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作品賞

受賞予想（4/20）

Final Predictions

ファーザー

ユダ＆ブラック・メシア
裏切りの代償

Mank マンク

ミナリ

○

ノマドランド

プロミシング・
ヤング・ウーマン

サウンド・オブ・メタル
聞こえるということ

シカゴ7裁判

◎

△

OSCAR PLANET Prediction		ノマドランド
General Prediction		ノマドランド
My Hope		ノマドランド

　アカデミー賞のインディペンデント・スピリット賞化が止まらない。少し前まではふたつの賞の間には大きな垣根があったのに、今ではパッと見た感じ、どちらがどちらの候補が分からなくなるときがある。インターネットの発達は大きい。今まで見過ごされてきた映画に脚光が当てられやすくなったのだ。

　そんなわけで今年は、製作費僅か500万ドルの『ノマドランド』が作品賞レースを独走している。フィクションとノンフィクションの境界が溶け合った不思議な作品。実験的と言い換えても良いような内容のこの映画が、ここまで支持を受けている。監督のクロエ・ジャオがアジア系で女性というのも、いかにも今の時代を反映しているようではないか。ノマドの生活に身を投じる老女の物語は、華やかな世界に生きる映画人たちのそれとは大きな隔たりがあるはずなのに、それすら消してしまうマジックがこの映画にはあるということだ。数年前、オスカーの壇上でフランシス・マクドーマンドが叫んだ「Inclusion Rider!」という言葉が、今またオスカーの大舞台で輝こうとしている。

　対抗は『シカゴ7裁判』と見られていた。アメリカ史において重要な裁判が題材。社会派要素をたっぷり含みながら、同時にしっかりエンターテイメントしているところが、いかにもハリウッドを感じさせる。芸術性と娯楽性のバランスが優れた優良ハリウッド映画ということだ。作品賞を受賞してもおかしくない。ただ、本作はアーロン・ソーキンが監督賞候補から漏れてしまった。監督賞候補を逃がし、作品賞に輝いた作品もあるにはあるが、やはり厳しい位置に追いやられたと見るべきだろう。

　『シカゴ7裁判』を監督賞から振り落としたのは、『ノマドランド』は別にして、『Mank マンク』『ミナリ』『プロミシング・ヤング・ウーマン』、そして『アナザーラウンド』だ。この中に『ノマドランド』の対抗馬がいるのだろうか。この内『アナザーラウンド』はそもそも作品賞候補に入っていないので端からアウト（国際長編映画賞を受賞するだろう）。『Mank マンク』と『ミナリ』は監督賞、脚本賞（或いは脚色賞）と並び作品賞受賞に重要な編集賞で候補落ちしている。では監督賞、脚本賞、編集賞を押さえた『プロミシング・ヤング・ウーマン』？けれど、本作は復讐エンターテイメントと言われる尖った作品で、その年のトップに選ぶのに抵抗がある会員は相当数いると思われる。

　それならば、編集賞を落としても『ミナリ』の方が有力だろう。アメリカンドリームを目指してささやかに奮闘する韓国移民家族の物語。派手さはないものの、「家族」の価値観を訴える内容は多くの人に響くはず。『ノマドランド』同様、多様性を強く感じさせるところも強みになるだろうし、昨今のアジア系へのヘイト犯罪の多発に対する反対意思表示の票が入ることもあるかもしれない。ただ、昨年の作品賞の覇者は「パラサイト半地下の家族」（19年）。2年連続で韓国物をトップに選ぶというのは想像し難いところではある。

　その他候補に挙がったのは『ファーザー』『ユダ＆ブラック・メシア裏切りの代償』『サウンド・オブ・メタル聞こえるということ』。いずれも小品であり、強風を吹かせる『ノマドランド』には太刀打ちできそうにない。

　やはり『ノマドランド』の勝利は盤石と言って良いのではないか。

**Prediction Chart**
		％	Final	4/11	4/6	4/1	3/27	3/22
1	ノマドランド	60	1	1	1	1	1	1	本命
2	ミナリ	10	2	2	2	2	2	3	対抗
3	シカゴ7裁判	10	3	3	3	3	4	4	大穴
4	Mank マンク	4	4	4	4	5	5	5	Happy to be Nominated
5	プロミシング・ヤング・ウーマン	4	5	5	5	4	3	2
6	ユダ＆ブラック・メシア裏切りの代償	4	6	6	6	6	6	7
7	サウンド・オブ・メタル聞こえるということ	4	7	7	7	7	7	6
8	ファーザー	4	8	8	8	8	8	8

