Predictions -Best Director-

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監督賞

受賞予想（3/7）

Final Predictions

トッド・フィールド

ダニエルズ
ダン・クワン
ダニエル・シャイナート

マーティン・マクドノー

リューベン・
オストルンド

スティーヴン・
スピルバーグ

◎

△

○

OSCAR PLANET Prediction		ダン・クワン、ダニエル・シャイナート（エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス）
General Prediction		ダン・クワン、ダニエル・シャイナート（エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス）
My Hope		マーティン・マクドノー（イニシェリン島の精霊）

　『フェイブルマンズ』がゴールデン・グローブ賞で作品賞と監督賞を受賞したとき、あぁ、今年は結局『フェイブルマンズ』の年かもしれない…なんて多くの人が考えたに違いないのだが、『フェイブルマンズ』のBUZZのピークは、そのゴールデン・グローブ賞授賞式当日だった感がある。以降、同作のBUZZは下降の一途を辿り、同時に指揮者スティーヴン・スピルバーグの監督賞受賞を信じる声も徐々に小さくなっていった。『フェイブルマンズ』はスピルバーグの幼少期の記憶を基にした作品、彼の集大成と言われているのだが…。ベルリン国際映画祭とアメリカ監督組合賞で素晴らしいスピーチをしたことで、若干BUZZが持ち直している感があるが、更なる上昇は厳しい感。

　スピルバーグの前に立ちはだかるのは、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のダン・クワン、ダニエル・シャイナート、通称ダニエルズだ。2022年を代表する奇想天外なSFアクション・コメディ。まさかここまで賞受けするとダニエルズもびっくり仰天だろうが、ゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞で躓いたくらいで後は何ともまあ、快適な賞レースの旅を楽しんでいる。その独創性が唯一無二のものであるがゆえの結果だろう。

　そしてもしダニエルズに不安要素があるとするなら、それこそその独創性かもしれない。捻りに捻られた世界観ゆえ、下ネタと密着したナンセンスギャグが並べられるゆえ、ついていけない会員は決して少なくないと思うのだ。そう、オスカー会員の多くは高齢者だということを忘れてはいけない。

　『逆転のトライアングル』のリューベン・オストルンドだけは受賞の目はないだろうが、『TAR ター』のトッド・フィールドと『イニシェリン島の精霊』のマーティン・マクドノーは踏ん張っている。フィールドは2時間半以上の長尺を魅せ切る圧倒的演出力が讃えられているし（つまりこの部門に相応しい候補者と言える）、マクドノーは「スリー・ビルボード」（17年）に続く賞レース参戦、単なる隣人同士の諍いに見えた物語に隠されたテーマは誰もが震撼した。フィールドもマクドノーも一定の支持者がいると思われるが、あぁ、ただしダニエルズほどには熱狂的ではないかもしれない。それにどちらも脚本賞の方が票が集まりやすそうだ。

　やはりダニエルズの勝利は堅いのではないか。

**Prediction Chart**
		％	Final	3/1	2/22	2/15	2/8	2/1
1	ダン・クワン、ダニエル・シャイナート『エブリシング・エブリウェア・オール・アット...』	50	1	1	1	1	1	1	本命
2	スティーヴン・スピルバーグ『フェイブルマンズ』	20	2	2	2	2	2	2	対抗
3	マーティン・マクドノー『イニシェリン島の精霊』	13	3	4	4	4	4	4	大穴
4	トッド・フィールド『TAR ター』	12	4	3	3	3	3	3	Happy to be Nominated
5	リューベン・オストルンド『逆転のトライアングル』	5	5	5	5	5	5	5	Happy to be Nominated

