっとするかも…。

Prediction Chart

			％	Final	2/16	2/11	2/6	2/1	1/27
1		マハーシャラ・アリ 『ムーンライト』	35	1	1	1	1	1	1	本命
2		デヴ・パテル 『LION／ライオン 25年目のただいま』	30	2	2	5	5	5	5	対抗
3		ジェフ・ブリッジス 『最後の追跡』	15	3	3	2	2	2	2	大穴
4		ルーカス・ヘッジズ 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』	15	4	4	3	3	3	3	Happy to be Nominated
5		マイケル・シャノン 『ノクターナル・アニマルズ』	5	5	5	4	4	4	4

List of Marks

マハーシャラ・アリ 『ムーンライト』	ファーストノミネーション！長く頑張ってきました（＋）	6.0
	混戦と思われた助演男優賞を独走。圧倒的強さ（＋＋＋）
	…にも拘らず、ゴールデン・グローブ賞を落とす（−）
	いや、会場は番狂わせに静まり返っていた…（＋）
	テレビでのキャリアが長い。オスカーは映画の賞ですよ（−）
	対象作は『ラ・ラ・ランド』以上に批評家に愛された（＋＋）
	主人公を導く役柄は、おそらくこの部門好み（＋）
ジェフ・ブリッジス 『最後の追跡』	7度目のノミネーション。受賞もしている（＋）	3.5
	主人公兄弟を追う保安官役。いかにもブリッジス的（＋）
	ナショナル・ボード・オブ・レヴューを受賞するインパクト（＋）
	業界は彼を愛している。迷ったときは彼に入れよう（＋）
	でももう「無冠の帝王」ではない。今回は他に譲って（−−）
	おそらく対象作の票は個々に集中する（＋）
	ベン・フォスター、クリス・パインも分も頑張って（＊）
ルーカス・ヘッジズ 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』	大役を獲得し、いきなり初ノミネートの快挙（＋）	3.0
	20歳になったばかり。今年最も若いノミニー（＋）
	この部門はヴェテランが強いが、ティモシー・八ットンの例も…（＋）
	前哨戦は全てノミネート止まり。ゴールデン・グローブからも外れた（−）
	作品の勢いがやや落ちてきているし…（＊）
	絶対的に強いアリを撃ち落とせるのは、こういう無欲の若者かも？（＊）
	彼、可愛いわね。娘のボーイフレンドにどうかしら？（＊）
デヴ・パテル 『LION／ライオン 25年目のただいま』	初ノミネーション！インドから喝采の声！（＋）	3.0
	Google Earthで生き別れた両親を探す青年役で感動を！（＋＋）
	「スラムドッグ＄ミリオネア」だけで消えなかったしぶとさを讃えよう（＋）
	英国アカデミー賞受賞で突如BUZZが盛り上がる（＋＋）
	対象作の評価は実はそれほど高くはない（−−−）
	26歳。若手だがヘッジズの方がもっと若い。あぁ…（＊）
	多様性云々を言うなら、彼が最も票を取りやすいかも（＊）
マイケル・シャノン 『ノクターナル・アニマルズ』	8年ぶり、2度目のノミネート。曲者街道まっしぐら（＋）	3.0
	重要度が増すラスヴェガス映画批評家協会賞受賞（＋）
	が、ゴールデン・グローブ賞も映画俳優組合賞も候補落ち（−−）
	対象作からはアーロン・ジョンソンとの票割れを克服しての候補（＋）
	対象作からの候補は彼だけ。支持票は彼に集中する（＋）
	強面俳優界のキング。こういう人に惚れる人は多いはず（＊）
	受賞したら間違いなくサプライズ。そういうのが好きな人は…（＊）

The Five Nominees　ノミネート男優　［I guessed 4/5］
マハーシャラ・アリ　Mahershala Ali
	ムーンライト（A24）
	Oscar Experience first nomination!
	Precursors SAG、BFCA、NSFC、NYFCC、LAFCA、BSFC、CFCA、WFCA、SFFCC、AFCS、SDFCS...
	賞レース前、誰が強いのか全く読めないと言われていた助演男優で、圧倒的強さを発揮。そのまま初ノミネーションを手にした。既に四十路超えで遅咲きだが、今後は引く手数多だろう。ゴールデン・グローブ賞を落としたのは大いに痛かったが、会場は彼に誰よりも大きな拍手を送っていた。勝利はもうすぐ、そこ。
ジェフ・ブリッジス　Jeff Bridges
	最後の追跡（CBSフィルムズ）
	Oscar Experience 7 noms / 1 win
	Precursors GSA、NBR、KCFCC、PFCS、FFCC、NCFCA、HFCS、HFCS2
	無冠の名優の称号を返上してからしばらく経つも、相変わらず尊敬の念を集め続ける。それだけの演技者だ。前評判は高くなかった現代西部劇でも見事な存在感。ジャンルや公開時期のハンディを跳ね除ける吸引力となった。マハーシャラ・アリを退けての受賞は難しいが、彼が式にいると格調高くなるというもの。
ルーカス・ヘッジズ　Lucas Hedges
	マンチェスター・バイ・ザ・シー（オープンロード・フィルムズ）
	Oscar Experience first nomination!
	Precursors None
	オスカーは若いハンサム男優に厳しいと言われる。それが気に喰わない人は彼を愛でよう。「ムーンライズ・キングダム」（12年）「グランド・ブダペスト・ホテル」（14年）とウェス・アンダーソン映画にチョイ役出ていた20歳になったばかりの若手が、大金星。陰鬱とした地味な映画で、明るい存在感で立ち上がり、希望となる。
デヴ・パテル　Dev Patel
	LION／ライオン 25年目のただいま（ワインスタイン・カンパニー）
	Oscar Experience first nomination!
	Precursors BAFTA
	「スラムドッグ＄ミリオネア」（08年）から８年。役柄が限定されるがゆえすぐに消えてしまうのではないかと危惧した向きも多いだろうが、何の何の、彼は逞しくサヴァイヴァル中。メジャー映画で主演作が作られることもあるのだから、頼もしい。幼き日に離れ離れになった両親を探すインド青年役で、映画館を涙で満たす。
マイケル・シャノン　Michael Shannon
	ノクターナル・アニマルズ（フォーカス・フィーチャーズ）
	Oscar Experience 2 noms / 0 win
	Precursors LVFCS、NTFCA、HFCS2
	新たなるクリストファー・ウォーケンと称えられることが多い性格俳優。ファンは賞レース展開に気を揉んでいただろう。途中から共演者のアーロン・ジョンソンが猛追していたため、彼の席を奪ってしまうのではないかと。少なくとも票割れは起こる。その不安要素を跳ね飛ばしての候補。観客を震え上がらせる演技、心せよ。

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ノミネート予想（1/18）

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