**List of Marks**
ファーザー	6部門ノミネート（＋）	2.0
	前哨戦はさほど目立たず。候補漏れも多かった（－）
	サンダンス映画祭で絶賛。BUZZキープに成功（＋）
	編集賞でも候補入り。でも監督賞漏れ（＋－）
	候補作品中、唯一の舞台の映画化。舞台ファンが投票（＋）
	チャンスがあるとするなら演技賞のはず（－）
	認知症は老会員たちには他人事ではない題材。あぁ…（＋）
ユダ＆ブラック・メシア裏切りの代償	5部門6ノミネート（＋）	5.0
	プレミアの遅れから批評家賞ではほとんど対象にならず（－）
	が、2月以降一気に巻き返している。ピークは今（＋＋）
	ラキース・スタンフィールドまで候補入りしたのはその表れ（＋＋）
	受賞の目があるのはダニエル・カルーヤの助演男優賞のみ（－－）
	結局アフリカ系を取り上げた候補作はこれ一本（＋＋）
	社会派の内容はもろオスカー好みのはず（＋）
Mank マンク	下馬評通り最多10部門ノミネート（＋＋）	2.5
	…が、極めて重要な編集賞を落としてしまった！（－）
	前哨戦勝利はまさかのゼロ。こんなはずでは…（－）
	名画「市民ケーン」製作の裏側に老会員興味津々（＋＋）
	オスカーは映画界を取り上げた作品に弱い傾向（＋＋）
	最も受賞の可能性が高いのは美術賞。それで我慢しよう（＊）
	BUZZを考慮したNetflixは「シカゴ7裁判」宣伝に力を入れる（－）
ミナリ	6部門ノミネート（＋）	5.0
	大健闘だが、編集賞から漏れてしまったのは痛い（－）
	地方の批評家賞を地味に受賞（＋）
	それよりもサンダンス映画祭からBUZZをキープしたのが偉い（＋＋）
	韓国人移民の物語。多様性時代にぴったりの内容（＋＋）
	昨年は「パラサイト半地下の家族」旋風。韓国に風が吹いている（＋）
	でも「また韓国？」と僻む輩も必ずいるはずで…（－）
ノマドランド	手堅く6部門ノミネート（＋）	9.5
	作品賞受賞に重要な意味を持つ部門をコンプリート（＋＋＋）
	前哨戦で圧倒的な強さ。各映画祭も荒らしまくる（＋＋＋）
	「Inclusion Rider」を象徴する作品。絶対的安心感（＋＋＋）
	クロエ・ジャオ×フランシス・マクドーマンド。最強です（＋＋＋）
	小品。本来ならインディペンデント・スピリット賞止まりのはず（－－－）
	どこにも穴がないレース展開。そんなに上手いこと、行く？（＊）
プロミシング・ヤング・ウーマン	大健闘の5部門ノミネート（＋）	3.5
	重要な監督賞、脚本賞、編集賞は全て押さえている（＋＋＋）
	地方の批評家賞でいくつかの勝利。重要都市も獲りたかった（＋）
	様々な要素を含んだ復讐スリラー。オスカー好みではない（－－）
	でもエッジの聴いた内容に若手会員が飛びつくかも（＋）
	主演女優キャリー・マリガンに勢いあり。こちらは我慢しましょう（－）
	コロナ禍とは言え、興行的には厳しい結果（＊）
サウンド・オブ・メタル聞こえるということ	6部門ノミネート。WOW!!!（＋）	0.5
	脚本賞、編集賞を押さえたが、監督賞には届かなかった（－）
	批評家賞は候補止まり。それでも健闘だが…（－）
	耳の聞こえない主人公の音の世界を見事に再現（＋＋＋）
	録音賞が最も現実的な線では？（＊）
	リズ・アーメドの主演男優賞をどれだけ後押しできるか（＊）
	アマゾン・スタジオ作品。配信作品なら、まずはNetflixでしょう？（＊）
シカゴ7裁判	6部門ノミネート。もう少し稼ぎたかったかな（＋）	4.5
	アーロン・ソーキンの監督賞候補漏れが痛過ぎる（－）
	前哨戦は『ノマドランド』に完敗してしまった（－）
	特にゴールデン・グローブ賞は獲っておきたかった（－）
	社会派でありながら娯楽性たっぷり。つまりハリウッド的（＋＋＋＋）
	Netflixは『Mank マンク』よりも強力プッシュしてくるはず（＋＋＋）
	可能性が高いのは編集賞。でももしかして完全シャットアウト？（＊）