**List of Marks**
トッド・フィールド『TAR ター』	監督賞候補は初。今回作品賞、脚本賞でも候補（＋）	3.0
	ロサンゼルス、ボストンという重要批評家賞受賞（＋＋）
	脚本賞と票が割れてしまう（－）
	才能ある指揮者の狂気と崩壊を圧倒的筆致で（＋＋＋）
	対象作の支持はケイト・ブランシェットに集中するはず（－）
	どちらかと言うと、映画賞より映画祭向きの人（＊）
	寡作の人。もう少しペースを上げて！（＊）
ダン・クワン、ダニエル・シャイナート『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』	ファーストノミネーション！通称ダニエルズ（＋）	5.5
	ブロードキャスト、シカゴ、ラスヴェガスと重要批評家賞受賞（＋＋）
	トドメはアメリカ監督組合賞勝利。Yeah!!!（＋＋＋）
	対象作は今年の台風の目になっている（＋＋＋）
	ジャンルで言えばSFアクション・コメディ。賞向きでは…（－）
	風変わりな作品が好きなふたり。オスカーテイストからも外れる（－）
	ある程度のキャリアを積んだ監督が強い傾向（＊）
マーティン・マクドノー『イニシェリン島の精霊』	この部門は初めてのノミネート。おめでとうございます（＋）	5.5
	地方の批評家賞を地味に受賞（＊）
	対象作は受賞ポテンシャルのある強力作（＋＋＋）
	中年男ふたりの小競り合い。地味な話ですよね（＊）
	でもその背後には人間という生き物の歴史も見えてきて…（＋＋）
	脚本賞の方がより有力。そちらに票が流れそう（－）
	「スリー・ビルボード」では候補落ち。ごめんね票（＊）
リューベン・オストルンド『逆転のトライアングル』	初めてのノミネートおめでとうございます（＋）	0.0
	外国語映画ではないが、スウェーデンからこんにちは（＋）
	所謂サプライズノミネート。候補こそが勝利（＊）
	カンヌを制しているのだから、オスカーは要らないでしょう？（＊）
	今回もこれまでの癖の強い作品ばかり。好き嫌いはっきり（＋－）
	少なくとも今年の顔というべき作品ではないはずで…（＊）
	ジェームズ・キャメロンやサラ・ポーリーの席、奪っちゃったよ！（＊）
スティーヴン・スピルバーグ『フェイブルマンズ』	2年連続9度目の候補。圧倒的な信頼感（＋＋）	5.0
	ハリウッドの顔と言うべき存在。彼なら間違いない（＋＋）
	ゴールデン・グローブ、ナショナル・ボード・オブ・レヴュー制覇（＋＋）
	自身の青春時代をベースに敷いたドラマ。映画ファン感涙（＋＋）
	でも既に2度受賞している。他の人に譲ってよ（－）
	アカデミーが変わろうとしている。保守的に映るかも…（－）
	文句なしの大ヒット！…ではない（－）

The Five Nominees　ノミネート監督　［I guessed 4/5］
トッド・フィールド　Todd Field
	TAR ター（フォーカス・フィーチャーズ）
	Oscar Experience first nomination!
	Precursors LAFCA、BSFC、IFJA、SFFCC、LFCC
	前作が「リトル・チルドレン」（06年）だから、実に16年ぶりの始動になる。待たされたものだが、その甲斐がある作品を撮り上げたと大評判。ドイツの名門管弦楽団で初の女性首席指揮者であり作曲家であるリディア・ターを描く。ドラマを貫く圧倒的迫力は、その演出力の賜物。長尺を吹き飛ばす。
ダン・クワン、ダニエル・シャイナート　Dan Kwan, Daniel Scheinert
	エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス（A24）
	Oscar Experience first nomination!
	Precursors DGA、ISA、BFCA、CFCA、LVFCS、AFCC､WFCA、SFCA、UFCA、PFCC、PFCS、DFFCA...
	これまでの代表作は「スイス・アーミー・マン」（16年）で良いだろう。主人公が死体と一緒に冒険を繰り広げる風変わりなダーク・コメディだった。それが今度はマルチヴァースを扱うSFコメディというのだから、振り幅の広さはなかなかのもの。独創的な世界観はイミテーションが蔓延る映画界で貴重だ。
マーティン・マクドノー　Martin McDonagh
	イニシェリン島の精霊（サーチライト）
	Oscar Experience first nomination!
	Precursors GWNYFCA、NYFCO
	作品賞受賞も囁かれた「スリー・ビルボード」（17年）では、実は候補落ちを喫している。ブーイングが出たことは言うまでもない。あれから5年、コリン・ファレル、ブレンダン・グリーソンというマクドノー組と言うべき俳優たちと再タッグを組んで放つブラック・コメディが再び人々を魅了する。作品に勢いが出れば、もしかして…。
リューベン・オストルンド　Ruben Östlund
	逆転のトライアングル（ネオン）
	Oscar Experience first nomination!
	Precursors None
	「フレンチアルプスで起きたこと」（14年）「ザ・スクエア思いやりの領域」（17年）と連続ホームランをかっ飛ばしていたスウェーデンの名監督が英語作品に挑戦。カンヌは制覇済み。豪華客船が無人島に漂流。ヒエラルキーが逆転していく様を風刺性たっぷりに描き出す。オスカーの頂点に立つ日も近い？
スティーヴン・スピルバーグ　Steven Spielberg
	フェイブルマンズ（ユニヴァーサル）
	Oscar Experience 9 noms / 2 wins
	Precursors GGA、NBR
	何故彼が愛され続けるのか。自身の記憶を掘り起こす青春ドラマが映画界に奇跡を起こす。映画を愛する者が、映画を愛する者に向け、映画愛を炸裂させる物語。彼でなければならなかった理由が見えてくるという。2年連続ノミネート。3度目となる受賞があったとしても、誰もが納得することだろう。

