| Final Predictions | |||||||||||||||||||
| アネット・ベニング | リリー・ グラッドストーン |
ザンドラ・ヒュラー | キャリー・マリガン | エマ・ストーン | |||||||||||||||
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| ◎ | △ | 〇 | |||||||||||||||||
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| 昨年に引き続き物議を醸している主演女優賞。今年は『バービー』のマーゴット・ロビーが弾かれてしまったことが批判されている。2023年を代表するヒット映画の主演女優を落とすなんてあり得ない！…ということらしい。実にバカバカしい言い分と言える。ならば、興行成績上位の主演俳優からオスカーをあげる制度にでもすれば良いのだ。芸術なんてものは人によって評価が違って当たり前。今回はロビーがトップ5に届かなかっただけということだ。それに元々、候補入りか否か、ギリギリラインでの攻防だったことは間違いない。批判ではなく落胆なら、大いに共感できる。 さて、そのロビー、候補入りしていたとしても受賞には漕ぎ着けられなかっただろう。この部門は前哨戦段階から『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』のリリー・グラッドストーンと『哀れなるものたち』のエマ・ストーンの一騎打ちとなっているからだ。序盤はグラッドストーンがリード、それをストーンが猛追しているという構図だ。賞レース前の下馬評通りの展開。 両者共に彼女たちでなければ成立しない演技を見せる。グラッドストーンは白人から搾取されるオセージ族の娘役。作品の魂と言うべき役どころ、自身のルーツを活かし、その愛情深さとそれゆえの葛藤を大変な説得力をもって演じている。レオナルド・ディカプリオとの相性も抜群だ。ストーンは死の淵から蘇る女フランケンシュタインの怪物のような役。子どもの心で世の中に向かい合い、様々なことを吸収していく。その際、性の目覚めが大きく物を言うのがポイントで、当然際どい描写の連続。それを何ともまあ、大胆不敵に、無邪気に、不潔になることなく体現。この役を演じてみたい俳優はきっと多いだろうが、ストーンほどに果敢に魅せられたかというと、疑わしい。一世一代の大芝居だ。 予想を難しくしているのは、ストーンが既にオスカー受賞者という点だ。そう、「ラ・ラ・ランド」（16年）でオスカーを手にしている。人気・実力共にジェニファー・ローレンスと並ぶ若手スターとして抜きん出ていて、ハリウッドを牽引する存在なのだ。もしストーンがオスカーを獲っていなかったら、今回はストーンが簡単にオスカーを攫っていっただろう。誰もが降参するしかないパフォーマンスだ。だけれどしかし、二つ目のオスカーをそう簡単に渡して良いものか。会員は頭を悩ませるはずだ。 …とその際浮上するのがグラッドストーンであることは間違いない。作品の説得力を格段に上げる演技だけでなく、多様性時代に完璧にフィットする人選、インディーズシーンでの着実なキャリアの歩みもプラスになる。ストーンに票を入れたくない会員票はここに集まる。批評家の支持がストーンよりもグラッドストーンが若干だが上回ったのは不思議なことではない。新しい才能を讃えるというのも批評家の大切な仕事だからだ。 『ナイアド その決意は海を越える』のアネット・ベニング、『落下の解剖学』のザンドラ・ヒュラー、『マエストロ：その音楽と愛と』のキャリー・マリガンはふたりの間に割って入るのは難しいだろう。特にマリガンはBUZZが完全に消滅した感。べニングは何度もも候補に挙がりながら依然受賞していない点が物を言うかもしれない。ヒュラーは『関心領域』との合わせ技が使える上、ヨーロッパ会員票をかき集めることが考えられる。ただ、実現の可能性は僅かだろう。地元ヨーロッパで開かれた英国アカデミー賞でもストーンに敗北している。 グラッドストーン vs. ストーン。名前が読み上げられるまで、どちらに転ぶか分からないが、作品を観ればストーンに入れたくなる心理は相当に強力ではないか。ストーン自身の好感度の高さがそれを後押しする。いや、でもなー。ひょっとしてグラッドストーンは、「2023年のミシェル・ヨー」なのか。…とするならば…。 |
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