The Eight Nominees　ノミネート作品　［I guessed 7/8］
ファーザー　The Father
	配給：ソニー・ピクチャーズ・クラシックス　　監督：フローリアン・ゼレール
	Nominees 作品、主演男優、助演女優、脚色、編集、美術（6部門）
	Precursors None
	サンダンス映画祭でプレミア上映されたときに話題を呼んだのは父娘に扮した英国実力派ふたりの演技だった。それに引っ張られるように作品BUZZも上昇。舞台の映画化を代表する。
ユダ＆ブラック・メシア裏切りの代償　Judas and the Black Messiah
	配給：ワーナー・ブラザース　　監督：シャカ・キング
	Nominees 作品、助演男優（×2）、脚本、撮影、主題歌（5部門6ノミネート）
	Precursors None
	アフリカ系を取り上げた作品の健闘が確実視されていたが、蓋を開けてみれば、作品賞候補は本作のみ。2月公開ゆえにレースには出遅れたが、勢いは抜群。ダークホースへ。
Mank マンク　Mank
	配給：Netflix　　監督：デヴィッド・フィンチャー
	Nominees 作品、監督、主演男優、助演女優、撮影、美術、衣装デザイン、録音他（最多10部門）
	Precursors None
	映画ファンが愛するあの「市民ケーン」製作の裏側では何が起こっていたのか。フィンチャーが往年の名画にウインクしながらモノクロ映像に映し出す。脚本、編集の重要部門を落としたのは痛い。
ミナリ　Minari
	配給：A24　　監督：リー・アイザック・チョン
	Nominees 作品、監督、主演男優、助演女優、脚本、作曲（6部門）
	Precursors NCFCA、OFCC、UFCA、NYFCO、AFCA、PFCC2
	韓国人気が続く。「パラサイト半地下の家族」（19年）ほどの旋風ではないにしても、韓国移民家族のドラマが映画ファンの心を掴んで離さない。サンダンス映画祭から常に騒がれ続けた注目作。
ノマドランド　Nomadland
	配給：サーチライト　　監督：クロエ・ジャオ
	Nominees 作品、監督、主演女優、脚色、撮影、編集（6部門）
	Precursors PGA、GGA、GSA、BAFTA、ISA、BFCA、NSFC、BSFC、CFCA、LVFCS、IFJA、GWNYFCA...
	3年前フランシス・マクドーマンドはオスカーの晴れ舞台で叫んだ。「Inclusion Rider!」。その彼女が選んだのはクロエ・ジャオと紡ぐノマドの物語。オスカーの頂点まであと一歩。時代が変わろうとしている。
プロミシング・ヤング・ウーマン　Promising Young Woman
	配給：フォーカス・フィーチャーズ　　監督：エメラルド・フェネル
	Nominees 作品、監督、主演女優、脚本、編集（5部門）
	Precursors COFCA、MCFCA、SDFCS、KCFCC、NFCS、HCA
	賞レース前はここまで支持を集めるとは思われなかった。無理もない。復讐物という賞向きの題材ではないからだ。しかし、生き残った。主演女優の怪演とヒロインの複雑な内面が支持されたか。快挙。
サウンド・オブ・メタル聞こえるということ　Sound of Metal
	配給：アマゾン・スタジオ　　監督：ダリウス・マーダー
	Nominees 作品、主演男優、助演男優、脚本、編集、録音（6部門）
	Precursors None
	プレミア上映されたのは一昨年の9月だから、1年半もの間、騒がれ続けた映画ということだ。聴覚を失うドラマーの物語。丁寧に作り込まれた「音」の世界と人間ドラマが見事な絡まりを見せる。
シカゴ7裁判　The Trial of the Chicago 7
	配給：Netflix　　監督：アーロン・ソーキン
	Nominees 作品、助演男優、脚本、撮影、編集、主題歌（6部門）
	Precursors HFCS2、DFCS2
	候補作品の中で最もハリウッドらしい映画だ。1968年、不当逮捕されたシカゴ7の物語は、メッセージ性と娯楽性が絶妙のバランスで同居する。『ノマドランド』の対抗馬だが、監督賞を落としてしまった！

ranking

製作費			前哨戦ポイント　-3/28-
1	シカゴ7裁判	$35m	1	ノマドランド	233.0 p
2	ユダ＆ブラック・メシア裏切りの代償	$26m	2	プロミシング・ヤング・ウーマン	164.5 p
3	Mank マンク	$25m	3	ミナリ	132.5 p
4	ファーザー	$20m	4	シカゴ7裁判	130.5 p
4	サウンド・オブ・メタル聞こえるということ	$20m	5	Mank マンク	112.5p
6	プロミシング・ヤング・ウーマン	$16.9m	6	サウンド・オブ・メタル聞こえるということ	108.0 p
7	ノマドランド	$5m	7	ユダ＆ブラック・メシア裏切りの代償	77.0 p
8	ミナリ	$2m	8	ファーザー	72.0 p

評価 rating			上映時間
1	ノマドランド	96.1 p	1	Mank マンク	131min
2	ファーザー	93.2 p	2	シカゴ7裁判	130min
2	ミナリ	93.2 p	3	ユダ＆ブラック・メシア裏切りの代償	126min
4	ユダ＆ブラック・メシア裏切りの代償	91.4 p	4	サウンド・オブ・メタル聞こえるということ	120min
5	サウンド・オブ・メタル聞こえるということ	88.5 p	5	ミナリ	115min
6	Mank マンク	87.7 p	6	プロミシング・ヤング・ウーマン	113min
7	プロミシング・ヤング・ウーマン	84.0 p	7	ノマドランド	108min
8	シカゴ7裁判	83.0 p	8	ファーザー	97min

ノミネート予想（3/12）

Final Prediction

　新型コロナウイルスの世界的大流行はアカデミー賞も直撃、例年のお祭り騒ぎとは違い、妙に冷めた空気を感じるのは気のせいだろうか。出来映えの良い作品が揃うのかという不安もあったものの、そこは配信公開作も劇場用映画と認めることでクリア。その結果、Netflixやアマゾン・スタジオの作品が強くなるのは仕方がない。映画ファンは彼らに足を向けて寝られない。

　さて、作品賞は最大10本までが候補に挙がるのだが、9本が指名を受けることが多いので、予想もそれに倣う。今年の有力候補と言われる映画は、例年通り充実のレヴェルにあるというのが大方の意見。中でも『ノマドランド』の勢いが抜群で、現時点では作品賞に最も近い作品と言って良いだろう。対抗は『シカゴ7裁判』になるはずだ。どちらも候補落ちはあり得ない安全圏にいる。