ranking

前哨戦ポイント　-2/5-			対象作の評価 rating
1	ダン・クワン、ダニエル・シャイナート	222.0 p	1	マーティン・マクドノー	95.1 p
2	スティーヴン・スピルバーグ	118.0 p	2	トッド・フィールド	93.4 p
3	トッド・フィールド	116.0 p	3	ダン・クワン、ダニエル・シャイナート	90.2 p
4	マーティン・マクドノー	112.5 p	4	スティーヴン・スピルバーグ	89.3 p
5	リューベン・オストルンド	52.5 p	5	リューベン・オストルンド	67.1 p

ノミネート予想（1/20）

Final Prediction

　作品パワーが強力であればあるほど、手掛けた監督の候補入りの可能性が高くなる部門。…とするならば、今年は作品賞候補当確と言って良い『トップガンマーヴェリック』のジョセフ・コシンスキー、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のダン・クワン＆ダニエル・シャイナート（通称ダニエルズ）、『イニシェリン島の精霊』のマーティン・マクドノー、『フェイブルマンズ』のスティーヴン・スピルバーグは安泰だろうか。

　いやいや、そう簡単には行かないだろう。『トップガンマーヴェリック』は高評価とは言え、賞レースBUZZは社会現象的メガヒットが物を言っている部分が多く、コシンスキーの功績は影に隠れがちだ。マクドノーは前作「スリー・ビルボード」（16年）によりトップ5入りできなかったことが気にかかる。ひょっとすると「監督」よりも「脚本」が評価されやすいタイプなのかもしれない。賞レースを快走する『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のダニエルズでさえ、ハリウッドへの貢献を考えると安全ゾーンにいるとは言えないはずだ。

　演出が評価されやすいのは『TAR ター』のトッド・フィールドだろう。2時間38分という長時間を圧倒的迫力と緊張感で描き切ったその手腕は、この部門で認められるに相応しいと評判なのだ。寡作ながら確実に評価を獲得、既に名匠の風格を湛えるフィールド、遂に監督賞候補に挙がる可能性は高いと見る。

　超大作を圧倒的狂気と共にまとめ上げたのは『アバター：ウェイ・オブ・ウォーター』のジェームズ・キャメロンだ。前作（09年）は見事候補入り、再び指名される可能性は低くない。隅々までこだわり抜かれた画面の連続。ほとんど唖然としてしまう会員は多いはずだ。ただ、同シリーズは今後も続いていく。その度に候補に挙げる必要はない…という考えも多そうだ。

　上に挙げた中に、女性監督がいない。随分改善されてきたものの、まだまだ女性監督の作品は少ないのだ。今年候補入りがなかったとすると、また昔に逆戻りか…なんて（短絡的に）言われてしまうかもしれない。それを阻止することができるのは『ウーマン・トーキング私たちの選択』のサラ・ポーリーか。10年以上映画出演がないところを見ると、女優から監督へ完全に転身したと考えて良いかもしれない。対象作は女性たちが尊厳と権利を賭けて立ち向かう様を描く、なるほど今の時代に合った内容で、質も良いとなると堅実に票集めできそうだ。尤も、ポーリーは『ティル』のシノニエ・チュクウ、『ウーマン・キング無敵の女戦士たち』のジーナ・プリンス＝バイスウッド、『SHE SAID／シー・セッドその名を暴け』のマリア・シュラーダー、『aftersun アフターサン』のシャーロット・ウェルズら、その他の女性監督と票を喰い合うかもしれない。ま、「女性監督」を投票の基準にする愚か者がいればの話だが…。

　さて、監督賞はやたら外国語映画からの候補入りが多いのが近年の特徴。今年は『西部戦線異状なし』のエドワード・ベルガー、『別れる決心』のパク・チャヌク、『RRR』のＳ・Ｓ・ラジャーマウリがチャンスを窺っている。いずれも批評家賞で結果を残しているが、今年は上位を崩すのは難しいか。ラジャーマウリはニューヨーク映画批評家協会賞を受賞するなど会員へのアピールへも成功している。

　『バビロン』のデイミアン・チャゼルや『ナイブズ・アウト：グラスオニオン』のライアン・ジョンソン、『エルヴィス』のバズ・ラーマンらも有力視される部門。かなりハイレヴェルの激戦と言って良い。LOCKはスピルバーグだけ、だ。

OSCAR PLANET Prediction
ジェームズ・キャメロン（アバター：ウェイ・オブ・ウォーター）	Shaky
トッド・フィールド（TAR ター）	Shaky
ダン・クワン、ダニエル・シャイナート（エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス）	Likely
マーティン・マクドノー（イニシェリン島の精霊）	Likely
スティーヴン・スピルバーグ（フェイブルマンズ）	Lock
The Runner-up
エドワード・ベルガー（西部戦線異状なし）	Shaky

The Five Frontrunners　フロントランナー（5名）　（12/1）
Lock
スティーヴン・スピルバーグ Steven Spielberg （フェイブルマンズ） Win: GGA、NBR	「ウエスト・サイド・ストーリー」で8度目のノミネーションを獲得した大御所が、自身の幼少期に着想を得た物語を描く。同世代の会員たちの心を掴む。 ~~Weak Point~~ 近年大物監督たちがこぞって自身の幼少時の記憶を探る作品を撮っている。ちょっと真似っ子の印象も…。…なんて意地悪な見方は不要。だって彼はスピルバーグ。ハリウッドの王様。
Likely
ダン・クワン、ダニエル・シャイナート Dan Kwan, Daniel Scheinert （エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス） Win: DGA、ISA、BFCA、CFCA、LVFCS、AFCC､WFCA、SFCA、UFCA、PFCC、PFCS、DFFCA、NFCS、NTFCA、NCFCA、OFCC、COFCA、CACF、SDFCS、MCFCA、IFCA、AFCA、HFCS2、GFCA...	「スイス・アーミー・マン」がプチ注目を集めた二人組。マルチヴァースが存在する世界、ミシェル・ヨーの魅力炸裂と批評家大絶賛＆大ヒット。 Weak Point ルッソ兄弟の新会社から発表するSFアクション・ファンタジー。…そう、いくらA24映画と言っても、賞好みの内容ではない。批評家賞を独走するぐらいの勢いが欲しい。技術賞止まりの危険も。
マーティン・マクドノー Martin McDonagh （イニシェリン島の精霊） Win: GWNYFCA、NYFCO	「スリー・ビルボード」後、動向が注目されていたが、「ヒットマンズ・レクイエム」で組んだ俳優たちを再起用、孤島で友情を試される男ふたりを描く。 Weak Point アイルランドが舞台。ハリウッドの映画人たちにはアピールし難いかもしれない。脚本家としての評価も抜群で、この手のタイプは脚本賞に票が流れるのが常。「スリー・ビルボード」では落選。
Shaky
ジェームズ・キャメロン James Cameron （アバター：ウェイ・オブ・ウォーター） Win: GSA	「アバター」以後、沈黙を守ってきたヒットメーカーが、その続編と共に13年ぶりに返ってくる。惑星パンドラでの再びの冒険とは…。 Weak Point 前作程の新味はなくとも、またしても高評価＆大ヒット。候補に挙がっておかしくない判定であることは間違いないが、シリーズは第5作まで予定されていて、その度に指名するの？？？
トッド・フィールド Todd Field （TAR ター） Win: LAFCA、BSFC、IFJA、SFFCC、LFCC	クラシック映画界、ドイツの名門管弦楽団初の女性首席指揮者であり作曲家であるリディア・タールの物語。ケイト・ブランシェットと強力タッグ。 Weak Point 「リトル・チルドレン」以来、16年ぶりに動き出す。何をしていたのですか？2時間38分という上映時間を鮮やかに描き出す手腕、まずは批評家賞で目立ちたい。ブランシェットに票集中？