　本当は『Mank マンク』に当確ランプを点けても良いように思えるものの、前哨戦では思いの外、苦戦。実際に作品を観てみると、確かに出来映えは良いものの、玄人向きというか、『市民ケーン』知らずの映画ファンには受けない可能性があるというか、なるほど苦戦も納得してしまうのだ。候補枠は最大10本なので、大丈夫だとは思われるが、絶対とは言い切れないポジションに追いやられている。

　その他の有力作を一気に挙げる。『ザ・ファイブ・ブラッズ』『ファーザー』『ユダ＆ブラック・メシア裏切りの代償』『マ・レイニーのブラックボトム』『ミナリ』『この茫漠たる荒野で』『あの夜、マイアミで』『プロミシング・ヤング・ウーマン』『サウンド・オブ・メタル聞こえるということ』…。

　この内、賞レースが始まった12月以降一貫してBUZZを持続させているのは『ファーザー』『マ・レイニーのブラックボトム』『ミナリ』『あの夜、マイアミで』『プロミシング・ヤング・ウーマン』あたり。波乱がなければ、そのまま候補入りだろう。この中で特に気にかかるのは『プロミシング・ヤング・ウーマン』の行方だ。当初は4月封切予定だったこの作品、劇場封鎖で公開が12月になったことでBUZZが盛り上がったという、パンデミックの恩恵を受けた数少ない作品だったりする。復讐物という大凡賞好みの内容ではないもの、エッジの利いた作品好みの会員の心を掴めるかどうか。昨年の「ジョーカー」的人気を集めそうな気がするのだが、どうだろう。

　『ユダ＆ブラック・メシア裏切りの代償』は前哨前序盤で顔を見せていなかった。これは公開が2月ゆえ審査対象から外れていた賞が多かったためだ。実際、公開が近づくにつれて、批評家賞等で結果を出し始めた。大化けする可能性を秘めていると言って良い。助演男優ダニエル・カルーヤがBUZZを急速に拡大させているのも心強い。

　その他インディーズ作品では『ファースト・カウ』『17歳の瞳に映る世界』も批評家賞で踏ん張ったが、上位陣を打ち崩すほどの勢いは感じられないか。ただし、どちらも脚本部門で救われる可能性が高い。

OSCAR PLANET Prediction
ファーザー（フローリアン・ゼレール監督）	Shaky
ユダ＆ブラック・メシア裏切りの代償（シャカ・キング監督）	Shaky
マ・レイニーのブラックボトム（ジョージ・Ｃ・ウルフ監督）	Likely
Mank マンク（デヴィッド・フィンチャー監督）	Likely
ミナリ（リー・アイザック・チャン監督）	Likely
ノマドランド（クロエ・ジャオ監督）	Lock
あの夜、マイアミで（レジーナ・キング監督）	Likely
プロミシング・ヤング・ウーマン（エメラルド・フェネル監督）	Shaky
シカゴ7裁判（アーロン・ソーキン監督）	Lock
The Runner-up
ザ・ファイブ・ブラッズ（スパイク・リー監督）	Shaky