ノミネーション予想これまでの流れ 2022　（Changes in Red）
Final
ザ・ダニエルズ	スティーヴン・スピルバーグ*	マーティン・マクドノー	ジェームズ・キャメロン	トッド・フィールド
The Leader：スティーヴン・スピルバーグ
12/1
ザ・ダニエルズ	スティーヴン・スピルバーグ	マーティン・マクドノー	サラ・ポーリー*	トッド・フィールド
11/1
パク・チャヌク	スティーヴン・スピルバーグ	マーティン・マクドノー	サラ・ポーリー*	トッド・フィールド
10/1
パク・チャヌク	スティーヴン・スピルバーグ	マーティン・マクドノー	サラ・ポーリー*	フローリアン・ゼレール
9/1
パク・チャヌク	スティーヴン・スピルバーグ	アレハンドロ・G・イニャリトゥ	サラ・ポーリー*	フローリアン・ゼレール
8/1
パク・チャヌク	スティーヴン・スピルバーグ	アレハンドロ・G・イニャリトゥ	サラ・ポーリー*	マーティン・スコセッシ
7/1
パク・チャヌク	デイミアン・チャゼル	アレハンドロ・G・イニャリトゥ	サラ・ポーリー*	マーティン・スコセッシ
6/1
ノア・バームバック	デイミアン・チャゼル	アレハンドロ・G・イニャリトゥ	サラ・ポーリー*	マーティン・スコセッシ