The Five - Ten Frontrunners　フロントランナー（5～10作品）　（3/12）
Lock
ノマドランド Nomadland （サーチライト） Win: PGA、GGA、GSA、BAFTA、ISA、BFCA、NSFC、BSFC、CFCA、LVFCS、IFJA、GWNYFCA、NDFS、SLFCA、HFCS、SFFCC、KCFCC、NTFCA、AFCC、WFCA、DFFCA、SFCS、IFCA、SFCA、PFCS、DFCS2、GFCA、MFCA...	「ザ・ライダー」が高評価、賞レースを快走したクロエ・ジャオが手掛けるロードムービー。不況により全てを失った女がアメリカ西部をさすらう様を描く。 ~~Weak Point~~ フランシス・マクドーマンド主演が武器。各映画祭はオンライン中心のため、BUZZ作りに懸念があったが、批評家の強烈サポートで心配は必要なし。受賞の大いに可能性を秘めている。
シカゴ7裁判 The Trial of the Chicago 7 （Netflix） Win: HFCS2、DFCS2	1968年8月シカゴ、民主党全国大会でベトナム反戦デモを行ったことにより逮捕・起訴された“シカゴ7”をめぐる物語。豪華スター共演。 ~~Weak Point~~ 10年以上前に企画されたプロジェクトがいよいよ完成へ。なかなか完成しなかったゆえに出来映えが心配されていたが、蓋を開けてみれば、2020年の重要作の座を獲得。受賞ポテンシャルも秘める。
Likely
マ・レイニーのブラックボトム Ma Rainey's Black Bottom （Netflix） Win: PFCC	「ブルースの母」と讃えられるマ・レイニーが1927年、シカゴのスタジオでレコーディングする様を描く。チャドウィック・ボウズマンの遺作。 Weak Point ヴィオラ・デイヴィスが主演、圧巻のパフォーマンスが見られそうだが、今シーズンは音楽映画が大量製作、いずれもライヴァルになりそう。音楽映画内で票割れが起きたりして…。
Mank マンク Mank （Netflix）	映画史に残る傑作「市民ケーン」の脚本をオーソン・ウェルズと共に書き上げたハーマン・Ｊ・マンキウィッツを描く伝記映画。傑作？ Weak Point …という予感的中。デヴィッド・フィンチャー×ゲイリー・オールドマン×Netflix。革命が起きて、当然か。ハリウッドは「市民ケーン」をとことん愛する。…が前哨戦ではイマイチ受けがよろしくない。
ミナリ Minari （A24） Win: NCFCA、OFCC、UFCA、NYFCO、AFCA、PFCC2	1980年代、アメリカンドリームを求めてアーカンソー州の農場に渡った韓国人家族の物語。ブラッド・ピットの製作会社プランBをA24がバックアップ。 Weak Point 前シーズンの「パラサイト半地下の家族」に続き、韓国絡みの映画の躍進なるか。サンダンス映画祭では既に熱狂的に迎えられているが、ちょっと上手く行き過ぎかも…。反動があったりして…。
あの夜、マイアミで One Night in Miami （アマゾン・スタジオ）	ケンプ・パワーズの人気舞台の映画化。1964年2月25日、モハメド・アリ、マルコムX、サム・クック、ジム・ブラウンらが集まる一夜を描く。 Weak Point オスカー女優となったレジーナ・キングが長編映画監督デビューという話題性。多様性が強く叫ばれる時代にぴったりの題材。賞好みの内容。全ての風がこの作品に吹いている。落とし穴はどこ？
Shaky
ファーザー The Father （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	フランスの劇作家が劇場用映画監督デビュー。自身の手掛けた舞台劇を映画化する。老い行く父親と彼への介護を全て拒否される娘の物語。 Weak Point アンソニー・ホプキンス×オリヴィア・コールマン。サンダンス映画祭で大絶賛されるが、演技賞に注目を奪われてしまうかもしれない。作品規模は決して大きくない。英国映画枠を勝ち取ろう。
ユダ＆ブラック・メシア裏切りの代償 Judas and the Black Messiah （ワーナー・ブラザース）	1966年、黒人解放運動を牽引したブラックパンサー党のフレッド・ハンプトンと、FBIのスパイとして党に入り込むウィリアム・オニールを描く実話物。 Weak Point アメリカ史を語る上で避けては通れない歴史的出来事を凝視し、ハンプトンとオニールの物語というより、彼らが生きた時代そのものを描き出す。小難しい作品は嫌よ。2月の公開が吉と出るか否か。
プロミシング・ヤング・ウーマン Promising Young Woman （フォーカス・フィーチャーズ） Win: COFCA、MCFCA、SDFCS、KCFCC、NFCS、HCA	過去の出来事のトラウマに苦しむ若い女性が、搾取的な男たちに復讐を試みるが…。サンダンス映画祭で絶賛、賞シーズンに突如BUZZ沸騰。 Weak Point 実は元々4月公開予定だったのが、新コロショックにより賞シーズンに延期。それが功を奏して（？）BUZZ作りに成功するという稀有な例。女性が主人公の映画は軽んじられる傾向あり。

ノミネーション予想これまでの流れ 2020　（Changes in Red）
Final
プロミシング・ヤング・ウーマン	ファーザー	ミナリ	Mank マンク	ノマドランド*
マ・レイニーのブラックボトム	あの夜、マイアミで	シカゴ7裁判	ユダ＆ブラック・メシア	-
The Leader：ノマドランド
2/1
プロミシング・ヤング・ウーマン	ファーザー	ミナリ	Mank マンク	ノマドランド*
マ・レイニーのブラックボトム	あの夜、マイアミで	シカゴ7裁判	ザ・ファイブ・ブラッズ	-
1/1
プロミシング・ヤング・ウーマン	ファーザー	ミナリ	Mank マンク	ノマドランド*
マ・レイニーのブラックボトム	あの夜、マイアミで	シカゴ7裁判	ソウルフル・ワールド	-
12/1
ザ・ファイブ・ブラッズ	ファーザー	ミナリ	Mank マンク*	ノマドランド
マ・レイニーのブラックボトム	あの夜、マイアミで	シカゴ7裁判	ソウルフル・ワールド	-
11/1
ザ・ファイブ・ブラッズ	ファーザー	ミナリ	Mank マンク*	ノマドランド
マ・レイニーのブラックボトム	あの夜、マイアミで	シカゴ7裁判	アンモナイトの目覚め	-
10/1
ザ・ファイブ・ブラッズ	The French Dispatch	ミナリ	Mank マンク*	ノマドランド
DUNE／デューン砂の惑星	あの夜、マイアミで	シカゴ7裁判	アンモナイトの目覚め	-
9/1
ザ・ファイブ・ブラッズ	The French Dispatch	ミナリ	Mank マンク*	ノマドランド
DUNE／デューン砂の惑星	TENET テネット	シカゴ7裁判	アンモナイトの目覚め	-
8/1
ザ・ファイブ・ブラッズ	The French Dispatch	ミナリ	Mank マンク*	17歳の瞳に映る世界
DUNE／デューン砂の惑星	TENET テネット	シカゴ7裁判	アンモナイトの目覚め	-
7/1
ザ・ファイブ・ブラッズ	The French Dispatch	ミナリ	Mank マンク*	17歳の瞳に映る世界
DUNE／デューン砂の惑星	TENET テネット	シカゴ7裁判	ウエスト・サイド・ストーリー	-
6/1
ザ・ファイブ・ブラッズ	The French Dispatch	ミナリ	Mank マンク*	17歳の瞳に映る世界
この茫漠たる荒野で	TENET テネット	シカゴ7裁判	ウエスト・サイド・ストーリー	-
5/1
ザ・ファイブ・ブラッズ	The French Dispatch	ヒルビリー・エレジー	Mank マンク*	17歳の瞳に映る世界
この茫漠たる荒野で	TENET テネット	シカゴ7裁判	ウエスト・サイド・ストーリー	-

The Other Contenders　その他の有力候補　（3/12）
Very Possible
ザ・ファイブ・ブラッズ Da 5 Bloods （Netflix）	スパイク・リーが失った無垢を求めてジャングルに戻るヴェトナム帰りの兵士たちを描く戦争ドラマ。演技賞に票が集中しそうな気配あり。彼らの勢いに乗って、作品賞BUZZも盛り返せるか。Win: NBR
ファースト・カウ First Cow （A24）	インディーズ映画界で確固たる地位を築き上げているケリー・ライヒャルトがジョナサン・レイモンの小説の映画化に挑む。1820年代、毛皮猟師グループの下で働く料理人の物語。Win: NYFCC、FFCC
17歳の瞳に映る世界 Never Rarely Sometimes Always （フォーカス・フィーチャーズ）	保守的な田舎町に住む17歳の少女が思いがけず妊娠、親友と共に医療処置を求めてNYに向かう様を描く。上半期を代表する小品。批評家のサポートが絶対に必要。
この茫漠たる荒野で News of the World （20世紀スタジオ）	ポーレット・ジルズのベストセラーの映画化。南北戦争後のテキサス、地方のニュースを集めては読み聞かせるのを仕事にしている男の物語。彼とネイティヴアメリカンに育てられた少女の交流が主軸。
ソウルフル・ワールド Soul （ディズニー）	ニューヨークと宇宙を舞台に、人間の魂（ソウル）がどこからやってきたかを明らかにする冒険作。「インサイド・ヘッド」のピート・ドクターらしい題材。同じピクサー映画『2分の1の魔法』と票割れ。
サウンド・オブ・メタル聞こえるということ Sound of Metal （アマゾン・スタジオ）	聴力を失うことでドラマーの人生が変わって行く様を描くドラマ。音楽を扱ったドラマらしく音響に力が入っているとか。リズ・アーメドが大変身。トロント映画祭で喝采を浴びて、出足好調。
Possible
アンモナイトの目覚め Ammonite （ネオン）	化石採集に情熱を傾けたことで知られる古生物学者メアリー・アニングと、彼女が世話をする内に恋に落ちる資産家女性を描くロマンス・ドラマ。ケイト・ウィンスレットショー。票は演技賞へ。
続・ボラット栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画（アマゾン・スタジオ）	アメリカ大統領選挙に合わせてボラットが帰ってきた！娘トゥーターを副大統領マイク・ペンスの貢ぎ物として差し出す！民衆党大好きのハリウッドからの支持は熱い…はず…多分。Win: GGA
フレンチ・イグジットさよならは言わずに French Exit （ソニー・ピクチャーズ・クラシックス）	パトリック・デウィットのベストセラー小説をデウィット自身が脚色。金銭苦に陥ったマンハッタンの未亡人が息子と共にパリの小さなアパートに移り住むが…。ミシェル・ファイファー×ルーカス・ヘッジズ。
ヒルビリー・エレジー郷愁の哀歌 Hillbilly Elegy （Netflix）	弁護士Ｊ・Ｄ・ヴァンスの回顧録を基に、劣悪な環境で生きる白人労働者階級の家族を描き出す。勢いに乗るNetflixの重要作。…のはずだったが、酷評続出でBUZZ消滅。
パーフェクト・ケア I Care a Lot （Netflix）	高齢のクライアントから巧みに搾取して利益を得ている法律顧問のサヴァイヴァルを描くコメディ・スリラー。ロザムンド・パイクのパフォーマンスを中心にトロント映画祭で好評を博す。小品。
もう終わりにしよう。 I'm Thinking of Ending Things （Netflix）	ヘンテコ映画ならお手の物、チャーリー・カウフマンが「脳内ニューヨーク」以来、11年ぶりに実写映画を手掛ける。ロードトリップに出たカップルの運命の行きつく先は…。観る人を選ぶ映画。
すべてが変わった日 Let Him Go （フォーカス・フィーチャーズ）	息子の死後、悪名高い家族に育てられている幼い孫を救出しようと試みる夫妻を描くドラマティック・スリラー。ケヴィン・コスナーとダイアン・レインが「マン・オブ・スティール」に続いて夫婦役で共演。
レット・ゼム・オール・トーク Let Them All Talk （HBO Max）	スティーヴン・ソダーバーグとメリル・ストリープが再タッグ。著名な女流作家が友人ふたりと共に豪華クルージングツアーに出る様を描くコメディ。最初から配信作品として製作。オスカー資格は？
これからの人生 The Life Ahead （Netflix）	ロマン・ガリがエミール・アジャール名義で執筆した小説の映画化。託児所を営むホロコーストの生存者とセネガルの少年の交流を描く。ソフィア・ローレンを息子エドアルド・ポンティが演出。
マルコム＆マリー Malcolm & Marie （Netflix）	コロナ禍で撮影されたことが話題のモノクロ映画。映画監督とその恋人が成功を確信していたプレミア後に、その関係を試される。35mm・モノクロ撮影。旬の若手共演。新「マリッジ・ストーリー」？