The Other Contenders　その他の有力候補　（1/20）
Very Possible
ダーレン・アロノフスキー Darren Aronofsky （ザ・ホエール）	「ノア約束の船」「マザー！」と相変わらず好き嫌いがはっきり分かれる作品を連発中。体重270キロの父親が娘との関係を修復しようとして…というプロットは普通だが、果たして捻りは…？
エドワード・ベルガー Edward Berger （西部戦線異状なし）	「ぼくらの家路」が世界的評価を獲得したドイツ人監督。近年はドイツを飛び出し、ハリウッドで監督を任されることも…。「西部戦線異状なし」のリメイクに挑む。ドイツが描くことに意義。Win: BAFTA
パク・チャヌク Park Chan-wook （別れる決心）	「JSA」「オールド・ボーイ」「親切なクムジャさん」「乾き」「お嬢さん」…映画ファンが愛する作品ずらり。殺人事件が発生、刑事の男は被害者の妻に疑いを抱くようになるが…。Win: FFCC
デイミアン・チャゼル Damien Chazelle （バビロン）	1920年代ハリウッド初期を舞台に実在の人物と架空の人物の人生を交錯させる。オスカーは映画界を描く映画が大好き。「ラ・ラ・ランド」で監督賞は受賞したが、作品賞には届かず。
ライアン・ジョンソン Rian Johnson （ナイブズ・アウト：グラスオニオン）	「BRICK ブリック」「LOOPER ルーパー」、そして「スター・ウォーズ／最後のジェダイ」…映画ファンの心に残る作品を次々監督。脚本賞候補に挙がった前作を、さらに進化させる！
ジョセフ・コシンスキー Joseph Kosinski （トップガンマーヴェリック）	高評価を獲得した「オブリビオン」に続き、トム・クルーズとタッグ。しかもあの「トップガン」の続編という大きなプレッシャー。監督デビュー作は同じく人気作の続編だったが、さほど良い反応を得られず。
バズ・ラーマン Baz Luhrmann （エルヴィス）	「華麗なるギャツビー」以来、9年ぶりに手掛ける長編映画はエルヴィス・プレスリーの人生を描く音楽ドラマ。プレスリーの歌とダンスをふんだんに取り入れる。音楽映画なら任せてくれ。
リューベン・オストルンド Ruben Östlund （逆転のトライアングル）	「ザ・スクエア思いやりの聖域」が外国語映画賞候補に挙がったスウェーデン監督が英語ドラマに挑戦。豪華客船が無人島に漂流。ヒエラルキーが逆転していく様を描く。カンヌをまたもや制覇。
サラ・ポーリー Sarah Polley （ウーマン・トーキング私たちの選択）	「アウェイ・フロム・ハー」「テイク・ディス・ワルツ」「物語る私たち」…監督作が全て高評価。閉鎖的宗教コミュニティで起こる集団レイプ事件を描く。賞レース中盤にBUZZ失速。Win: SLFCA
ジーナ・プリンス＝バイスウッド Gina Prince-Bythewood （ウーマン・キング無敵の女戦士たち）	評価はまずまずだったが、配信ヒットを記録した「オールド・ガード」で注目度上昇。ヴィオラ・デイヴィスがダホメ王国の兵士軍団将官を演じる実話物を指揮。かなりタフな内容になるはず。
Ｓ・Ｓ・ラージャマウリ S.S. Rajamouli （RRR）	「マガディーラ」で世界的評価、「バーフバリ」シリーズの成功で押しも押されぬ人気を獲得したインドのヒットメイカー。オスカー好みの歴史スペクタルではないが、多様性枠、ないとは言えない。Win: NYFCC
マリア・シュラーダー Maria Schrader （SHE SAID／シー・セッドその名を暴け）	「アイム・ユア・マン恋人はアンドロイド」が世界的な評価を獲得したばかりのドイツの女流監督。ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ・暴行事件を追う女ジャーナリストふたりを描く実話物で勝負。
シャーロット・ウェルズ Charlotte Wells （aftersun アフターサン）	これまで3本の短編映画を発表、高評価を獲得してきたが、満を持して長編監督デビュー。1990年代後半リゾート地、若い父親と11歳の娘の休暇を描き出す。カンヌ絶賛。Win: NSFC、TFCA
Possible
ノア・バームバック Noah Baumbach （ホワイト・ノイズ）	それぞれの連れ子と暮らす夫妻が、近隣で起こった有毒ガス漏れ事故をきっかけに、家族の死について考える。プロットから察するに、かなり暗い内容になりそう。脚本家のイメージが強い。
エレガンス・ブラットン Elegance Bratton （インスペクションここで生きる）	写真家としての顔も持つアフリカ系映像作家。ドキュメンタリーや短編で高く評価されてきたが、いよいよ長編劇映画を手掛ける。自身の経験を基に、黒人青年が海兵隊で直面する現実を描く。
シノニエ・チュクウ Chinonye Chukwu （ティル）	アルフレ・ウッダードから名演を引き出した「Clemency」に続いて手掛けるのは、公民権運動のきっかけになった14歳の黒人少年リンチ殺害事件。実話社会派映画はオスカーが好きなジャンル。
ライアン・クーグラー Ryan Coogler （ブラックパンサーワカンダ・フォーエバー）	「フルートベール駅で」「クリードチャンプを継ぐ男」「ブラックパンサー」…目下のところ、失敗作なしのキャリア。超ヒット作の続編を、前作の主演男優不在のまま撮る。不安と期待が入り混じる。
アンドリュー・ドミニク Andrew Dominik （ブロンド）	「ジェシー・ジェームズの暗殺」で良く知られるクセモノが、「ジャッキー・コーガン」以来、8年ぶりに長編映画発表。50～60年代のマリリン・モンローのイメージを描く野心作。ノンフィクションなのがミソ。
ギレルモ・デル・トロ Guillermo del Toro （ギレルモ・デル・トロのピノッキオ）	「シェイプ・オブ・ウォーター」でオスカーを受賞、映画ファンの支持も熱いヴィジュアル派監督。誰もが知る古典をストップモーション・ミュージカルとして映像化。これまでアニメーション監督の候補入りはなし。
ジェームズ・グレイ James Gray （アルマゲドン・タイムある日々の肖像）	「リトル・オデッサ」で長編デビュー後、ほの暗い人間ドラマを着実に発表。近年は「ロスト・シティZ」「アド・アストラ」等、これまでとは毛色の違う作品に挑戦。自身の体験を基にしたドラマ。
ルカ・グァダニーノ Luca Guadagnino （ボーンズアンドオール）	「君の名前で僕を呼んで」で米メジャー賞に絡む健闘を見せたイタリアの名匠。本来はもっとエグい内容の話が得意で、なるほど今度はカニバリズムがテーマ。…となるとレース参戦は厳しい。
オリヴァー・ハーマナス Oliver Hermanus （生きる LIVING）	「Beauty」が世界的な評価を受け、以後小品を中心に活躍する南アフリカ出身監督。黒澤明の不朽の名作「生きる」をビル・ナイ主演でリメイク。サンダンス映画祭で高評価獲得。
ソフィー・ハイド Sophie Hyde （Good Luck to You, Leo Grande）	短編やドキュメンタリーを経て進出した劇映画演出。高評価を獲得した「52 Tuesdays」「Animals」に続いて、エマ・トンプソン主演のコメディ・ドラマを手掛ける幸運。知名度問題。
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ Alejandro G. Iñárritu （バルド、偽りの記録と一握りの真実）	「バードマン」「レヴェナント」と連続オスカー獲得の快挙達成。メキシコの社会問題、政治問題を取り上げた自伝的内容。オスカー向きかと思われたが、各映画祭では評価伸びず。
セバスチャン・レリオ Sebastián Lelio （聖なる証）	スペイン・チリ合作映画「グロリアの青春」で飛び出し、そのハリウッド・リメイク「グロリア永遠の青春」も高評価。数カ月食事をせずに生き延びた少女と看護師の関係を綴る心理スリラー。
トビアス・リンホルム Tobias Lindholm （グッド・ナース）	「ある戦争」「シージャック」等で知られるデンマーク監督が初の英語作品に挑む。「死の天使」と恐れられた、患者をターゲットにした連続殺人鬼看護師の物語を描く。これを機に活躍はワールドワイドへ。
サム・メンデス Sam Mendes （エンパイア・オブ・ライト）	「1917 命をかけた伝令」で健在ぶりをアピール、今度は2022年を代表する英国映画の座を狙う。1980年代イングランド南海岸の映画館を舞台にした古典的ラヴストーリー。
ライラ・ノイゲバウアー Lila Neugebauer （その道の向こうに）	舞台演出家として活動してきたが、ジェニファー・ローレンスが立ち上げた製作会社が手掛けるローレンス主演作により長編映画監督デビュー。良い舞台監督が良い映画監督になるとは限らない。
クーパー・レイフ Cooper Raiff （チャチャ・リアル・スムース）	「Shithouse」が好評を博し、間髪入れずコメディ・ドラマを発表。パーティーの盛り上げ役として働く男が、自閉症の子どもを持つ母親と知り合い…。自ら主演も兼ねる要注目映画人。
フローリアン・ゼレール Florian Zeller （The Son／息子）	「ファーザー」の捻りある脚本によりオスカー受賞。再び自身の舞台劇の映画化で、問題児の少年が家族に巻き起こす波乱の出来事を綴る。劇作家に対する抵抗感。映画祭評価は不発。
Longshot
マリアノ・コーン、ガストン・デュプラット Mariano Cohn, Gastón Duprat （コンペティション）	「ル・コルビュジエの家」「笑う故郷」「4×4 殺人四駆」等で組んできたアルゼンチンの二人組。スペインに渡ってアントニオ・バンデラス、ペネロペ・クルスらビッグネームとお仕事。映画祭向き。
デヴィッド・クローネンバーグ David Cronenberg （クライムズ・オブ・ザ・フューチャー）	「マップ・トゥ・ザ・スターズ」以来、8年ぶりに長編を発表。人間が苦痛を感じなくなった近未来を舞台にしたSFホラー。またしてもカルト化必至か。批評家受けしてもオスカー受けしない作風。
サエラ・デイヴィス、アナ・ローズ・ホルマー Saela Davis, Anna Rose Holmer （ゴッズ・クリーチャー）	ふたりの女性映画人が「The Fits」に続いてタッグ。アイルランドの漁村を舞台に、愛する息子を守ることと善悪の良心の狭間で揺れ動く母親を描くドラマ。エミリー・ワトソンの演技賞候補をアシスト。
ロバート・エガース Robert Eggers （ノースマン導かれし復讐者）	「ウィッチ」「ライトハウス」とデビューから二作続けてホームランを放った、注目のホラー監督。10世紀アイスランドを舞台に、殺害された父の復讐に乗り出すノルウェー王子を描く。新たなジャンルへ。
アンソニー・ファビアン Anthony Fabian （ミセス・ハリス、パリへ行く）	短編映画やドキュメンタリーが活動の中心だが、高評価を獲得した「Skin」を始め劇場用映画も手掛ける。ディオールに魅了された清掃婦が、ブランドの運命を変えていく様を描く。
マヤ・フォーブス、ウォレス・ウォロダースキー Maya Forbes, Wallace Wolodarsky （The Good House）	「僕のワンダフル・ライフ」の脚本を手掛けた夫婦映画人が、初めて監督業でもタッグを組む。相性の良いヴェテラン俳優ふたり、シガーニー・ウィーヴァーとケヴィン・クラインを再共演させる。
マーク・フォースター Marc Forster （オットーという男）	オスカー候補の経験はないが、「チョコレート」「ネバーランド」「君のためなら千回でも」等賞受けした作品を監督。スウェーデン映画「幸せなひとりぼっち」をリメイク。リメイクでの候補は稀。
アントワン・フークワ Antoine Fuqua （自由への道）	骨太の作品を次々発表、オスカー候補こそないがハリウッドで信頼されているアフリカ系監督。実在の黒人奴隷の逃走劇を描くドラマ。アクションたっぷりの娯楽寄りの作りになるかもしれない。
トム・ジョージ Tom George （ウエスト・エンド殺人事件）	BBCシリーズ「This Country」を始め、英国TV界で注目。初めての長編映画は、1950年代ロンドン、演劇界の表と裏を暴き出すミステリー。このジャンルは賞受けし難い。
ロン・ハワード Ron Howard （13人の命）	子役から監督への移行がこれほどスムーズになされた例は他になし。近年は鈍い評価の作品が並ぶが、少年サッカーチームがタイの洞窟に閉じ込められた事故を描く実話物で勝負に出る。
コゴナダ Kogonada （アフター・ヤン）	インディーズ映画「コロンバス」が高評価を獲得した韓国系アメリカ人監督。ロボットの子どもが家庭用ベビーシッターとして活躍する世界を舞台に家族ドラマを紡ぐ。オスカー向きではない？
是枝裕和 Hirokazu Koreeda （ベイビー・ブローカー）	濱口竜介が現れる前は、いや今も、彼が日本映画界を引っ張っている。赤ちゃんポストを通じて出会う韓国の人々の物語。韓国？そう、日本映画ではなく韓国映画。ソン・ガンホら有名どころズラリ。
マリー・クロイツァー Marie Kreutzer （エリザベート 1878）	短編から始まったキャリアが長編に挑むようになり急激に花開いているオーストリアの女流監督。皇后エリーザベトを描く歴史ドラマで、カンヌ映画祭で熱狂を巻き起こす。ハリウッドでは無名。
マーク・マイロッド Mark Mylod （ザ・メニュー）	何度か映画に挑んではコケてきたが、TVシリーズ「メディア王華麗なる一族」の成功で再び上昇気流。旬の若手スターを迎え、離島の高級レストランで起こる出来事をブラックに描き出す。
フィリス・ナジー Phyllis Nagy （コール・ジェーン女性たちの秘密の電話）	「キャロル」により脚色賞候補に挙がった注目映画人が、「ミセス・ハリスの犯罪」以来となる監督作に挑む。60年代シカゴ、女たちの中絶を支援した地下組織を描く実話物。各映画祭で好評。
ジョーダン・ピール Jordan Peele （NOPE ノープ）	「ゲット・アウト」「アス」と連続ホームラン。今最もハリウッドが期待するエンターテイナーのひとり。黒人経営の牧場で働く黒人調教師が出てくるくらいしか、解禁情報なし。またしても驚愕の世界へ！？
ビル・ポーラッド Bill Pohlad （ドリーミン・ワイルド名もなき家族のうた）	プロデューサーとして「ブロークバック・マウンテン」「ツリー・オブ・ライフ」等、注目作に多数参加してきたが、監督作は8年ぶり3作目。音楽デュオ、ドニー＆ジョー・エマーソンの物語。
マット・リーヴス Matt Reeves （THE BATMAN －ザ・バットマン－）	「クローバーフィールド」「モールス」「猿の惑星：新世紀」…と作品を発表する度に評価を高めている。今度はアメリカを代表するアメコミヒーロー、バットマン映画。ダークな世界観を魅力的に。
マシュー・ウォーチャス Matthew Warchus （マチルダ・ザ・ミュージカル）	映画監督デビュー作「背信の行方」はコケてしまったが、舞台監督としてのキャリアは順調。ロアルド・ダールの児童小説をミュージカル描いたその中の一本を映画化。映画監督としての勝負作。
ジェレマイア・ザガー Jeremiah Zagar （HUSTLE ハッスル）	短編やMUSIC VIDEOでキャリアを積み、いよいよ映画監督としても頭角を現す。「We the Animals」で結果を残し、続くアダム・サンドラー映画でも高評価。そろそろ大作からお呼びがかかりそう。