ミッドナイト・スカイ The Midnight Sky （Netflix）	リリー・ブルックス＝ダルトンのSF小説をジョージ・クルーニーが映画化。人類滅亡の危機に瀕する世界、南極に住む孤独な天文学者（♂）と地球帰還を目指す宇宙飛行士（♀）を描く。
Miss Juneteenth （ヴァーティカル・エンターテイメント）	奴隷解放を祝うテキサスの祝日に開催されるミスコンに娘を出場させようとするシングルマザーの物語。ニコール・ベハーリーの演技を中心に高評価。サンダンス映画祭を沸かせる。
不都合な理想の夫婦 The Nest （IFCフィルムズ）	「マーサ、あるいはマーシー・メイ」で注目されたショーン・ダーキンが手掛ける心理スリラー。ビジネスのため母国に米国人妻と子どもたちと共に帰る男が精神のバランスを崩していく様を描く。
オン・ザ・ロック On the Rocks （A24）	ニューヨーク、幼子を抱えるシングルマザーが久方ぶりに自由奔放でプレイボーイの父親と過ごす様を描くコメディ・ドラマ。ソフィア・コッポラとビル・マーレイが再タッグ、ラシダ・ジョーンズが参戦する。
私というパズル Pieces of a Woman （Netflix）	主演女優ヴァネッサ・カービーがヴェネチア映画祭で絶賛され、注目度上昇。自宅出産で子どもを失った女性の心の旅をエモーショナルに描き出す。カービーに支持票が集中する危険あり。
ザ・プロム The Prom （Netflix）	人気ブロードウェイミュージカルの映画化。彼女とプロムに行きたいレズビアンの女子高生と、彼女を応援することでじり貧のキャリアを復活させたいブロードウェイスターたちを描く。Netflix映画。
スーパーノヴァ Supernova （ブリーカー・ストリート）	20年来のパートナーであるイングランド中年男性ふたりのロードムービー。ひとりが認知症と診断されて…。スタンリー・トゥッチとコリン・ファースが奏でるケミストリーは…？イギリスの小品。
TENET テネット Tenet （ワーナー・ブラザース）	クリストファー・ノーラン始動。第三次世界大戦を防ぐべく奔走する国際スパイを描くSF物。熱烈な支持がある一方、難解な内容には拒否反応も？新コロの影響で興行的には大苦戦。
ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ The United States vs. Billie Holiday （Hulu）	伝説のジャズヴォーカリスト、ビリー・ホリデイの伝記映画をリー・ダニエルスが手掛ける。名声を得ながら、アルコールやドラッグの依存症に苦しむホリデイの実像を描く。アンドラ・デイが映画初主演。
Longshot
時の面影 The Dig （Netflix）	ジョン・プレストンの小説を基にした実話ドラマ。自分の土地に財産が埋められていると信じる未亡人が考古学者の手を借りて発掘を試みるが…。英国の実力派スターが結集。
エマ． Emma. （フォーカス・フィーチャーズ）	これまでに何度も映画化されているジェーン・オースティンの人気小説の映画化。19世紀イングランド、美貌と教養を兼ね備えたお節介なエマが巻き起こす恋の大騒動…。春を代表するヒットへ。
フォーリング 50年間の思い出 Falling （クイヴァー・ディストリビューション）	ヴィゴ・モーテンセンが製作・監督・脚本・主演の四役を務める。南カリフォルニアで同性のパートナー＆養女と暮らす男が父親と衝突する様を描くドラマ。おそらく小品。
グロリアス世界を動かした女たち The Glorias （LDエンターテイメント、ロードサイド・アトラクションズ）	1960年代後半から70年代前半にかけてフェミニズム運動を牽引したグロリア・スタイネムを描く実話物。TimesUp時代にフィットした内容か。スタイネムをジュリアン・ムーアら三人の女優が演じる。
グレイハウンド Greyhound （Apple TV+）	Ｃ・Ｓ・フォレスターの小説をトム・ハンクスが脚色、自身の主演で映画化する。戦艦グレイハウンドの艦長に任命された男が敵や自身の弱さと戦う様を描く。劇場公開が見送られる不幸。
ハピエスト・ホリデー私たちのカミングアウト Happiest Season （Hulu）	レズビアンのヒロインが交際相手の家族の集まるクリスマスパーティでプロポーズしようとするが、彼女はまだ家族にカミングアウトしていなくて…。いかにも現代的な恋愛物。コメディ仕立て。
透明人間 The Invisible Man （ユニヴァーサル）	往年の名作ホラーをリブート。暴力的な恋人が自殺、以来不可解な出来事に悩まされる女性を描く。エリザベス・モスが映画女優として存在感を発揮。コロナ前のアメリカで大ヒットを記録。
さよなら、私のロンリー Kajillionaire （アンナプルナ）	熱狂的ファンを多数抱えるミランダ・ジュライが9年ぶりに長編を発表。両親が強盗計画に部外者を巻き込んだことで人生を狂わせる娘を描く犯罪ドラマ。サンダンス映画祭で好評を博す。