No Chance　チャンスなし　（1/20）
スコット・クーパー Scott Cooper （ほの蒼き瞳）	キャリー・クラックネル Carrie Cracknell （説得）
ピーター・ファレリー Peter Farrelly （史上最高のカンパイ！戦地にビールを届けた男）	デヴィッド・フランケル David Frankel （Jerry & Marge Go Large）
スティーヴン・フリアーズ Stephen Frears （ロスト・キング 500年越しの運命）	アレックス・ガーランド Alex Garland （MEN 同じ顔の男たち）
ロドリゴ・ガルシア Rodrigo García （レイモンド＆レイ）	マイケル・グランデイジ Michael Grandage （僕の巡査）
カシ・レモンズ Kasi Lemmons （ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY）	ハンナ・マークス Hannah Marks （パパに教えられたこと）
ジョン・マイケル・マクドノー John Michael McDonagh （The Forgiven）	ジョージ・ミラー George Miller （アラビアンナイト三千年の願い）
オリヴィア・ニューマン Olivia Newman （ザリガニの鳴くところ）	オル・パーカー Ol Parker （チケット・トゥ・パラダイス）
エマー・レイノルズ Emer Reynolds （ジョイライド：幸せへの道）	デヴィッド・Ｏ・ラッセル David O. Russell （アムステルダム）
オリヴィア・ワイルド Olivia Wilde （ドント・ウォーリー・ダーリン）

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