キング・オブ・スタテンアイランド The King of Staten Island （ユニヴァーサル）	スタンダップコメディアン、ピート・デヴィッドソンの半自伝的コメディ・ドラマ。スタテン・アイランドで育ち、911で父親を亡くし、その後コメディの世界へ入る青年の物語。ジャド・アパトウが演出。
再生の地 Land （フォーカス・フィーチャーズ）	人気女優ロビン・ライトが長編監督デビュー。肉親に先立たれた女が、ワイオミング州ショーション国立森林公園の山小屋で自給自足生活を始めることに…。地味な題材。
モーリタニアン黒塗りの記録 The Mauritanian （STXフィルムズ）	モハメドゥ・ウルド・スラヒの手記の映画化。テロリストの疑いにより裁判にかけられることなくグアンタナモ収容所に収監されたモーリタニア人スラヒ氏の物語。実力派結集。大化けするかも。
彼女たちの革命前夜 Misbehaviour （シャウト！スタジオ）	1970年のミスワールド大会、女性軽視だと活動家たちが会場を混乱に陥れる中、アフリカ系初の優勝者が選ばれる様を描く実話物。#MeToo時代、TimesUp時代だからこその内容？
ムーラン Mulan （ディズニー）	人気アニメーションの実写化が続くディズニーが1998年の大ヒット作に目をつける。父の身代わりとして性別を隠して国の運命を握る戦闘に参加する女戦士の物語。劇場公開を諦める。
パーム・スプリングス Palm Springs （ネオン）	サンダンス映画祭で話題を呼んだコメディ・ドラマ。とある結婚式で出会った男女が意気投合、翌日別れようとするも何故だか離れられない事態に…。この部門を狙うにはライトな作り。
どん底作家の人生に幸あれ！ The Personal History of David Copperfield （サーチライト）	チャールズ・ディケンズの半自伝的小説を舞台を現代に移して映画化。不遇な幼少期を過ごすデイヴィッド・コパフィールドが文才を開花させ作家として大成する様を描く。英国では昨年公開。
Shirley シャーリイ Shirley （ネオン）	実在の怪奇小説家シャーリー・ジャクソンの物語。文芸評論家スタンリー・エドガー・ハイマンとの関係を中心に描く。ジャクソンに扮したエリザベス・モスの怪演が大きな話題に。配信リリース。
シルヴィ恋のメロディ Sylvie's Love （アマゾン・スタジオ）	1950年代、ハーレムにある父のレコードショップを手伝う女性と、意欲的なサキソフォンプレーヤーの恋を描く。躍進著しいテッサ・トンプソンがヒロインを演じて、サンダンス映画祭で絶賛される。
テスラエジソンが恐れた天才 Tesla （IFCフィルムズ）	交流送電システムや蛍光灯、テスラコイルの発明で知られる天才ニコラ・テスラを描く伝記物。イーサン・ホークがアメリカ移住後のテスラの内面に迫る。サンダンス映画祭で好評を博す。
ザ・ウェイバック The Way Back （ワーナー・ブラザース）	アルコール依存症の男が母校のバスケットボールコーチを引き受け再生していく様を描く。ベン・アフレックが自身と被る役柄を手掛けてキャリアベストの評価。スポーツ物は賞受けしない。
ザ・ホワイトタイガー The White Tiger （Netflix）	アラヴィンド・アディガのブッカー賞受賞小説を映画化するインド映画。貧しい村で生まれた男の欲望と哀しみに満ちた物語。Netflixが手掛けることで注目度が増している。多様性時代に見合った一本。

No Chance　チャンスなし　（3/12）
The Artist's Wife （ストランド・リリーシング）	バッド・エデュケーション Bad Education （HBO）
ブラックバード家族が家族であるうちに Blackbird （スクリーン・メディア・フィルムズ）	ブレイキング・ニュース・イン・ユバ・カウンティ Breaking News in Yuba County （MGM）
カポネ Capone （ヴァーティカル・エンターテイメント）	チェリー Cherry （Apple TV+）
ダウンヒル Downhill （サーチライト）	幸せの答え合わせ Hope Gap （スクリーン・メディア・フィルムズ）
スイング・ステート Irresistible （フォーカス・フィーチャーズ）	マクマホン・ファイル The Last Thing He Wanted （Netflix）
キュリー夫人天才科学者の愛と情熱 Radioactive （アマゾン・スタジオ）	レベッカ Rebecca （Netflix）
沈黙のレジスタンスユダヤ孤児を救った芸術家 Resistance （IFCフィルムズ）	Wild Mountain Thyme （ブリーカー・ストリート）

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